フェルメールに隠された法則 - 嫌いだったフェルメールが好きになれた秘密 - [ディープ]
数あるnoteの中から、ご訪問いただきありがとうございます。
しかも、ためになるアート鑑賞noteというより
異変スレスレアウトな記事にも関わらず
読んでくいただき、重ねて、感謝申し上げます。
今回は
ドイツ旅の報告2話目。
デューラーの家に2回おしかけたお話の続きです。
前回の続き
デューラーの絵を説明するために、
「境界」を紹介したくて。
そのために、フェルメールの力をお借りします。
というのが前回のお話で、
今回はその続きになります。
フェルメールって、何がそんなにすごいの?
フェルメール。
フェルメールがどんなにすごい画家なのか。
フェルメール好きな方はnoteにもたくさんいらして
いろんな記事を見つけることができると思います。
2026年は
真珠の耳飾りの少女
も来日するということで
まさにフェルメールイヤーという感じで
色めきだっているようです。
私はというと。
幸運にもフェルメールの貴重な絵を見る機会が
東京で何度かあったのですが。
今まで、あまり好きになれませんでした。
日本は、フェルメールがお好きな方
本当に多いですよね。
正直いうと、今まで
なんでこんなに日本で人気なのか
???だったのです。
そうそう。フェルメールの何がすごいのやら。
と感じていらっしゃる
私の同胞がいらっしゃるかもしれませんね。
そんな方にも、
私が今回の旅で見つけてきた
フェルメールの素敵な部分がお伝えできたら
嬉しいです。
だた、
絵についての(見えている部分についての)
すごさについては
私はまったく語れないと思いますので
その点については画集や、美術系の本やサイト、
他のnoteをご参考いただけると良いと思います。
私がお伝えできるのは
フェルメールの絵の「中」について、なのです。
アムステルダム国立美術館のフェルメール
オランダにある、アムステルダム国立美術館。
こちらにはフェルメールの絵が4点展示されています。
一番有名な絵は「牛乳を注ぐ女」でしょうか。

この絵は超有名ですね。
パンの描き方がどうとか、右下の箱がどうとか、、、
本当は色々とフェルメールの計算があるそうです。
(毎度言ってすみませんが、
見えている部分については
他の方の記事をご参考くださいませ。。)
超有名な牛乳・・・よりも、私がハッとした絵は
こちらの
「手紙を読む女(青衣の女)」
でした。

この絵をじいーーーーーっと見て、ふと思ったのです。
「この女性は、こちらがどれだけ絵を見ていても、
決してこちら側を見てくることはない」
と。
当たり前ですよね。
絵なんですから。
絵の目線が、こちらに向いていない絵なら、
すべてがそうじゃないか。
逆に絵がこちらを見てきたら、それこそ怪異です・・・
誰しもそう思うはずなんですけど。
この絵を見た時に、はじめて、「そう」感じたんです。
「この絵は、大丈夫。
決して、こちらに気づかない。
こちら側は、安全」
と。
その後、こちらに展示されている残り3点。
全4点の絵を
「その視点」で鑑賞してみたのです。
どの絵も「安全」なんです。
決して、こちらに踏み込んでこない
この絵たちはフェルメールによって
鑑賞者の「絶対の安全が保障された絵」なのだと。
境界と距離
ここで、「境界」の話に戻ります。
境界とはいろんな視点で語ることのできる言葉です。
絵の外側(見えているもの)と
内側(見えていないもの)の境界
絵と鑑賞者との境界
もうちょっとバリエーションがありますが
今回は
「絵と鑑賞者との境界」についてです。
たまに絵の中には、
境界が、いわば
結界とでもいうのでしょうか。
それが、あやういものがあります。
絵を見ている人にむけて
結界をつきやぶってくることがあります。
画家のスタイルとして
意図してそう描いているもの
