存在条件工学 |Crystal Cosmology-Love Focus Approach vol.5
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目 次
第1章 オリジン編総括――3軸トリニティとプラトン立体
第2章 オリジン編総括――観察(LOOK)→認識(SEE)→洞察(WATCH)
第3章 オリジン編総括――ストラクチャーライン・モビリティライン・クオリティライン
第4章 エージェンシーレンズ(E.L.):主体策定観点
第5章 スケールレンズ(S.L.):階層判定観点
第6章 コンテキストレンズ(C.L.):背景照射観点
第7章 パーパスポジション(P.P.):動機付けによる見立て
第8章 バリューポジション(B.P.):価値観による見立て
第9章 ネイチャーポジション(N.P.):存在意義による見立て
第10章 3つのディレクション
第11章 愛の道編総括
第12章 一つのwill
前回のセッションで、「エージェンシー」という役割のレンズ(主対策定観点)は、使い方がお分かりになりましたでしょうか。それは要するに、一つの概念や世界を、「どのような主体性をもって眺めるのか」、その世界のの中で「どのように自発性をもってふるまうのか」、という観点であるということでした。
今回の発展編も、そろそろこの辺りから、難しく感じられるようになられたかもしれませんね。ここでは、次のようにイメージしてみてください。
あなたはオリジン編から、様々な視点(クリスタルコスモロジーにおいては、6つのパラメーター)に沿って、抽象世界から具現世界にわたって、物事を認知して(観察:SEE→認識:LOOK→洞察:WATCHという段階を経ながら)、宇宙がこの6つの視点が結ぶ、世界の中に納まってしまうことを体験しました。そしてそれが、世界を見渡すときには、「全宇宙」となり、あなたを観察するときは、あなた自身の「世界」であり、いわば「お家」となりましたよね。
その時には、あなた自身を貫いて伸びる、上下、左右、前後の3つのラインに導かれながら、「正八面体」という立体図形を形づくって、あなたの「世界を」体感しました。しかしここで、前回ご紹介した「エージェンシーレンズ(E.L.)」で、そのあなたのお家を詳しく見る時には、一度そのあなたの「お家(世界)」を、自分の「手のひらに乗せて」から、眺めるのです。これが、この観点を「レンズ」と呼ぶ所以です。あなたが体を貫くラインに沿って作った、正八面体という形に落とし込んだ世界を、今度は手に取って外側から眺めてみるのです。そうするとうまくいくはずです。
そして、この一連のセッションでは、一言で「宇宙」や「世界」と申し上げても、抽象的でイメージしずらいことがありますので、ときおり「お家」と言ってみたり、または「車」と言ってみたりして、具現世界の現象や出来事になぞらえて、皆さんが認知しやすいように表現しています。ですから、一言で「お家」と申し上げても、それは同時に、「宇宙」や「世界」の、メタファーでありシンボルである、とお考え下さい。
さてそこで、もう一度取り上げるのが、あなたの「お家」です(笑)。
前回、あなたはご自分の求めるお家を明らかにするため、主対策定観点に立って、つまり、エージェンシーレンズを使って、業者さんにどのようなお家を探してもらうのか、あらかじめ見立てておきました。そしてそのうえで、設計士さんに設計を依頼したり、不動産屋さんに物件を探してもらったり、もしくはスマホで検索したりする、というところまでたどり着きました。しかしまだ、あなたが求めるお家を、完全に決定するには至っていません。なぜなら、不動産屋さんではあなたの要望に応えて、数々の物件を引き合いに出されるでしょうし、スマホで検索しても、ここまでだいたいの目安を付けてはいても、候補がいくつか上がってきているはずです。そしてもし、あなたが新築で、お家を建てようとするものなら、そもそもどの建築屋さんや、ハウスメーカーに相談へ行くのかを、考えなければなりません。なぜなら、ハウスメーカーによって、おおよその建築費が決まっているからです。
「注文住宅およそ、一坪あたり〇〇十万円」
