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「AIに働かされる」が正解? 事業責任者が考える組織図の変化

BASE株式会社執行役員の柳川です。金融事業の事業責任者をしています。
私はエンジニア→PdM→事業責任者というキャリアを歩んできました。
現在は事業戦略、プロダクト戦略、組織戦略全ての責任を持ちながら、事業責任者を務めさせていただいています。

最近、生成AIを使っていると「これはもう、普通にミドルレベルのアウトプットは出してくるな」と痛感します。もはやジュニアの水準ではありません。 むしろ単純な思考力だとシニアレベルだなと思います。その実感が確信に変わった時、改めて「仕事の定義」をし直すべきだと思いました。

そこで今回は、今更ながら生成AIの話を書きます。正直荒れそうであまり書きたくないテーマではあるのですが、避けては通れません。 このタイミングで思考を整理する必要があると感じてます。使い方(How)ではなく、生成AIによって組織図や構造がどう変化するか」について、事業責任者らしく組織図ベースで整理してみます。組織やピープルマネジメントや育成を日々の仕事としているからこその視点がかければと思います。

結論から言うと、ホワイトカラーの仕事の定義が変わり、生き残るのは相当辛くなるぞ、という話になりそうです。ありきたりな結論だけど解像度を上げてみます。

サマリー件具体の話も書いたので、Howよりの記事の方が読みやすい人はこちらから読んでください!

序文に変えて 生成AIのアウトプットはもはやミドルレベル

生成AIを日々仕事で活用していて、もうあらゆる職能における「ミドルレイヤー」と同等のアウトプットを出せる段階に来たなと感じています。 作業レベルだけでなく、むしろ思考レベルでそこまで来ている。むしろ思考においてはもう人間は勝てません。余裕でシニアレベル。数学の未解決問題解くのだから。
もちろんアウトプットをそのままでは使えませんが、人間のミドルレイヤーのアウトプットもレビューは必要なので、管理コストとしては実質変わりません。

議論の前提として、AIと人間の特性を簡単に整理しておきます。

生成AIのいいところ

  • とにかく速い:人間では太刀打ちできないスピード。

  • 特定の思考が深い:特定スコープなら人間より深く考える(これもレビューが疲れる要因ですが)。

  • 文句を言わない:指示が悪くて動かないことはあっても、感情的な拒絶はない。

  • モチベーション管理が不要:ここが最大の違い。

人間のいいところ

  • 継続性と整合性(ロングコンテキスト):人生レベルでコンテキスト(文脈)を保持しプライオリティ判断ができる。「正しい」わけではなく、一貫した意志を持てるだけではありますが、これこそがAIにはまだまだ難しい領域です。

  • 他者を勇気づける言葉と存在:熱意や勇気は伝播します。言葉だけではなく存在感も含めて伝播します。

これまでは「部下の動機づけ」もリーダーの仕事でした。しかし、動機づけ不要で働くライバル(AI)がいる以上、単に作業させるためだけの動機づけの価値は下がります。 つまり、「動機付けた熱量が、さらに他の人にも伝播するような人」でないと、動機づけコストを払ってもらえない時代が来ます。「動機づけの複利」が効く人しか生き残れないでしょう。

柳川の脳内

思考力で人間を超えたAIの、唯一にして最大の弱点「ロングコンテキスト」

誤解を恐れずに言えば、単発の課題における「思考の深さ」で、人間はもうAIに勝てません。シニアだろうがなんだろうがです。 しかし、生成AIには致命的な弱点があります。それが、Explaza CPOのみやっちが提唱する「ロングコンテキスト問題」です。

AIは「瞬間風速」は出せますが、「文脈(コンテキスト)をつなぎ続けること」ができません。過去の経緯、複雑な利害関係、未来へのプライオリティ……これらを保持し続け、整合性を取る能力が圧倒的に欠けているのです。 だからこそ、人間が「コンテキストの保持者」として君臨する必要がある。 有り体に言えば、「超優秀だけど記憶喪失だし価値判断もできない天才のお世話係」こそが、これからの我々の仕事になるわけです。

「超優秀だけど記憶喪失だし、価値判断もできない人のことを天才と言うのか?」
「そういう人は天才かもしれないけど、仕事で成果は出せなくない?」
これがめちゃ大事な観点です。現状多くの人が感じているであろうチグハグさを表す感想だと思います。
このチグハグさが生じる理由を読み解く鍵が、ロングコンテキスト問題であり、私たち人間がカバーすべき問題なのです。
そしてこれは「人間がAIを介護する」という話ではなく、もっと希望のある話なのです。

ロングコンテキスト問題について着目すると、「人間とAIのこれから」の解像度が上がるということが、本論を通じて伝わればと思います。
早速ロングコンテキスト問題に着目しながら、我々の働き方を考えてみましょう。

ロングコンテキストの話はソース原理とも相性良いので、以下記事もぜひ!

