その怨み、晴らします……第0話
あらすじ
霊が見える青年、河東功佑。
彼はとある行為に自身の人生を賭けていた。
それは怨みを持ったまま命を落とした人の魂を救うこと。残されたわだかまりを解消し、成仏へと導く……その期限は四十九日……
そして彼の周りにはこの世に未練を残したまま成仏出来ない三人の霊が……
主君の姫を守りきれぬまま惨殺された落ち武者。
最愛のクズ男に浮気されたまま、交通事故で命を落としたキャリアウーマン。
失踪した娘の行方を追う元ヤクザの親分。
三人は自らの過去を精算するべく、功祐と共に不遇に見舞われた哀しき霊たちの救援に励む。
しかしそんな彼らを差し置いて、世界は大変な事態に!
プロローグ
「一体、何なんだ! なんでこんな事になったんだ……」
男はドアを背にし、身体を震わせながらこの状況への答えを求めた。
こんな事になるなら、あいつの誘いなど無視すればよかった。
後悔しても後の祭り。
事の発端は直属の部下である女子社員から届いた、意味深なメッセージからだった。
『明日の二十三時、会議室で待っています』
その言葉を真に受けた男はその日の終業後、のこのこと職場へと舞い戻った。
しかし、そこで彼を待っていたのは……
「ぎゃあああ!」
背後から野太い叫び声が轟き、同時に激しい破裂音が男の鼓膜を貫く。
その耳鳴りを経て、男がその音の方へ眼を向けると……
事務所と仕切られていたガラスパーテーションは突き破られ、床には飛び散った破片と一緒に、何かの黒い塊があった。そしてその塊は男の方へと転がってくる。
男はその塊に目を凝らすと息を飲んだ。
『……』
それは頭……否、生首……しかも綺麗に剃りこまれた頭頂、その両脇から無造作に垂れ下がる髪……まさに血まみれになった落ち武者の生首……
それは一旦止まると、男を見詰めてにやりと微笑んだ。と同時に、落ち武者の目と男の目が重なり合う。その途端、金縛りに遭ったかのように、男の身体は動かなくなった。
『どういう事なんだ? なぜ私がこんな目に遭わなければならない?』
男は動かない顔を恐怖に歪ませながら、心の中でそう叫んだ。
しかしその問いは虚しく、彼の頭の中に響くだけ。
その答えを知った時、男はきっと激しい後悔と、そして絶望を味わう事となるだろう。
そう、こうなるに至ったのは、確たる理由があったからだ。
