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インディフィニト・ノート 1話

あらすじ

 2024年の新年度式、安藤の昇進が発表されて新人の(天海ミサ)
歓迎会が取り行われる事となる。連続殺人鬼の記事やテレビの報道が過
熱していく過程で犯人探しを進める社員が出てくる。そして犯人に辿り
着いて予期せぬ出来事が起こり、ミサが、もう終わりとなって死を受け
入れた時に何故か平行世界⁉へと飛ばされ、曖昧な『セフレ以上、恋人
未満』の関係がスタートする。

           1話<1~5P>

 年が明けて出社すると慌ただしく新年度式が始まった。本格的な業務は
無いため、有給休暇を取得している正社員やパートも少なくなかった。い
つも時間ギリギリに来ているパートや派遣社員でさえも悪目立ちしたくな
いのか余裕をもって席に着いているが連続殺人の噂話で持ち切りだった。

 社長の挨拶から始まり、表彰式が終わると結構な時間が過ぎたのかパイ
プ椅子に座っていた尻が痛くなったと思われる動作が目立つ。
 瞬間的に腰を浮かしている訳だが位置調整を計った結論として、前側に
座るパターンと背もたれに預けて深く座るパターンに分かれた。安藤は、
後者を選び、痛みを軽減する行動を終えると今日の夕食の事を考えていた。
(長い間、オムライスを食べてない気がする……)

 ここ最近の主流は、ふわとろのオムライスだ。包丁で真ん中から綺麗に
切れ目を入れると中から、とろとろな半熟卵が現れるのだが仕上げにデミ
グラスソースやホワイトソースをかけるのが定番みたいだ。

     1

 しばらくして人事異動や昇進の発表が始まっていた事に気付く。対象者
である安藤も一応、事前に聞かされていたので普段のヨレヨレのスーツで
ななく、新調したスーツで望む事が出来ていた。この心配りには、正直、
ありがたいと思っていた。ネクタイも新調しており、普段はシングルノッ
トで結んでいるが、この日は珍しく結び目を強調できるダブルノットで、
対応する。
 スーツの色は落ち着きのあるグレイでネクタイは、ブルーのストライプ
を店員さんに薦められて即決していたのだ。

 ここだけの話、お洒落とは無縁で生きてきたのでセンスはなく、私服が
ダサいと言われた過去があり、それ以来、店員に全てお任せだった。得意
な人が得意な事を実行するべきであるという考えが仕事にも如実に現れる
結果となって現在に至る。

「営業1課、安藤拓真殿。本日付けより、課長とする」
「丁重にお受けします!」

     2

 安藤は新年度式が終わると寄り道せずに、自分の部署へと移動し新たな
デスクに座った。新しいリクライニングチェアーの座り心地は悪くなかっ
たが書類の山でネームプレートがギリギリ置けるスペースしかなかったの
で当初予定していた荷物の引っ越しは後回しにして書類に判子を押す作業
に没頭していた。
 本当なら年明けの初日からの業務は各自の判断に任せるという放任バス
ケを思わせる、変わった社風だったのだが明日からの業務の量を少しでも
減らすべく昼休憩のチャイムが鳴るまで誰とも話す事はなかった。

 流石に休憩なしで書類に目を通す作業だけを続けていたので目の奥と肩
が凝っていた。今年で34歳になるんだ。20代みたいにはいかないか。

「安藤課長、今日の19時から昇進祝い&新人の歓迎会がありますので、
いつもの居酒屋に忘れずに参加して下さいね!」
「俺は別に祝いなんて必要ないんだが……」
 自分が祝われる事に慣れない性格なので、ついつい歯切れが悪くなって
しまう。
 
     3   

 安藤は部下の香田真弓に言われた事を思い出していた。流石に、新人の
歓迎会で部署のトップである上司が居ないのはマズイだろうと結論付けて
参加する事を決めた。資料に目を通す作業に集中しすぎたのか人事課から
渡された今年から営業1課に配属となった人の履歴書に目を通すのを完全
に忘れていた。

 噂ではコネ入社ではないかという事までは耳に入っていたが正直、年齢
も性別も分からない状態なので不安しかなかった。コネだろうが何だろう
が使うこと自体に対して否定する考えはなかった。むしろ持ってるのに、
プライドが邪魔して使わない方がナンセンスなんじゃないかなとも思う現
実主義でもあった。

 プライドだけでは飯は食えないとも思っている。ここまでに部下の仕事
の失敗をフォローする為に何度も取引き先に出向き、人目もはばからず。
土下座で解決できるならと、プライドは心の奥底にしまい込んで迅速に、
対応してきた。

     4

 本社の中でもクレーム対応の解決スピードは群を抜いてきたと自他とも
に認めるところだった。休憩室で自分のマグカップでカフェオレでも飲も
うかとも思ったが洗うのが面倒なので紙コップではあるが自販機のブラッ
クコーヒーをセレクトして休憩についた。

「何か忘れてるような……」
 コーヒー豆の香りを嗅ぎながら目をつむり、少しずつ口に含むと頭の中
を整理するルーティーンに入る。香田から事前に渡されていた飲み会の参
加者のリストを頭の中で思い浮かべる。

 実は暗算は、大の苦手(電卓派)だが人物、キャラクターの名前や名称
だけは、一度見ただけで瞬時に記憶できる特技がある。と言っても容量は
限られてるから一度に30人までが限界なのだが仕事面でも大いに役立っ
ていた。名刺交換の時も相手の名前を間違えるという事がないので、机に
置かずに会話に集中する事が出来ていた。

     5

*新年度式=日本においては4月から新年度とされており、企業によって
前後はするものの、春の季節に行われるのが一般的。

*インディフィニト=無期限、不確定。曖昧さや不確定な事。

          1話<1~5P>

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昌人っち(五十嵐 昌人) 父親(ドラクエマニア)から譲り受けた変速自転車(損傷)の部品交換代&おやつ代に当てたいと思います✨ あなたの応援が力になります! 

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