余談ですが、AIを使いこなすにはリゼロかフリーレンを見た方がいい。という主張をしておきます。AIは「記憶喪失の天才」だから。僕だけが覚えているんだなという痛みは、あなたが引き受けなさい。

組織図

本題に入る前に組織図の話をさせてください。 組織の構成には大きく「職能カット(開発部、営業部)」と「ドメインカット(〇〇事業部、〇〇プロジェクト)」がありますが、生成AI時代は絶対「ドメインカット」もしくは「ミッションカット」で考えるべきです。

理由は主に2つ。

  1. コンテキストの保持の重要性が上がる:端的に言うとロングコンテキストの保持が難しいと言うAIの弱点を補う必要があるからです。逆の言い方をすると、人間の強みを活かすために、人間はコンテキストを広げざるをえないので、それをやりやすい組織形態である必要があります。言い方を変えると、何のためにこの仕事はあるのかと言うドメインから来る存続理由から逃れ難くなるからです。

  2. 専門職の再定義がおこる:物事を動かすのに必要な人間の数が減ります。そうすると組織を肥大化させる必要性が減り、人を評価管理していく必要性が薄れると考えています。そうすると職能で分けるメリットが薄れそうです。「専門職」という概念自体が、ある特定の時代の特殊な役割だったということになりそうです。この職能は無くなる!みたいなセンセーショナルなことを言うつもりはありませんが、チームの構造が変わり、仕事の役割を再定義するタイミングは来ていると思います。

組織の必要人数が減り、ドメインカットの組織の悪い部分が抑えられ、職能カットの組織のいい部分が必要なくなると考えます。
職能カットの組織は確実に社内受託的な構造を生み出します。これは見逃せないデメリットです。

各ドメインの目的を果たすための組織
人を管理したり評価するための組織

生成AIで組織図はどう変わるか

本題です。生成AIで未来の組織図はどう変わるでしょうか。以下のような、人間同等の自律するAIに指示を出していく組織をイメージする方もいるでしょうか?

未来の組織図

もう少し遠い未来は上記のようになるかもしれませんが、実現はまだまだ難しいと考えます。理由はロングコンテキストの課題があるからです。
ゆえに短期的には以下のような形に落ち着くと考えています。
人月という表現が出ているので、エンジニアの話かなと思うかもしれませんが、職種問わずの話です。職種問わず、全ホワイトカラーを包摂できる話だと考えています。またこの塊は事業とは限らず、ある目的を持ったプロジェクトチームの塊だと考えてえてください。ミッションカット的組織ですね。

要素が多い!とりあえずそれぞれの要素の説明をします。わかりやすく特徴をわけて書いてますが、実際にはグラデーションですし人数構成も様々になると思います。

人間の役割分類

① 全体設計者

  • 役割:ゴールを決める。構造を設計する。人間もAIも含めたリソースマネジメントを行う。

  • 要件:誰よりも巨大なコンテキストの保持と統合+深い思考。

② 深掘り職人

  • 役割:特定領域で「なぜ?」を深く広く考える。究極のプル型学習人間。全体設計者から一部のコンテキストを移譲されている。何人必要かは事業やミッションによる。

  • 今後:全体設計者に吸収されるパターンもありそう。AIを活用しつつ思想を深め続ける苦しい道(自己否定の連続)。

③ 人月AI管理者(本論で特に重要)

  • 役割:特化型AIを並列に働かせ、アウトプット量の最大化にコミットする。全体設計者から一部のコンテキストを移譲されている。何人必要かは事業やミッションによる。

  • 要件:ロングコンテキストの保持+AIの速度に負けない「早い思考」。

④PMO/監査役

  • 役割:主に全体設計者に対するFBを行う。複数のチームを跨いで抽象化したコンテキストを注入することで、全体設計者を格上げする。保守的ではあるが、人を変える仕事。

  • 要件:抽象化力とそれを基にしてクリティカルFBをする力。学習伴走AIの超上位互換でないと存在価値がない。

2. AIの役割分類

① 学習伴走AI

  • 役割:あたりまえにみんなが活用している、人間を拡張する壁打ち相手としてのAIの使い方。今のChatGPTの使い方やAIPM的な動き。僕の定義ではエンジニア以外が行うバイブコーディングもここが近い。

②人月AI

  • 役割:人間と同等(1人月分)のアウトプットを出す使い方。

  • 要件:工数対効果が見込めるレベル。AIエージェント的なものだが、あくまでのも人間の支援込みで1人月が出せる。

「学習伴走AI」の話と「人月AI」の話は分けて考えたほうがいい

「学習伴走AI」の話と「人月AI」の話。現状の生成AI活用議論は、この2つの使い方がごちゃ混ぜになっている感覚があります。脳の使い方がかなり異なるものなので、明確に分けて議論すべきです。

  • 学習伴走AI:自らを強化するための使い方(壁打ち、個人の能力拡張、個人の自力でできないことをやる)。

  • 人月AI:AIを管理し、AIのアウトプットを最大化する使い方(労働力の代替)。

特に、業務に精通している人や個の能力が高い人ほど、前者の「学習伴走型」を念頭に置いている傾向があります。それはそれで王道ですし正しい使い方ですが、後者の「人月AIをいかに機能させるか」を深掘りすべきタイミングが来ていると思います

