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【見えない邪悪⑦】日本はどの段階?ジェノサイドへの8段階モデル

日本🇯🇵では次から次へと悪法が可決して、着実にファシズムが進行しています。かつて、麻生太郎が「ナチスに学べ」「気づかぬうちに改憲」と言っていましたが、まさに庶民には何が起きてるか?分からないまま、改憲に突き進んでいることが分かるかと思います。
そこで、今回は、ナオミ・ウルフ「ファシズム化10ステップ」やグレゴリー・スタントン「ジェノサイドの8段階(10段階)」などを参考にして、どのようなステップでジェノサイドやファシズムに突き進んでいるか?全体像を明らかにしたいと思います。
ざっくりと全体像や全体の流れを掴むのにお役立て下さい。

麻生「気づかぬうちに改憲」


第1章 ファシズムにおける善悪の逆転——何がどうひっくり返るのか?

「ファシズム」という言葉を聞くと、多くの人はヒトラーやムッソリーニのような独裁者を思い浮かべます。しかし実は、ファシズムは独裁者が突然現れることで始まるのではありません。「社会の価値観」が少しずつ、静かにひっくり返っていくことで始まります。

具体的に、何がどうひっくり返るのか、少し整理してみましょう。

第1章1節 普通のまともな法治社会では

・嘘をついた人は信用を失い、社会的な批判を受ける
・暴力を振るった人は法律によって裁かれる
・弱い立場の人を助けることが「道義的に正しい行為」とされる
・権力者の不正を告発することは「勇気ある行動」として評価される
・戦争は「最後の手段」として最大限忌避される


第1章2節 ファシズムが浸透した社会では

一方、日本やイスラエルなどファシズムが浸透した社会ではどうなるか?というと

・権力者に都合のいい嘘をついた人が「愛国者」「英雄」として賞賛される
・権力者が命じた暴力は「正義の執行」として正当化される
・弱い立場の人を助けることが「国家の敵の手助け」として非難される
・権力者の不正を告発することは「国家反逆罪」「スパイ行為」として逮捕・制裁の対象になる
・戦争は「国家の誇り」「必要な犠牲」として称えられる

つまり、簡単に言うと、ファシズムとは「善悪の座標軸そのものが180度回転した社会」のことです。そして最も恐ろしいのは、この逆転が起きているとき、社会の中にいる人々は「自分たちは正しいことをしていると信じているという点」です。「虐殺は正しい」と言っているおかしな人がいますが、そう思い込んでると言うことです。


第1章3節 三笠宮崇仁親王が残した本質を突いた言葉

この現象について、歴史の当事者として誰よりも鋭く本質をついた言葉を残された人物がいます。昭和天皇の末弟であり、第二次世界大戦中に陸軍将校として中国戦線に従軍した三笠宮崇仁親王は、1959年に刊行した著書『日本のあけぼの』の中でこう書いています。

「偽りを述べる者が愛国者とたたえられ、真実を語る者が売国奴と罵られた世の中を、私は経験してきた。……それは過去のことだと安心してはおれない。……紀元節復活論のごときは、その氷山の一角にすぎぬのではあるまいか」

三笠宮崇仁親王(1915〜2016年)は皇族でありながら、戦時中の日本軍の蛮行を批判し、戦後も一貫して歴史の直視と平和の重要性を訴え続けました。「戦争の加害者側の内側にいた人間」が残したこの証言は、善悪の逆転がいかに具体的かつ現実的な現象であるかを証明しています。

三笠宮崇仁親王の言葉


第2章 なぜ普通の社会は「善悪の逆転」を防げるのか?


第2章1節 3つの制度的安全装置

普通の民主主義社会が善悪の逆転を防げる理由は、「①嘘をつくとコストが生じる仕組み」「②権力の分立」「③内部告発者の保護」という3つの制度的安全装置が機能しているからです。

①嘘をつくとコストが生じる仕組みとは、メディアがファクトチェックをして虚偽を指摘し、独立した司法が不正を処罰し、有権者が嘘をついた政治家を選挙で落とす——という一連の社会的なフィードバックループのことです。

②権力の分立とは、行政・立法・司法が互いを監視し牽制し合うことで、どれか一つの権力が暴走することを防ぐ仕組みです。

③そして内部告発者の保護制度は、組織内の不正を知った人間が報復を恐れずに声を上げられる環境を作り出します。

これら3つの仕組みが機能している限り、「善悪の逆転」は自動的に修正されます。自浄作用が働くと言うことです。

第2章2節 逆にファシズム社会では何が起きるのか?