意図せず結界がゆるくなっている天然系の天才もいます
私にコンタクトをとってくるタイプの絵は
境界がなかったり、つきやぶったり、
とけたり、融合したり、交じったり、
私のボキャブラリーでは伝えきれないほど
画家の数だけバリエーションがあるようです。
それがとても楽しくて
誰かも楽しいと感じてくれたら嬉しいと
noteに書き始めました。
でも、ちょっと危険かもしれない
とも、ときどき思います。
たとえばゴッホの絵などは
好きという方がとてもたくさんいる反面
noteを拝見すると
「なんかいやだった」なんて感想を書いていらっしゃる方も
ゴッホの境界に触れてしまっているんです。
ゴッホの絵は大抵不安定ですので
あれに直接触れるのは
けっこう厳しいものがあるでしょう・・・
本来「結界」ですので
あってしかるべきです。
完全に溶けてしまったら
見ている人は、
帰れなくなってしまうかもしれない。
鑑賞者は安全でなければ。
ここでフェルメールに戻ります
フェルメールの絵は
「絶対に安全」
なんです。
「絵と鑑賞者との境界」が
フェルメールの緻密な計算によって
完全な形で設けられている
厳密にいうと、境界というより
鑑賞者との「距離」が正確に、精密にとられている。
見ている人が安心して見れるように
絵を楽しめるように
安全であるように
まるで鑑賞者を「守る」かのように。
これはフェルメールの
鑑賞者への「節度」と捉えています。
私はそう、とらえました。
「私の絵の前にいるときだけは
絶対に安全で守られているよ」
「あなたは安心して絵を楽しむことができるよ」
というメッセージです。
どうやって描いたのかは、想像もつきません。
フェルメール自身が
「よーし、見る人との精神の距離を
ぴったり50センチとった絵にするぞう」
なんて考えて筆をとっていたとは
想像もできないのですが
フェルメールの絵は、すべてそうなっているようです。
全てが精密な距離で、節度ある絵。
どうやって描いたのか
本当に不思議です。
絶対安全距離の良さ
フェルメールの「節度」は
絵と鑑賞者に絶対距離をうみ
鑑賞者は
「感情的に巻き込まれない」という安全を得ます。
彼はなぜそう描いたのか。
彼の絵は
心をからっぽにしても大丈夫だよ、という絵です。
どれだけ無防備に鑑賞しても、安全です。
だから、彼の絵の前の人って
すごく長くじぃーーーーっと
立ち尽くしている人が多いですよね。
安心できる空間に
身をまかせているかのように。
フェルメールの絵は、たくさんの仕掛けがあるそうです。
各モチーフの意味や、寓意など。
そういったところにだけ
鑑賞者が思考を集中して遊べるように
設計したのかもしれません。
現代風にいうならば
超いごこちの良い空間で
謎解きゲームしてみませんか?
みたいな絵です。
私はもっぱら、
思考的な設計には詳しくないものですから
(モチーフの意味など)
フェルメールの居心地設計の方に
興味津々です。
なにしろ、完璧な距離をとれる画家なんて初めて見たので
「フェルメールまじ天才じゃん!!!」
とびっくりしたわけです。
こんな画家を、いままで見たことがありませんでした。
いろんな方たちがフェルメールに惹かれるワケが
ここで合点がいきました。
フェルメールの絵は
見ていると、だんだんぼけーーーっとしてきます。
心が本能的に
安全であることに気づき
鎧を脱いでいるのかもしれませんね
安心してみてられる絵、というのは
今までもあったので
鑑賞者との境界や距離が安全な絵
なのかもしれません。
でもここまで完璧な絵は
そうそう無いのではないでしょうか
フェルメールは
たくさんの方がおっしゃるように
唯一無二の画家です。
真珠の耳飾りの少女
私はここまで気づいて
一つ、疑問が湧いてきました。
「あれ、フェルメールの絵で
こちらを見ている例外の絵が
あるじゃないか。
あれは安全なのか?