「人月AI」の活用については、現状では両極端です。 悪い意味でのコンサルや経営者が夢を見て語っているだけのパターンか、ガチで向き合ってAI BPOなどに取り組んでいる人のパターンか。 しかし今年は、もう少し現実的な「人月AI的活用」が、ホワイトカラーのマス層にも広まっていく予感がしています。

生成AIを自分の今までの業務を、代替させたり効率化したりする。もしくは自分の能力を高めることに活用する。これもアリなんですが、そもそもの仕事のやり方自体を変えるべきタイミングが来ていそうです。

おそらく多くの場面で「AIを活用して効率化する」のではなく、「AIに働かされる」と言うのが現実的な最適解になっています。人間側が適応できていないだけです。「AIに働かされる」準備をして「AIに働かされる」が最大効率であるというのが現実にきています。
この話は、ロングコンテキストを活用して判断するのが人間の仕事とか、クオリティの担保をするのが人間仕事みたいな話と全く矛盾しません。

人月AI管理者の仕事を舐めるな

ここで強調したいのが、「人月AI管理者」という仕事です。 「AIの管理? 誰でもできるでしょ?」「保守的な退屈そうな仕事?」「そういう仕事こそAIにやらせるべきでは?」と思うかもしれませんが、これは誰にでもできる仕事ではありません。非常にプロフェッショナルな仕事です。

イメージとしては、SIerにおける「協力会社やオフショア開発をマネジメントして、品質を担保し納品まで持っていく仕事」に近いです。経験者なら分かると思いますが、これを高レベルで完遂できる人はイカれてるくらい優秀です。(やったことある人は嫌な記憶が蘇るかもしれませんが、本当に大変な仕事です。)

AIマネジメントの特徴:

  • 人間相手より楽な点:AIは品質のブレが少なく、育成(学習)も早い。

  • 人間相手よりキツイ点AIはレスポンスが爆速です。自分がボトルネックにならないよう、脳みそをフル回転させ続けなければなりません。疲れます。向き不向きもあります。

AIに「ロングコンテキスト(長期間の文脈理解)」は求めず、そこは人間が担保する。 「AIに働かされているようでいて、実は人間にしかできないコンテキスト管理をフル回転で行う」。 これがこれからのホワイトカラーの主戦場の一つになります。

協力会社やオフショアには、原則としてロングコンテキストの処理を求めていないわけです。ロングコンテキストの処理を求めていたら長期間変わらず働いてほしいという契約体系になりますからね。ロングコンテキストの処理を求めていない役割ゆえに、ロングコンテキストの処理ができない生成AIで代替しうるわけです。

深掘り職人は思想を深めることを求められ続ける

学習伴走AIを活用しながら、変化と自己否定を続けなければいけません。
正直かなりきつい仕事だと思います。
人月AI管理者よりも先に代替されうる仕事で、必ず必要な仕事とも限らないなとも思います。僕が全体設計者をやるならいてもらった方がいいなという感覚は今のところありますが、その感覚もうまくは説明できない。

全体設計者は人にもAIにも精通する必要がある

ゴールも決めるし、構造も決めるし、それをAIに助けてもらうか人に助けてもらうか総合判断できるようにならなければいけません。そして誰よりも大きいコンテキスト保持を求められます。

特性を踏まえて並べてみた


キャリアを整理するための「コミュニケーション」と「思考体力」の軸です。 それぞれ対になる概念として定義しています。

① コミュニケーションの対象(対人 vs 対AI)

  • 対人コミュニケーション

    • 人間という「曖昧な存在」を動かす力。

    • 論理だけではありません。曖昧さを許容し、外見・容姿・肩書き、さらにはハッタリまで含めて総動員する、人間特有の泥臭い総合力です。

  • 対AIコミュニケーション

    • AIという「論理的な存在」を動かす力。

    • AIは空気を読みません。こちらの意図を正確に実装させるための高度な構造化能力や、曖昧さを完全に排した言語化能力が求められます。

② 思考体力の質(深さ vs 早さ)

※この2つに優劣はなく、あくまで特性の違いです。

  • 深い思考体力

    • 物事をどこまでも深掘っていく思考のスタミナ。

    • 「なぜ?」「そもそも?」といった本質的な問いを、息切れせずにどれだけ続けられるかという持久力です。

  • 早い思考体力

    • 物事に対して素早く反応し、打ち返す思考のスタミナ。

    • 次々とタスクを切り替えていくコンテキストスイッチのスキルとも言い換えられます。爆速でレスポンスを返すAIと対峙するには、この体力が不可欠です。

「早い思考」と「深い思考」を使い分けるのは困難なので役割分岐していくと考える

この2つを使い分けるのは極めて困難なので、役割で分岐させるべきだと考えます。 エンジニアがよく言う「会議が細切れに入ると集中力が切れる」問題は実際に存在するわけです。 つまり、業務フェーズごとに頭を切り替え、すべての段階でAIを適切にハンドリングできる「スーパーマン」は現実的ではありません。ここは個人の得意な特性で切り分けた方が効率的です。

