【小説】偽りなき偽善 #0
あらすじ
四十歳の主婦・塩沼馨は、中二の娘の人間関係と不登校を案じ、心をすり減らしていた。
ある日、中学時代の同窓会に参加した翌日から、馨の家に無言電話がかかってくるようになる。
脳裏によみがえるのは、中二で見捨てた友人、受験期の微妙な四角関係、そして「いいヤツ」になりたいのに「いい子」にしかなれなかった罪の意識。
無言電話の主は誰なのか。
なぜ今になって、自分を追い詰めるのか。
きっと誰しもが通ってきた十代の残酷さと、四十代の自意識が交錯する、ノスタルジック・サスペンス。
ソックタッチ、あぶらとり紙、ビオレの洗顔フォーム。
あの頃の必需品と言えば? と訊かれたら、私は今でもすぐにその三つを挙げられる。それらを持っていることが「仲間」でいられる条件だと信じていた。
私はどちらかというと乾燥肌で、あぶらとり紙は鼻に使うくらいだったし、洗顔フォームを使わなければいけないほどの皮脂もなく、水でパシャパシャと洗うだけでよかった。だけど、あの香りを顔にまとわせておかないと、なんだか落ち着かなくて。
でも私には、その三つよりももっと、絶対に欠かせないものがあった。それがないと私は──
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