宇宙叙事詩の科学ノート 第26回 生命の進化 Ⅲ 生命はどのように“ひとつ”になったのか ─ 多細胞生物の誕生
📚 関連作品 『知性の叙事詩』本編👇
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🌐 第3章 まとまるもの 第3節・第4節(6月6日公開)
本稿の位置づけ
『知性の叙事詩 第2章 重なり合うもの』では、
👉 異なる生命が関係を持ち始める段階
を描いた。
そこでは、
・共生
・協調
・相互作用
が成立していたが、
👉 まだ生命は“独立した個”だった。
本稿で扱う『知性の叙事詩 第3章 まとまるもの』では、
👉 関係そのものが分離不能になる
という、生命史最大級の転換が起きる。
それが、
👉 多細胞生物の誕生
である。
多細胞化とは何か
多細胞化とは単に、
👉 細胞数が増えること
ではない。
重要なのは、
👉 細胞同士が離れられなくなること
である。
単なる群体との違い
例えば細菌にも、
👉 コロニー
👉 バイオフィルム
のような集団は存在する。
しかしそれらは基本的に、
👉 各細胞が独立して生存可能
である。
一方、多細胞生物では、
👉 一部だけでは生きられない。
つまり、
👉 「個体」
が成立する。
なぜ難しかったのか
ここで巨大な問題がある。
細胞が集まると、
👉 内部競争
が始まる。
例えば
・より多く増殖したい
・栄養を独占したい
・役割を拒否したい
細胞ごとに、
こうした方向へ進む可能性がある。
つまり多細胞化には、
👉 “自己抑制”
が必要になる。
癌との関係
実は現在の癌細胞は、
👉 多細胞協調を拒否した細胞
とも言える。
つまり多細胞生物とは、
👉 細胞が勝手に振る舞わないことで成立している。
必要だったもの
多細胞化には、
👉 単なる接着
以上のものが必要だった。
必要条件
・細胞接着
・役割分担
・情報伝達
・増殖制御
・不要細胞除去
・内部環境維持
つまり、
👉 「統合システム」
が必要になる。
エネルギー問題
ここでも重要なのが、
👉 ミトコンドリア
である。
多細胞化では、
・細胞間通信
・輸送
・維持
・修復
など、
👉 莫大なATP
を消費する。
つまり、
👉 高エネルギー生命
でなければ成立しにくい。
活性酸素問題
しかし高エネルギー化すると、
👉 活性酸素(ROS)
も増加する。
つまり多細胞生命は、
👉 壊れやすさ
も同時に抱える。
「内と外」の成立
『知性の叙事詩 第3章』で重要なのは、
👉 「境界」
である。
多細胞化によって、
👉 外界
と
👉 内部環境
が明確に分かれ始める。
すると何が起きるか
細胞は、
👉 外界へ直接触れなくなる。
代わりに、
👉 個体内部
という新しい環境へ組み込まれる。
つまり生命は、
👉 「世界の中の生命」
から、
👉 「内部世界を持つ生命」
へ変化した。
分業の始まり
多細胞化で最も重要なのは、
👉 全細胞が同じ役割をしなくなった
ことである。
例えば
・動く細胞
・支える細胞
・運ぶ細胞
・感じる細胞
など、
👉 機能分化
が始まる。
これは後の、
・筋肉
・神経
・血管
・感覚器
へつながる。
「ひとつ」とは何か
ここで生命史は、
極めて奇妙な段階へ入る。
多細胞生物では、
👉 一つの細胞が死んでも個体は続く。
つまり、
👉 「生命の単位」
が変わる。
以前
細胞 = 個体
多細胞後
個体 > 細胞
つまり、
👉 “ひとつ”
の意味そのものが変化した。
なぜ生命史最大級なのか
生命誕生も、
ミトコンドリア共生も巨大な出来事だった。
しかし多細胞化では、
👉 「独立生命」
そのものが終わる。
細胞は、
👉 単独存在
ではなく、
👉 全体の一部
になる。
宇宙叙事詩との関係
『知性の叙事詩 第3章 まとまるもの』では、
・離れないもの
・保たれるかたち
・内と外
・ひとつになる
という流れで、
👉 “個体”の成立
を描いている。
これは単なる大型化ではない。
👉 「関係が構造になる」
という出来事である。
最初の多細胞生物はどんな姿だったのか
ここで一つ興味深い問題がある。
実は、
👉 最初の多細胞生物がどのような姿をしていたのか
は、現在でもよく分かっていない。
ミトコンドリア共生によって誕生した最初の真核細胞については、
・現生の原生生物
・ミトコンドリア
・葉緑体
など多くの痕跡が残されている。
そのため研究者は比較的具体的な姿を想像できる。
しかし多細胞化では事情が異なる。
最初の多細胞生物は、
・非常に小さい
・柔らかい
・骨格を持たない
・器官を持たない
と考えられており、
化石として残りにくい。
その結果、
👉 「どのように多細胞化したのか」
以上に、
👉 「何が誕生したのか」
その姿そのものが大きな謎として残されている。
海綿動物は有力な手掛かりの一つだが、
現在の海綿動物も数億年の進化を経ている。
つまり、
👉 海綿動物 = 最初の多細胞生物
ではない。
私たちが見ているのは、
最初の多細胞生物そのものではなく、
その遠い子孫である。
多細胞化は生命史最大級の飛躍でありながら、
その主人公の姿は今なお霧の中にある。
本稿のまとめ
多細胞化とは、
👉 細胞が増えたこと
ではない。
それは、
👉 細胞同士が分離不能になり、
👉 一つの内部世界を共有し始めたこと
である。
生命は、
👉 単独で強くなったのではない。
👉 他者と結びつき、自らを制限することで、“ひとつ”になった。
そしてその瞬間、
👉 宇宙は初めて、“内部を持つ生命”を手に入れた。
📓 宇宙叙事詩の科学ノート👇
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🌐 第24回 生命の進化 I ― 単細胞はどのように分かれたのか
🌐 第25回 生命の進化 II ― 生命はどのように重なり始めたのか
🌐 第26回 生命の進化 Ⅲ 生命はどのように“ひとつ”になったのか ─ 多細胞生物の誕生(本作)
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