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慰安婦論20):ラムザイヤーによる慰安婦制度のゲーム理論的合理性の分析

ハーバード大学教授で英語圏に向けたジョン・マーク・ラムザイヤー氏の著書の邦訳本である『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』は、従来の、いわゆる「慰安婦性奴隷説」に対し、法と経済学、特にゲーム理論を用いて、戦前の日本の年季奉公契約による売春制度、および慰安婦制度極めて合理的なシステムであったと論破している、とタイトルで銘打っている。



ラムザイヤー教授の主張と背景

慰安婦問題における主要な論点の一つである「性奴隷説」に対し、ラムザイヤー教授は学術的なアプローチで反論している。

著者の人物像と研究背景

その前にまず、著者のジョン・マーク・ラムザイヤー教授について。彼は0歳から18歳まで日本で育ち、日本語を自由に読み書きできる知日派・親日派であり、2018年には旭日中綬章を受章している。専門は法と経済学で、ハーバード大学ロースクール教授を務めている。このような経歴が、日本の歴史的・法的文脈を深く理解した上での研究を可能にしている。

慰安婦問題が政治問題化する以前の1991年から、ラムザイヤー教授は日本の戦前の芸娼妓の年季奉公契約について法経済学者として研究論文を発表しており、これが本書の第1論文に該当する。この論文では、一般的な芸娼妓の契約を扱っており、慰安婦問題とは直接結びついていなかった。

「ラムザイヤー論文」騒動とその背景

第3論文が発表され、その要約が産経新聞に掲載された後、ラムザイヤー教授は「キャンセル・カルチャー」と呼ばれる激しい攻撃にさらされた。これは「慰安婦は強制的に連行された」「慰安婦はまったく自由のない性奴隷であった」というイデオロギーに基づいた言論弾圧や身体的脅迫にまで及んだ。この背景には、米国の大学の文系学部の学力低下と左傾化があると教授は指摘している。

しかし、この騒動は、第3論文を掲載した学術誌が圧力に屈しなかったこと、およびラムザイヤー教授自身が「論には論で」徹底的に反駁したことで沈静化に向かった。日本の学術団体による精神的支援も、この論争における教授の支えになった。


ゲーム理論の応用

ラムザイヤー教授の議論の基盤となっているのがゲーム理論である。

ゲーム理論とは

ゲーム理論は、フォン・ノイマンとオスカー・モルゲンシュテルンによって提唱された「社会や自然界で互いに関わり合う複数の主体がいる中での意思決定の仕組み」を数学的モデルで解明する考え方。ミクロ経済学の主要分野として、現代でも幅広く応用されている。

ナッシュ均衡

ゲーム理論における重要な概念の一つがナッシュ均衡である。これは「どのプレイヤーも(相手がその戦略を選んでいるならば)、それ以上利得を高くできない」という状況を指す。つまり、誰もが現状維持が最も望ましいと考える安定した状態のことだ。

信頼できるコミットメント

また、ゲーム理論における「信頼できるコミットメント」という概念も銘記しなければならない。これは、プレイヤーが自身の選択肢を意図的に狭めることで、約束を破った場合に自身が不利になる状況を作り出し、約束に信憑性を持たせる行動(後ほどまた「囚人のジレンマ」の例で再考)を指す

これを現実に適用すると、売春斡旋業者が破格の前払金を払う(売春婦側からすると借金と呼称)ことで、この「信頼できるコミットメント」が実現していたと説明される(ここで往々にして女性は”借金地獄”に陥り、”性奴隷"に落ちると考えてしまうのが、従来の研究者であった)。日本の近代法では、たとえ売春婦が借金を完済できなくとも、一定の年季(6年程度)が過ぎれば借金から解放されるという「フェアな契約」であったと指摘されている。


年季奉公という雇用形態

ラムザイヤー教授の第1論文の核心は、戦前日本の年季奉公という雇用形態が、当時の売春制度においてどのように機能していたかを分析することである。

年季奉公の定義と実態

年季奉公ねんきぼうこう」とは、一定年限の間、住み込みで奉公する雇用形態である。江戸時代に人身永代売買が禁じられた後、期限付き売買として一般的になった。当時の日本において、貧しい農家が娘を売春宿に年季奉公に出したり、多くの女性 (例えば長女)が、家族のために自ら進んで長期の雇用契約を結んだりするケースがあった。

ラムザイヤー教授は、日本の近代の法律とその実態を精査し、以下の点を指摘している。

  • 性的サービスのための年季奉公に応じる女性たちやその親権者たちは悪徳業者に騙されたり搾取される「性奴隷」のような存在ではなかった

  • 彼らは理性的に判断した上で契約を結んでいた。

  • 慰安婦(軍と行動を共にした売春婦)も日本国内と同様の法律が適用されており、契約内容もほぼ同等であった。むしろ、慰安婦の契約では前払金が多く、契約年限が短縮される傾向にあった (危険な戦争の最前線で働くのだから高給であることは理にかなっている)。

  • 強制連行や性奴隷化は考えられない。

結論として、前払いの年季奉公は「ある程度理にかなった働き方であった」とされる。

第1論文の問題設定と検討結果

ラムザイヤー教授の第1論文の主要な問題設定は、「日本の戦前の売春産業のデータを用いて、なぜ年季奉公という契約に合意できたのか」という謎を解き明かすことである。日本の戦前には売春産業が規制されており、「政府の公式記録と民間の研究の実証的な記録が山のようにある」ため、この研究に適していたと説明される。