ファシズム社会では、上述の3つの安全装置が全て「逆向き」に機能し始めます。

第2章2節1項 嘘をつくとコストが生じる仕組みが崩壊

まず、「嘘をつくとコストが生じる仕組み」が崩壊します。代わりに、「権力者に都合のいい嘘をついた人間は報酬を得る」構造が形成されます。政府に批判的な報道をすれば電波を止められ、権力者の不正を告発すれば逮捕される——こうして「真実を語るコストが異常に高くなり」、誰もが恐れて本当のことを言わなくなります。

第2章2節2項 司法・メディア・議会の形骸化

次に、「権力の分立」が形骸化します。司法が政権に忖度して不正を見逃す、メディアが政府の広報機関になる、議会が行政のやることを追認するだけになる、与野党が癒着して国民を騙して損をさせる——こうして「権力を監視する機能が次々に失われて」いきます。

第2章2節3項 告発者が「裏切り者」にされる

さらに、「内部告発者の保護」が機能しなくなります。それどころか、不正を告発した人間が「組織の裏切り者」「スパイ」として激しいバッシングを受け、社会的に抹殺される事例が増えます。これは既に日本でも近年、兵庫県知事の内部告発問題(2024年)や鹿児島県警の内部告発潰しなど、具体的な実例として各地で現れています。偶然の現象ではありません。


第3章 ジェノサイドへの8段階モデル

ファシズムによる善悪の逆転が、最悪の場合どこに行き着くのか。その答えを示したのが、ジェノサイド研究の第一人者であるアメリカの社会学者グレゴリー・スタントン博士です。
スタントン博士は1996年に国務省に提出した論文「ジェノサイドへの8段階(Eight Stages of Genocide)」の中で、集団虐殺が起きる前には必ず段階的なプロセスがあることを理論化しました。

グレゴリー・スタントン「ジェノサイドの10段階」

ジェノサイド(集団虐殺)は、ある日突然起きるものではありません。一見「平和な社会」に見える状況の中でも、この8段階が着々と進行していることがあります。「ナオミ・ウルフのファシズム化10ステップ」とも共鳴する内容であり、2つの理論を組み合わせることで、ファシズム化→ジェノサイドへの道筋をより立体的に理解することができます。

「ナオミ・ウルフのファシズム化10ステップ」


今回は以下の「ジェノサイドへの8段階モデル」で分かりやすく解説します。ざっくりと全体像や状況を把握するために活用して下さい。

ジェノサイドへの8段階モデル


第4章 第1段階:まず「合法的に」搾取の仕組みを作る


第4章1節 最もやっかいな「法律を使った」不正

この段階が最もやっかいなポイントです。なぜなら、「法律を破っていない」からです。むしろ、この段階の特徴は「法律を使って」不正を制度化することにあります。

「ルールを守りながら」不正を制度化する手法として、「ロビイング(政策への働きかけ)」「規制緩和」「税制優遇」の3つが典型例として挙げられます。ロビイングとは、企業や団体が政治家に働きかけて、自分たちに有利な法律を作らせる行為です。アメリカでは合法的な政治活動として認められており、ワシントンDCには数千人規模のロビイストが登録されています。
彼らは「シンクタンク」「政策提言」「選挙協力」という名目で議員に資金を提供し、企業に有利な規制緩和や税制優遇を実現させます。


第4章2節 「社会の安全網」を骨抜きにする規制緩和

規制緩和は、表向きには「ビジネスのしやすさを高める」という名目で行われますが、実態は環境規制・労働者保護・消費者保護といった「社会の安全網」を骨抜きにすることでもあります。
そして「税逃れの制度化」——タックスヘイブン(租税回避地)の活用や、複雑な企業組織の構築による合法的な節税は、「法律違反ではない」のに、実質的には社会への義務(税負担)を逃れるシステムです。


第4章3節 「見えなくする」ことが最大の戦略

この段階における「見えなくする」という戦略も重要です。開示請求しても黒塗りの文書が公開されたり、国民に真相が知らされなくなり、悪事が隠蔽されて明るみに出なくなります。
「戦争をしたい」→「安全保障のため」、
「搾取したい」→「非正規雇用・ギグワーカーの拡大」、
「労働者の権利を認めたくない」→「労組潰しや御用組合の経営陣との癒着」——こうしたすり替えが、すべてこの段階で起きます。
「性犯罪報道の男消し」「報道しない自由」など「ワザと国民に見えなくするテクニック」がアチコチで行われて常態化します。


