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伝統俳句 作品集『こぼれ萩』 120句

伝統的な俳句を集めた作品集です。

文語体・歴史的仮名遣い・古典的切れ字
を基本にして詠んでいます。

主に2025年に詠んだ俳句のなかから、

「花鳥諷詠」「客観写生」など、

伝統的な俳句理念に基づいた作品を集めました。

使用している言葉が古いため読みづらい点もあると思いますが、よろしければ楽しんでみてください。

*個人的な探究を楽しんでいます
*自分で詠んだ句を集めた自選句集です


『こぼれ萩』
伝統俳句作品集


◇春の句◇

梅の香や春告げぐさの名のとほり


東風吹きて末ひろがりの大河かな


いけよりも濡れてをりけり蛙の目


そして今玉のほぐるるつばきかな


日の出まで雲混沌やはるあけぼの


うすらひの割れぬ雀のかるさかな


芽吹きては空ふるはすやえだの先


つぎつぎと空をひらくや初ざくら


どの人もわきまへてゐる花見かな


咲き満ちて花はだれをも否定せず


桜よりくらくぼんぼりともりけり


くるくると宙ころがりし落花かな


はなのくも極楽寺へとあるきけり


えだえだを咲きつつむなり八重桜


奈良もみやこ京もみやこやおそ桜


にはとりの影のびてゐる遅日かな


踏めば山息づいてをり木の芽どき


はらみ鹿あかき鳥居をあふぎけり


富士山をうつして五湖やのこる鴨


草のさき背のび背のびの春野かな


いたみを遠く思ひ出づる日啄木忌


やまやまのその葉がくれの椿かな


ときかけてしづむにごりや春の池


かんがへの腑に落ちにけり沈丁花


◇夏の句◇

鯉のぼり時代をおよぎはじめけり


たけのこやせんたんの芽の二三本


そへられし富士の練切り新茶かな


つぎの門みえてをりけり薔薇の門


たかだかとかぜにゆがみし噴水や


オーデコロン人格のごと香りけり


のばしてはたたむいのちや尺取虫


われの気の分け入りにけり夏の山


行くくものあらはれにけり滝の空


早乙女や世にはみにくき事ばかり


おのが手を水にうつして田植かな


紫陽花や花ばさみよりみづのおと


でで虫のでで先立ててすすみけり


まんげつで観ること稀や梅雨の月


ぬばたまのやみに葉うかぶ蛍かな


ふるあめにいくど打たれし蛍かな


手花火や伯母の背中のますぐなる


白日を聞きてをりけりせみしぐれ


羽抜鶏ふぶきのごとく吹かれをり


しろきかげ淡くのこるや雪解富士


引きしぼる満帆ヨットきしみけり


白鷺にかげなき瀬々のながれかな


山二つ鳴きかはしけりほととぎす


いちめんのかがみのうへや船遊び


曳く音の見えてたたきし藪蚊かな


納涼船たまゆらの灯をともしけり


神のかげ揺れてをりけり祭りの灯


ひらひらと花のたゆたふ金魚かな


住み替へてあたらしみあり夏の月


◇秋の句◇

秋立つやつくばひに空うつくしき


さいせんの納まるおとや涼あらた


ゆつくりと神事の所作を相撲かな


またそらの落ちてくるなり桐一葉


雲もまたかぜにしたがふ花野かな


あきのくも船の行き来を流れけり


いちぞくに地のつながりや墓参り


ひらくたび舟あらはるる花火かな


そしてまた欠けはじめけり盆の月


邯鄲のこゑやゆめともうつつとも


たなばたやせかいへいわの拙き字


天の川なすすべもなく老ひにけり


風ふきて向きのかはりし花野かな


新涼やみづを揉みつつ手をあらひ


葉たがひに影揺らしあふ芭蕉かな


十五夜やそなへてかげの萩すすき


すすきはら芒みづからさまよへり


しら露やたてがみの馬うるはしき


さだめなき風のうねりやこぼれ萩


落ち栗や木の葉はさはぎ雲はゆき


きつつきや山かげ揺るる湖しづか


枝晴れてなごりの霧のしづくかな


立つあはれ揺るるあはれや鶏頭花


すず虫のこゑのあかるき夜闇かな


やみに富士さだかなりけり星月夜


◇冬の句◇

日あたりて季のおもかげや帰り花


えだを野を羽ばたきにけり小春空


いくたびもくだける波に時雨かな


木々のかげ揺らすかぜあり神無月


十一月田にあぜばかりのこりけり


つくばひのみづのくもりぬはつ氷


日と月のおほいなる間や浮き寝鳥


一山のそらひらけたる落ち葉かな


跳ぶ栗鼠にときながるるや冬木立


白鳥も富士も吹かるるばかりなり


燃ゆる日のまづしづみけり冬夕焼