精密な距離が取られているのか?」
と。
真珠の耳飾りの少女です。
同じくオランダにある絵ですが
今回は見に行くことができませんでした。
なので残念ながら写真も貼れないですが
有名な絵なので
思い出していただくか
ネットで検索してみてください。
フェルメールが天才すぎるので
ネットで探して鑑賞しても十分、捉えられるのです。
その距離を。
真珠の耳飾りの少女は
こちらを見ています。
一瞬、目が合ったようでドキリとしますが
フェルメールは熟練の技で
鑑賞者とは的確な距離をとっています。
彼女の目が
こちらの心を侵すことはないのです。
鑑賞者が安全であることが
フェルメールにとって、画家としての節度なのです。
1665年に描かれた絵です。
先ほどの手紙を読む女(青衣の女)の後の絵ですので
距離の取り方は、絶妙です。
少女、指先ちょこん、をする
あくまで私のとらえ方ですが。
彼女は「こちらを見ている」絵ですが
鑑賞者を「見つめてこない」
「侵してこない」絵です。
じゃあフェルメールは、
この絵で何がしたかったのでしょうか
距離の測定を極限まで純化したかったのではないか
と考えています。
どこまで近づいて、安全が保たれるのか
節度ある絵の視線は、どこまで許されるのか
実験のように一度だけ確かめた。
「絵画という形式が許容する最短距離」を測った。
ちょっと難しい言葉になりましたが
フェルメールは鑑賞者と
「節度ある距離」を保つ上での
ぎりっぎりのラインを測りたかったのでは
と考えています。
言い換えるならば、
少女が、あなたのハートに、
指先でちょこん、
触れるか、触れないか。
ちょこん、が許されるギリギリ。
鑑賞者が安全を感じていられるギリギリ。
だから鑑賞者は
この絵を「ずっと見ていられる」
のでしょう。
安心し続けることができるから。
この距離を、
今年は日本で感じることができるのですね。
誰しも、皆が憧れるこの少女から
「絶対の安全」を約束された上で
「指先ちょこん」をしてもらえるわけです。
楽しみです・・・
節度と誠実さは、重要か?
こういった経緯で、
フェルメールが
「よくわからない画家」から
好きな画家、になりました。
今回出てきた
「節度」とか「距離」、「境界」については
私自身の言葉だと
自覚しています。
他の方が鑑賞されれば、
きっと違う言葉になって表現されるだろうな、とも。
この「言葉」については
多分、鑑賞者のパーソナリティが強く出てくる。
私は、ものごとに対して
誠実かどうか、とか
礼儀があるか、とか
そういったことを大切にする傾向があります。
絵に対しても、
こちら側に求める前に、
礼儀として先に差し出してきているか、みたいな部分を
強く重んじているようです。
無意識のうちに
絵を鑑賞する、つまり絵と対峙する際に
「誠実さ」を測っているのです。
このドイツの旅の前にはまったく気づかなかったことで
新たな発見でした。
フェルメールの絵も、
無意識に「誠実さ」を測り
結果、彼の「節度」と「距離」をとらえた。
他の何かを大切にする方は
きっとフェルメールの違う面をとらえるはず。
違う言葉になって、表現されるのではと思っています。
そういった発見もあって
友人と絵の感想のやりとりをすることが
さらにさらに、楽しみになりました。
noteで記事を読むこともとても楽しいです。
私の記事も
「こんな人もいるのか」と
楽しく捉えていただけたら、嬉しいです。
デューラーに戻って
フェルメールが節度と距離の天才だとわかったあと
なぜデューラーが一番好きな画家なのか
考え続けました。
私は多分
デューラーの「誠実さ」に惹かれたのでしょう。
そうなってくると
大好きなマティスはなぜ惹かれるのだろう?
誠実だから?どんな点で???
ではエゴンシーレに惹かれる理由は?
彼のどの「誠実」に惹かれたの?
じゃあゴッホってどうよ?