第5章 第2段階:「気づいた人」を監視し始める


第5章1節 「合法性の嘘の仮面」を剥がされることへの恐怖

社会に搾取の仕組みが作られると、必ず「おかしい」と気づく人が現れます。第2段階は、そうした「気づき始めた人々」を監視し始める段階です。権力者にとって最も脅威となるのは「真実を知った人々が声を上げること」です。なぜなら、第1段階の不正が「合法的な形を装っている」以上、その「合法性の仮面」を剥がされることが最大のリスクだからです。
不正してるのがバレたら厄介ですよね?

そこで第2段階では、
①通信傍受・監視技術による情報収集
②「スパイ法」「国家秘密保護法」などの法律整備
③情報提供者への見せしめ的な摘発
——この3つの手法が組み合わせて使われます。


第5章2節 歴史的事例:ナチスドイツのゲシュタポと密告社会

歴史的な事例として最もわかりやすいのが、ナチスドイツの国家秘密警察(ゲシュタポ)です。
ゲシュタポは1933年4月26日に設立され、令状なしの逮捕・拷問・強制収容所への送致を合法的に行うことができました。
当初は「共産主義者やユダヤ人スパイの取り締まり」が名目でしたが、次第にあらゆる政権批判者、ジャーナリスト、労働運動家、宗教指導者が監視・逮捕の対象となっていきました。ゲシュタポの特徴は、「専門の密告ネットワーク」の存在です。
一般市民が隣人・同僚・家族を密告するシステムが社会全体に張り巡らされ、密告は「愛国的行為」として奨励されました。その結果、ドイツ社会全体が「誰かに見られているかもしれない」という恐怖に支配され、自主規制と相互監視が常態化しました。
この事実は「ニーメラーの警句」としてご存知の方も多いでしょう。

ニーメラーの警句


第5章3節 現代における監視の進化——スノーデン暴露

現代における監視の進化も見逃せません。2013年6月5日、元NSA(アメリカ国家安全保障局)職員エドワード・スノーデンは、NSAが「PRISM」というプログラムを通じて世界中の一般市民の通話・メール・SNSを無差別に収集していたことを英紙ガーディアンを通じて暴露しました。

特に衝撃的だったのは、Microsoft・Google・Apple・Skypeなど9社の大手IT企業がNSAにデータへのアクセスを提供していたこと、そしてドイツのメルケル首相の携帯電話まで盗聴されていたことです。


第5章4節 現代における監視の進化——パランティアのAI監視

さらに現代では、AIと大規模データ分析を組み合わせた監視システムが急速に発展しており、アメリカのパランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)が開発したシステムは、SNSの投稿・位置情報・購買履歴・通話記録などを統合分析して「潜在的な脅威」を予測するものです。
このシステムはすでにICE(移民・関税執行局)などが活用しており、2025年には移民の大規模摘発に使用されたと報告されています。


第6章 第3段階:「緊急事態」を作り出して人々を怖がらせる

第2段階で監視網が整備されると、次は「人々を恐怖に陥れる」段階に移行します。これが第3段階、「緊急事態の人工的製造」です。

第6章1節 恐怖は権力者の「最も使い勝手のいい道具」

「恐怖」は、権力者にとって最も使い勝手のいい道具です。
人々が「自分たちは今、脅かされている」と感じると、理性的な判断ができなくなり、「脅威から守ってくれる強い指導者」を求めるようになります。これは心理学で「Terror Management Theory(恐怖管理理論)」と呼ばれる現象です。
ファシズムが台頭するとき、権力者たちは必ず「外部の敵」「内部の敵」という形で恐怖の対象を作り出します。
「移民が犯罪を起こす」「朝鮮人や中国人🇨🇳が犯罪を起こす」「テロリストが潜伏している」「あの国が攻めてくる」——こうしたナラティブが繰り返されることで、社会全体が恐怖と不安に支配され、「緊急措置」への支持が高まります。


