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現代語俳句集『秋ゆうやけ』 〜2025年 夏・秋〜

2025年 夏・秋 の俳句集です。

「現代語・現代仮名遣い・現代的切れ字」
を基本にして詠んだ作品を集めました。

約150句ほどです。

お時間がある折に
よろしければ楽しんでみてください。

*作品はnoteで発表したものです


『秋ゆうやけ』
〜現代語俳句集〜


◇ 夏の部 ◇

稜線よあらく彫られてなつの富士


薔薇園よ咲せるしごと咲くしごと


ソーダ水スマホのページ風が閉じ


はる過ぎてなつ来る名歌名句辞典


風鈴ようみの日ざしはこなごなに


ふとあおぐそらよ水たまりにも虹


アイスティー日ざしの歴史街道の


それぞれの事情燃やして手花火よ


手花火よ味方たくさんうしろに居


新幹線風ゴールデンウィーク明け


質素という贅沢アイスコーヒーと


葉ざくらよ心も木洩れ日にまみれ


ゆうひいまゆらゆらのなみ平泳ぎ


すなはまよせんねん濡れて大夕焼


沖に船グラデーションの夏のくれ


手の水輪あめの水輪よ田植えどき


さす傘はひとつの波紋梅雨の入り


梅雨入りよ色なくしずむにしき鯉 


一つきえ二つあらわれほたるの夜


つむる目のおく追憶のほたるとぶ


ふうりんよ夜が哲学になってゆく


香水よすれちがうどのじんせいも


かたつむりじゅうぶん潤み水の星


かたつむりうしろ姿のうず巻きよ


みずうみは捲る詩集よボート漕ぐ


断つ鋏はかないおとを花しょうぶ


蜜豆よみどりの木洩れ日がさして


ふうりんをつるしたきりの閑寂よ


そして夜をさらさら冷やし梅茶漬


だれの死もおもく亀の子甲羅干す


打ち水よくろく鎮めていしだたみ


敷き石よおくへとはらう夏のれん


音たてて一茶たんざく軒ふうりん


はしらから伸びていっ枝よ利休梅


変わりゆく季の練切りよ新茶くむ


立つゆうぐれ座るゆうぐれ橋涼み


わかれへといざなう蚊取り線香が


やみと灯にさかいのなくて祭の夜


ちんもくよビールも古い酒となり


風鈴よ吹っきれたときたかいおと


そしてまた草ぶえのみち四季逍遥


麦わら帽子歳月かたくいろ褪せて


噴水よむすうのゆうひつぶらかに


停泊のヨット帆ばしら揺れもせず


アイスティー灯のなめらかに角氷


すすむ意についてゆく身よ登山杖


沈黙よ目の奥くらくキャンプの火


星空をすこし遠ざけキャンプの火


きざむ刃よおとをこまかく新生姜


手花火よ黙すひとつのじんせいが


蝉の殻さらさらほろびゆくように


この街の気がぬけてゆくソーダ水


爆心地永久にしずかかせみしぐれ


つかむ手もおなじ匂いに干瓢干す


瀬戸うたいつづけて詩碑よ大夕焼


ラベンダー胸の奥までむらさき野


鹿の子よ影を蹴り蹴りとびはねて


ゆうばえのみずたま千々に噴水よ


メリーゴーランド来る夏過ぎる夏


ちんもくがばちとはじけて誘蛾灯


さす月よ葉のいただきに合歓の花


ワイヤレスイヤホンの静なつの星


すずしさよ夜ぞらとひとつ星座盤


サイダーよ昇天めいてあわのおと


またたいてなつぞらのほしAIも


なつのほしとわにとおのき天文台



◇ 秋の部 ◇

雲のたかさ風のたかさよ野菊揺れ


すでに秋こころをとおい嶺に置き


もくとうのぜんいんにかげ原爆忌


ひぐらしよ寺が鳴きまた山が鳴き


解放のそらはたはたとばった飛ぶ


過ぎた日かこころに落ちて桐一葉


結ぶ手よ五色たんざくあまのがわ


恋よ夜々二手にながれあまのがわ


灯ともしてほしぞらの家虫しぐれ


もの問えばこころがこたえ朝顔よ


秋遍路たがい名訊かず名を告げず


船の水尾きえてはれきし瀬戸の秋


鳶よふとそらを聴くときかぜの秋


忘失よすくう手に澄むみずのいろ


曼珠沙華山をくだればそこにまた


すえとして生きてゆく地よ盆の月


陰にきえ灯にあらわれて踊りの輪


咲きしだれにっぽんの間よ大花火


令和どどんぱらぱら枝垂れ大花火


つぎつぎよむねに消えゆく大花火


とおい世を肌でかんじて盆やすみ


集う気よ野菊いちりん摘みとる手


絵よしんとじだいをあおぐ美術展


秋さびし黒く澄みきるコーヒーが


たちならぶ都市に隙間よ小鳥来る


灯の駅よ広場かがみにあきのあめ


かかるたび街くっきりとあきの虹


ちり━━━━━━━━━ん秋風鈴


食べ終えて残る林檎のデッサンが


時計塔都をうごかしてあきのくれ


ぽつんと灯文豪たちのながい夜よ


灯をけしてそそり立つ都市星月夜


高層ビルくろぐろ灯り秋あかつき


時代とは世代いちめんいわしぐも