「AIのアウトプット単位(レビュー単位)が大きくなるから、頻度が減って大丈夫では?」 というご意見もあるでしょう。しかし、単位が大きくなったからといって、AIがアウトプットを出すスピードが遅くなるわけではありません。 爆速で巨大な塊(コンテキスト)が上がってくるだけです。 結局、それを判断する人間がボトルネックになる構造は変わりません。人間がロングコンテキストを必死に維持しながら、レビューや判断をし続ける状況は続くでしょう。

ロングコンテキストと「意思決定」の限界について

AIのコンテキスト容量(記憶量)が増えれば、全てが自動化され解決するのか? 私はそう簡単ではないと考えています。

なぜなら、我々の目的は「AIに的確な回答をさせること」ではなく、「AIを使って仕事の成果を出すこと」だからです。 成果を出すプロセスとは、膨大な情報の中から「何を捨て、何に集中するか」という優先順位付け(意思決定)の連続です。これはロジックだけで割り切れるものではなく、最後は「意志」の問題になります。

  • AIは論理的に優れた提案はできても、責任を持って「Go」を出すことはできません。

  • 技術が進化すればするほど、ボトルネックは「AIの性能」から「人間の意思決定能力」へとシフトします。

  • さらに言えば、「そもそも何のためにこの仕事をするのか?」という目的の解釈・定義こそが重要になります。

  • 現状でも目的の解釈・定義にこだわることができている人はアドバンテージがあると考えます。

「ある範囲を自律的にAIに任せる(自律型エージェント)」という未来もありますが、その「任せる範囲(スコープ)」を決めるのもまた人間であり、完全に手放すにはまだ技術的・構造的なハードルがあります。

だからこそ、これからは「意志の鍛錬」への投資こそが裏切らないものであり、その価値はむしろ上がっていくはずです。

意思決定ではなく意志が大事

意思決定ではなく意志が大事という話は、頻繁に語っている話ではありますが、重要度は増すでしょう。
ロングコンテキストのマネジメントやコンテキストからのプライオリティ決定は意志そのものでしょう。

大事なのは意思決定ではなく意志

生成AIが前提の時代で、「大事なのは意思決定」とか「意思決定できる人しか生き残らない」とかなんとか言われていますが、僕には違和感があります。
大事なのは意思決定ではなく意志なのです。もう少しいうと、継続して意志を持ちながら進み続けることです。
意思決定だけが大事なのであれば、社長(ソース)とAIだけで完結でいいでしょ。それが一番シンプル。決めただけじゃどうにもならないから我々がいるわけで。
もちろん「意志の結果として意思決定があるんだ、だから間違っていない」という反論もあると思いますが、「意思決定が大事」だけだと、とにかく決めればいいんだな!という勘違いが広がりそのほうが害悪だと思うわけです。

意思決定は点ではなく線である

育成どうするの

今回の話に出てくる人間は、基本的に全員シニア想定です。 役割や特性が違うだけのシニアたち。 そもそも「生成AIはミドルレベルのアウトプットを出す」という前提なので、人間がそこに価値を足すと考えるなら当然そうなります。

ではこの先、ジュニアやミドルはどうするんだい、という話です。 現状、選択肢はいくつかあります。

  • ブートキャンプ形式(育成と割り切り、特別研修で短期間で叩き上げる)

  • 部下として配置する(シニアの補佐)

  • 無理やりOJT(現場で泳がせる)

仕事の定義が変化すること自体への解像度は上げた上で、ジュニアやミドル育成を考えべきだと思います。

ロングコンテキストが大事ということになると、人に長くいてもらうということの価値が上がることになるのではないでしょうか。そうすると育成や組織施策にコストをかける正当な理由と構造ができるのでは無いかと期待しています。
また「ロングコンテキスト」とセットで「意志」というのがキーワードになると考えていますで、意志のある人がどれだけいるかがそのまま組織の強さになるのでは無いかとも考えています。

これだけで3本くらいnote書けちゃいそうですね。

組織図なのでツリー構造で書いたけどぶっちゃけ上とか下とかどうでもいい

便宜上、ツリー構造で組織図を書きましたが、ぶっちゃけ上とか下とかはどうでもいいです。 これは権力構造を表すヒエラルキーではなく、「物事を動かすためのメカニズム」に過ぎません。

そもそも、従来の「情報の結節点」として存在するだけのマネージャーは一掃されるでしょう。情報の伝達や整理ならAIの方が得意だからです。 人間同士の関係性でも、マネージャーがメンバーに「使われる」場面があるように、役割はコンテキストによって流動的です。なんでもいいから物事を動かせるかというそれだけです。 同様に、人間がAIを管理しているようでいて、実は「AIのアウトプットを最大化するために人間が管理されている(AIに使われている)」という状態も、往々にして起こり得ます。 どっちが上かなんて些末な問題です。コトが前に進むなら、AIの下請けになったっていい。それくらいの感覚です。

自律型AIができた場合の未来の組織図について

自律型AIができた場合の未来の組織図について軽く触れましたが、この組織図みなさんどう思いましたか?
本当にロングコンテキスト問題を解決した、人間と変わらない自律的なAIが生まれたとして、本当にこのような組織図になると思いますか?僕はこうはならないと考えています。

この図はAIを活用した仕事のやり方というよりは、私たちがプロダクト開発者がプロダクトとしてユーザーの目の前に顕現させないとといけない姿や体験なんだと思います。コンテキストを絞ったり、使われ方を工夫して体験を作ることで、擬似的に自律的なAIを活用しているような状況を作ることが、生成AIをプロダクトに組み込むということなんだと思います。

俺たちが作るんや

本当に自律型の汎用AIが生まれるのであれば、自立型AIに支配してもらった方が効率など考えると良さそうですよね。

ディストピア1

いやいや、意思決定者やソースは必要なので以下のような感じですかね?