第6章2節 歴史的事例:国会議事堂放火事件

歴史的事例として最も有名なのが、ナチスドイツの「国会議事堂放火事件」です。
1933年2月27日夜、ドイツの国会議事堂(ライヒスターク)が火災に遭いました。翌28日、ヒトラー内閣は「共産主義者の反乱の危機」を名目に「国会議事堂放火令(ライヒスターク火事令)」を発令し、憲法上の基本権を停止しました。
多くの歴史家は「ナチス党自身が仕組んだか、あるいは意図的に利用した」可能性を指摘しています。要するに自作自演の可能性が高い訳です。
ヒトラーはこの「緊急事態」を最大限に利用し、野党議員の逮捕・集会の禁止・報道検閲を「合法的に」実施しました。「緊急事態」が「独裁制度の確立」への扉を開く典型的な事例です。


第6章3節 現代における「移民=犯罪者」という虚偽のナラティブ

現代においても、この「恐怖の人工的製造」は巧妙に行われています。
「移民が増えると犯罪が増える」という主張は、多くの国でデマであることが統計的に示されていますが、繰り返し流布されることで「常識」として定着します。
アメリカでは2015〜2016年の大統領選挙期間中、「メキシコ系移民は強姦犯や麻薬密売人だ」という主張が繰り返され、移民への恐怖感を社会に植え付けました。しかし、米国司法省の統計によれば、移民(特に不法移民)は一般市民と比べて犯罪率が低いことが複数の研究で示されていたりします。


第7章 第4段階:「緊急だから法律を一時停止します」と宣言する

恐怖が十分に社会に広まると、権力者は「緊急だから」という理由で憲法・法律上の保護を「一時的に」停止する動きに出ます。これが第4段階です。


第7章1節 「一時的」が恒常化するメカニズム

「緊急措置」の最も危険な特性は、「一時的なもの」として導入されたものが、いつの間にか「恒常的なもの」になるという点です。人々は「緊急事態が終われば元に戻る」と信じますが、権力者は「緊急事態を終わらせない」ことで恒常的な権力拡大を実現します。
ウクライナ戦争もガザ🇵🇸ジェノサイド💀も終わらないのは、「緊急事態を終わらせたくないから」と言われています。


第7章2節 歴史的事例:「法による法の自殺」——全権委任法

歴史的な極致が、ナチスドイツの「全権委任法」です。
1933年3月23日、ドイツ国会は「民族および国家の危難を除去するための法律」——通称「全権委任法(Ermächtigungsgesetz)」を可決しました。この法律は、ヒトラー内閣に対して国会の審議なしに4年間「自由に法律を制定する権限」を与えるものでした。
つまり、「議会が自分で"議会を不要にする法律"を可決した」のです。これは「法による法の自殺」と呼ばれています。
この全権委任法によって、ヒトラーは「合法的に何でもできる状態を手に入れ」ました。

一時的な緊急措置?

重要なのは、この法案が当初「緊急措置」「一時的な権限委譲」として提示されたという点です。
しかし1937年に延長され、1939年にも再延長され、結果的に戦争終結まで有効であり続けました。「一時的な緊急措置」が、いかに簡単に「永続的な独裁体制にすり替わる」かを示す典型的な事例です。




第8章 第5段階:軍と警察の力をどんどん強める

「緊急事態」の下で権力が集中すると、次のステップは「実力組織(軍・警察)の強化」です。これが第5段階です。防衛費や警察の予算が爆増します。
自衛隊も警察も内調も大喜びです。


第8章1節 「敵」を処理するための装置を作る

権力者は、第3段階で設定した「敵」(移民、外国人スパイ、テロリスト、共産主義者など)を「実際に処理する」ための組織と法的根拠を必要とします。
この段階では、
①警察への軍事的権限の付与
②民間への軍事論理の浸透
③「敵」を排除する専門部隊の設置
——という三つの動きが現れます。


第8章2節 「英雄」と「犯罪者」の再定義

この段階で特に注目すべきは、「英雄」と「犯罪者」の社会的定義が書き換えられる点です。
軍人・警察官・国家に服従する人間が「英雄」とされ、
権力に抵抗する人間・国際法を持ち出す人間・「人権」を語る人間が「甘い」「反国家的」として批判されるようになります。


第8章3節 日本における「人権」バッシングの言説

日本では近年、「人権」という言葉そのものに「外国の価値観の押し付け」「社会の秩序を乱す概念」というネガティブなイメージを結びつけようとする言説がSNS上で見られます。これは「英雄と犯罪者の再定義」の現代的な形と見ることができます。「人権を守れと言うやつは社会の敵だ」という空気が社会に広まるとき、第5段階はすでに深く進行していると考えるべきです。


