大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その2
皆様、こんにちは。
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
1日空けてしまいました。暑さのせいです。これが9月終わるぐらいまで続くんでしょうかねえ。眠れないというのは正直キツいもので、私などは眠るために生きているようなもんです。
さて、例のやつ行きましょうか。今日はガッツリ数学っぽいんですが…。
a = b
とします。両辺にaを掛けます。
a^2 = ab
となります。念のためですが、a^2というのは、コンピュータ的な表現でaの2乗をさします。
両辺からb^2を引きます。
a^2-b^2 = ab-b^2
両辺を因数に分解します。
(a-b)(a+b) = b(a-b)
簡約します。
a+b = b
最初の仮定から、bをaで置換します。
2a = a
簡約します。
2 = 1
つまり、2=1が証明されました。正しいですよね?
では今日もセキュリティについて学んでまいりましょう。
オフサイトデータストレージ(地理的分散)の重要性
さて、いよいよ本題と言える部分に踏み込んでまいりましょう。大企業でも、いや大企業であるほど、オフサイトデータストレージつまり地理的に分散してデータを保存しておくことは重要になる、というお話です。
局所的な災害に対する保護:事業継続性の確保
バックアップデータを元のデータソースとは異なる場所に保存することは、「二重損失」を避けるために最も重要です。これは、プライマリサイトが自然災害(洪水、火災、台風など)や広範囲にわたる停電によって完全に破壊されたとしても、オフサイトデータは安全で復旧可能であることを意味します。地理的に分散されたデータセンターやオフサイトストレージの場所は、局所的な事象がプライマリサイトとバックアップサイトの両方に影響を与えないことを保証します。
単一障害点の軽減:地理的領域を越えた冗長性
オフサイトバックアップは、物理的またはサイバーインシデントが発生した場合にデータが安全で復旧可能であることを保証する、包括的な災害復旧計画の重要な構成要素です。地理的冗長ストレージ(GRS=Geo Redundant Storage)は、複数の地域でデータを自動的に複製し、ある地域で停止が発生した場合でもデータの整合性とアクセス性を保証します。この多拠点冗長性は、高い耐久性と可用性を保証します。
高可用性と災害復旧:迅速な復元能力
オフサイトバックアップを組み込んだ明確に定義された災害復旧計画により、組織は中断の影響を最小限に抑え、より迅速な復旧時間を達成し、事態が悪化した場合でも中核業務を迅速に再開できます。複数の地域にデータのコピーを保存することで、企業はデータ損失のリスクを軽減し、地理的に分散されたストレージサイト間のシームレスなフェイルオーバーを可能にすることで、全体的なシステム信頼性と稼働時間を向上させることができます。オフサイトバックアップはどこからでもアクセスできるため、プライマリサーバーがダウンした場合でもデータの取得と復元が可能です。これにより、事業の回復力が確保され、ダウンタイム中に顧客が競合他社に流れるのを防ぐことで競争力を維持するのに役立ちます。
オフサイトストレージは、単なるデータ復旧を超え、事業継続性の戦略的な推進力として機能します。オフサイトバックアップが「事業継続性」「競争優位性」「顧客満足度」「評判」といった要素に直接貢献するという事実は、それが単なる技術的な復旧行為ではなく、逆境に直面した際の組織の回復力への戦略的投資であり、市場での地位やステークホルダーの信頼に直接影響を与えることを示しています。
オフサイト戦略における「距離と遅延のトレードオフ」も考慮すべき点です。地理的に分散されたデータセンター間の距離は、復旧と遅延の要件のバランスを取るべきであると指摘されています。距離が離れるほど災害に対する保護は強化されますが、アクティブデータの復旧パフォーマンスに影響を与える可能性があります。物理的オフサイトバックアップの場合、物理メディアを長距離輸送する必要がある場合や、復旧サイト自体が非常に遠隔地にある場合、復旧プロセスが遅くなる可能性があります。したがって、企業は、災害レジリエンスのための最大限の地理的分離と、重要なデータに対する許容可能な目標復旧時間(RTO)との間で、戦略的にバランスを取る必要があります。これは、複数の階層のオフサイトストレージや、事前に配置された復旧インフラを検討することで達成できるかもしれません。
ハイブリッドデータ戦略における物理的オフサイトバックアップ
ここで比較分析をしてみましょう。

(クリックで拡大)
オンプレミス/物理的バックアップ:データ、インフラ、セキュリティ対策を完全に制御できるため、厳格なコンプライアンス要件や機密データを扱う企業にとって非常に重要です。広範なカスタマイズが可能で、ローカルストレージによりインターネット接続への依存を排除し、災害時の復旧時間を短縮できることが多いです。磁気テープは、特に長期的な大容量ストレージにおいて費用対効果が高いとされています。しかし、これらは多額の初期投資と継続的なメンテナンスが必要であり、適切に保護されていない場合、物理的な災害やハードウェア障害の影響を受けやすいという欠点があります。手動プロセスは煩雑になる可能性があります。
