七夕。着信アリ|毎週ショートショートnote|七夕の歩幅

七夕の一週間前。
駅裏の路地に笹が立つ。
誰が置くのかは分からない。
朝には消えている。
午前零時までに短冊を結ぶと、願いが叶う――
都市伝説の類だ。
僕は短冊に書いた。
「かわいい彼女がほしい」
午前零時。
スマホが震えた。
『承りました』
翌朝。
『あなたまで、あと82731歩です』
翌日は69784歩。
その翌日は56302歩。
毎日、近づいてくる。
七夕の朝。
『あと7731歩』
昼。
4236歩。
夕方。
402歩。
通知の間隔まで短くなる。
『あと83歩』
窓の外には誰もいない。
カーテンを閉める。
『あと36歩』
戸締りを確認する。
『あと1歩です』
僕は玄関を睨み、息を殺した。
何も起こらない。
そのとき、足元で声がした。
「あのとき助けていただいたアリです」
一匹のアリが、そこにいた。
次の瞬間、アリが光に包まれて――
かわいい女性が現れた。
「魔女の呪いで、アリにされていたんです」
「どこから来たの?」
「近所の空き地から」
82731歩。
――ただし、アリの歩幅で。
(410字)
『七夕。着信アリ(魔女の呪い 編)』(了)

【お知らせ】
この後、別のショートショートをもう1本掲載しています。
田原にかさんの「毎週ショートショートnote」、
21回目の投稿です。
今週のお題は、
「七夕の歩幅」でした。
7月は「恋愛月間」だそうです。
唐突ですが、毎週ショートショートnoteは、7月は恋愛月間です。
ええ、恋愛っぽいお題ばっかりが毎月やってきます。
そのまま恋愛で書いても良し、いやいやと全然違うジャンルのショートショート書いても良し。
いやー、困りました。
恋愛っぽいお題は(私には)難しい。
で、「全然違うジャンル」で書こうとしたんですが――
なんとなく、恋愛っぽくなってしまいました(笑)
これが、七夕マジック!?
今回、ジャンルとしては「ホラー」に挑戦してみました。
ちょっと怖かったという方。
――嬉しいです!!😆
きのころがガチなホラーを書くわけない、
とタカをくくっていた方。
――その通りです……orz
その通りなんですが……お付き合いでいいので、
ちょっとだけでも、怖がってくださいね💦
なぜ、ホラー(っぽい作品)にしたのかは、後ほど。
今回、タイトルに、有名なホラー作品、
『着信アリ』を本歌取り(引用)させていただきました。
お借りしたのは、『着信アリ』というタイトルだけで、
内容はまったく関係ありません。
このタイトルを使わせていただいたのは、
2つのミスリードが目的です。
一つは、このタイトルを見ただけで、
「ホラー!?」って思ってもらえるということ。
もう一つは、「アリ」ですよね。
そっちじゃなくて、あっちのアリでした(笑)
近づいてきたのが「アリ」だった、というのが、
最大のポイント。
これ、最初の構想では、本物のアリでした。
命を助けられたアリが恩返しにくる――
『ツルの恩返し』みたいな話。
女性の名前は「アリ姫」(笑)
もちろん、織姫からの連想です。
でも、アリが人間に化けるのは、
想像すると、ちょっとグロい気もします。
そこで、
「ほんとは人間だけど、魔法にかけられていた」
ということにしました。
なぜ、急に魔法が解けたのか――
まったく説明がなく、唐突ではありますが、
ショートショートだし、シュールでいいかな、と。
七夕だから、ということにしておいてください(笑)
七夕っていうのは、不思議なことが起こるんですよ。
これぞ、ロマン!
で、なぜ、今回「ホラー」にしようと思ったか。
それは、もぐらさんのこちらの記事で――
もぐらさんが「#まろやかホラー」というのを、
普及させたいとおっしゃっていたから。

「まろやかホラー」というのは、
「ちょうどいい怖すぎないホラー」
とのことです。
今回は、この新ジャンルに乗っかることにしました。
ちなみに、先ほどのもぐらさんの記事の中で、
私の『文豪ジャパン』を紹介してくださっています。
もぐらさんの推しタグ、
「作家ワールドカップ」を代表してのご紹介でした。
もぐらさん、このたびは、ありがとうございました。
さて、皆さま、お待たせいたしました!
引き続き、もう一つのショートショート、
『七夕。着信アリ(座敷童の力 編)』を
お楽しみください✨️
『七夕。着信アリ(座敷童の力 編)』
どんな願いも叶うという七夕飾りがある。
僕は短冊に書いた。
「歩幅の合う彼女がほしい」
翌朝、小さな女の子がやってきた。
「願い事かなえ派遣会社から来た座敷童子です。
今日からお世話になります」

翌日、彼女ができた。
僕が喜ぶ横で、座敷童子が少し頬を膨らませた。
次の日にも、彼女ができた。
その次の日にも。
「彼女が毎日できるんだけど」
「正常に願いを実行しております」
「1人でいいのに」
「数量の指定がありませんでした」
座敷童子の眉間にしわが寄っていた。

不思議なことに、誰とも鉢合わせはしない。
4人目。
座敷童子は明らかに不機嫌だった。
5人目。
口をきかなくなった。
6人目ができた日――
「お世話になりました」
座敷童子は家を出ていった。

ピコン。スマホが鳴る。
『ねえ、この女だれ?』
ピコン。
『話があるんだけど』
ピコン。ピコン。ピコン。
『私たち、みんなでそっち行くから』
玄関のベルが鳴る。
ドアの向こうに、修羅場の気配。
6人の歩幅は、ぴったりだった。
(410字)※ルビ除く
『七夕。着信アリ(座敷童の力 編)』(了)

2本目、いかがでしたか?
こちらも、「まろやかホラー」でしたね。
「どこがホラー!?」と思った方。
シゴデキの座敷童が出てきますし……(笑)
それに、
「本当に怖いのは、怪異ではなく、人間だ」
ということで……
え、ちっとも「まろやか」じゃなかった!?
――これ、コメディですよ?(笑)
他人事とは思えない方、注意してくださいね😱
<おまけ>


座敷童子ちゃんも、機嫌が直ったみたいで、
良かったですね!
ちなみに、座敷童子ちゃんが食べていたのは、
もぐらさんの「まろやかホラーはじめました」の
暖簾に描かれていたメニューです。

もぐらさん、ありがとうございました✨
今回も、二本立てでお届けしました。
楽しんでいただけたなら嬉しいです。
本日は以上です。
お読みいただきまして、ありがとうございました。
たくさんのnoteの中から、私の記事を見つけて読んでいただき、
ありがとうございました。
「なんかいいかも」と感じていただけたら、
スキやフォローで合図を送ってもらえると、とても励みになります。
どうぞ、よろしくお願いします。