ディストピア2

いやいやそもそも私達いらなくない?人間必要?
上記はまだ人間に生きがいを与えられてマシな感じがしますが、現実的には人間の存在感がだんだん薄れていく形のほうが現実的かもしれませんね。

ディストピア3


このあたりの話題に思いを馳せる際には、ソース原理をぜひ(2回目)。
以下のnoteに詳しく書いています。

ソース原理とは、「あらゆるプロジェクトには『たった一人のソース』が存在する」という考え方です。

このソースの感覚、分かる人は一発であれか!ってわかるし、わからない人は全然ピンとこない思う。ピンとこなくてもそのまま読んでください。

ソースは「これをやる」と決め、リスクを取って一歩を踏み出した人です。
これは権力の上下関係ではなく、「イニシアチブ(誰が始めたか)の自然な秩序」です。

これもタイトルから誤解されちゃうかもしれないんですが、ソースとは創業者とか会社経営しているとかいう前提はないです。
むしろ企業とかは前提条件ではなくて、それを始めようとした人がその場にいるかどうかを前提としてる感じです。なんにしろソースは一人ということが大事です。

プロダクトマネージャーがどれだけ頑張っても創業者には勝てないのか?

結局のところ、「仕事とは何か」という解像度の勝負になる

自分たちの働き方を生成AIに合わせて変えていくにしろ、 自律型AIのような体験をプロダクトとして作り出すにしろ、 行き着く先は同じです。「仕事とは何か」という、解像度の勝負になります。

  • 仕事を細かく分解して考えてみる。

  • 「そもそも仕事とは?」と定義を問い直してみる。

  • 「何のために仕事をしているのか?」という目的を考えてみる。

  • 「本当にこの仕事必要なのか?」と考えてみる、むしろ無くす

とにかく、考えて、考えて、考える。 結局、そういうことが大事なんだよ、という話です。「考えすぎ!」と言われちゃう人たち!出番ですよ!
「何のためにやっているのか」、ということを明確にするのが大事です。惰性で仕事しない!「この仕事意味あるんですか?」と思える気持ち大事!
「生成AI使ったら必要な人数3分の1になるでしょ」、とか雑に言ってくる仕事の解像度が低い人間を倒そう。販管費が下がる魔法の道具ではありません。とにかく具体的に考えて、具体的に取り組んでいくことが大事です。
(僕のnoteでは、いつもそんなことばかり考えて発信しています。良くも悪くも。)

仕事の解像度とは、「ロングコンテキスト」から「ショートコンテキスト」を切り出す力である

​生成AIは「ロングコンテキスト(長期間にわたる膨大な文脈)」の保持は苦手ですが、「与えられた一定のコンテキスト内での思考」においては、すでに人間を凌駕しています。もし「AIはまだ人間を超えていない」と感じるとすれば、それはAIの能力不足ではなく、人間側が適切なコンテキストを渡せていない(=指示が荒い)ことが原因です。

​つまり、これからの人間の仕事の1つは、「ロングコンテキスト(全体の文脈)」から、AIが処理可能な「ショートコンテキスト(局所的な文脈)」を適切に切り出して渡すことになります。
この切り出し作業で最も重要になるのが、「仕事への圧倒的な解像度」です。

​だからこそ、その解像度を脳内だけに留めず、「言語化された資産」として手元に貯めておく必要があります。「AIを育てる」という表現もありますし、最近のモデル(Gemini等)は記憶力も向上していますが、それでもAIの記憶はいつか消失したり、薄れたりします。AIのメモリに依存してはいけません。
言語化が苦手?そんなことはAIに助けてもらいましょう。箇条書きの羅列でも話が飛んでいても、いい感じにしてくれます。
日報ですら資産ですよ!貯めておけさえすれば、適切なコンテキストとして成形し直すのは全部AIがやってくれます。

​毎回新鮮なコンテキストを「切り出して、教え直す」ことができるよう、元データ(マスタ)は人間が手元で管理すべきです。CursorなどエディタとAIがセットになっているものは、ローカルにデータが残るのが最大の強みですね。
そして使えそうならGemやSkillsとして形式知化する。これがAI時代の正しい資産形成です。使える相棒が増えていきます。

なんなら毎週note書きましょう。

実際のところ、いくらでもサボれる

今回提示した枠組みに則りながら、ホワイトカラーとして生き抜いていくのは相当辛いです。 相当な考え方や、やり方の変化を求められますし、労働としての強度も増します。よく言われる例えですが、パソコンやインターネットが出てきてからの変化以上に変わるでしょう。