そう、グレードですね。クリスタルコスモロジーでは、この観測視点を
スケールレンズ(S.L.):階層判定観点
と呼んでいます。
新たにお出ましになったこのレンズは、お家の建築費、つまり一坪当たり何万円、というグレード感だけを測定するものではありません。先ほどもお話ししましたように、私たちはここでは、「お家」を、「世界」や「宇宙」といった、「存在」や「現象」にたとえているのですから。このレンズの指し示す「スケール」という言葉も、先の「グレード」などといった、新築の時に投入できる、資金面のボリュームだけを指すものではありません。お家選びの際も、夫婦二人だけで住むのか、子供は何人いて部屋は何部屋必要なのか、といった、住む人の「人数的」スケールも考慮しなければなりませんし、場合によっては、「将来お母さんかお父さんが一人になったときには、うちで一緒に面倒を見よう、その時のためには、もう一部屋必要になるな。」といった、「時間的」スケールも、視野に入れなくてはならないことがあるはずです。
ここでは一つ、具体的な事例を見てみましょう。みなさんもご存じの「ディズニー社」(日本でディズニーランドを運営するオリエンタルランド社ではなく、アメリカの本社)は、「ミッキーマウス」の著作権を保護するために、関係機関に働きかけて、法律の保護期間自体を延長させたり、「商標権」を使って、名前やロゴを守り続けてきました。法律的に詳しいことは、少し入り組んでしまいますので省略しますが、これら一連の「ミッキーマウス保護法」とも呼ばれる、ディズニー社に対する賛否は、大きく分けて、次のような立場が散見します。
・法律・倫理的なスケール
法学者や専門家の間では、著作権法は、「一定期間の独占を認める代わりに、その後は人類共通の財産にする」、というバランスの上に成り立っているはずであり、巨大企業がロビー活動を通して著作権法を延長したり、商標権を盾に事実上の独占を続けることは、「公共への還元」という法の精神を骨抜きにしており、「バックドア(裏口)からの保護」と呼ばれている。
・ファン層・擁護者のスケール
ディズニーのブランドイメージを、勝手な二次創作などで汚されることは、好ましくない。別に人を殺したわけでもなく、お金もかけてロビー活動をするのも、ブランドイメージに対する防衛策である。そもそも違法なこともしていないし、悪意をもって人を傷つけてもおらず、被害を被る人もいない。どこもおかしいことはしておらず、何もいけないことはない。むしろディズニーは一生懸命やっている。
・エンタメ・アミューズメント産業というスケール
ディズニーの成功は、実は『白雪姫』や『ピーターパン』など、すでに著作権が切れていた、民話や物語を再解釈してヒットさせたことに端を発しています。それにもかかわらず、自社の作品が公共財産になるのを法的に阻止し続け、いまや、取得した膨大なIP(著作権・商標権)の囲い込みに依存するようになっている。日本のジブリが作品そのものの芸術性や、メッセージ性を追求する「作家主義」を保つのに対し、ディズニー社は、既存の強いIPを買い取り、それを管理・維持することに注力しているのが実情であり、先行きが不安である。
それぞれのよって立つスケールレンズの違いで、同じ世界での出来事(ディズニーがキャラクターの知的財産権を守り続ける)が、まったく違う出来事のように映りませんでしょうか。そこで次に、ディズニー社を取り巻く実態を、「時間」というスケールで判定してみましょう。
ここで着目するのは、「長期の株価動向」というものです。なぜならこれは、企業の体質を表すといわれる指標だからです。企業の株価というものは、ミクロにみると、投資家の思惑や、その時の社会情勢、時には政府の方針などを反映して、大きく揺れ動くこともあります。しかしマクロにみると、つまり長期視点に立って眺めると、企業の業績の中身を、正しく指し示すものだからです。
・経年変化のスケール
①.創業~1980年代:創造性がそのまま株価になっていた時代
・創業:1923年(ウォルト・ディズニー)
・株式公開:1940年
・~1960年代:アニメ映画・テーマパークの革新期
