インディフィニト・ノート 28話
<前話までのあらすじ>
突然、自転車に乗って島谷が入って来た。目的は細川に頼まれてた物資を
運んで来たと告げた事で四人共理解して一旦、休憩をとる事になった。
1話は<1~5P>こちらから
27話は<131~135>こちらから
28話<136~140P>
「そんな簡単な事も分からねぇのか?」
西田は、鶴居が今になって聞いてくるのが分からずに苛々している。
「あなたの相方が質問を質問で返すのが流行ってるって私達に言ったんでしょうが」
どうやら根に持っていたのは黒崎だけではなかった事が分かる。逆に鶴居が怒っているおかげで黒崎が物事を俯瞰で見ることで出来ていた。
「まぁまぁ。鶴居さん。西田さんも落ち着いて下さいよ。実は細川の方から今年の学園祭の目玉の一つにプロレス案が出たのですがプロの映像では素人には、あまり参考にならないと思って斑工業さんには話を通してあったんですよ」
「それは初耳だな。でも悪くない提案だな」
黒崎はプロレスの事になると脳の処理速度が異常に早くなってしまう事に気付いていない。つまり、リングの中が映るように隠しカメラが設置してあるというのが理解できた。
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「……」
西田と奥島は瞬時に目を合わせて島谷の話に合わせる事にした。
「よう兄弟。それなら最初から3カウントルールでやれば良かったんじゃないのか? 俺様のフィニッシュホールドは盛り上がる事、間違いなしだ」
「確かに、それもそうなんですが喧嘩っぽい演出も捨てがたくて……」
「成程、確かにそう言われると3カウントはプロレスそのものだから初めて観る人には没入感を得られない可能性は否定できない」
黒崎はプロレスルールの複雑さを理解していただけに分かりやすさを求められるならば文句を言うのは違うと決断した。鶴居も納得したみたいだ。
奥島は別の事を考えていた。細川が島谷を現場に呼び寄せた事により、全中戦争の出場メンバーが3年生ではないと気が付いた。おそらく西田は気付いてないだろう。
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細川は、俺には最悪バレても良いように機転が効く島谷を現場に来させたと考える方が自然だと結論を出した。信頼してくれてる以上、西田はフリーにさせた方が良いと思えてきたのだ。
「そういえば俺様から奥島以外の全員に言いたい事がある」
心底ムカついた時にだけ出る自称が飛び出した西田。
「何だよ。未だ言い足りない事があるのか?」
黒崎が反応したので鶴居は興味を示さずに絞ったTシャツをパンパンと上下に振ってから長い机へ伸ばして置いた。
「大ありだね。格ゲー(格闘ゲーム)好きの生徒が集まっているにも関わらず。何で服装と髪型に誰も触れて来ないんだ?」
西田はフラストレーションが溜まっていた事を打ち明けた。後輩である島谷は内心ドキっとしたが奥島からのウインクを見て、しばらく様子を見ることにした。
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「あぁ、その件は、確かに触れてなかったな。正直言うと似合い過ぎていて指摘するのが野暮だと思ってしまった」
ようやく西田の言わんとしている事に気付いた黒崎が鶴居にアイコンタクトをした。
「私も同意見かしら。あなたがK.O.Fの主役のコスプレをしているのは、ちゃんと分かってるから」
「白のハチマキも決まってるし半袖の短ランとストレートズボンの組み合わせなんか今時、見ないしな。気分を害したなら悪かった」
代表で黒崎が頭を下げて謝罪する。
「ちゃんと分かってくれてるなら別に良いんだよ。逆にこっちが恥ずかしくなってきた」
西田の素直すぎる態度に自分が女性だったら惚れてしまうかもと一瞬考えてしまう黒崎。
先程までの重たい空気が無くなった事を確認するとバスケ用バッグから、残りのスポーツ飲料のペットボトルを5本取り出した島谷。
「これは斑工業の人達の分です」
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流石に、そう言われては盗人という目で見られる行為をする訳には行かない鶴居だった。西田はスポーツ飲料を飲み干した後、きちんとキャップを閉めて席を立ち上がると足早にリングに上がった。
「黒崎、お前の母ちゃん。でーべーそ!」
西田は黒崎に向かって、お尻を向けたままで左手で2回ペンペンと尻を叩いて挑発する。
「キサマ~、私の敬愛するマミーを愚弄するか」
先程までの和やかムードが一変して激昂する黒崎。
「鶴居、休憩なんか終わりだ。殺ってやるよ」
鶴居は未だ休憩したそうな顔をしていたが死人を出させる訳にはいかないと慌てて席を立つ。暁海校の二人がリングに移動したのを受けて最後に奥島が席を立った。
リングに着くまでの間、きっと西田なりの緊張感を持たせたかったんだろうと思った。プロレスは受け身を間違えれば大怪我を誘発する危険と隣り合わせな興行である。
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28話<136~140P>
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