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エアギャップバックアップの最新動向について その7

皆様、こんにちは。
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
京都では祇園祭が終わらないと本当の夏は来ない、なんて言われるんですが、本当の夏なんて来なくてもいいです。
さて、例の関係ない話行きましょうか。

大きなオフィスビルの話です。
A氏は上の方の階で働いていて、しばしばビルの外に出ることがあるのですが、たいていの場合最初に来るエレベーターが上行きであることに憤っています。
B氏は下の方の階で働いていて、しばしばビルの最上階に用事があるのですが、たいていの場合最初に来るエレベーターが下行きであることに憤っています。
これは偶然でしょうか?
エレベーターが各階同じ時間停まると仮定しましょう。
そうしますと、A氏がエレベーターの前に立ったときには、エレベーターはA氏のいる階より下にいる可能性が高いです。必然的に、A氏の前に現れるエレベーターは上行きということになります。
B氏がエレベーターの前に立ったときには、エレベーターはB氏のいる階より上にいる可能性が高いです。必然的に、B氏の前に現れるエレベーターは下行きということになります。
このパラドックスは物理学者ジョージ・ガモフとその友人マービン・スターンの書いた『パズル数学』という本に初めて出てきたものです。
このふたり、実はミスを犯していまして、エレベーターが2台以上あるときにも確率はもちろん同じ、と書いてしまったのです。
スタンフォード大学の計算機科学者ドナルド・クヌスは「ガモフ・スターンのエレベーター問題」という論文の中で、エレベーターの数が増えるにつれて、上りまたは下りのエレベーターをつかまえる確率は、どの階においても1/2に近づいていくことを示しました。これ、不思議でしょ?私もなぜそうなるのかわかりません。

さて、前回の続きから入っていきましょう

昨日の続きから入っていきます。バックアップの運用の話からでしたね。
ではまずこの問題を取り上げてみましょうか。

バックアップの自動化

バックアップの自動化は、中小企業が直面するIT人材不足と運用負荷の課題を解決する上で極めて重要な要素です。

メリット:
  ●人的ミスの削減
:手動でのバックアップ作業は、ファイルの誤上書きや誤削除、ストレージの誤フォーマットといった人的ミスを引き起こすリスクが常に伴います 。自動化により、これらのミスを排除し、バックアップの信頼性を高めることができます。
  ●作業時間の短縮と業務効率向上:定型的なバックアップ作業を自動化することで、従業員はこれらのタスクから解放され、より価値の高いコア業務に集中できるようになります 。これにより、労働生産性が向上し、人件費の削減にも繋がります。
  ●24時間365日運用:人手を介さずに、設定されたスケジュールに従ってバックアップが実行されるため、夜間や休日など、業務時間外にも最新のデータを確実に保護できます。
導入方法
  ●専用のバックアップソフトウェアやクラウドサービスが提供する自動バックアップ機能を活用するのが一般的です。
  ●RPA(Robotic Process Automation)ツールをITシステム運用に活用し、定期的なレポート生成やシステムログの収集・分析といった定型業務を自動化する事例もあります。
中小企業への適用:クラウドバックアップサービスは、初期コストが不要で、複雑な操作なしに簡単に導入できるものが多く、中小企業にとって非常に魅力的な選択肢となります。

