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小説|「セレニティ模様」第1話
《あらすじ》
意地悪なばあさん・トメと職場でのパワハラが原因で心と脳の病になり日常生活に支障を来してしまった父・和夫、そこに嫁いだ母・八重子。
そこに誕生したふたごの香と悠。物心ついたころから歪な家庭環境を察し子どもながらに迷惑をかけないように過ごす。いつしか悩みを一人で抱え込むのが当たり前になる。
香は中学校でいじめられ、エスカレートし内靴が隠された。学校から親に連絡が…。
思い切って悠に打ち明けたことがきっかけで人生が好転しだす。はじめて二人で中学校をサボり母方の実家・ヨシばあの家を目指す。
次第に自分の弱さや格好悪い姿を見せることができるようになった香は自分の考えや悩みを人に話せることが大事だと気づき始める。
「タッタッタッタッタ」階段を上る足音が部屋の前で止まる。
嗚呼。ドアが開いてしまう。香は毛布をぎゅっと掴み目をきつく瞑る。
「朝だよ~」いつも通りの母の穏やかな声だ。
香は布団の中で背中を丸め微動だにせず、心の中では「いやだ」と喚く。
見たところ香から何も反応がないので母は香の肩を叩く。
「起こしたからね」ゆっくりと伝わり優しい語尾で締めくくられる。その声色とは裏腹に香にとって残酷なお知らせだ。
カーテン越しに伝わってくる眩しい朝日が恨めしい。
中学生の香は毎朝、学校に行くのが憂鬱で仕方がない。行きたくなさすぎて朝早く目が覚めてしまっては母が起こしに来るまで布団の中で怯えている。母が起こしに来る時間まで布団の中で自分の健康状態を確認する。
熱はないな。お腹も痛くないな。いたって体は健康だ。休む理由が見当たらない。熱が出たらいいのに、どこか具合が悪くなれば良いのに、と起床時間まで願うけれど都合よくそうはならない。