副次的な問題設定として、社会に流布している言説の真偽と、年季奉公の効用が検討されている。

  • 「売春業者や斡旋者が、年季奉公をすり替えて、債務奴隷に陥らせたのか?」

    • 検討結果: そのような証拠は見つからなかった。むしろ、多くの売春婦は契約期間より早く借金を完済し、早期に廃業した。

  • 「売春業者や斡旋者は、この雇用形態で売春婦を支配することができたのか?」

    • 検討結果: 支配ではなく、売春婦が「協力したくなる」雇用形態であった。

  • 「この雇用形態では、困窮した農民に信用を供与したのか?」

    • 検討結果: 実質的に売春業者は無担保で前借金を行っており、信用供与が契約合意の理由のほんの一部でしかなかった。

  • 「この雇用形態によって、売春婦候補の女性たちは、将来の自分の稼ぎについての売春業者の言い分を信頼することができたのか?」

    • 検討結果: その通りであり、この契約が破綻した場合の裁判費用は売春業者側が負担することになっていた。

第1論文の限定

ラムザイヤー教授は、学術論文として、同時代の生々しい記述(主に社会改革派のジャーナリストや廃娼論者、元娼婦の証言など)を意図的に無視したことを明記している。これは、これらの証言が「もっとも不満を抱いていたものたち」によるものであり、年季を終えた人々は著作などを残していないため、偏りがあると判断したためである。

売春業界の職種と収入

戦前の売春業界は、主に芸者、公娼、私娼に分類できると説明されている。

収入比較として1934年のデータが示されており、公娼の年収が他の職種に比べて高かったことが分かる。また、公娼への応募者の6割ほどしか職に就けなかったという事実は、公娼になりたいと考える女性が一定数いたことを示唆していると指摘されている。

売春業界における年季奉公の詳細

公娼の年季奉公は最長6年で、18歳以上での契約が法律で定められていた。多く稼げば早期退職の権利があり、1920年代半ばの前渡金は1200円ほどであった。

給料計算(玉割ぎょくわり)の例も示されており、総売り上げの30%が公娼の取り分となり、そこから前渡金の返済分が差し引かれて手取りになる仕組みだった。標準的な契約では、前渡金を返済するか、最長契約期間を勤め上げるかのどちらかによって契約を終えることがでた。例として、平均的な前借金1200円の場合、約3年で借金を返し終えることができたと計算されている。当時の年収と比較しても、公娼の収入は悪くなかったと筆者は述べている。

実際に売春婦が務めた年数と追借金

「ドラマなどでよく見かける、娼婦が追加の借金を背負わされて売春宿に縛り付けられる(債務奴隷)という話」に対し、ラムザイヤー教授の研究結果は異なる見方を示している。

1925年の東京の公娼5000人の調査では、92%に追借金があったものの、その多くは少額で、1000円以上の追加の借金を抱えていたのはわずか5%に過ぎなかったとされている。また、働いた期間が長くなるほど追借金は減っており、大半は職歴の初期に借りてすぐに返済していたことが示されている。このことから、娼婦たちが順調に借金を返済していた実態がうかがえるとしている。

公娼の年齢分布のグラフも示されており、30歳を過ぎても公娼を続ける人が多くなかったことが読み取れる。これは、若い人がこの業界に入ってくるため、年齢が上がると雇われる余地がなかったという解説に繋がっている。

年季奉公という契約になぜ合意できたのか(ゲーム理論による分析)

この論文の最も重要な部分の一つが、年季奉公契約がなぜ成立し得たのかをゲーム理論の利得行列を用いて分析している点だ。プレイヤーは売春婦と売春業者で、戦略は「約束を守る」か「約束を守らない」か。

ナッシュ均衡の分析結果:

  • 売春業者側: 売春婦が約束を守っている時、自分が約束を守らないと悪評判が立ち、次回以降応募者がいなくなるため、約束を守る方が得。売春婦が約束を守っていない場合でも、法律的に潔白を保ち訴訟を起こすことで、やはり約束を守ることが得。

  • 売春婦側: 売春業者が約束を守っている時、仕事が嫌でなければ、前借金以上の収入が得られ、契約期間が短くなる可能性があるので、自分も約束を守る方が得。売春業者が約束を守らなかった場合には、廃業届を出せばよい(司法を頼る)。

この分析により、「双方が約束を守る」という状態が双方にとって最も得であるというナッシュ均衡に達すると結論付けられている。

すなわち、売春業者が前借金を支払うことで、自身の言葉を「信頼できるコミットメント」として売春婦に信じさせようと企図したわけだ。売春婦側も、前借金という保証があれば、この業界に入ることを躊躇しなかったであろうとラムザイヤー教授は考察している。


結論と残る疑問点

ラムザイヤー教授は、「貧しくて教養もない農民たちが、意に反して年季奉公を結び、売春業者は売春婦を性の奴隷に貶めた」という物語は、売春婦の知恵を過小評価していると結論付けている。ほとんどの売春業者は前借金によって売春婦を縛り付けておくことはできず、売春婦は奴隷にはならず、かなりの高収入を得て、契約期間より早く廃業したと述べている。

因みに、公娼から私娼に転身した人々の実態や、公娼を「卒業」した女性たちのその後はどうなったか。ラムザイヤー教授は脚注で、公娼から私娼への転身は多くなく、若年層が好まれたこと、また、公娼の4割ほどが家族の元に戻り、そのうちの3割ほどが結婚したといった情報を提示している。


全体として、ラムザイヤー教授はあくまでも学術的な視点で、従来の慰安婦性奴隷説に反論した。すなわち、ゲーム理論という具体的な枠組みを駆使して非常に分かりやすく論述し”論破”した。当時の日本の法律や経済状況、そして実際の契約がどのように機能していたかに焦点を当てることで、感情論ではない客観的な議論を提示しようとしている点が特徴的である。

ゲーム理論・再考

ゲーム理論は、簡単に言うと、複数の人が関わる状況で、それぞれが自分の利益を最大化するためにどう行動するかを考える学問である。まるでチェスやポーカーのような「ゲーム」を数学的に分析することで、人々の意思決定や行動パターンを予測・理解しようとする。


なぜ「ゲーム」と呼ぶのか?