ただ実際のところ、世の中の仕事の構造ややり方は、急速には変わらないとも思います。
特に解雇規制の強い日本において、全体がドラスティックに変わることは難しいでしょう。ズルズルと仕事がなくなり、給与が落ちる……みたいなことが起こるくらい。実際は表面的にはそういう変化すら起こらない可能性もあります。
内発的に変わっていくメリットが全く無いですしね。働く一人一人にとっては、ただ仕事キツくなるだけだもん。

少なくとも僕が述べているような、マージンが少ないガチガチに無駄を省いたような形にはならないと思います。現実的にはもっとグラデーションがあるし、変化も緩やか。

であればこそ、です。

周りが変わらないからこそ、この構造変化に対して「チームを作り変える」。そうするとそれ自体が競争の源泉になります。 チームを良くすること(構造を最適化すること)が、そのままダイレクトに事業競争力になりうる時代やタイミングなのかもしれません。
通常チームを良くすることが、ダイレクトに事業競争力になりうるということはあまり無いですよ。
IT化するのが合理的だよねとか、スタートアップが合理的だよねとかみたいなタイミングは本当に短期で、そこで事業競争力として差がつけられるのは、本当に一瞬のタイミングですよ。

チームを良くすることが、事業競争力の差になりうることは、この記事とか参考になるとかも。

抽象的な話が続いたので現状の職種がどうなっていくかをつらつら書きます

抽象的な話が続いたので、最後に現状の職種がどうなっていくかをつらつら書きます。 この章は完全「放談」ですので、あくまで個人的な予測としてご笑覧願います。具体の話になるほど誤解を生むリスクを孕むんだよな。誰かを怒らせたらすいません。

事業責任者は「社長のやる気」次第

事業責任者に関しては、「社長がどれくらい事業のHow(やり方)に前のめりか」次第だなと思っています。
もし社長がHowに前のめりな場合、間に人を挟まず、自分でAIに指示出しをしたほうが早いし劣化しない、ということになるでしょう。
従来であれば、社長が現場のHowまで首を突っ込むのは「ボトルネックになる」という意味でアンチパターンでしたが、AIを使えば現実的に管理できる状況が来ます。
そのような中で事業責任者の出番があるとしたら、以下のようなケースです。

  • 社長が脳のリソースを別のことに使いたい場合

  • 存在することで社長も含めてチームのメンタルケアができる場合

  • 会社が一定上のサイズになった場合(人間でも扱いきれないロングコンテキストが現れたら分割せざるを得ない)

人間はロングコンテキストを扱えるとはいえ、限界はありますからね。

「やる気」と書きましたが、要は「誰が意志の発信源となるか」、あるいは「誰が意志の増幅装置となるか」という話なのかなと思います。

本当にプロダクトマネジメントしかスコープに無いPdMが活躍できる現場は減る

「プロダクトマネージャーはいなくなるけど、プロダクトマネジメントというスキルは生き残る!」 ……みたいな事を言いたいところですが、「プロダクトマネジメント」のほうが代替される可能性が高いかもなと思ってます。 だって明らかに、人間よりAIのほうがプロダクトマネジメント得意だもん。プロダクト開発は複雑ですが、その複雑さを圧縮するために「プロダクトマネジメント」という機能やプラクティスが発達してきました。 コンテキストを絞り複雑さを圧縮する処理は、AIの最も得意な領域です。 ゆえに、皮肉ですが逆に代替されやすい。これ、伝わりますかね。

  • 段取り的なプラクティスは生成AIに代替される。

  • 最後の定性的な判断や、そもそものゴール設定は事業責任者や社長が直接やればいい。

おそらく、プロダクトマネジメントという職能だけだと「ロングコンテキスト」じゃないんですよね。 もう少し広げる必要がある。
悪いこと言わないので、リーダーになるかエンジニアになるか、方向性を決めたほうがいいです。プロダクトマネジメント勉強してたら年収上がるとか食いっぱぐれないみたいなことは考えない方がいいです。

プロダクトマネージャーという仕事が確立してから、それを目指してプロダクトマネジメントをスキルとして体系的に学んだが、いまいち腹落ちしていない人とかは特に危機感を持った方がいいです。そういうスタンスから含めて危機感を持った方がいい。実際うちのチームには、プロダクトマネージャーという名前のプロダクトマネージャーはいないです。

とはいえ、いきなり「エンジニアになれ」と言われても困りますよね。 もしあなたが、コードを書くことよりも「人間のドロドロした感情」や「言語化できない違和感」に向き合うのが得意なら、生き残る道は明確にあります。
それは、「AIに渡す前の意志を翻訳する仕事」です。
AIは論理的な正解を出すのは天才的ですが、「そもそも何に熱狂すべきか」という非合理な意思決定はできません。ユーザーの言葉にならない呻きや、創業者の狂気じみた思いつきを拾い上げ、それをAIが理解できる「構造(コンテキスト)」に落とし込む。社長だから、リーダーだからと言ってこれができるわけじゃないので、活躍の余地あります。
今まで便利屋さんとして板挟みになってきた経験こそが、実は「矛盾を統合する」という、AIが最も苦手なロングコンテキスト処理の訓練になっていたはずです。その泥臭いスキルを、AIへのコンテキスト注入に使ってください。そうすれば、あなたは最強の翻訳者になれます。