第9章 第6段階:反対意見を持つ人を「内側の敵」に仕立て上げる

第6段階に至ると、権力への批判や異論が「内部の敵の行為」として定義され始めます。

第9章1節 「本当の国民」と「国民を蝕む内側の敵」への分断

この段階では、「国民全体」という概念が消え、
「本当の国民(愛国者な我々)」と「国民を蝕む内側の敵(非国民な敵)」という二項対立の図式が社会に植え付けられます。
「本当の国民」に含まれるのは、権力者に忠実な人々、特定の民族・宗教・イデオロギーの人々です。
「国民を蝕む者」とされるのは、外国人、少数民族、左翼、共産主義者、あるいは単純に「権力者を批判する人」です。
異議や異論を唱えたら叩かれた経験のある人は「権力者を批判する敵」と認定されて弾圧されたのです。


第9章2節 歴史的事例:アルメニア人虐殺と「国家の自衛」という正当化

この「分割」が成立すると、「敵」を排除することが「国家を守る行為」として正当化されます。アルメニア人虐殺(1915〜1923年)では、まさにこのメカニズムが機能しました。オスマン帝国において、アルメニア人が「国家の内部の敵」として定義され、その「排除」が「国家の自衛」として正当化されたのです。


第9章3節 「暗黙の不作為」が暴力を拡大させる

権力による暴力は「しかたない」「あいつらが悪いんだから」という形で黙認されます。直接的な支持がなくても「暗黙の不作為」——つまり「見て見ぬふりをすること」——によって権力の暴力は拡大します。
このとき、沈黙は中立ではなく、共犯です。

キング牧師の言葉


第10章 第7段階:不処罰の蓄積——暴力が罰せられないことで閾値が上昇する

「言葉の暴力は暴力ではない」「少しぐらいは仕方ない」という言い訳の下で、小さな暴力が繰り返し黙認されると、暴力の「閾値」が上昇します。これはファシズム化の重要な心理的プロセスです。例えば、ネトウヨのネットリンチを放置し続けて処罰しなかったので、ネットリンチが常態化したのでこの事は理解できるでしょう。


第10章1節 「閾値の上昇」という心理的プロセス

最初は「あいつらをSNSで叩く」程度だったものが、「デモ参加者を排除する」になり、「不法入国者を拘束する」になり、やがて「問題のある人間を永久に排除する」になる——この「閾値の上昇」のプロセスを「不処罰の蓄積(Accumulation of Impunity)」と呼びます。


第10章2節 歴史的事例:「長いナイフの夜」と社会の沈黙

歴史的事例として、「長いナイフの夜」があります。1934年6月30日、ヒトラーはSA(突撃隊)の幹部らを令状なしに粛清・処刑しました。この事件で処刑されたのは約85名とされていますが、実際の犠牲者数はさらに多かったとも言われています。最も重要なのは、この「違法な大量処刑」に対してドイツ社会が大きな抵抗を示さなかったという事実です。


第10章3節 「一度やっても許された」という経験の危険性

「一度やっても許された」という経験が、次の暴力の心理的ハードルを下げます。「百人殺した人間は、千人殺すことに抵抗が少ない」——これは残酷な真実ですが、歴史が繰り返し証明してきた事実です。

第7段階は、第8段階への「最後の扉」です。この段階で社会が抵抗を示せなければ、次のステップへの歯止めは何もなくなります。


第11章 第8段階:虐殺・ジェノサイドが「合法」になる

8段階のプロセスが完了したとき、社会は「道徳の完全な転倒」という終着点に到達します。
殺すことが「義務」になり、抵抗することが「罪」になり、虐殺を告発することが「国家反逆罪」になる——これが第8段階です。


第11章1節 歴史的事例:ニュルンベルク法——差別の法制化

法律という形で差別が制度化された典型が、1935年9月15日にナチスドイツが制定した「ニュルンベルク法(Nürnberger Gesetze)」です。これはユダヤ人の市民権を剥奪し、ユダヤ人とドイツ人の婚姻を禁止するものでした。法律として制定することで、「ユダヤ人への差別」が「違法行為ではなく、法律の遵守」に変えられました。
この法律制定によって、「ユダヤ人を差別すること」は「法律を守ること」になり、「ユダヤ人を守ること」は「法律を破ること」になりました。
善悪の完全な逆転が、法律という形で制度化されたのです。