日常生活やビジネス、政治など、私たちの周りには「ゲーム」のような状況がたくさんある。

  • ジャンケン:相手がグーを出したら自分はパーを出す、など、相手の出方によって自分の最適な手が決まる。

  • 価格競争:ライバル店が安くしたら、自分も安くするか、それとも品質で勝負するか。

  • 交渉:お互いがどこで譲歩するか、相手の反応を予測しながら決める。

このように、自分一人の行動だけでなく、相手の行動が自分の結果に影響し、かつ相手も自分の行動を予測して動くような状況を「ゲーム」と捉えて分析するのがゲーム理論である。


ゲーム理論の基本的な考え方

  1. プレイヤー:ゲームに参加する意思決定者(個人、企業、国など)。

  2. 戦略:プレイヤーが選択できる行動のリスト。

  3. 利得(ペイオフ):それぞれの戦略の組み合わせによって、各プレイヤーが得られる結果(利益、満足度など)。

  4. 情報の非対称性:プレイヤー間で持っている情報に差があるか。

ゲーム理論の目的は、これらの要素を考慮して、各プレイヤーがどのような戦略を選べば最も「合理的」な結果になるかを導き出すことである。


代表的な例:囚人のジレンマ

ゲーム理論で最も有名な例の一つが「囚人のジレンマ」だ。

二人組の容疑者AとBが逮捕され、別々の部屋で取り調べを受けている。警察は以下の選択肢を提示する。

  • 自白しない(黙秘)

    • AとBが両方黙秘すれば、証拠不十分で二人とも懲役1年。

  • 自白する

    • 片方だけが自白すれば、自白した方は無罪、黙秘した方は懲役10年。

    • AとBが両方自白すれば、二人とも懲役5年。

この状況で、AとBは相手の選択を知ることができない。

                       Bが黙秘する        Bが自白する
Aが黙秘する A: 1年, B: 1年        A: 10年, B: 無罪
Aが自白する A: 無罪, B: 10年     A: 5年, B: 5年

論理的に考えると、AにとってBがどう行動しようとも、自白する方がリスクが少ない(あるいは得をする)と判断する。

  • もしBが黙秘するなら、自白すれば無罪(1年より得)。

  • もしBが自白するなら、自白すれば5年(10年より得)。

結果として、二人とも「自白する」という選択をすることになる。しかし、よく見ると、二人とも黙秘していれば「懲役1年」で済んだはずなのに、お互いが自分の利益を追求した結果、「懲役5年」という、全員にとって最適とは言えない結果に陥ってしまう。これが「ジレンマ」と呼ばれる所以である。


ゲーム理論の重要概念

  • ナッシュ均衡

    • ゲーム理論で最も重要な概念の一つ。先ほどの囚人のジレンマの例で、AとBが両方「自白する」という状態がナッシュ均衡である。

    • これは「誰もが自分の戦略を変えることで、それ以上良い結果を得られない状況」を指す。相手が今の戦略を維持する限り、自分にとって今の戦略が最も良い(または同等に良い)ので、誰も自分の戦略を変えようとしない安定した状態だ。

    • つまり、囚人のジレンマでは、Aが自白している時にBが黙秘に変えても利得は悪化(無罪→10年)し、Aが黙秘している時にBが自白に変えても利得は悪化(1年→5年)するため、両方が「自白」している状態から抜け出せなくなる。

  • 信頼できるコミットメント

    • これは、自分の選択肢を意図的に狭めることで、相手に自分の約束を信じさせる行動である。

    • たとえば、ある企業が「他社が参入しても絶対に値下げしない」と宣言するために、非常に高額な設備投資を行い、撤退が非常に困難な状況を自ら作り出すことで、その約束の信憑性を高める、といったケースが考えられる。

    • ラムザイヤー教授が慰安婦の年季奉公契約で前払金を払う業者について言及していたのも、この「信頼できるコミットメント」の考え方に基づいている。多額の前払金を支払うことで、業者は「約束を破れば自分たちが損をする」という状況を作り出し、売春婦に「この業者は約束を守るだろう」と信じさせようとした、と彼は分析しているのである。


ゲーム理論の応用範囲

ゲーム理論は、経済学だけでなく、政治学、社会学、生物学、心理学、コンピュータ科学など、非常に幅広い分野で活用されている。

  • 経済学:企業の競争戦略、オークションのデザイン、労働市場の分析

  • 政治学:国際交渉、選挙戦略、紛争解決

  • 生物学:進化のメカニズム、動物の行動パターン

  • 日常生活:渋滞の発生メカニズム、友人との待ち合わせなど

ゲーム理論は、個々の「合理的な」行動が、必ずしも集団にとって「最適な」結果に繋がらないことがある、という洞察を与えてくれる。また、特定の状況下で、人々がどのように意思決定を行い、どのように行動する可能性が高いかを予測する強力なツールとなる。


