三題噺ショートショート_新品
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「新品」まいりましょうか。

時計の針が12時を回った。
俺は街の小さな中華料理店をやっている。後片付けをしていたら、どうしてもこんな時間になる。
仏壇の裏に隠してあったサンタクロースのセット衣装を取り出して着替え、あいつの写真に手を合わせた。
2階はもう、とうに寝静まっている。
ゆっくり、音を立てないように階段を登る。そっとドアを開けて、それぞれの枕元にプレゼントを置いた。
ミッション・コンプリートだ。
またそっとドアを閉め、抜き足差し足で階段を降りようとしたそのとき。
ひそひそ声が聞こえた。
「父ちゃん、大変だね……」
聞き耳を立てたが、そこから先は聞こえなかった。
翌朝、子供たちの大騒ぎで目が覚めた。
「今年もサンタさん、くれたよ!」
3人の手にはそれぞれ、サイズの違う新品のスパイクシューズが光っていた。
俺はあいつの写真に向かって言った。
「サンタさんが新しいシューズをくれたから、また、思い切りやれるってよ!」
なんだかあいつが、少し、笑っているように見えた。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑って言った。
「コジくん、サンタはいらないから、マッサー(注1)は、やってね!」
マッサージすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、36作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書いたは書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
ヤスシさんとの、根競べだな。