銀杏散るまた一ひらのおんがくが


みなかぜよ秋低く跳ぶハードル走


槍投げよ雄たけびが飛ぶあきの空


テレビが本当ネットが本当秋の暮


ひとひらを落とすは悔か秋の薔薇


年ねんに文字のかど取れ秋めくか


残暑見舞想いをはせてはせられて


ガス灯は路地のたましい霧の暮れ


玉ぼけの街の灯千々のあきのくれ


ゆうぞらよ埃のようにあかとんぼ


ひぐらしはやがてとんぼに稲の秋


雲よりもいそぎいそがず稲刈り機


稲架かけていちにち雲の陰日なた


落穂拾いいちにちの日はすぐ西に


くさわたよ飛びとぶ未来過去前世


鈴虫よとおぞらが焼け落ちたあと


ましかくがまるくなりゆく温め酒


すこし炊くゆたかな湯気の今年米


郷土史の文字読む指の夜ながさよ


こおろぎよはなれても故郷のこえ


身にしみて背のあかん坊の人生が


そよそよとかぜのかたちの朝顔よ


しべと揺れ蝶のひかりよ曼珠沙華


水こまごま日ざしこまごま滝の秋


あめのなか立つたましいか秋草か


鯉池よもみじかつ散るみずのいろ


木まもる朱ひとつのこして柿の秋


いちにちの行き止りの野いわし雲


象が踏む秋ゆうやけよみずたまり


きらきらと記憶がとぶ野赤とんぼ


月見船あらわれもせずきえもせず


照るいけよ浮いては月のにしき鯉


過疎の谷銀河ばかりがうつくしく


目つむればそのやみにもよ天の川


流星群以後見あげるということを


むしかごよこえといろ褪せ竹細工


吹くおとを吹き抜けてゆく秋風よ


ちりしぶくそらは乾かずあきの滝


櫓を漕いで黄へと赤へともみじ川


いそぎだすひと葉ひと葉よ黄落期


ふり落とすつちほろほろと落花生


ときにながくときに短く牛蒡引く


ふるさとはみるみる貧し曼珠沙華


住むまちのひとみな鏡身にしみる


ああただのひとつぶの日か秋夕焼


灯台よもとくらければむしのこえ


こおろぎよ道ばたの灯にせまる闇


さまざまにものおもいして流星群


ただ過ぎる雲のはやさよのちの月


絮よとぶ風も日ざしもすすきはら


無意味さをまたたかす星月夜こそ



終わり


▽ 関連作品集 ▽

句集『春あかつき』
 〜2025年 冬・春〜


『都市風詠』
現代語俳句集


『都市風詠 2』
現代語俳句集


俳句で使う言葉
〜その選択肢の広がり〜


『多文体での俳句づくりとその楽しみ』


◇文語・口語の大まかな図

下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です。

◇文語俳句―文語体―古典語―古い時代の文体

◇口語俳句―口語体―現代語―書き言葉
             ∟――話し言葉

◇仮名づかい 歴史的仮名遣い 現代仮名遣い

より詳しく細かいことは、書籍・ネット等で調べてみてください


◇使用している切れ字について

この作品集では現代的な切れ字の候補を使用しています

「現代切れ字 十八字(候補)」
よ・か・ぞ・と・に・へ・せ・で・まで
ず・れ・け・た・が・て・は・な・こそ

これらは「現代の言葉」で俳句を詠む際に切れ字のような役割を果たす語はないのか、

「間」を生み出すために必要な「句を区切るための語」が現代の語にはないのかを探ったものです


◇俳句の目標

いま心にとめているもの取り組んでいるものを挙げておきます。

「表現の新と万象の真」「驚きと感動の詩」

「一新一真」「都市詠の探求」「一句新世界」

「ものごとの花」「沈黙の美」「内的宇宙」

「三物一句」「風情の継承」「平明深遠の詩」


◇俳詩の探究

俳詩として、俳句の基本を母体に
より深い「詩性」「思想性」等も探っています


◇現在の主な活動内容

現代語・現代仮名遣い・現代的切れ字
を基本にして俳句を詠んでいます

① 現代俳句
俳句の「現代化」「現代文学化」
について実作を通して模索しています

② 多文体俳句
俳句の「使用文体の拡張」
について実作とともに探究しています

③ 俳詩
俳詩として、俳句の基本を母体に
「詩性」「思想性」なども探っています

④ AI共作俳句
生成AIを「制作助手」とした
俳句集づくりについて探究しています


個人的な
俳句の探究を楽しんでいます


いつも
ご覧いただき
ありがとうございます


*作品はnote等で発表したものです

*解説について、至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください

*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります


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