ラムザイヤー教授の第2論文:慰安婦性奴隷説への批判

この論文では、日本統治下の朝鮮半島における売春の実態と、日本帝国外での慰安所の実態が、データに基づいて詳細に分析されている。

第2論文は2019年に書かれ、慰安婦問題が国際問題化し、日本政府の対応が国民に呆れられている時期に発表された。ラムザイヤー教授は、これまでの研究に加え、日本統治下にあった朝鮮半島での売春や慰安婦の実態をデータに基づき分析した。

「性奴隷話」に対する批判

ラムザイヤー教授は、欧米における「性奴隷話」へのこだわりが、事実を見えにくくしていると強く批判している。彼は、この「性奴隷話」が「性差別主義、人種差別主義、帝国主義」あるいは「男性優位主義、人種差別主義、国家主義」といったイデオロギー的な枠組みで語られがちであると指摘している。

そして、「軍が強制的に募集したという『話』は、単なる虚偽である」と断言している。その根拠として、以下の点を挙げている。

  • ありそうにもない(蓋然性が低い)

  • 文書としての証拠がない

  • いくつかの確証のない口頭の説明のみに基づいている

  • 金銭的・政治的利益のために話を変えた一部の証言に基づいている

  • 特定の左翼組織によって攻撃的に推進されている

  • 異議を唱える学者が犯罪者として起訴されるという異常な環境がある

つまり、ラムザイヤー教授は、「性奴隷説」が事実に基づかず、特定の政治的・イデオロギー的意図をもって流布されていると主張している。

元慰安婦の「語る権利」の剥奪

第2論文で特に重要だとされているのは、元慰安婦の人々から「穏やかに過去を思い出す機会=権利が奪われている」という点である。一部の慰安婦と軍人が共感し合ったり、時には恋に落ちたりしたという「別の話」が存在したにもかかわらず、それが語られる機会が奪われていると指摘している。

韓国人学者・朴裕河氏の言葉を引用し、「慰安婦たちは『日本により虐げられた犠牲者』であることのみを許されていた」とし、「日本の軍人を愛した」話や、「家族のために自ら納得して犠牲になった」という話が許されない状況にあったと述べてる。

慰安婦たちは、「性奴隷話」を何度も繰り返して語り注目を浴びていたが、別の人たちは別の話を語っていた。…一部の慰安婦と軍人は互いに共感と同情を抱いていた。…一部の慰安婦と軍人は時々恋に陥った。

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挺対協への批判

ラムザイヤー教授は、日本との論争の核心に横たわる組織として「挺対協」(「韓国挺身隊問題対策協議会」、現"正義連”)を厳しく批判している。挺対協が「作り物の民族主義者たちの歴史を操っている」とし、日本との和解を妨害することで北朝鮮の政治的最終目標を促進しているとまで指摘している。

さらに、挺対協が「慰安婦による公の場での証言を大幅に統制している」とし、自らに都合の良い「性奴隷話」を支持する慰安婦を選び、他の証言は脅して黙らせていると述べている。特に「ナヌムの家」という老人ホームを拠点に、挺対協が学者やレポーターが会う慰安婦や、慰安婦たちが話す内容をコントロールしていると具体的に言及している。

朴裕河氏の証言を引用し、「女性たちはこの場所に閉じ込められていて幸せではないと感じていた」とし、「日本の軍人と恋に落ちた思い出話を語った女性が、挺対協の命令に従うしかなかった」という衝撃的な内容も紹介している。 また、挺対協が1995年に日本からの賠償金を受け取った女性たちの名前と住所を新聞に晒したという、名誉毀損や個人情報漏洩にあたる行為があったことも指摘し、挺対協こそが「人権侵害」を行っていると強く非難している。


ラムザイヤー教授の第3論文:戦前日本の慰安所と契約の実態

第3論文は2020年に書かれ、その内容は大きな騒動に発展した。この論文は、基本的に第1論文の分析を基盤とし、朝鮮半島での売春の実態日本帝国外での慰安所(慰安婦)の実態をデータに基づいて詳述している。

朝鮮半島における売春の実態

朝鮮併合後の1916年、朝鮮総督府は売春のための統一認可システムを設定した。売春を許される年齢は日本本土よりも1歳低い17歳からで、定期的な医療検診が義務付けられた。

データによると、1929年までに朝鮮で認可を受け働いていた娼婦は、日本人と朝鮮人双方いた。日本人娼婦の接客数が朝鮮人娼婦よりも多かったこと、また、1回の花代も日本人娼婦の方が高額であったことから、日本人娼婦が好まれる傾向があったと分析されている。

年季奉公の前払金は、日本人が朝鮮で働く場合は高額であったが、朝鮮人が朝鮮で働く場合は日本人に比べて低額だった。しかし、契約期間は朝鮮人の方が短い3年契約が多かったとされている。

当時の朝鮮には売春に限らず「労働者募集のプロ」がおり、「昔から詐欺まがいの汚い手を使うことで有名だった」と指摘している。

当時の新聞記事には、チンピラが女性を売り飛ばしたり、いかがわしい夫婦が親を騙して女性を海外の売春宿に送ったりするケースがあったと書かれている。しかし、ラムザイヤー教授は、これらの行為は朝鮮総督府や日本政府、軍当局によるものではなく、朝鮮国内の募集業者が行っていたことであると強調している。

