三題噺ショートショートvol.49_ミステイク
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「ミステイク」まいりましょうか。

県大会の決勝。ほぼ勝利を手にしつつ、俺のミスで銀メダルに格落ち。謝っても、何をしてももう、時間は戻らなかった。
取り返しのつかないことも、確かにこの世にあるのだと思い知った。
進学が決まっていた大学のセレクションを辞退し、一般入試で進学しようと決めた。
だが現実は甘くなく。浪人しても合格を手にできず。二浪目に入るか、就職先を何とか見つけるか、川べりで花見をしている幸せそうな人達を尻目に、ひたすら思案を繰り返した。
桜も散り、葉桜となった頃、ようやく就職先を探すことにして履歴書と求人広告を片手に、方々の会社を回りに回った。
そして、とうとう、小さな運送会社から内定をもらった。
嬉しくて。内定の連絡の電話を握りしめて、何度も頭を下げた。
で、採用担当課長に、最後に笑いながら言われたのだ。
「履歴書、誤字だらけだったから、入社する前に漢字検定3級は、受かって来てね」
俺の人生、ミスだらけだ。
それでも俺は、何とかかんとか、生きていく。

そんなこんなを家内に語ろうとして後ろを振り向くと、空のソファーが、静かに笑っていた。
先日から家内は、あるプロジェクトで、都心のホテルに泊まり込んでいる。
シーンとした部屋の空気に、なんだか、心が追いつかない。
昼間のやりとりからすると、家内は、元気なようである。
家内が元気だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、49作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書いたは書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
お題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。