とかとかとか。
考えることがいっぱいになっていました。
頭がいっぱいになりつつも
現実世界の行程として
アムステルダム国立美術館の次は
矢継ぎはやに予約した時間の迫る
隣の(徒歩10分の)
ゴッホ美術館に行くことになっていて。
メモリパンパン状態で
ゴッホの
アーモンドの絵とか
アルルの部屋とか
ひまわりとか。。。
なかなか、まとめるのに
時間がかかったわけです。
ゴッホ美術館や
他の絵画についても
改めて、しっかり整理して
書き綴っていきたいと思います。
とりあえず今回の締めとして。
2024年夏にみたフェルメールを
どうぞ

いつだって、フェルメールの絵は心が放牧状態で落ち着く・・・
今年見るフェルメールも、
とてもとても
楽しみですね。
ドイツ近辺で見てきた
フェルメールの絵の報告も記事にしております。
よろしければご覧ください。
フェルメール報告会 - ドイツ旅で鑑賞した絵のレポート -
2026/01/20 加筆・修正
質問、聞きたいこと、ご感想等、
お気軽にコメントを書いていただけるとうれしいです。
記事をまとめてみました。
ご興味のある記事がありましたらぜひお読みください!
はじめに01 -絵の声を聴く、アート鑑賞について- 好きな画家さん一覧
https://note.com/killamaru/n/n0cb504116a87
書き始めた経緯やこのNoteの説明など
はじめに02 -アートの声を聴く鑑賞について-
https://note.com/killamaru/n/n3b42879699f8
「はじめに」の続きですが、私のNoteの中では、♡率が高くて、ありがたいです。
はじめに03 -審美眼は何年で身につくもの?
https://note.com/killamaru/n/ne9792bc439fe
<ドイツ旅2026>
ドイツから戻ってきました -2026.01.13 近況報告-
https://note.com/killamaru/n/nce677f79afbc
デューラーと話したくて家に2回おしかけた話 - デューラーズハウス -
https://note.com/killamaru/n/n681100d72660
フェルメール報告会 - ドイツ旅で鑑賞した絵のレポート -
https://note.com/killamaru/n/n9509726b7b11
フェルメールに隠された法則 - 嫌いだったフェルメールが好きになれた秘密 - [ディープ]
https://note.com/killamaru/n/nab3fbbd02386
<若冲>
若冲からはじめて呼ばれた話 -泉屋博古館東京-
https://note.com/killamaru/n/n79a61287feed
若冲は、今日も私を呼ぶかしら - 三井記念美術館「円山応挙」展 -
https://note.com/killamaru/n/na07051e46676
若冲は、もう1人の天才にためらう、の話 - 東京藝大美術館 -相国寺展
https://note.com/killamaru/n/n85b940e93ef9
<ゴッホ>
[ディープ]ゴッホのひまわりって、おいしいの? - 西洋美術館 ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
https://note.com/killamaru/n/n69330619f156
「あなたはどんな鑑賞タイプ?」と「ゴッホの死相」について ゴッホ展 -東京都美術館-
https://note.com/killamaru/n/na3e315c32ca0
ゴッホ美術館(アムステルダム)に行ってきた -美術館レビュー(絵多め)-
https://note.com/killamaru/n/n4e65dea66a63
おいしそうな絵はここにも(ピエール・ボナール) -「ひまわり」異変の後日談-
https://note.com/killamaru/n/n32920ae6c2de
<美術展>
ブラックホールを作りだせる画家 -仙厓展@出光美術館- [ディープ]
https://note.com/killamaru/n/n576fe4a903b7
絵から音がしない理由 -ユトリロ展(SOMPO美術館)-
https://note.com/killamaru/n/nd086f4b57077
定家にきゅんきゅん -国宝熊野御幸記と藤原定家展レポート(三井記念美術館)-
https://note.com/killamaru/n/ne15a8591b9e4
伊勢物語展 -根津美術館- 岩佐又兵衛に感じるもの
https://note.com/killamaru/n/n522358cdf891
僧侶の背中には、実は何があったのか -特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」-
https://note.com/killamaru/n/nb87fb034c08e
<岡本太郎とウォーホル>
岡本太郎の絵をめくってバックヤードをのぞいた話[ディープ] - ウォーホルの続き -
https://note.com/killamaru/n/ndd21dc5e0255
アンディ・ウォーホル「SERIAL PORTRAITS」展(ルイヴィトン) - 岡本太郎のために力をお借りします -
https://note.com/killamaru/n/ndd1a969b04ba
<ランキング>
[異変の起こった美術展ランキング]2025年行った美術展の中から)
https://note.com/killamaru/n/n853c88ce272c
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