日本帝国外の軍周辺での売春宿=慰安所

なぜ慰安所が作られたのか?〜慰安所の定義

日本軍が慰安所を設置した背景には、日露戦争以来の性病問題があった。1918年のシベリア出兵時には、性病 (花柳病) が兵士の能力を著しく低下させる事態に陥っていたため、「どうせ売春宿に行くのであれば、より安全なところへ」という発想で慰安所が作られたと説明されている。 慰安所は「軍の厳しい衛生と避妊の管理方法に従うことに同意した売春宿」と定義(p226)され、性病予防が主な目的であったとされている。

慰安婦の契約

慰安所は海外に設置されるため、そこで働く売春婦は「すでに売春婦として働いているもの」でなければ旅券が降りなかった、つまり仕事内容を正確に把握している者が条件だったと指摘している。 また、慰安所は紛争地帯や爆撃の危険がある場所にあったため、契約期間は最長2年と、日本国内の6年に比べて短いものだったとされている。それに伴い、前払金も高額に設定されており、「短期間で高収入」という条件が提示されていたと説明している。

契約期間を満了すれば

契約期間が終わるか、前払金を返し終えれば、慰安婦たちは故郷に帰ったと述べられている。朝鮮人慰安婦の中には大金を稼ぎ、預金したり、故郷に送金して家族に家を建てたり、宝石を買ったり、貯めたお金で自分で売春宿を経営したりする成功例も存在したと具体的に挙げられている。

第3論文の結論

ラムザイヤー教授の第3論文の結論は、慰安所が日本軍の性病防止のために設置された「認可された売春宿」であり、慰安婦の契約は基本的に日本国内の売春婦の年季奉公に準じていたというものである。特に、前払金が高額で契約期間が短いという特徴は、慰安婦がリスクに応じた報酬を得ていたことを示唆すると主張している。

朝鮮人慰安婦の中には経済的に成功した人々もおり、経済的な統計から見ると、彼女たちが「だまされてばかりの可哀想な人たち」というわけではなかったと結論付けている。売春業者と慰安婦の間で、前払金という収入の保証と、働きに応じた契約期間短縮というインセンティブが、両者にとって合理的なシステムとして機能していたという見方を示している。


反発・批判

『マーク・ラムザイヤー教授はハーバード大学ロースクールの「三菱日本法学教授」だ。第2次大戦当時、朝鮮人を動員して強制労働させた戦犯企業三菱が寄付した100万ドルで作られたポストだ=ニュース画面//ハンギョレ新聞社』

ラムザイヤー教授の慰安婦に関する論文は、発表以来、国内外の多くの学者や専門家から様々な批判を受けてきた。活動家からの感情的な批判だけでなく、学術的な見地からの批判も多数存在した。

主な批判点と、それを主張する学者たちの見解を以下にまとめる。

1. 史料の解釈と利用に関する批判

  • 史料の選択的利用・歪曲の指摘: 批判する学者たちは、ラムザイヤー教授が自身の主張に都合の良い史料のみを選び、あるいは史料の一部を文脈を無視して引用することで、事実を歪曲していると指摘している。例えば、「日本の『慰安婦』研究の第一人者」とされる吉見義明教授(中央大学名誉教授)は、ラムザイヤー論文について「でっち上げも含まれる」「証拠提示一つもない。学術論文として認めることは難しい」と厳しく批判している。(参照:ハンギョレ新聞の記事など)

  • 先行研究の無視: ラムザイヤー教授の論文が、これまで積み重ねられてきた慰安婦問題に関する歴史学社会史学ジェンダー研究などの先行研究を十分に踏まえていない、あるいは意図的に無視しているという批判がある。特に、慰安婦の募集過程における強制性や、女性たちの置かれた状況の複雑さを示す研究が多数存在することを指摘し、それらを考慮せずに契約の「合理性」のみを強調することに問題があるとされている。

  • 朝鮮語史料の欠如: 論文において、朝鮮人慰安婦に関する朝鮮語の一次史料が十分に参照されていない、あるいは全く参照されていないという批判も上がっている。

2. 慰安婦の「性奴隷」制を否定することへの批判

  • 「性奴隷」定義の論争: 慰安婦が法的には「売春婦」として契約していた側面があったとしても、その実態が自由な意思に基づくものではなく、貧困や欺瞞、暴力によって売買・管理されていたとすれば、それは実質的に「性奴隷」と見なすべきだという主張がある。学者たちは、ゲーム理論のような経済学的手法で契約の「合理性」を論じることは、人権侵害という本質的な問題を看過するものだと批判している。

  • 女性の人権と尊厳の軽視: 慰安婦を単なる経済合理性に基づいた契約関係として捉えることは、戦争下における女性の脆弱な立場や、性暴力の被害者としての側面を軽視し、彼女たちの人権と尊厳を著しく損なうものだという批判が根強くある。

3. ゲーム理論適用の適切性に関する批判

  • 理論の単純化・適用範囲の限界: ゲーム理論を当時の慰安婦制度に適用すること自体への疑問も呈されている。学者たちは、当時の社会状況(貧困、戦時下の特殊性、家父長制など)や、情報の非対称性、力関係の不均衡といった複雑な要素を、ゲーム理論の単純なモデルで捉えることには限界があると考えている。特に、当事者である女性たちが「合理的」な選択をできる状況にあったのかという点について、疑問が投げかけられた。

  • 非自発的契約の考慮不足: 強制性や欺瞞が介在した場合、それが形式的には契約であっても、実質的な合意はなかったと見なされるべきであり、その点をゲーム理論の枠組みでは十分に捉えきれていないという批判がある。

