三題噺ショートショートvol.53_堅実
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「堅実」まいりましょうか。

克洋は、少年野球時代の友達で。確か、兄貴が入っていたから入団したと記憶している。
当時俺達は少年ジャンプの熱狂的なファンで。
俺は街外れの書店のオヤジさんに頼み込んで、月曜日の朝販売なのを日曜日の夜に、密かにフライングゲットしていたのだが、ヤツは言った。
「ズルだ。俺は読まない」
この前、川沿いの桜並木を、全速力で駆け抜ける少年達を見かけた。
俺達の頃から続く春の名物の走力トレーニングだった。
随分懐かしくて、ふと、思い出した。
ヤツには、高級クロコダイル革のセカンドバッグを小脇に挟みサングラスをかけ、るろうに剣心バリの傷が額にあるイカツい親父さんがいて。
卒業の時に言われたという。
「野球、向いてないから辞めろ」
ヤツは剣道部に入った。
ふと本屋に立ち寄り、立派な本を目にした。
「ビジネスに効く相撲論」
ヤツは知らぬ間に、有名な相撲ライターになっていた。
外資系IT企業マンとの兼業。
ヤツはやっぱり、堅実に、きちんと成功者になっていた。

今回の作品は、兼業相撲ライター西尾克洋さんへのオマージュですが、内容は完全なフィクションです。
しかし、西尾さんが堅実な人であることは事実で。私が最も尊敬する人のひとりであることも、事実です。
西尾さん、勝手に記事にしてしまい、すみませんでした。
ただ。
今日の三題噺のお題の、「高級クロコダイル革」で、西尾さんのお父様のイメージが頭から離れず。ついつい、書いてしまいました。
本当に、申し訳ありませんでした。
そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。
「コジくん、 残業お疲れ様。私のあんよが、マッサー(注1)待ってるよ。」
マッサージをすると、家内は、上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、51作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書くには書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
初回から一年を超え、お題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。