この時代のディズニー株は、「新しい夢を生み出せる会社」への期待そのもの。IP(著作権・商標権)という考え方すら未成熟。
②.1990年代~2000年代前半:IP拡張・黄金期(しかし、転換点)
・ルネサンス期(リトルマーメイド、ライオンキングなど)
・1998年:著作権延長(ソニー・ボノ法)
・グローバルにブランドを確立
株価は大きく上昇して、安定成長企業として評価される。しかし会社の体質としては、創造力(新作を生み出す会社)から、IPの保有・独占力(過去の成果を管理する会社)へとなり始める。
③.2009~2019年:”買収による成長”というピーク期
・ピクサー(2006)
・マーベル(2009)
・ルーカスフィルム(2012)
・21世紀FOX(2019)
最強IPを全て持った会社として、2010年代後半にかけて史上最高値圏。成長は「買収」に依存して、創造性は外部調達となる。
④.2020年代:静かなる時代
・コロナ後も株価回復は鈍い
・Disney+の赤字
・映画の失速
・パークは好調でも全体は伸びない
・CEO交代劇(ボブ・アイガー氏復帰)
市場は、IPやブランドはあるものの、次のミッキーや、次の神話が生まれてこない、「制度疲労」を反映する。
総合すると、2021年3月ごろは史上最高高値を記録し(約200ドル台)、その後2022~2023年にかけて大きく下落し、2024~2025年にかけても、高値を回復できておらず、ピークから見ると長期でアンダーパフォームしており(成績が悪く)、アメリカの代表的な株式指標であるS&P500や、NASDAQと比較しても、「市場全体に明確に負けている」、という状態にある。という判断にたどり着きます。
さらに、「業界」というスケールに着目して、ディズニー社の立ち位置を測ってみましょう。まずは、最近耳にする「スターバックスは、日本ではよいけれど、本国では振るわない。」ということについて、同じ目線で見てみます。
・産業界としてのスケール
スターバックス本社
・創業期:ホスピタリティ×物語
・成長期:ブランド×体験
・現在:効率×数値×標準化
という変遷の経たうえ、ディズニー社と同じく、かつては新しい体験や物語、哲学を柱としていた経営が、現在は効率や管理、数値といったものが主流となり、市場が、つまり株価が、素晴らしい過去を持つが、未来の物語が見えない企業としてとらえている、ということが確認できます。
次は、ディズニーの同業者ともいえる、コンテンツビジネスを展開する、「任天堂」を、レンズの向こう側に覗いてみます。
・任天堂
①.株価が示すもの
・1980年代~現在まで:長期で右肩上がり(大きな波はあるが、底値が切りあがる)
・wii失速→switchで復活
・失敗しても「物語が続く」ことを市場が信じる
②.IP(著作権・商標権)に対する姿勢
・ディズニー:法律・商標・契約で守るもの
・任天堂:遊びを更新するための入り口
最後は、「ブランド」業界としては大御所の、ルイヴィトンはどうでしょうか。
・ルイビトン
・1980年代後半~現在まで、長期でほぼ一貫して右肩上がり。
・ITバブル、リーマンショック、コロナ危機を越えて、高値更新を繰り返す。
・若手デザイナーの起用
・現代美術・建築への継続投資
・職人教育・工房の維持
このような特徴が見受けられます。これは、創業者であるルイヴィトンの
・100年使ってもらえる本物を創る
・模倣品・コピーの出現は、本物の価値をさらに上げる機会となる
・企業の利益とは、まず確かな品質が顧客を生み、その信頼があれば顧客を生むことができ、顧客がいれば結果として利益を生む
という哲学が受け継がれているものである、と読み取れます。
これらの様々な「スケール」にレンズを当ててみた結果、現在のディズニー社の姿を総合してみると
ディズニー社が身を置く業界は「エンタメ・アミューズメント産業」であり、業界目的は、つまり社会的役割とは、主に、「娯楽を提供すること」及び「遊びの機会を演出すること」、を目的とする、サービス産業であると言えます。近くの産業であるルイヴィトンのような「ブランド産業」は、業界目的は、主に「ステイタスの演出」と、「長期に価値のある、ものの提供」を行う、製造業である、と言えます。