4. 学問的責任とキャンセルカルチャーに関する議論

  • 学術的誠実性への疑問: 上記の史料解釈や理論適用の問題点から、ラムザイヤー教授の論文は学術論文として「学問的真実性」を欠いていると指摘する声が多く上がった。ハーバード大学内の歴史学教授らも、この論文が「最悪な学問的真実性違反」にあたると酷評し、「歴史的根拠がない」と声明を出した。

  • 「キャンセルカルチャー」論への反論: ラムザイヤー教授側は、批判を「キャンセルカルチャー」や「言論弾圧」と位置づけたが、批判者側は、学術論文に対する批判は「学問の自由」の範疇であり、内容の不備や誤りを指摘することは正当な学術的議論であると反論している。

具体的な学者・機関の動き

  • ハーバード大学ライシャワー日本研究所の声明: ハーバード大学内の日本研究者からも、ラムザイヤー教授の論文について「その学問的根拠に対して、ハーバード大学の日本研究者の間でも深刻な懸念が表明されている」という声明が出した。

  • 著名な歴史学者たちの声明: 日本史・韓国史の専門家を含む多くの歴史学者たちが、ラムザイヤー論文の掲載撤回を求める共同声明を発表しました。ノーベル賞受賞者を含む経済学者の一部からも、論文の内容に対する懸念が表明された。

  • 学術誌の対応: 論文が掲載された学術誌『インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス』(IRLE)は、論文に対する「懸念の表明」(Expression of Concern)を公表した。これは、論文の内容に疑義があることを学術誌側が認めたことを意味する。

これらの批判は、ラムザイヤー教授の論文が慰安婦問題という複雑な歴史的・人権的問題を扱う上で、その手法や結論が適切であったのか、また学術的基準を満たしていたのかという点について、学術界内で大きな論争を巻き起こしたことを示している。

吉見義明教授からの批判

吉見義明教授は、日本軍「慰安婦」問題研究の第一人者として知られており、ラムザイヤー教授の論文に対して、その発表直後から最も強く、かつ学術的な根拠に基づいた批判を展開してきた一人である。二人の間の論争は、慰安婦問題に関する歴史認識の根本的な対立を象徴するものとなった。

吉見義明教授の立場と研究

吉見教授は、1992年に日本軍が慰安所の設置や運営に深く関与していたことを示す公文書(防衛庁防衛研修所戦史室所蔵の「陸軍省業務日誌」など)を初めて発見したことで知られている。この発見は、日本政府が「河野談話」(1993年)で慰安婦の動員における軍の関与を認め、謝罪する上で大きな影響を与えた。吉見教授の研究は、日本軍が慰安婦制度の立ち上げに指示・命令を与え、その管理に関与していたことを多数の史料に基づいて示しており、慰安婦を「性奴隷」と位置づける見解を支持している。(⇒李承晩TVからの吉見教授への徹底批判参照!)

ラムザイヤー論文への批判の核心

吉見教授は、ラムザイヤー教授の論文『太平洋戦争における性行為契約(Contracting for Sex in the Pacific War)』に対して、主に以下の点で厳しく批判している。

  1. 史料の選択的利用と歪曲、捏造の指摘:

    • 吉見教授は、ラムザイヤー論文が自身の主張に都合の良い史料のみを恣意的に選択し、他の膨大な史料を無視していると指摘した。

    • さらに、論文が提示しているとされる「証拠」の中には、吉見教授自身が「でっち上げも含まれる」「証拠提示一つもない」と断じるほど、事実関係に誤りや不正確な引用、あるいは捏造が含まれていると批判した。例えば、特定の慰安婦の経済状況に関する記述が、原文の文脈を無視している、あるいは数字の根拠が不明瞭であるといった点が指摘されている。

    • 「慰安婦が契約の主体であった」というラムザイヤー教授の主張に対して、当時の契約の実態が、一般的な自由な契約ではなく、「女性の奴隷的拘束を引き起こす『犯罪的人身売買契約』という側面を無視していると批判している。

  2. 「契約書」の不在と強制性の問題:

    • ラムザイヤー教授の論文が「慰安婦の契約」を論じているにもかかわらず、実際に慰安婦と業者との間で交わされた「契約書」を一枚も提示したり検討したりしていないことを厳しく批判した。

    • 吉見教授は、当時の慰安婦の多くは、形式的な契約すら存在しないまま、軍や業者によって略取、誘拐、あるいは欺瞞によって慰安所に拘束されたと主張している。契約があったとされる日本人女性や一部の朝鮮人女性についても、その契約は自由意思に基づくものではなく、極度の貧困や家族の債務を理由とした人身売買の一種であったことを強調した。

    • また、たとえ契約期間が終わったり、借金を完済したりした場合でも、「数えきれないほど多くの女性が帰国できなかった」という事実があることを指摘し、ラムザイヤー教授の主張する「自由な契約関係」とはかけ離れた実態があったと反論している。

  3. 先行研究の無視と学術的誠実性の欠如:

    • 吉見教授は、ラムザイヤー論文が、自身をはじめとする慰安婦問題に関する歴史学、社会史学、ジェンダー研究などの膨大な先行研究を意図的に無視していると批判した。これらの先行研究は、慰安婦制度における軍の関与強制性人権侵害の実態を多角的に検証してきたものである。

    • 吉見教授は、ラムザイヤー論文は「基本的な学術論文の要件も備えていない」「学術論文と認めることは難しい」と評価し、その学問的誠実性(academic integrity)の欠如を問題視した。これは、単なる意見の相違ではなく、学術研究として最低限守られるべき規範からの逸脱であるという認識を示した。