監視とレポート

バックアップの自動化だけでは不十分であり、その実行状況を「監視」し、結果を「レポート」として確認することが、運用管理の信頼性と効率性を高める上で不可欠です。

重要性:
  ●バックアップの成功確認
:バックアップジョブが正常に完了しているか、失敗しているかをリアルタイムで把握できます 。失敗を早期に検知し、迅速に対応することで、データ損失のリスクを最小限に抑えられます。
  ●リソース消費の最適化:ストレージの空き容量やバックアップウィンドウの超過など、リソース消費状況を把握し、無駄なバックアップを特定することで、効率的なリソース配分が可能になります。
  ●コンプライアンス遵守:「3-2-1ルール」のようなバックアップ要件への準拠状況を確認し、監査レポートとして提供することで、法規制や内部規定への対応を証明できます。
  ●ボトルネックの特定と復旧時間の短縮:データフローのボトルネックを特定し、バックアップ環境の構成を最適化することで、バックアップ時間の短縮や、万が一の際の復旧時間を短縮できます。
監視項目とレポート内容の例:
  ●監視項目
:バックアップジョブの成功/失敗状況、リポジトリの空き容量、バックアップウィンドウの超過状況、保護されていないVMの有無、データ主権違反(データがソースと異なる場所に保存されているか)、設定変更履歴など。
  ●レポート内容:バックアップ環境の構成評価、インフラストラクチャの最適化に関する推奨事項、3-2-1ルールへの準拠状況、リストア操作の履歴、複数のジョブでバックアップされているVMの検出など。
運用改善への活用:
  ●
レポートの推奨事項に従って、バックアップジョブの構成を改善したり、必要なハードウェアやソフトウェアの最適化を実装したりすることで、効率が向上し、リソース消費量が削減され、バックアップ時間が短縮されます。
  ●メール通知設定を活用し、バックアップ失敗時のみ通知するようにすれば、平時の運用負荷を低減できます。
  ●ツール例:Veeam ONE , Azure Backup , arGuss , CustomerStare , Datadog など、中小企業向けのネットワーク監視ツールや統合運用管理ツールが多数存在します。

中小企業はIT人材不足により、システム運用が属人化し、運用負荷が高いという課題を抱えています。バックアップの自動化は、人的ミスを削減し、作業時間を短縮することで、この運用負荷を大幅に軽減します。さらに、監視とレポート機能は、バックアップの成功状況やリソース消費を可視化し、潜在的な問題を早期に発見することで、運用担当者の負担を減らし、効率的な運用改善を可能にします。自動化と可視化は、中小企業がIT人材に依存せずに、バックアップ運用の信頼性と効率性を高めるための重要な戦略であり、限られたリソースをより戦略的なコア業務に集中させることが可能になります。

定期的なテストと復旧演習

バックアップが適切に取得されているだけでは、データ保護は完全ではありません。バックアップデータが実際に「復元可能」であることを確認し、その復旧手順が機能することを定期的にテストすることが極めて重要です。

重要性:
  ●復旧の確実性確保
:バックアップが存在しても、破損していたり、復旧手順が複雑で実行できなかったりするケースは少なくありません。定期的なテストは、このような問題を事前に発見し、修正する唯一の方法です。
  ●復旧時間の測定と計画の改善:模擬的な災害シナリオを設定し、実際に復旧作業を行うことで、復旧に要する時間を正確に測定できます。このデータは、RTO(目標復旧時間)が現実的であるかを確認し、BCP/DRPを改善するための貴重な情報となります。
  ●ランサムウェア対策:データ破損が数日後に判明するランサムウェアのようなケースでは、過去の世代からの復旧能力が不可欠となります 。テストを通じて、感染前のクリーンな状態への復旧プロセスを検証できます。
  ●従業員の習熟度向上:復旧演習は、緊急時に対応する従業員が自身の役割と責任を理解し、冷静かつ適切に行動するためのトレーニングの機会となります。
実践方法:
  ●
少なくとも半年に一度は、模擬的なランサムウェア被害シナリオや自然災害シナリオを設定し、オフラインバックアップやクラウドバックアップからの実際の復元作業を行うことが推奨されます。
  ●可能であれば、本番環境とは隔離されたテスト環境で復旧テストを実施し、本番環境への影響を避けるべきです。
  ●テスト結果は詳細に記録し、復旧手順の課題やボトルネックを特定して改善に繋げます。
BCP/DRPとの連携:
  ●
復旧演習は、DRPの実行可能性を検証し、BCPの全体的な有効性を高める上で不可欠なプロセスです。BCPの「テストと更新」フェーズにおいて、DRPのテスト結果を反映させることで、計画の実効性を維持し、改善サイクルを回すことができます。

バックアップの「信頼性」は、その「復旧可能性」によって初めて担保されます。定期的なテストは、単なるチェック作業ではなく、BCP/DRPの実効性を高め、企業のサイバーレジリエンス(回復力)を強化するための不可欠なプロセスです。中小企業は、バックアップソリューション導入後も、定期的な復旧演習を経営層のコミットメントのもとで実施し、その結果をBCPにフィードバックする文化を醸成すべきです。これにより、いざという時のダウンタイムを最小限に抑え、事業への影響を軽減することが可能となります。

法規制とコンプライアンスへの対応

データ保護は、単なるITシステムの問題に留まらず、法規制遵守と企業の社会的責任に関わる重要な経営課題です。特に個人情報保護法や国際的なデータ保護規制への対応は、中小企業のバックアップ戦略において不可欠な要素となります。