クラウドバックアップ:追加のハードウェア投資なしにデータ量の増加に容易に対応できる、比類のない拡張性を提供します。インターネット接続があればどこからでもアクセスできるため、分散チームにとって理想的です。クラウドプロバイダーは、暗号化や多要素認証などの堅牢なセキュリティ機能を提供します。しかし、継続的な費用が発生し、インターネット接続に大きく依存するため(大規模なデータ復旧が遅くなる可能性)ベンダーロックインやプライバシーに関する懸念が生じる可能性があります。データがオンラインに保存されるため、データ侵害のリスクは依然として存在します。
ハイブリッドアプローチの相乗効果:究極のレジリエンスのための強みの組み合わせ
オンプレミス/物理的バックアップのセキュリティと制御を、クラウドバックアップの拡張性とアクセス性と組み合わせたハイブリッドバックアップ戦略は、大企業にとって最も堅牢なアプローチです。このアプローチにより、ローカルサーバーからの高速な復旧が可能になりつつ、クラウドまたは物理的オフサイトメディアに高度に保護された2つ目のコピーを維持できます。一方のシステムが故障した場合でも、もう一方が継続性を保証します。
例えば、オールフラッシュアレイ(ハードディスク・ドライブの代わりにフラッシュ・メモリのみを搭載したストレージ・インフラストラクチャ)のような高性能な物理ストレージシステムは、オンプレミスでの高速アクセスを必要とする重要なアプリケーションをサポートできます。一方、即時アクセスを必要としないデータについては、AmazonのAWS S3のようなサービスを利用して容量をシームレスにクラウドに拡張できます。この組み合わせは、ビッグデータの管理における全体的なコストを最小限に抑えることも可能です。
このアプローチは「適切なデータを適切な場所に」という原則に基づいています。物理的ストレージとクラウドストレージの比較は、それぞれに強みがあることを示しています。最適な戦略は、データの重要度、アクセス速度の要件、およびコンプライアンスのニーズに基づいてデータをインテリジェントに分類することを含みます。これにより、異なる種類のデータを最も適切なストレージメディアと場所に配置することが可能になります。例えば、トランザクション量の多いデータは高速なローカル物理ストレージに頻繁なバックアップとともに配置し、アーカイブデータはコスト効率の高い長期物理オフサイトメディアやコールドクラウドストレージに保存するといった具合です。これは、データの価値に基づいてリソースを戦略的に割り当てることを意味します。
目標復旧時間(RTO)と目標復旧時点(RPO)の最適化
バックアップソリューションの選択は、RTO(=Recovery time objective データをどれだけ迅速に復元できるか)とRPO(=Recovery Point Objective どれだけのデータ損失が許容されるか)に大きく影響します。オンプレミス/物理的バックアップは、ローカルアクセス速度により、重要な頻繁にアクセスされるデータに対してより低いRTOを促進することが多いです。クラウドソリューションは、複数拠点バックアップと迅速な復旧オプションにより、ユーザーデバイスへの物理的損傷からデータを保護し、多くのデータセットに対して良好なRPOを提供できます。
ハイブリッド戦略により、企業は異なるデータ層間でRTOとRPOを調整できます。これにより、最も重要なデータが最速の復旧パス(多くの場合、物理的/オンプレミス)を持つことを保証しつつ、重要度の低いデータはクラウドの拡張性とオフサイトの回復力の恩恵を受けることができます。これは、コスト、パフォーマンス、およびリスクの相互作用を考慮した設計です。大規模なデータセット(10〜100TB)の場合、クラウドは「非常に高価」になる可能性があり、NAS/物理的ストレージの方が費用対効果が高い場合があります。両者を組み合わせることで「コストを最小限に抑える」ことができるという指摘は、大企業にとって複雑な最適化問題があることを示唆しています。それは、望ましいRTO/RPOとセキュリティ態勢(リスク軽減)を可能な限り低いコストで達成する方法です。物理的オフサイトの使用は、長期的な不変性を備えた回復力のために、コスト、パフォーマンス、リスクのバランスを最適化する上で重要な要素となります。
今日はここまでと致します
今日はだいぶ短くなりますが、ここまでで終わりたいと思います。次の段落から話が変わりますし、区切りとしてはここが最適かと思いますので。
実は、今日の「バックアップ」に近い概念は大昔からあるんですね。文字というものが発明され、情報が必ずしも人間と一体でなくなったときから、文字で書かれたデータが失われないように複数の複写を作っておこうという考え方は同時に発生したと言ってもよいのではないかと思います。割と歴史を浅く考えても、鑿と鎚でもって石に文字を刻む時代が古代ギリシャで終わり、薄い木の板あるいはパピルスに羽根ペンで文字を書くという、当時としては画期的な情報革命が起こったときに、古代ローマ人たちは古代ギリシャや当時のローマの文献たちを必死で書き写しました。これはやはり「どれかひとつでも後世に残るように」という目的で作られた、この時代のバックアップであるかと思います。