エンジニアは最後の最後まで必要だが、考え方は変える必要がある

エンジニアは確実に生き残りますが、道は大きく2つに分岐すると考えます。

① コンテキストを広げていくルート 職種を飛び出してカバレッジを広げていく方向です。PdMや事業責任者に越境していく「事業が分かるエンジニア」とかのガチなやつですね。
② 専門家として特化するルート 従来の技術スペシャリストとは少し違います。「ロングコンテキストを結集しながら、AIを人月として活用できるようにする仕事」です。 感覚としては従来のマネジメントに近いですが、技術やエンジニアリングの考え方がわからなければ絶対に成り立たない仕事です。

専門家として特化するルートは、先述した「人月AI管理者」の方向性かつ、専門性でお墨付きをつける仕事という感覚ですね。 この「お墨付きをつける仕事」は絶対に最後まで残ります。 人間という摩擦係数を極力ゼロにしたEMかつ、実装スキルが高い人。
僕の組織目指している、フルサイクルエンジニア土台のEPMが正解だと思います。ポジショントークではありますがマジでそうなると思います。そしてその役割は本当に引く手数多です。

エンジニアの思考とか視点とかは絶対に必要です。非エンジニアがバイブコーディングでイケるとかありえないですから。単純なコーディングだけじゃないので。エンジニアの仕事は。特殊な訓練を積んでないとできない。

エンジニアとして「人月AI管理者」になっていくのは感情的に抵抗があるかもしれませんが、やってみたら絶対に面白いと思うよ。面白いし簡単じゃない。

デザイナーは「シニア」で「基準を作れる人」以外は生き残れない

(ここはプレイヤー経験がないので、マネジメント視点の言葉として受け取ってください)
結論としては、「基準を作る仕事」に移行する他にないのではと考えます。そして、絶対数がもっとも早く減る職種の一つになるでしょう。
そもそもAI以前から、デザイナーの仕事は風前の灯火でした。PdMとフロントエンドエンジニアに少しずつ仕事を奪われていた。その奪われる先がAIに変わって加速していくのだろうなと思います。
特殊なUI/UXは求められ難いことを考えると、「標準化して、模倣して、アウトプットする」という点は生成AIの超得意領域です。特化した課題にコンテキストを与えたときの動きには、人間は敵いません。このコンテキストを入れる作業の巧拙で寿命は変わると思います。

デザイナーという仕事にはとてつもなくリスペクトを持っていますが、必要な人数は減ります。
でも、絶望する必要はありません。「手を動かして画を作る時間」が減るだけで、「何が良い体験なのかを決める(審美眼を持つ)」仕事の価値は上がるからです。
生成AIは、指示すれば100通りのUIを3秒で出してきます。しかし、「どれが人間の琴線に触れるか」「どれがブランドの魂を宿しているか」を選び取ることはできません。 「なんとなく嫌だ」「生理的に気持ちいい」という、人間特有の感覚的なセンサーを持っているのは、あなただけです。
これからのデザイナーの仕事は、Figmaで四角形を描くことではなく、AIという超優秀なオペレーターに対して、「最高のアウトプットを出させるためのプロンプト(文脈)を与え、出てきたものをジャッジする」という、アートディレクターに近い立ち位置になります。
「作る」から「選ぶ・導く」へ。 言語化しにくい「空気感」や「感情の機微」を扱ってきたデザイナーこそ、実は最強の「AI指揮者」になれるポテンシャルを秘めています。
好奇心旺盛にコンテキストを広げることと、人間として安定することが大事です。

Bizは事業構造理解までできるか

「Biz」というまとめ方は雑ですが、営業やマーケなどの「顧客リーチする仕事」に関しては、リーチする仕事としてざっくり統合されていく気がしています。営業なのかマーケなのかはHowでしかない。
標準化する方向(The Model的な方向)では、できるだけ人という不確実性を排除した方がよくない? となり、AIに置き換わる。ゆえに特化型の方向にいくしかない。特化型の方向は様々な顧客にリーチするための「オーダーメイドに近い体験作り」を、AIを活用して推進するリーダーという感じ。

人数の絶対数は増えませんが、細かい単位でのリーダーはたくさん必要になりそうです。 「どう売るか」へのこだわりの追求が歓迎されるようになり、主体的で意志のあるリーダーが必要とされる。

事業責任者方向を目指すのもありですが、その場合は「どれくらいコンテキストを広げられるか」の勝負になります。基本的には深掘り職人方向での深掘りですね。(ただ、この方向性はエンジニアの方が得意な気もするんだよな……)

オペレーションは独自進化していける

一番わかりやすいです。 ミッションカットに、先ほどの組織図の形(リーダー+AI群)でスタンドアロン的に機能して進化していくことになると思います。 Bizのところで書いた「顧客リーチ系職種」の進化と似ていると思います。

