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慰安婦論12):日本軍慰安所朝鮮人管理人の日記


概要

日本軍慰安所管理人の日記」、この日記は、第二次世界大戦 (大東亜戦争) 中にビルマやシンガポールで日本軍慰安所の帳場人 (管理人) を務めた朴という朝鮮系日本人男性1943年1月から1944年12月にかけて記したもの(タイトル画像) で、韓国で発見・書籍化され、日本でも翻訳が出版されている。

この日記は、慰安所制度の内部を伝える数少ない同時代の史料として重要視されている。しかし、慰安所の性質(軍の管理下にあったか、個人経営だったか)や慰安婦の地位(自由な契約関係だったか、性奴隷だったか)、強制性の有無といった点について、日記の記述を巡り研究者の間で異なる解釈や論争が存在している。主な論点は以下の3点に整理できる。

資料研究における3つの論点

1. 慰安所の性質:軍の管理下にあったのか、個人経営だったのか

1) 軍の管理下にあったとする解釈(安秉直教授など)

根拠とされる日記の記述:

  • 朴氏が軍用車や船で日本兵と共に頻繁に都市間を移動していたこと。

  • 日本軍への定期的な作業報告(営業月報、収支計算書)の提出義務があったこと。

  • 入国許可証、雇用許可証、渡航書類の取得や、慰安婦の就業・廃業申請を軍に提出していたこと。

  • 朴氏自身が「第4次慰安団」の一員として出国したと述べており、この慰安団が日本軍によって組織・管理されていたと考えられること。

解説: これらの記述から、慰安所は単なる民間の売春宿ではなく、日本軍によって厳しく規制され、軍の活動に組み込まれた組織的な施設だったと解釈する。経営者も事実上、軍の指示に従う従業員のような立場だったと見なされる。

2) 基本的に個人経営だったとする解釈(崔吉城教授、李栄薫元教授など)

根拠とされる日記の記述:

  • 朴氏が「慰安所組合」に会費を払い、会合に出席していたこと(これは当時の朝鮮の売春産業にあった独立組合と同様に見える)。

  • 移動中に軍の車輛や施設を利用する許可を得ることもあったが、民間の交通機関を利用したり、友人の家で一夜を過ごしたりすることもあったと頻繁に書かれていること。

  • ある喫茶店で「軍人と軍属しか食事をしない」と言われて食事を断られたという記述があること(これは朴氏が軍人や軍属として扱われていないことを示唆すると解釈される)。

  • 慰安所を閉める際に、慰安婦は各自の希望で別の慰安所に行ったこと(経営者が慰安婦を縛っていなかった証拠と解釈される)。

解説: これらの記述から、慰安所は表向き、または実質的に個人事業者によって経営されており、軍との連携はあったものの、完全に軍の直接的な指揮下にあったわけではないと解釈する。経営者も軍属ではなく、独立した事業者だったと見なされる。ただし、崔教授も「これらのビジネスが日本軍と密接に連携して運営されていたことには同意している」と記事は伝えている。

2. 慰安婦の地位と自由意志:性奴隷だったのか、個人的な売春婦だったのか

1) 性奴隷だったとする解釈(安秉直教授など)

根拠とされる日記の記述:

  • 慰安婦たちが、本人の意思とは関係なく、日本軍とともに移住を余儀なくされたという記述。

  • ビルマの慰安婦2人が仕事を辞めて帰国しようとしたが、日本軍に強制されて仕事を続けさせられた、という記述。

解説: これらの記述は、慰安婦たちが自らの意思決定の自由を著しく制限されており、実質的に性奴隷状態に置かれていたことを示す証拠と見なされる。

2) 個人的な売春婦だった、または普通の従業員だったとする解釈(崔吉城教授、李栄薫元教授など)

根拠とされる日記の記述:

  • 日記の中で、慰安婦が「酌婦」や「稼業婦」と表現されていること(これは当時の一般的な売春婦を指す言葉と解釈される)。

  • 慰安婦が仕事の給料を受け取っており、貯金口座を持っていたこと。

  • 慰安婦が定期的に性病検査を受け、質の高い医療を受けていたこと。

  • 多くの場合、要求すれば退職が許されていたこと。

  • 慰安所を閉める際に、慰安婦が各自の希望で別の慰安所に行ったこと(経営者との間に拘束関係がなかった証拠と解釈される)。

  • 日本の海外売春婦「からゆきさん」に近い存在だったという見方。

解説: これらの記述は、慰安婦たちが経済活動を行っており、ある程度の自由意志や移動の自由が認められていたことから、軍によって管理された売春婦、あるいは個人の意思で働いていた売春婦(当時の一般的な)と解釈される。性奴隷という表現は適切ではないと見なされる。

3.慰安婦の募集と強制性:どのように慰安所に来たのか

1) 軍の組織・管理による募集・移送を示唆する記述

根拠とされる日記の記述:

  • 朴氏自身が「第4次慰安団」の一員として出国したと述べていること。この慰安団が日本軍によって組織・管理されていたと考えられる点。

解説: 間接的な記述から、募集や慰安所への移送に日本軍が関与していた可能性が示唆される。

2) 事業者が募集したもので、軍が拉致した記述は日記にないとする解釈(安秉直教授など)

根拠とされる日記の記述:

  • 日記には、慰安婦がどのように勧誘されたかについての詳細な記述が含まれていない(特に、より詳述された可能性のある1942年の記述が欠落している)。

  • 安教授自身の補足として、「慰安婦は韓国の事業者が募集したものであり、軍が拉致する必要はなかった」と述べている点。

解説: 日記自体には、慰安婦が直接的に日本軍に強制連行されたことを示す明確な記述はないことが認められている。募集は民間の事業者によって行われた可能性が示唆される。

これらの論点があるため、この日記は慰安婦制度に関する重要な手がかりを与えつつも、その解釈を巡って様々な議論を引き起こしており、慰安婦問題全体への位置づけについても見解が分かれている状況である。

ある文化人類学者の見解

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