文語俳句集 「紫陽花」60句 〜文語体の作品集〜
文語俳句集「紫陽花」
文語体、歴史的仮名遣い、古典的切れ字
を基本にして詠んだ俳句作品集です。
夏の新作20句と
4月、5月の自選作品をあつめました。
ご興味がありましたら楽しんでみてください。
*作品はすべて既発表句です
*文語・口語の図を記事末に記しています
「紫陽花」
文語体俳句集
しろきかげ淡くのこるや雪解富士
ひとえだや鳴く一山のほととぎす
手入れして日々虹いろや濃紫陽花
噛むおとのさくとひかりぬ青林檎
葉の闇に火の呼吸あるほたるかな
行き暮れてあらはるる灯や納涼船
手花火や伯母の背中のますぐなる
人寄せつけぬいまの世の日傘かな
地の蔭とひとつにさはぎ青葉かな
したたりやみづを蔵してあをき山
◇
よく笑ふこゑうつくしき田植かな
でで虫のでで先立ててすすみけり
白鷺にかげなき瀬々のながれかな
にごり澄む水面に影やかきつばた
ほほのはなより薫陶をうけにけり
二羽三羽ちどりのがらやこほり旗
荒ら荒らとけずり落とすやかき氷
生涯に笑みこぼす野やてんたう虫
気泡みな香となりにけりソーダ水
影の湧きくづるる夜々や雲のみね
◇
すいへいせん光る雲湧き立夏かな
鯉のぼり時代をおよぎはじめけり
ふねのみちすゑひろがりや河は夏
たけのこやせんたんの芽の二三本
そへられし富士の練切り新茶かな
風鈴のそらににほんを聴きゐたり
麦ぶえに麦ぶえを吹き添へにけり
つぎの門みえてをりけり薔薇の門
たかだかとかぜにゆがみし噴水や
オーデコロン人格のごと香りけり
◇
鯉のぼり空をはらみてをりしかな
おのが手を水にうつして田植かな
まんげつで観ること稀や梅雨の月
羽抜鶏ふぶきのごとく吹かれをり
白日を聞きてをりけりせみしぐれ
そのむかし作法のありし団扇かな
田草取いまもつづきてをりにけり
行くくものあらはれにけり滝の空
いちめんのかがみのうへや船遊び
納涼船たまゆらの灯をともしけり
◇
葉ざくらや五重の塔のふるびし朱
山二つ鳴きかはしけりほととぎす
ぬばたまのやみに葉うかぶ蛍かな
引き寄せし満帆ヨットきしみけり
海亀の羽ばたきおよぐこどくかな
よこぶえは見目よきふえや宵祭り
あかん坊のやいやいやいや天瓜粉
ひとひらの花のたゆたふ金魚かな
冷し西瓜終にひとりとなりにけり
住み替へてあたらしみあり夏の月
◇
早乙女や世にはみにくき事ばかり
日になかば透きてをりけり蓮の花
肱川のかぜにふうりんふぶきけり
ひらく手におほなみこなみ扇かな
のばしてはたたむいのちや尺取虫
なかを吹くかぜに空蝉揺れにけり
ひとすぢの龍舞ひにけり水打てば
曳く音の見えてたたきし藪蚊かな
われの気の分け入りにけり夏の山
釣りびともうをも瀬戸なり大夕焼
終
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文語体俳句・口語体俳句・会話体俳句
◇詠んでみた感想
夏の作品を集めました。
文語体でまだ多くを
詠むことができると感じました。
ただ小説、エッセイ、詩、短歌、川柳など他の文芸が最新の口語体化をつづける一方で、
俳句の遅れはあきらかのようにも感じました。
他の文芸と横一線で競うことが、使う言葉をはじめとして現状どの程度可能なのだろうとも思いました。
時代の変化に対応する意識や工夫などの不足が、俳句の問題の一つとしてあるのかもしれません。
◇文語・口語の大まかな図
下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です
◇文語俳句―文語体―古典語―古い時代の文体
◇口語俳句―口語体―現代語―書き言葉
∟――話し言葉
◇仮名づかい 歴史的仮名遣い 現代仮名遣い
より詳しく細かいことは、書籍・ネット等で調べてみてください
いつも
ご覧いただき
ありがとうございます
*作品は主にX、noteに投稿したものです
*解説について至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください
*俳句については個人、団体によって様々な考え方や見解があります
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