ピープルマネジメントだけをしている人たちは難しい立場へ

純粋に「人の評価や管理だけ」をしているピープルマネジメント専業の人は、確実に必要性が減るかなと考えています。 理由は、先述した「職能カット組織の終焉」とセットです。ドメインとロングコンテキストに向き合う組織において、事業の中身に触れずに「人の管理」だけをするポジションには、もはや存在の必然性がありません。「人の管理」をしなければいけないほど多くの人も必要なくなりますしね。
「意志がない、クッションになる、良い兄貴的存在」はその人がいるだけで空気が一変するぐらいの良い兄貴でないとバリュー発揮しづらいかもしれませんね。
一番苦しくなるのは、「専門職としての勝負から逃げて、マネジメントに回った元スペシャリスト」でしょうね。逃げたぶん何かしらのプロフェッショナリズムが身についているなら良いですが、ただなんとなく専門職のことがわかるということだけを頼りにマネジメントしていた人は厳しくなりそうです。

結局のところ手も動かせるマネージャーしか生き残れないんじゃないかな。手を動かせると言うのは、自分発信で何かが変えられると言うことです。上に言われて人を管理しているだけの中間管理職は数が減ります。それか最上段の組織構造を作る仕事にいくしかない。ただしその職能の組織の構造を見ていました、だけだと不足するものがありそうです。この文章を読んでもっと考えたい、組織実装していきたいと言う人はその方向性が向いてそうですね。

勘違いしないでほしんですが、マネジメントのスキルや仕事そのものは重要度を増すばかりですよ。

人と人の間を取り持つみたいな仕事はどうなるのか

人と人との間を取り持つ仕事、人とプロダクトの間を取り持つ仕事、そう言う仕事はどうなるのと言う話ですが、人が集まって仕事をする以上は必要なんでしょうね。マネージャー系の職種が持っている「人に対する解像度の高さ」みたいなものは不要になることはないと思います。

まぁでも素朴にずっと思っているのは、取り持たれないと能力発揮したり、前に進めたりができない人が存在する理由がわからないなーと言う感情はある。特化してスキル発揮する人なら生成AIで良くないですか?
ただ、情報を意図的に隠して優位取ってくる系の人はいますよね。そう言う人の攻略法がいるなー。

編集後記

文章、長すぎんだろ!

……と自分でも思いますが、最後にまとめです。
結局のところ、どの職種であろうと「なぜその仕事が存在するのか」「何をアウトカムするのか」を、自分の言葉で深く語れる人は絶対生き残ります。 逆に、この変革期に表面的な「How(やり方)」だけを追って、思考停止で生きていたら詰みます。

基本方針は2つ。「めっちゃ考える」か、「めっちゃニコニコしておく」か。 どちらかですね。この文章では「めっちゃ考える」を中心に論じたんですが、「めっちゃニコニコしておく」も結構大事で、人間として存在しているだけで価値があるみたいな、存在感の重要性は増します。
このようにして、序文に書いた人間のいいところに戻ってくるわけです。

読み返してみると、2万文字近く費やして結局「優秀な人は大丈夫だよ!」みたいなことを言っているだけの文章になってしまいました。
ただ正直、「優秀」という言葉だけで全てを片付けるのは暴力的だと思います。 だからこそ、その暴力性を乗り越えるために、「優秀とは具体的にどういう状態か(=ロングコンテキストを保持し、意志を持つこと)」について、1万字を費やして解像度を上げてみました。
粗いところもあると思いますが、議論の叩き台になれば嬉しいです!

これから先、一人でできることは劇的に増えます。インターネットの登場以上のインパクトで、個人の能力が拡張されるからです。 そうなった時、人が物理的・組織的に集まって働く必然性は、低下する一方でしょう。 資本の論理で会社が大きくなることはあっても、個人が価値を出すために「群れる」意味は減っていくのでは無いかと思います。相互にエンパワメントし合うために「群れる」ことはあると思います。
冷静に考えてみれば、これだけ多くの人間が同じ場所に集まって、似たようなホワイトカラー仕事をしている現状自体が、人類の歴史において「特殊な一時代」に過ぎなかったんだと思います。 その魔法は、もう解けます。

だから、惰性でやるのはやめましょう。 本当にこの仕事が好きで、内発的に変わり続けられる人だけが、これからのホワイトカラーをやればいいのよ。いろんな仕事がある。

自分はどう言う人間で本当にやりたいことは何なのか。それを問い続けるプロセスは、ある種「残酷で辛いこと」かもしれません。
でも裏を返せば、それは「気の合わない人と、心にもないことを喋りながら、生活のために我慢して働く」という、現代的な労働からの解放宣言でもあります。給与は我慢料じゃない。

魔法が解けた世界で、裸の人間として何をするか。 面倒な調整や忖度はAIに任せて、私たちはただ「意志」と「愛」だけでつながることができる。
そう考えると、これからのホワイトカラーの未来は、意外と悪くない。いや、むしろ「人間がやっと人間らしい仕事に戻れる」、最高に面白い時代の幕開けなんじゃないかと、僕は思っています。

結局自分との向き合いですね。

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