個人情報保護法(PIPL)の遵守

日本の個人情報保護法は、2022年4月の改正施行により、個人情報を扱うすべての企業に対して、より重い責任と厳格なデータ管理、そして情報漏えい時の適切な対応を求めるようになりました。特に、情報漏えい時の個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務化された点は大きな変更点です。

この改正は、中小企業のバックアップ戦略に以下の影響を与えます。

  • 安全管理措置の義務:個人情報取扱事業者は、取り扱う個人データの漏えい、滅失、毀損の防止その他の安全管理のために「必要かつ適切な措置」を講じる義務があります。これには、組織的、人的、物理的、技術的安全管理措置が含まれており、バックアップはその重要な一環と見なされます。

  • 暗号化の推奨:個人情報保護法ガイドラインは、個人データの暗号化を明確に推奨しています。特に、個人データを含む通信経路や内容の暗号化、移送する個人データのパスワード保護が具体的な手法として例示されています。高度に暗号化された個人情報が漏えいした場合、外部への報告義務が免除される場合があるため、暗号化はデータ保護の「最後の砦」となり得ます。AES 256ビット暗号化は、実質的に解読不可能とされ、データ保護に優れる強力な技術です。

  • 保存期間の管理:個人データを第三者に提供した場合、原則としてその記録を3年間保管する義務があります。また、利用目的を達成して不要となった個人データは、遅滞なく消去する努力義務が課されています。バックアップデータについても、この原則に沿った管理が必要です。

  • データ所在地の把握:外国に個人データを保存する場合(例:外国のサーバーを利用するクラウドサービス)、当該外国の個人情報保護制度を把握し、本人に講じた安全管理措置を知らせる義務があります。これはクラウドバックアップサービス選定時の重要な確認事項となります。

  • 委託先の監督:個人データの取り扱いを外部の事業者に委託する場合、委託先が適切な安全管理措置を講じているか、必要かつ適切に監督する義務があります。クラウドバックアップサービスを利用する際は、提供事業者の信頼性やセキュリティ対策(ISO27001認証など)を厳格に評価することが求められます。

GDPRなど国際的なデータ保護規制への対応

ビジネスのグローバル化に伴い、日本の企業もEUのGDPR(一般データ保護規則)のような国際的なデータ保護規制への対応が求められる場合があります。GDPRは、EU圏内に所在する個人に関するデータを扱う場合、その企業がEU圏外にあっても適用される可能性があります。氏名や住所はもちろん、個人の健康や所得に関する情報、さらには位置情報やIPアドレス、Cookieなどのオンライン識別子も個人情報として対象となります。これらのデータを収集し、利用する際には、GDPRで規定された厳格なルールを守らなければなりません。国際的なデータ移送もGDPRの適用対象となるため、海外のクラウドサービスを利用する際には、そのデータ所在地や提供事業者のコンプライアンス体制を十分に確認する必要があります。

法規制遵守は、単なる「義務」ではなく、企業の「信頼性」と「競争力」を左右する戦略的要素となっています。個人情報保護法がバックアップデータの暗号化やオフサイト保管、委託先管理を実質的に推奨していることは、中小企業がこれらの対策を講じる動機付けとなります。これらの規制に準拠しない企業は、競争力を失い、取引停止リスクに直面する可能性があるため、中小企業は法改正の最新情報を常に把握し、バックアップシステムがこれらの要件を満たしているか定期的に見直すことで、法的リスクを回避し、顧客や取引先からの信頼を獲得できるのです。

費用対効果の評価と導入のポイント

中小企業がバックアップ戦略を策定・導入する際、限られた予算とリソースの中で最大限の効果を得るためには、費用対効果の適切な評価と、導入の容易性を重視した選定が不可欠です。

費用対効果(ROI)の計算と評価指標

バックアップへの投資は、データ損失という潜在的なリスクを回避し、事業継続性を確保するための「予防的投資」と捉えるべきです 。その費用対効果を評価する際には、単に導入コストや月額費用だけでなく、多角的な視点からアプローチすることが求められます。

  • 費用対効果の定義とROI:費用対効果とは、投資した費用に対してどれだけの効果が得られたかを示す指標です 。これを数値で表す指標の一つがROI(Return On Investment:投資利益率)であり、

