三題噺ショートショートvol.54_約束
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「約束」まいりましょうか。

薫とは、ふたりで買ってきたグリコのお菓子のおまけを取り合った仲だった。
同じ少年野球団に入り。薫とバッテリーを組んだ。薫は良い球を投げたが、中学に入ると野球部のマネージャーになった。
高校も同じ学校で。東京の大学から呼ばれて。俺はセレクションで。薫は一般入試。そのまま女子マネージャーになってくれた。
俺はただ、野球漬けの毎日だったが、薫は昔からよく勉強をした。薫のお陰で、俺は何とか卒業できた。
就職も、俺は社会人野球を選択し。薫は一般応募で同じ会社に入った。
俺達は、徹頭徹尾、同じ青春を過ごしたのだ。
ある日俺は練習で大怪我をして。約束は、ピンチのランチとなり、消え去った。
それからは薫を避け続け、姿を消した。
薫から久し振りにメールがきた。
See you again
それだけだった。
辞書で引いてみたら、意味は、
また会いましょう。
あの日渡せなかったものを薫に渡した。
あの言葉がたぶん、俺が独身時代に教えてもらった、最後の英語だった。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。
「コジくん、 残業お疲れ様。私のあんよが、マッサー(注1)待ってるよ。」
マッサージをすると、家内は、上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、54作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書くには書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
初回から一年を超え、お題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。