  4. 「公娼制度と慰安婦制度の混同」への反論:

    • ラムザイヤー論文が慰安婦制度を公娼制度と同様に扱っていることに対し、吉見教授は、慰安婦制度は公娼制度とは異なり、日本軍が主体となって設置・管理し、軍の指示・命令によって女性たちが動員されたという点で特殊性があると強調した。

論争の展開と影響

吉見教授は、ラムザイヤー論文の発表後、日本の主要な歴史学研究団体(歴史学研究会、日本史研究会など)や市民団体と連携し、オンラインセミナーなどを開催してラムザイヤー論文の問題点を指摘した。吉見教授によるラムザイヤー論文への反論(英文)もSSRN(Social Science Research Network)などで公開されている。

この論争は、日韓だけでなく、アメリカやその他の国々にも広がり、ハーバード大学内の歴史学者や経済学者からもラムザイヤー論文への懸念が表明され、掲載誌である『インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス』も「懸念の表明」を公表する事態に至った。

吉見教授とラムザイヤー教授の論争は、単なる歴史解釈の違いにとどまらず、史料の厳密な検証、学術的誠実性、そして人権問題に対する学者の責任といった、より広範な学問のあり方をめぐる重要な議論として位置づけられている。

ラムザイヤー教授の第4論文:「太平洋戦争中の性役務契約」:私の論文の批判者に対する返答

J.マーク・ラムザイヤー教授の2022年の論文「太平洋戦争中の性役務契約:私の論文の批判者に対する返答: -寝言は寝て言え!」は、彼の2020年の論文「太平洋戦争における性サービスの契約」に対する広範な批判、特に学術界からの批判に反論するために書かれた。この「論破」の部分では、彼は自身の主張の正当性を再確認し、批判者たちの論点に具体的に反駁している。

ラムザイヤー教授が批判者に対して展開した主な反論は以下の通り。

1) 「契約書」の不在に関する批判への反論

  • 批判者、特に吉見義明教授らが、彼が実際の慰安婦の「契約書」を提示していない点を問題視したことに対し、ラムザイヤー教授は、「私は実際に契約のデータセットを持っているとは主張していない」と反論している。彼は、戦時下においてほとんどの契約書が残存していないことは当然であり、自身の論文は政府文書、戦時中の回想録、新聞広告、慰安所帳簿の要約などの既存の資料から契約条件に関する情報を導き出していると説明した。彼の主張は、紙の契約書がないからといって、その契約関係が存在しなかったことにはならない、というものだ。

2) 歴史的証拠の解釈と「常識」に基づく主張

  • 批判者が提示する歴史的証拠や、女性たちの非自発的な動員に関する証言に対し、ラムザイヤー教授は、自身の「常識的」な推測に基づき、それらの証拠を退ける姿勢を示した。彼は、例えば、慰安婦が高額な前払い金を受け取り、期間を定めた契約を結んでいたという点を強調し、これは経済的に合理的なインセンティブに基づいていたと再主張した。

  • また、一部の女性が欺されたり虐待を受けたりしたという批判については、彼自身が元の論文でその点に言及していると述べ、批判者たちが彼自身の主張をまるで新しい発見であるかのように提示していると指摘した。彼の核心的な問いは、なぜ業者が高額な前払い金を支払い、なぜ女性たちの労働期間を契約メカニズムが決定したのか、という点にあり、批判者の多くがこの中心的な問いを無視していると主張している。

3) 学術的合意(コンセンサス)と「言論の自由」に関する反論

  • ラムザイヤー教授は、慰安婦問題に関して「性奴隷説」が学術的な「コンセンサス」であるという主張に対してその「合意」は、彼のような異なる見解を表明する学者に対する「敵意」や「封殺」によって形成されているに過ぎないと強く反論している。彼は、学術界における「言論の自由」が、特定の歴史観や政治的立場によって阻害されていると訴えた。

  • 彼は、批判者たちが自身の論文撤回を求める活動を行ったことに対し、学術的議論は「論文の内容に対する批判を、著者とは異なる独立した論文として査読を経て発表すること」であるべきだと主張し、多数の力で論文を撤回させようとする試みは学問の発展を阻害するものだと批判した。

4)「性奴隷」の定義とゲーム理論の適用

  • ラムザイヤー教授は、自身の論文が「性奴隷」の概念を否定するものではなく契約関係における「信用できるコミットメント」というゲーム理論の原則を適用することで、慰安婦制度の経済的側面を分析しようとしたと説明している。彼は、形式的な契約の有無だけでなく、当時の社会経済状況下でのインセンティブ構造を理解することが重要であると主張した。

ラムザイヤー教授は、これらの反論を通じて、自身の論文が学術的に厳密であり、批判者たちの主張は誤解や偏見に基づいていると主張した。

徹底反論

西岡力:慰安婦問題に関するラムザイヤー教授論文撤回を求める経済学者声明の事実関係の誤りについて

  1. 「10歳の日本人少女が自発的に売春業に就くことに同意した」という批判への反論

    • 声明の主張: 経済学者声明は、ラムザイヤー教授の論文が、10歳の日本人少女が自発的に売春業に同意したと記述していると批判した。これは非常に衝撃的な主張に聞こえる。

    • 記事の反論: 記事は、これは明治期の「からゆきさん」と呼ばれる歴史的事実の記述であり、論文がその事実をそのまま記述しているだけで、価値判断を加えているわけではないと反論。「からゆきさん」は、明治時代に貧困のために海外に渡り、売春に従事した日本人女性のことであり、その中には幼い少女もいたという歴史的背景がある。記事は、論文がこの歴史的事実を客観的に述べたに過ぎないと主張している。