    ROI = (利益や効果 – 投資費用) ÷ 投資費用 × 100 (%)

    で算出されます 。ROIが100%を超えれば、投資額以上の利益が得られていることを意味します 。  

  • 定量的効果:数値で表せる効果としては、以下が挙げられます。
     ●業務工数の短縮:自動化によるバックアップ作業時間の削減。
     ●人件費の削減:バックアップ担当者の工数削減による人件費の低減
     ●売上拡大・機会損失の防止:データ損失による事業停止を防ぎ、売上機会の損失を回避。
     ●残業時間の減少:運用負荷軽減による従業員の残業時間削減。
     ●ミス件数の減少: 自動化による人的ミスの排除。

  • 定性的効果:数値化しにくいものの、長期的に見て企業価値に貢献する重要な効果です。
     ●従業員のストレス減少:運用負荷の軽減やデータ損失の不安解消。
     ●業務の属人化解消:バックアップ運用が特定の個人に依存するリスクの解消。
     ●余剰労働力の活用:浮いたリソースをコア業務や新規事業に投入。
     ●競争優位性の確保:堅牢なBCP体制が取引先からの信頼を高める。
     ●顧客の信頼獲得:情報漏えい対策や迅速な復旧体制が企業の社会的信用を向上。

  • 評価の重要性:単に低価格なサービスを選ぶのではなく、料金に対する成果、料金体系の透明性、長期的な価値(ROI)を総合的に評価することが求められます 。特に中小企業では、IT人材不足が深刻であり、RPAによる自動化やクラウドサービスによる運用アウトソースが、直接的なコスト削減だけでなく、コア業務への集中や労働生産性向上に寄与するため、これらの間接的な利益も費用対効果の評価に含めるべきです。

導入の容易性

中小企業がバックアップソリューションを選定する上で、導入の容易性は費用対効果と同様に、あるいはそれ以上に重要な判断基準となり得ます。

  • 評価項目:
     ●初期設定の複雑さ
    :導入時の設定作業がどれだけ簡単か。
     ●既存システムとの連携:現在利用しているシステムやアプリケーションとの互換性や連携のしやすさ。
     ●ユーザーインターフェースの直感性:IT専門知識がない従業員でも直感的に操作できるか。
     ●ベンダーサポートの充実度:導入時や運用中のトラブル発生時に、迅速かつ的確なサポートが受けられるか(日本語マニュアルの有無、専任サポートの有無など)。
     ●導入期間:サービス利用開始までの期間。

  • 中小企業への影響:ITリテラシーが限られる中小企業にとって、研修不要で簡単に使えるユーザーインターフェースや、初期コスト不要で導入できるクラウドバックアップは特に魅力的です。導入の容易性は、ソリューションが社内で定着し、継続的に運用されるかどうかに直結します。

中小企業向けバックアップソリューション選定のポイント

これまでの議論を踏まえ、中小企業がバックアップソリューションを選定する際の主要なポイントを以下にまとめます。

  1. データの重要性に応じた優先順位付け:全てのデータを同じ頻度・方法でバックアップすることは非効率であり、現実的ではありません。ビジネスインパクト分析(BIA)を通じて、事業継続に不可欠な中核データとシステムを特定し、それらのRTO/RPO要件に基づいてバックアップ頻度や保存方法を差別化する「段階的アプローチ」を採用すべきです。

  2. 「3-2-1ルール」の適用:データの堅牢な保護のためには「3つのコピー(オリジナル+2つのバックアップ)、2種類の異なるメディア、1つのオフサイト保管」という「3-2-1ルール」を徹底することが基本です。特にオフサイト保管には、コスト効率と運用容易性からクラウドサービスの活用を積極的に検討すべきです。

  3. クラウドサービスの活用:コスト効率、運用容易性、災害対策、そしてランサムウェア対策の観点から、クラウドバックアップは中小企業にとって最も現実的かつ強力な選択肢です。特に、書き込み後にデータを変更できない「イミュータブルストレージ」機能や、AIを活用したランサムウェア対策機能を備えたサービスを重視すべきです。

  4. RTO/RPOの明確化:事業継続の要件に基づき、目標復旧時間(RTO)と目標復旧時点(RPO)を具体的に設定し、それに合致するバックアップの種類(フル、増分、差分、永久増分)やソリューションを選択します。

  5. 自動化・監視・レポート機能の重視:限られたIT人材で運用負荷を軽減し、バックアップの信頼性を高めるためには、自動バックアップ、リアルタイム監視、詳細なレポート機能が充実したツールを選ぶことが重要です。これにより、問題の早期発見と迅速な対応が可能になります。