第11章2節 歴史的事例:ルワンダ——100日間で80万人

現代史で最も衝撃的な事例が、1994年のルワンダ虐殺です。
1994年4月6日から7月中旬にかけての約100日間で、ルワンダでは推計80万人以上のツチ族とフツ族穏健派が虐殺されました。これは世界史上最速のジェノサイドとされています。「ツチ族はゴキブリだ(inyenzi)」「ツチ族はヘビだ」という言葉が「RTLM(ラジオ・ミル・コリン)」というラジオ局を通じて繰り返し放送され、虐殺は「ゴキブリの駆除」「国を守る行為」として正当化されました。


第11章3節 虐殺の前には必ず兆候があった

ルワンダの虐殺が私たちに教えることは、「それが起きる前には、必ず兆候があった」という事実です。そして世界中の人々は「それがここまでひどくなるとは思わなかった」と証言しています。
第1段階から第7段階が静かに積み重なったとき、第8段階は「突然」ではなく「必然」として訪れるのです。


第12章 日本はどの段階にいるのか?

以上の8段階を踏まえて、現在の日本がどの段階にあるか?をざっくり分析してみましょう。

第12章1節 複数の段階が同時並行で進行している

日本はどの段階にいるのか?

この表を見ると、日本は現在、第1段階から第7段階にかけての複数の段階が同時並行で進行している状態にあると分析できます。
まだ、全然足りないわ、オマエはヌルイわ、と思う方は、ご自分でもっと詳しい表や分析をぜひお願いします😊


第12章2節 「まだ大丈夫」という油断が最も危険

重要なのは、「第8段階にまだ到達していない」という事実よりも、「第1〜7段階が着実に積み重ねられている」という事実です。ルワンダでもナチスドイツでも、人々は「まさかここまでひどくなるとは思わなかった」と証言しています。冒頭で紹介した三笠宮崇仁親王の言葉——「それは過去のことだと安心してはおれない」——は、今この瞬間の私たちへの警告として読み直す必要があります。
今が、この流れを止める最後のチャンスかもしれません。

ネルソン・マンデラの言葉


続きの次回作はこちらです。




見えない邪悪シリーズタイトル一覧

【見えない邪悪①】非対称支配システム
【見えない邪悪②】まともな人vsズルをしてでも"絶対"勝ちたい人たちの正体
【見えない邪悪③】ズルや不正をしてでも"絶対"勝ちたい人たちの正体〜個人と組織と心理の深層編〜
【見えない邪悪④】ナチス🇩🇪の「飢餓作戦」〜腐敗権力はなぜ人を飢えさせるのか?〜
【見えない邪悪⑤】ファシストや差別主義者は自然発生しない、お金と心理操作で作れる
【見えない邪悪⑥】なぜファシストたちは戦争を起こそうと躍起になっているのか?
【見えない邪悪⑦】日本はどの段階?ジェノサイドへの8段階モデル
【見えない邪悪⑧】なぜ秘密警察🇩🇪が国を支配できたか?独裁を支えた密告して儲けた市民
【見えない邪悪⑨】支配側と監視される側は、なぜここまで認識がズレて話が噛み合わないのか?
【見えない邪悪⑩】前編 支持率10%の腐敗政権が、なぜ倒れないのか?
【見えない邪悪⑪】後編 犯行の全貌——密告ネットワークと「困窮の武器化」
【見えない邪悪⑫】「騙されたMAGA」と「ファシストMAGA」の違い
【見えない邪悪⑬】前編 ファシストはどんな人間なのか?[オルテガ・フロム編]
【見えない邪悪⑭】中編 ファシストはどんな人間なのか?[逆恨み・無反省・不疎通編]
【見えない邪悪⑮】後編 ファシストはどんな人間なのか?[殲滅・諜報・司法破壊編]
【見えない邪悪⑯】上巻 「ファシスト」と「ファシストでない人」の見分け方
【見えない邪悪⑰】下巻 「ファシスト育成マニュアル」
【見えない邪悪⑱】経済編 ウクライナ🇺🇦は壊滅してるのに、なぜ戦争続けられるのか?日本の売国政策
【見えない邪悪⑲】ファシストに勧誘する仕組みと自国民にテロを仕掛けて支配する仕組み
【見えない邪悪⑳】"いいね"を押すと勧誘される——工作員リクルートのデジタル化とビッグテックの24時間AI監視ビジネス
【見えない邪悪㉑】狂ったように見えて、実はファシストの計画通り——執拗な攻撃の正体




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ネルソン・マンデラの言葉
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