ここでさらに、「経営の原則」に立ち戻ってみましょう。全ての企業の報酬は、顧客(マーケット・市場)に、何らかの投資を行う(ものでもサービスでも提供する)結果、その見返り(対価)として、受け取るものです。
現在までの最近のディスニー社は、本業であるエンタメ産業において投資を行うことよりも、副業であるはずのブランド産業に、一見、力を注いでいるように見えるものの、任天堂やルイヴィトンのように、そのどちらにも「投資」を敢行することが見受けられず、本来その「投資」の結果に受け取るはずの、「報酬」(著作権・商標権・ブランド訴求力)ばかりに目を向けている。
という姿が、レンズの向こうに立ち上がってきます。どうでしょうか。
さらにここからは、プロフェッショナルな仕訳となります。あくまでもディズニー本社の経営者、役員の方々へ向けての判定となります。ファンの皆様や、従業員の方々へ向けてのものではありませんので、少し下がってみていてください。
・経済主体のスケール
経済活動を行う上での、生産、分配、支出などを行う、それぞれの独立した単位の総称であり、以下の三者によって構成されます。
・企業(生産者):形あるものでも(財)、形のないものでも(サービス)、何らかの価値あるものを生み出す者
・家計(消費者):生産者によって生み出された価値を、購入することによって、消費したり体験する者
・政府 :「資源配分」「所得の再配分」「経済の安定化」を通して、上記の二者を調整し、公共サービス(警察、消防、道路など)を、提供する者
消費者である私たちは、ディズニーであれ、任天堂であれ、ビトンであっても、彼らが生産する「価値あるもの」を、購入して、消費したり、所有したり、体験をしたりするわけです。
ディズニー社は、初期に得た利益によって、その後、新しく価値を生産しましたが、政府に働きかけて、その価値をさらに大きく膨らませました。その結果増えた利益を、さらに価値あるものの生産に回すのですが、どちらかというと、消費者が行う「お買い物」に夢中になります(ピクサー・マーベル・ルーカスフィルム・21世紀FOX)。その後、もちろん「年間300億ドル規模のコンテンツ投資」などとありますが、内容は「既存IPの“延命・再利用”比率が高い」となっており、これは私たち消費者でも行う行動です。
まぜなら、自動車でも、バックでも、腕時計でも、私たちは買ったらメンテナンスを行います。エンジンオイルを交換したり、車検を受けたり、皮のバックを、オイルを塗ったクロスで磨いたり。使わないのなら箱のままそっとしまっておいたり。腕時計が止まれば電池を交換したり。これもまた使わないのなら、箱から出さずに、できるだけいい状態で保管したり。富裕層の方なら、高級腕時計を、年に数回訪れる別宅の蔵に保管したり…
しかし、これらは、価値を生み出す行動ではありません。メンテナンスです。もちろんディズニー社も、持ち物である著作権や商標権、お買い物して買った、ピクサー・マーベル・ルーカスフィルム・21世紀FOX、などのメンテナンスには、お金も時間も手間もかけます。しかし、私たち消費者、サラリーマンや、会社の社長さんや、富裕層の方でも等しく、先に見たように、所有するものはメンテナンスはするのです。
「そこで、ディズニー社の経営者の方々、あなた方は、過去のメンテナンスのほかに、どれだけの価値を、生み出すことに力を注いでいるのですか? 少し、心配しています。」
これは、私が申し上げているのではありません。先ほどみた、マーケットの意向=株価の長期動向=世の中の本音を、コグニティブリテラシーで翻訳した結果なのです。分析した私も同感なのですが…
今回にセッションは、どのスケールで世界を見るか、という内容でしたが、少し長くなってしまいました。疲れませんでしたでしょうかね。
これらと同じように、自分自身というものも、レンズの当て方によっては、様々な見え方がするものです。今、手の平に乗っているあなたの世界を、あなた自身は、どのようにみているのでしょうか。
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