  6. セキュリティ対策の確認:データが外部に保存されるクラウドサービスを利用する際は、提供事業者のセキュリティ体制を厳格に確認することが不可欠です。データ暗号化(AES-256など)、多要素認証(MFA)、厳格なアクセス権限管理、データセンターの物理セキュリティ、第三者認証(ISO27001など)の有無などを確認します。

  7. 定期的な復旧テストの実施:バックアップデータが実際に機能することを保証するため、少なくとも半年に一度は模擬的な復旧演習を実施し、計画と手順の実効性を検証することが極めて重要です。これはバックアップ戦略の「生命線」とも言えます。

  8. 法規制・コンプライアンスへの対応:個人情報保護法やGDPRなど、関連するデータ保護規制にバックアップ戦略が準拠しているかを確認します。特にデータ所在地や委託先の監督義務は重要な考慮事項です。

バックアップへの投資は、単なるITコストではなく「事業継続保険」としての性格を持ちます。その費用対効果は、目に見える数値だけでなく、見えないリスクの回避や組織全体の生産性向上によっても測られるべきです。中小企業は、バックアップソリューション選定時、初期費用とランニングコストだけでなく、長期的な視点での総所有コスト(TCO)と、事業レジリエンス強化による間接的な利益を総合的に評価するフレームワークを持つべきです。導入容易性と運用負荷の低減は、中小企業が長期的に安定したデータ保護を実現するための決定的な要因となるため、機能の豊富さ以上に、導入から運用までの「手軽さ」と「サポート体制」を重視することが推奨されます。

まとめと推奨戦略

中小企業にとって、データバックアップはもはや単なるIT運用の一部ではなく、事業継続と企業価値を守るための「生命線」であり、経営戦略上不可欠な「予防的投資」であると言えます。サイバー攻撃の高度化、自然災害の多発、そして人的ミスといった複合的なリスクが中小企業に集中する現代において、堅牢なバックアップ戦略の構築は喫緊の課題です。

中小企業向けバックアップ戦略のロードマップ

中小企業が効果的なバックアップ戦略を構築し、運用するためのロードマップを以下に示します。

  • ステップ1:現状把握とリスク評価
     ●
    まず、自社が保有するデータ資産を洗い出し、その重要度を分類します。顧客情報、会計データ、設計図面、契約書など、事業継続に不可欠なデータを明確に特定します。
     ●次に、これらのデータに対して想定される脅威(ランサムウェアなどのサイバー攻撃、地震や豪雨などの自然災害、従業員の誤操作や不正持ち出しなどの人的ミス)を特定します。
     ●そして、これらの脅威が顕在化した場合に事業に与える影響を評価するビジネスインパクト分析(BIA)を実施します。この分析に基づき、各データやシステムについて、目標復旧時間(RTO)、目標復旧時点(RPO)、目標復旧レベル(RLO)を具体的に設定します。これにより、限られたリソースを最も重要な部分に集中させることが可能になります。

  • ステップ2:「3-2-1ルール」に基づく多層防御の設計
     ●
    データ保護の基本原則である「3-2-1ルール」を徹底します。これは、オリジナルデータに加え、最低2つのバックアップコピーを確保すること(合計3つのデータ)、それらを2種類以上の異なるメディアに保存すること、そして少なくとも1つのコピーを物理的に離れた場所(オフサイト)に保管することです。
     ●特に、ランサムウェア対策としては、ネットワークから物理的に隔離されたオフラインバックアップ(エアギャップ)や、一度書き込んだら変更できない「イミュータブルストレージ」の導入を検討し、多層防御体制を構築します。クラウドサービスは、オフサイト保管の容易な手段として非常に有効です。

