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インディフィニト・ノート 33話

<前話までのあらすじ>

 西田が長滞空式の投げ技を喰らって、かなりのダメージを受けたと判断しエスケープさせてから交代をして奥島がリングインする。頭には西田のハチマキも巻いて鶴居と対峙した。奥島はプロレス好きには分かりやすい動きを見せて距離を一瞬で詰める事に成功し古武術の骨法の構えを披露した。鶴居は間近で見る構えに対戦型格闘ゲームとは違い過ぎて混乱するのだった。

1話は<1~5P>こちらから
32話は<156~160>こちらから

         33話<161~165P>

 しばらく睨み合っていたが我慢の限界に達した鶴居は、顔面パンチ禁止ルールを破って右ストレートを繰り出した。顔以外のボディ等なら問題ないが
プロレスは基本的に顔面へのパンチ攻撃は禁止されている。張り手は、問題ない。

 なのでプロレスルールにおいては総合格闘技のように馬乗り(マウントポジション)になってのパンチ攻撃はない。あるとしたらパンチをする選手にグローブ着用が求められるだろう。もちろん例外はある。

 鶴居は、至近距離からの攻撃なので奥島がバックステップを使って距離をとるのではないかと思っていた。ところが上体を斜めに倒して、あっさりとかわしてしまう。パンチの軌道を正確に見極めていたとはいえ、両腕で防御も一切使わずに、その場を動かずに対応しているのが信じられなかった。

 ボクシングの動きなら多少は知っていたが、それらの動きとは異なるものだったので恐怖心が無い化け物なのかと思った。対して奥島は稽古で染み付いた動きが瞬時に発動しただけで『躱し』を披露しただけに過ぎなかった。

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 奥島は、相手の伸びきった右ストレートが戻る動きを確認しながら上体を戻して、そこから鶴居の右腿に対して刺しと呼ばれる膝蹴りを入れる。
 格闘技の試合(腹部や頭部への攻撃が一般的)では殆ど見ない動きなので気に入って使用しているのだ。

「よっしゃー」
「うっ」
 鶴居は流石に見た事のない動きを連続で見ているので精神的に擦り切れ始めていて集中力を欠いていた。

 しかも腿の部分のサイドには耐性はあっても、まさか正面に攻撃が加えられると思ってないので両腕のガードが顔面より下に降りていた。その瞬間、奥島は本命で狙っていた掌打を左手から繰り出した。手打ちの弾きとは違って下半身からの動きを伝えて強打する直(じき)を鶴居の右頬に放った。

 顎も捉えているので脳震盪を起こして急に足に力が入らなくなった。倒れそうになりながらも咄嗟に左腕をトップロープに引っかける事に成功してダウンを免れる事に成功した鶴居。

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 ロープを掴めれば良かったのだが余裕が無かったので咄嗟の判断にしては合格点だと思っている。ここで倒れたら負けを認める事になると必死の抵抗を見せた行動だったと認識しており、実際は左腕の肘関節の部分で引っかけてマットに倒れるのを防ぐことができた。

「ピューイ」
 奥島は言葉を使わずに口笛を吹いた。
「マジか?」
 鶴居の視線の先には西田がリングに入って来る姿が確認できた。

 回復するタイミングを背中越しでも合図出来るコンビプレイを目の前で見せられて猛烈に嫉妬を覚えた。レベルが高すぎて脳の処理が追い付かないのだ。サッカーのコンビプレイやバスケットボールのノールックパスは分かっているつもりだった。

 でもプロレスで、しかも同年代で、こうも簡単に出来るものなのか自問自答するしかなかったが黒崎の意識がついに戻る。奥島を通り過ぎて背中越しに前に立って静止する西田を肩車で持ち上げる事に成功する奥島。

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 この時点では何が起きるのかは予想出来ないがレンタル屋で様々なプロレス団体の映像を借りて見て来た奥島と黒崎の二人には、お馴染みの光景ではあったが。試合中での味方同士の肩車は見た事が無かったので何が起きているのか理解が出来なかった。

 そこから奥島が背中を前に傾けていく。西田が落下しないように背中で体重を支えながら身体を後ろへスライドさせて、西田の腋に自分の両腕を交差(クロス)させて固定すると両脚が突き出た格好になった。

「今度は俺達のツープラトンだ。名付けて……」
「ダブルキャノン・トレインだ! うりゃぁー」
 西田から始まり、奥島が技名を叫んだ。
「初めて見る技だな」

「リスペクトが込められているのは分かったが本当に効くのか?」
 黒崎は鶴居の会話後、エプロンで立ち上がった。ロープを掴みながら復活をアピールして睨み付けた。来るなら来いという表情に見えたので遠慮なく
突進する奥島だった。

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「右足は膝曲げて準備宜しくっ」
 加速が付いた状態で奥島は西田に指示をすると西田は瞬時に右足を折りたたんで膝で攻撃できる体勢を作った。指示に対して何の疑問も抱かない関係がコンビプレイに置いて技の精度と直結するのだ。

 逃げる事は簡単だったが黒崎は受けることを選んだ。プロレスを愛しプロレスラーを目指しているからこそ、交わすという選択肢は無かった。
 西田の左足裏が黒崎の顎を捉えて落下させる事に成功する。この技の凄い所は角度を予想して確実に当てている奥島の操縦技術も普通じゃないという事の証明だった。

 しかも右足の膝も一拍遅れて鶴居の左肩にヒットさせていたのだからヤバ
イとしか言いようがなかった。もちろんワイヤーロープに当たる衝撃を避ける為に鶴居は若干右側へ移動してコーナーポストのクッションを利用して、ダメージを最小限にする対応は、この短い時間の中で判断していた。

 折角、ここまで盛り上げてきたのを大怪我をして試合が中止となる事だけは避けたい一心の行動でもあった。

     165

         33話<161~165P>  

34話は<166~170P>こちらから
1話は<1~5P>こちらから

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昌人っち(五十嵐 昌人) 父親(ドラクエマニア)から譲り受けた変速自転車(損傷)の部品交換代&おやつ代に当てたいと思います✨ あなたの応援が力になります! 

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