  2. 「慰安婦は性奴隷だ」という記述への反論

    • 声明の主張: 経済学者声明は、慰安婦を「性奴隷」だと断定した。

    • 記事の反論: 記事は、慰安婦が「性奴隷」であったという見方は、学界の一つの説に過ぎないと指摘。実際には、慰安婦を「公娼(合法的な売春婦)」とみなす説を唱える学者も多数存在すると述べている。さらに、日本政府も「性奴隷」という表現は「事実に反する」として否定していることを強調。これは、慰安婦の定義や実態について、学術的・政治的に見解が分かれていることを示している。

  3. 慰安婦の年齢に関する批判への反論

    • 声明の主張: 経済学者声明は、慰安婦の年齢を「11歳から20歳まで」と述べていると批判。

    • 記事の反論: 記事は、当時の公娼制度の下では、売春業に従事できる年齢は17歳以上という年齢制限があったと反論している。そのため、11歳の慰安婦が存在したことを示す確かな証拠はないと主張。これは、声明が提示した年齢情報が、当時の制度や事実と異なる可能性を指摘するものだ。

  4. 「軍による強制連行」という主張への反論

    • 声明の主張: 経済学者声明は、日本軍が慰安婦を強制連行したと主張した。

    • 記事の反論: 記事は、朝鮮人慰安婦は主に業者に連れられて移動したと述べている。軍の艦船に乗ったとしても、それは軍が輸送の便宜を図ったという次元であり、憲兵が監視して強制的に連行したものではないと主張。また、日本政府も官憲(軍や政府機関)による組織的な強制連行を否定していることを改めて強調している。これは、慰安婦の移動や募集に軍が関与したとしても、それが「強制的な拉致」を意味するものではないという立場を明確にしている。

  5. 慰安所での慰安婦の生活に関する批判への反論

    • 声明の主張: 経済学者声明は、慰安所でレイプや拷問が繰り返されていたと描写した。

    • 記事の反論: 記事は、軍が管理する慰安所では、業者の搾取や慰安婦への迫害は許されなかったと反論。実際には、早期に前借金を返済し、多額の資金を貯めて帰国する者もいたと主張しており、これが慰安所での生活が常に非人道的であったという見方を否定する根拠としている。


まとめ

このHARCの記事は、ラムザイヤー教授の慰安婦論文に対する批判、特に経済学者声明が提起した点に対し、歴史的事実の文脈や当時の制度、日本政府の見解を基に反論を試みている。記事の目的は、慰安婦問題に関する議論が、特定の政治的・感情的な視点によって事実が歪められている可能性があることを指摘し、より客観的で実証的な議論を促すことにあると言えるだろう。

李承晩TV・朱益鐘氏からの吉見教授への徹底批判


参考情報

特記:"慰安婦=性奴隷"でも、"慰安婦=単なる売春婦"でもない、「慰安婦」である限り!

慰安婦論1)慰安婦問題に関する日本国政府の公式見解の韓国語への試訳
慰安婦論2) いわゆる「河野談話」への曲解を正す
慰安婦論3)談話後の記者会見でも河野は…
慰安婦論4)河野談話・英文テキストの分析
慰安婦論5)日本警察による朝鮮人悪徳業者検挙の新聞記事
慰安婦論6):慰安所設置の目的
慰安婦論7):慰安婦の証言の信憑性〜イ・ヨンス
慰安婦論8):慰安婦の証言の信憑性〜キル・ウォノク
慰安婦論9):兵隊やくざと慰安婦
慰安婦10) 慰安婦は性奴隷だったのか?
慰安婦論11) 賃労働と奴隷労働
慰安婦論12) 日本軍慰安所朝鮮人管理人の日記
慰安婦論13) 朴裕河・『帝国の慰安婦』著者のスタンス
慰安婦論14):李栄薫・『反日種族主義』編著者の歴史実証研究
慰安婦論15):朝鮮における妓生と公娼制度の導入
慰安婦論16):公娼制度の歴史と遊郭文化
慰安婦論17):公娼制度・慰安婦制度と女衒の手口
慰安婦論18):藤目ゆき・『性の歴史学』著者の学術研究と国際的支援活動
慰安婦論19):千田夏光・『従軍慰安婦』著者の功罪と"慰安婦問題"
慰安婦論21):C・サラ・ソー『慰安婦問題論』〜タイトル詐欺!?
慰安婦論22):倉橋正直・従軍慰安婦の売春婦型と性的奴隷型の2類型論
慰安婦論23):小野沢あかね・公娼制の民衆史・国際関係史と日本人慰安婦
慰安婦論24):吉見義明の強制連行論
慰安婦論25):ネット上に流布するコピペに対するAI評価+二日市保養所
慰安婦論26)慰安婦関連公文書の解釈論争
慰安婦論27):有村治子議員の慰安婦問題啓蒙政治活動と河野談話曲解
慰安婦論28):辻元清美議員・慰安婦問題国会質問
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慰安婦論31):オーラルヒストリー、元慰安婦らの証言と元兵士らの証言
慰安婦論32)日本共産党・従軍慰安婦強制論へのAI反論
慰安婦論33):貧困⇒女衒⇒娼婦
慰安婦論34):文玉珠、慰安婦は高給売春婦だった!?
慰安婦論35):AI女衒・遊郭・売春・立ちんぼ考

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