  • ステップ3:最適なソリューションの選択
     ●
    中小企業が直面するIT人材不足や予算の制約を考慮し、導入の容易性と運用負荷の低減を重視したソリューションを選定します。クラウドバックアップまたはハイブリッドバックアップは、これらの課題を解決する現実的な選択肢となります。
     ●自動化、リアルタイム監視、詳細なレポート機能が充実したサービスを選び、運用管理の負担を最小限に抑えます。
     ●データ暗号化(AES-256など)、多要素認証、厳格なアクセス権限管理、データセンターの物理セキュリティ、第三者認証(ISO27001など)の有無など、提供事業者のセキュリティ機能を厳格に確認します。
     ●個人情報保護法やGDPRなどの関連法規制への準拠状況、特にデータ所在地や委託先の監督体制について確認し、コンプライアンスリスクを回避します。

  • ステップ4:定期的な運用と改善
     ●
    導入したバックアップシステムは、必ず自動化を設定し、人的ミスを排除します。
     ●監視ツールやレポート機能を活用し、バックアップジョブの成功状況、ストレージ使用状況、潜在的な問題などを定期的に確認します。
     ●最も重要なのは、バックアップデータが実際に復元可能であることを確認するための「定期的な復旧テスト」です。少なくとも半年に一度は、模擬的な災害シナリオを設定し、実際の復旧作業を行い、計画と手順の実効性を検証します。このテスト結果をBCPにフィードバックし、継続的に計画を改善していくことが、事業レジリエンス強化の鍵となります。
     ●ビジネス環境や新たな脅威(例:新たなサイバー攻撃手法)の変化に応じて、バックアップ戦略全体を継続的に見直し、改善していくPDCAサイクルを確立します。

最終的な提言

中小企業にとって、バックアップは単なるデータのコピーではなく、事業継続と企業価値を守るための「生命線」であり、戦略的な投資です。限られたリソースの中で最大限の効果を得るためには、技術的な側面だけでなく、導入の容易さ、運用負荷の低減、費用対効果、そして法規制遵守を総合的に考慮したアプローチが不可欠です。

クラウド技術の進化は、中小企業が手軽に堅牢なバックアップ体制を構築できる強力な機会を提供しています。これを最大限に活用し、定期的なテストと改善を継続することで、いかなる脅威にも揺るがないレジリエントな事業基盤を確立することが可能となります。データ保護への投資は、将来の不測の事態に対する最も確実な保険であり、企業の持続的な成長と社会からの信頼を確保するための基盤となるでしょう。

と、ここまでが教科書的な解なのですが

なんだよ、結局のところやることが多すぎて何をやっていいかわからないよ、というような声が聞こえてくるような気がいたします。
だから、もうやることはふたつに絞りましょう。
前々回も出しましたIPAのこの資料ですが

「中小企業の情報セキュリティ対策に関する実態調査2024」
本文は公式サイトでご覧ください
https://www.ipa.go.jp/security/reports/sme/nl10bi000000fbvc-att/sme-chousa-report2024r1.pdf

この資料を使って教育を行いましょう。近年の情報セキュリティについて詳しく述べられています。結構分厚い資料なのが玉に瑕ですが、例えば一定の長さごとに区切って各従業員に割り振り、みんなで集まって「どういうことが書いてあったか」なんていうことを共有するのもいい方法です。皆様も何回かそういう経験はおありなんじゃないでしょうか。
とりあえず、これなら最大でもダウンロードしたものを印刷する費用だけですみます。
そして、まずバックアップ第一弾として弊社をご利用ください。弊社のバックアップは物理的エアギャップを実現していますのでサイバー攻撃に対しては滅法強いです。さらに、データだけでなくシステムもバックアップ可能ですので、物理的に御社のデータ取り扱い用の機材が破損したとしても、システムのバックアップから迅速に起動することができます。
そしてまた、弊社のバックアップは「バックアップの3-2-1ルール」のうち、エアギャップとオフサイトの2つの条件を満たしているのです。とりあえずこれで安全を図っておいて、例えばクラウドも使うことにしよう、という話になったときにはどういう使い方が望ましいのかご相談にも乗らせていただきます。
この資料で見たように、クラウドに頼り切っていると、自分のデータが物理的に存在する場所に無意識のうちにデータが置かれてしまい、それが現地法に抵触することがあり得ます。そういう意味では弊社のサービスはご安心いただけると思います。
ぜひよろしくお願いいたします。

長くなってもやっぱりやります

AIさんのお手並み拝見シリーズに行きましょう。
前回はこんな絵を描いてもらったのでした。

これは誰でしょう?

