読んだり書いたりを仕事にしてきた私が、10年ずっと近くにいて、心を支えてくれた本たちを紹介する
僕は、誰かの書いた文章を読んでフィードバックしたり、コンテンツを制作することを仕事にしています。しかしながら、読書量としてはそれほどでもなく、ぴんと来た本を月に3〜5冊買うくらい(読破するとは限らない)で、読書家というにはおこがましいくらいの、ささやかな本好きです。
ふだんは在宅でリモートワークで働いており、作業するデスクは1400mmの横長のワーキングテーブルを使っていて、机の端っこに無印の木製三段ラックを置いて本棚としています。
で、PC作業の合間に、ふとしたときに手を伸ばせば取れるところに、よく読む本を置いてあります。で、その時々の積読だけでなく、常時スタンバイしている本が何冊か居るなあと、さっき気付いた。
どれも心の支えだったり、思い出したい言葉が書かれているものばかりで、時に入れ替わりはあるのだが、割にながくスタメンを張ってくれている本をこのnoteで紹介してみようと思う。
こころの処方箋|河合隼雄
学生時代にこの人の文章に出会えてよかったな、と思えるひとりが河合隼雄さんです。人間に向き合う仕事を極めたひとりの賢者として、今も昔も僕のなかでずっとスターでいらっしゃる。
文化庁長官までつとめられた河合先生のお話を、生前、いちどだけ聞く機会があった。本当にかろやかな関西弁で、文章のとおりの調子だなとうれしく思った。
「ふたつよいこと さてないものよ」など、故事成語やことわざのような、耐用年数の長い教えがたくさん、押し付けがましくなく、伝わってくる。読み手との距離が絶妙で、読みやすい文章としてもたいへん勉強になる。
本当に弱ったときは迷いなくメンタルクリニックのお世話になろう、という知識が今の自分にはあるけど、ちょっと気持ちが弱ったな、というときにいつも頼る本です。
横井軍平ゲーム館|横井軍平/牧野武文
任天堂の技術者であった横井軍平さんのインタビュー集。世界的企業に至るまでの任天堂の歴史でもある。
横井さんは、ゲームボーイを作ったというだけで偉人だが、個人的には「十字キー」を考案した人として本当にすごいと思う。手元を見ずにどちらを入力しているかが手の感覚からわかるようになっている、というのがすごい。
子どもの頃、ゲームをつくる人になりたくて、ゲーム開発に関する本をたくさん読んだ。そこでプログラミングを学ばなかったあたり、先見の明のなさをせつなく思いもする。
プロジェクトXみたいな、企業やチームのバックストーリーを好むようになったきっかけの本かもしれない。
伝わる・揺さぶる! 文章を書く|山田ズーニー
ほぼ日刊イトイ新聞の連載で知った、小論文のプロ・山田ズーニーさんの本です。文章術の本を仕事柄読むことが多いが、その中でも、最も長く読み返している一冊だ。
どうしたら誤解なく自分の想いを伝えられるか、という点から、よい文章を書くためのヒントがたくさん書かれています。誰にも書く力があるんだよ、というメッセージに、文章が苦手な10代の自分はとても励まされた。
そういう、学生向けの仕事をしていたズーニーさんならではの、あらゆる書く人に向けられた、どっしりとした肯定感が大好きで、めちゃくちゃ影響を受けてるなあ、と思います。
村上ラジオ|村上春樹
村上春樹さんのエッセイ。リンクはKindleの合本だが、手元には単行本の初版がある。本に失礼な扱いをしているのがバレて恥ずかしいが、日焼けしたりシミがついていたりするけど、ずっとスタメンを張っている。
村上ラジオ2の前書きに書いてある、「ビール会社が作るウーロン茶」みたいなものだ、という表現が本当に素敵なので引用します。
僕は本職が小説家であって、エッセイは基本的に「ビール会社が作るウーロン茶」みたいなものだと考えています。でも世の中には「私はビールが苦手で、ウーロン茶しか飲まない」という人もたくさんおられるわけだし、もちろん手を抜くことはできない。いったんウーロン茶を作るからには、日本でいちばんおいしいウーロン茶を目指して作るというのは、物書きとして当然の気構えです。
逃避めし|吉田戦車
吉田戦車さんの書かれるエッセイがものすごく好きだ。初めて読んだときに、こんなにも何にもとらわれず、料理をつくって食べる姿勢があるのかと驚いた。
そんなに料理の工程を端折っていいんだ!そんなにも自分の気持ちだけに従っていいんだ!と、なんだか、お坊さんの法話に聞き入るように、ページをめくるたびにしみじみとした気持ちになる。
孤独のグルメの自炊版のような感じで、自分で、自分のためだけに何かやる自由さが本当に素敵で、生活の中でイニシアチブを取れてないな、というときにふと読み返して、励みにしている、
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みなさんが、ずっとともに暮らしている、パートナーとしての愛読書がありましたら、#10年本 をつけて、ぜひ教えて下さい。
また、このnoteで書いたテーマをベースにして、書いて下さったnoteをシェアします。
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