インディフィニト・ノート 40話
<前話までのあらすじ>
試合が終わって喉が渇いた鶴居の為に山里の提案でキンキンに冷えた新しいスポーツ飲料のペットボトルが存在する事が分かった。島谷が確実にキャッチできるようにリングに向かって投げて黒崎が受け取った。水分補給した鶴居は完全回復する。その後、色々あって最後はお互いの健闘を讃え合って解散した。
1話は<1~5P>こちらから
39話は<191~195P>こちらから
40話<196~200P>
安藤は、応接室のソファーから目覚めた。随分、仮眠していた気もするが正確な時間は、後で確認するとして、お香の匂いが充満していた事に気付いた。ウチの部署には花好きは居たが、お香を焚いて業務をする人物は思い浮かばなかった。
一通り部屋を見渡してみたが、それらしき物は見付からなかった。アロマキャンドルが置いてあれば今夜の飲み会で女性社員に紹介して貰おうかなと思ったくらいに臭い事態に抵抗は感じられ無かった。以前も同じ臭いに接しているような気もしたが確信出来る程でもなかった。
若干、頭が痛いレベルだが無意識で、お香を吸い過ぎた影響もある気がして特に不審に感じる事は無かった。特に業務が沢山あった訳ではなかったので日頃の疲れが溜っていて緩和と共に表に出てしまったのかと落とし所を見付けていた。
失敗してもズルズルと引きずったり悩む性格では無いので、部屋を後にした。タイムカードを推した時に休職中の上司が何故か出勤棚へ移動しているのが気になった。
196
新人の歓迎会&昇進祝いの会場である創作料理を提供している若者受けの良いであろう居酒屋の店内に入って社名を言って受付を済ませると、どうやら最後の一人だったみたいで待っていた香田真弓から、せっつかれて席に、案内された。
開始5分前で最後だとは思わなかったので動揺しそうになった安藤だが、
新人の手前、余裕のフリをして席に座ると神永の同期の城田が乾杯の挨拶を始めた。
「皆様、グラスを取って、ご起立して下さい」
全員が席を立つのを確認すると城田は事前に用意してあっただろう言葉を述べていく。
「この度は、営業一課に配属となった新しい仲間の天海ミサちゃんと課長に昇進になった安藤拓真課長の歓迎会と昇進祝いも兼ねております。無礼講で構いませんが御店に迷惑が掛からない程度に楽しんで下さい。乾杯っ!」
ウチの部署は、気取らない人間が多く長々と講釈を垂れる部下も居ないので、そこは割と気軽に参加する事が出来ていた。
197
安藤が、ほろ酔い程度になる頃には新人との会話を全員が済ませており、酒の弱い城田がダル絡みをしている様子が見て取れた。本来なら上司である自分が真っ先に止めに行くべきだろうがライバルが多いみたいで、言い争いが、こっちまで聞こえてきていた。
やれ、好きな男性のタイプは誰だの実家暮らしかどうかの確認だったり、好きな食べ物や趣味、休日の過ごし方の話まで出ていた。ここは合コン会場じゃないぞと忠告したかったが城田が無礼講と言った手前、前のめりに行動する訳にも行かなかった。
それに本来の目的を遂行すべく、トイレからの帰りに、さりげなく真弓の隣に座って話を始めた。
「そういえば、いつも参加している神永君を今日は見掛けないが何か聞いてるかな?」
「あぁ、神永主任ですか。確か今日は急用が出来たから参加できないかもしれないから、欠席にしといて欲しいと言われました」
スラスラと答える真弓。
198
「それだけ!?」
拍子抜けするような理由なので一瞬、大声を出してしまう安藤。それに対して肩をビクつかせながら記憶を辿るように目をつむった。
「あっ急用が片付いて間に合いそうなら途中参加もありえるかもしれないと言ってました」
「成程、そういう事か」
顎に手を置いて感慨深い仕草を始める安藤。
「私の話に、おかしな点がありましたか?」
今度は真弓が怪訝な表情を浮かべた。
「いや、別に珍しい事もあるもんだなという事で明日は、雹か秋刀魚が降るかもな」
「雹は分かりますが秋刀魚は大袈裟ですよ!」
そこまで話し終えると酒を一緒に飲みたいと言い出して更に酔う事となってしまった。
乾杯の時はビールだったはずなのに今、飲んでいるのは日本酒の大吟醸だった。いくら無礼講とはいえ、会計の値段が一気に跳ね上がるので経理部長から今後は予算を抑える様に小言を言われるであろう姿が目に浮かんだ。
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城田は、かなり酔うと何故か眼鏡を外す癖があるのでテーブルの上に無造作に置かれていた事を女性社員が確認すると各自スマホのカメラで写真を連射して撮っている。酔った時は、コンタクトを嵌めないのでボディタッチが多めになるのが演技なのか本当なのかの判断が難しい為、近付く人はワンナイトを希望の人だけでもあった。
ちなみに今日は、いつもより飲み過ぎている城田の左右には女性社員が誰も座っていなかった。
「うぃーすっ。そこ空いてるなら座らせて貰おうかなーっ」
そこに砕けた雰囲気で一人の女性が入って来て城田の右隣に着席した。
「城坊、元気にしてた?」
「何、誰キミ? 馴れ馴れしいんだけど……」
城田は、茹でダコのように赤くなっており、完全に出来上がっている状態だったので、同部署で一人だけしか呼んでいない呼び方も認識出来なかったみたいだ。
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40話<196~200P>
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