これは「上泉信綱を描いて?」というリクエストにGeminiさんが応えてくれたものです。
上泉信綱というのはあまり知られていないかも知れませんが、戦国時代の兵法家で、剣の流派をいろいろ学んだようなんですが、よくわかっていない部分も多いです。
今回はお題そのものが難しすぎましたかね。しかし剣が2振りあるのに鞘がひとつしかない絵が好きだなGemini。
銅像が残っています。

上泉信綱像

という訳なんですが、今日は簡単なの行きましょうか。

これは誰でしょう?

ヒント行きましょうか。

  1. 正直、見たまんまです

  2. 歌舞伎の題材にもなっています

  3. よい人なのか悪い人なのかと聞かれれば、悪い人なんじゃないでしょうか

まあ正確ではある絵ですが…全然違うよ。
では今日はこれまでと致します。
今後ともよろしくお願いいたします
なお、弊社の業務をご紹介するちゃんとしたWebサイトは現在鋭意作成作業中です。今しばらくお待ちください。

目次

クラウドストレージが持つ特有のリスク

クラウドストレージが持つ特有の脆弱性

クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性

クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在

ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由

弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして

クラウドストレージのメリット・デメリット

Microsoftさん、それはないでしょう

事業継続計画の立て方 その1

Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex

事業継続計画の立て方 その2

事業継続計画の立て方 その2 の注釈

事業継続計画の立て方 その3

パソコンのデータが飛ぶ5つのケース

BitLockerをいろいろ使ってみました

事業継続計画の立て方 その4

パソコンのデータが飛んだ際のリスク10選

クラウドネイティブ時代のバックアップのあり方について

ランサムウェア対策としてのバックアップについて

中小企業向けバックアップメディアのおすすめをご紹介

中小企業のデータバックアップ方法 おすすめはクラウドです

中小企業がバックアップを行う際の問題点と解決策

Linuxのバックアップ機能について

探り探りApple社製品について

今日は軽めに私的情報セキュリティ回顧録

バックアップで対処できる情報の脅威

バックアップで対処できない情報の脅威

バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?

データバックアップ 中小企業に相応しい取り方とは?

データバックアップに関する最近の事件について

弊社サービスにつきまして

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6

オンラインバックアップとオフラインバックアップの違い

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7

AIとバックアップについて

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8

私的リストア事件簿(T△T)

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9

バックアップをしている会社・していない会社

IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト

バックアップの3-2-1ルール 進化中

警察発表の資料を見ていきましょう!

警察発表の資料を見ていきましょう!その2

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4

ハードウェアとバックアップに関するあれこれ

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2

市販品USBケーブルに仕掛けられた罠

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3

世界シェアNo.1ルータはセキュリティ上問題あり?

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4

ネットワーク機器の危機続々

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5

2024年~現在に至るマルウェア動向について

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6

クラウドサービスは信頼できるのか?

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7

バックアップが役に立ったお話

日用使いのHDDが壊れるとき

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8

バックアップの変則的な使い方について

弊社サービスの内容につきまして

ランサムウェアとバックアップについての最近の話題について

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9

今日は雑談をお許し下さい

自動バックアップについて

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10

バックアップのこれまでとこれから

─事件を解決せよ─ CASE1:フォルダを開くのが重い

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その11

─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 1

─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 2

今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その12

─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 1

─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 2

ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その13(最終回)

ハイブリッドバックアップに関しての考察

データ復旧業務につきまして その1

データ復旧業務につきまして その2

データ復旧業務につきまして その3

データ復旧業務 音楽CD系編

データ復旧業務 ゲームCD系編&次世代オーディオ編

データ復旧業務 その他編

今さらながら私という人間について その1

今さらながら私という人間について その2

今さらながら私という人間について その3

今さらながら私という人間について その4

今さらながら私という人間について その5

サーバーの種類とそのバックアップ方法について

情報を扱う者がこれ言ったら終わりなんじゃないかということ

バックアップとSDGs

今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います その2

コンピュータとバックアップの歴史について

オフサイトバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います

オフサイトバックアップに関する最新の話題をいくつか その1

オフサイトバックアップに関する最新の話題をいくつか その2

バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その1

バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その2

バックアップ費用の会計上処理について

バックアップにかかる費用対効果について その1

バックアップにかかる費用対効果について その2

バックアップ戦略が情報事故の被害軽減に与える影響 その1

バックアップ戦略が情報事故の被害軽減に与える影響 その2

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今日は番外編・気分はサッチモで

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