羽うちたる鶴のはもんやみづの上


巻くかぜの真中に鶴の凍てにけり


依り代となりては舞へる夜神楽や


大鳥居小さくくぐるやはつまうで


注連飾紙垂ながながとたれにけり


餌をやりてともにいのちやはつ雀


いつしんに点ててをりけり初茶湯


しづかなるかまへや射抜く弓始め


はとのそら晴れてしづかや三が日


寒鯉やそらいちまいをみづかがみ


寄せるなみよこひとすぢや浜千鳥


終わり



◯詠んでみた感想

今年詠んだ
伝統的な俳句を100句選んでまとめました。

伝統的な俳句は、現在もなお奥深い可能性を秘めていると個人的には感じました。

ただ俳句の文体については、

「文語体、歴史的仮名遣い、古典的切れ字」
を用いて詠んだほうが活きる句

「口語体、現代仮名遣い」「現代的切れ字」
を用いて詠んだほうが活きる句

があるため、自分なりにそれらを使いわけ、詠みわけるようにしています。

なんでも文語俳句、文語体で詠めばよいといった考え方には無理があるため、個人的に早めに改めました。


日本ではすでに、明治期の言文一致運動から約150年、昭和期の現代かなづかいの制定(1986年改訂)から約80年が経過しているそうです。

現在では、ふだん読み書きする言葉をはじめ、小説や詩など俳句以外の文芸作品のほとんどが、「口語体、現代仮名遣い」を用いて書かれ、それらへの移行をすでに終えているようです。

短歌や川柳の世界でも、時代や世代の移り変わりとともに口語体化は急速に進んでいる様子です。

またそれらの作品や探究の仕方にも、次第に広がりや深まりが出てきているように見受けます。

俳句の世界でも今後、そうした動きが若い世代の俳人の方々を中心に、さらに広がりを見せ、展開されていく可能性はありそうです。


明治期から現在まで、小説、詩、短歌と順を追って「口語体、現代仮名遣い」による作品制作が主流になってきた事実が示すように、

俳句も今後、時代や世代が変わるたびに、その傾向が強まっていくことはほぼ確実なのではないかと個人的には感じています。


個人的に長年俳句を詠んできて、

伝統的な俳句については、

「文語体、歴史的仮名遣い、古典的切れ字」
「四季の季題」
「俳句の基礎・基本」
「伝統的な理念や俳句論、考え方」
「俳句の技法や切れ、間、格調」
「名句・佳句やその歴史」

などに基づく作品づくりを存続させていくという課題が、一方でありそうにも感じました。

ただ10年後20年後50年後に、俳句の世界で、前述したような変化が進み拡大していった場合に、

どう対処や俳句の改革をしていくのか、その選択の違いによって、その後に差が出てくるのかもしれないとも感じました。


◯文語・口語の大まかな図

下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です

◇文語俳句ー文語体ー古典語ー古い時代の文体

◇口語俳句ー口語体ー現代語ー書き言葉
           ∟ーー話し言葉

◇仮名づかい 歴史的仮名遣い 現代仮名遣い

より詳しく細かいことについては、書籍・ネット等で調べてみてください


◯現代的な切れ字の候補について

下記は
現代的な切れ字の候補についての記事です

「現代の言葉」で俳句を詠む際に切れ字のような役割を果たす語はないのか、

「間」を生み出すために必要な「句を区切るための語」が現代の語にはないのかを探ったものです


◯現在の主な活動内容

現代語・現代仮名遣い・現代的切れ字
を基本にして俳句を詠んでいます

① 現代俳句
俳句の「現代化」「現代文学化」
について実作を通して模索しています

② 多文体俳句
俳句の「使用文体の拡張」
について実作ととに探求しています

③ 俳詩(旧一行詩的俳句)
俳詩として、俳句の基本を母体に
「詩性」「思想性」なども探っています

④ AI共作俳句
生成AIを「制作助手」とした
俳句集づくりについて探究しています

個人的な
俳句の探求を楽しんでいます


*作品は既発表です

*解説について至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください

*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります


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