そのころから何度も人類はデータを保存する合理的な方法を編み出してきました。そして今日に至るという感じなのですが、読み書きが楽で、改変や消去に強くて、扱いが簡単で、大容量で…という理想の記録媒体はいまだ発明されていません。デジタル化というのは素晴らしい発明ですが、紙媒体に紙媒体特有のリスクがあるのと同様に、デジタル記録にはデジタル記録特有のリスクがあります。それらすべてのリスクに対して決定的な解決策がないからこそ、複数の媒体に記録をしたり、同じ媒体に保存しても物理的に距離をおいて保存をしたりという方法がとられてきたわけです。
デジタル記録の発達速度はすさまじいものがあります。利便性が日進月歩で向上しています。しかし、利便性に目を取られて「いざというときに使わなければいけないもの」としてのバックアップが疎かになるということであれば、そもそもデジタル記録の発達は何を目的にしているのかという根本的な疑問が問われなければいけません。
いつか来たるべき危機のために、日頃からどこに何を保管して、危機が来たときには何をどう使うかの予定を立てておくという行為がバックアップという行為です。その最も根底を支えるのはやはり物理的に記録されたものを静的に保管しておくということになろうかと思います。何卒よろしくお願いいたします。
さて、例のやつ行きましょうか
Geminiさんのお手並み拝見シリーズです。前回はこんな絵をGeminiさんが描いてくれたんでした。

これはですね。「四代目桂米團治の絵を描いて?」というリクエストに対するGeminiさんの回答です。この人って、写真すら残ってる人なのにって感じです。

(画像はWikipediaより)
後に人間国宝となる桂米朝の師匠ということになりますね。中川清青年(後の桂米朝)を弟子に取ってからわずか4年ぐらいで亡くなったそうですが。
桂米朝さんが折に触れて語っていたことですが、噺は上手かったが非常に陰気な人で、お通夜の晩なんかにはもってこいであったと。
そしてその米朝さんの息子さんがまた噺家となり、五代目桂米團治を名乗ることになったとこういう流れがあるわけですね。
まあGeminiさんは歌舞伎とかそういう芸能の名跡と勘違いしたんでしょうね。それも東から東南のアジア圏の芸能がいろいろ混じってる気がしますが。
さて、今日も1枚お願いしてみましょう。

ヒント行きましょうか。
明治維新のころに活躍した人です
渡米しています
幕臣でもありました
あともうひとつヒントを挙げるとすれば、最近見ないあの方の芸名はこの方の名前の響きを何となくイメージしてつけられたそうです。どうしているんでしょうか、あの方。
というわけで今回はこれぐらいにしておきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
なお、弊社の業務をご紹介するちゃんとしたWebサイトは現在鋭意作成作業中です。今しばらくお待ちください。
目次
クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性
クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在
ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由
弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして
クラウドストレージのメリット・デメリット
Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex
バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その11
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 1
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 2
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その12
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 1
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その13(最終回)
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います その2
オフサイトバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その1
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その2
中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略 その10
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その1
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その3
