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幼稚園児のチャンバラごっこに、本気になってしまった父

「おとうさん、剣道しよう」
毎日のように、息子に挑まれる。

もちろん、本物の剣道ではない。
棒を振り回すだけの、ただのチャンバラごっこだ。

最初の頃は、
ただ猛烈に振り回しているだけ。
たたかれる一方で、遊びにもならない。

それでは話にならないので、
「何回も振るより、一撃で決めるほうが強いんだ」
と、それっぽい理屈を教え込んだ。

すると、不思議とチャンバラらしくなってきた。

そうなると、父も楽しくなってくる。


私も子供の頃、こういう遊びが大好きだった。
小中学生になると刃物に興味を持ち、
木工をしては何度も指を切った。

そして、ふと思った。
「本当に剣をやってみたい」

私は太極拳をやっている。
そこで、以前から気になっていた「太極剣」を始めてみた。

剣を使って行う太極拳。
そう説明すれば、だいたい合っている。

そして、半年。

息子は成長した。
しかし、チャンバラは相変わらず同じレベル。

父も成長した。
大人げない方向に。
太極剣は、
私の剣の扱いを上達させた。

最近は、
息子のスキを見つけると、
下腹から肩へ向かって、
斜めに払い切るのが快感になってしまった。

妙にきれいに決まる。

ダイソーのスポンジ剣でやっているので、
手ごたえがあるのに、
息子は痛くない。(はず)

息子も、
「切られてないもん」と
反論できないくらい見事に決まるので、
「あ、やられた」
という顔をする。

もちろん、毎回勝つわけではない。
ちゃんと負ける、
負けてあげる時もある。


しかし、太極剣は、なかなか奥が深い。

脚の踏み込み、引き。

切るにもたくさんある。
引き切る
押し切る
払い切る

身体に入った動きは、
遊びの中でも、
勝手に出てきてしまうようだ。

しばらく、楽しませてもらおう。


(おわり)


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