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【ASD青年の成長物語】泣き虫だった彼を、あなたに紹介します🕊️



👦ASD青年の物語

【青年の紹介】

【第1章】🌱 少年、春に生まれる
 第1話「小学1年生・1学期」
 第2話「小学1年生・夏休み~2学期」
 第3話「小学1年生・冬休み~3学期~春休み」
 第4話「小学2年生・1学期~夏休み」
 第5話「小学2年生・2学期~冬休み」
 第6話「小学2年生・3学期~春休み」
 第7話「小学3年生・1学期~夏休み」
 第8話「小学3年生・2学期~冬休み」
 第9話「小学3年生・3学期~春休み」
 第10話「小学4年生・1学期~夏休み」
 第11話「小学4年生・2学期~冬休み」
 第12話「小学4年生・3学期~春休み」
 第13話「小学5年生・1学期~夏休み」
 第14話「小学5年生・2学期~冬休み」
 第15話「小学5年生・3学期~春休み」
 第16話「小学6年生・1学期~夏休み」
 第17話「小学6年生・2学期~冬休み」
 第18話「小学6年生・3学期~春休み」

【第2章】🎒 中学という小さな世界
 第1話「中学1年生・1学期~夏休み」
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はじめに(登場人物紹介)


はじめまして。

この物語の語り手を務める、
臨床心理士篠原 光(しのはら ひかり)と申します。

私は今、地域の相談室で、仕事や人間関係、
発達に関するお悩みを伺いながら、日々を過ごしています。


彼――この物語の主人公である青年と出会ったのは、
彼が社会に出てから数年が経ち、
再び自分の足で歩き出そうとしていた時でした。


彼の話を聴いていく中で、
私は何度も「これは誰かに届けたい」と感じました。


悩みながら、時に立ち止まりながらも、自分のペースで歩いていく姿は、
過去に似た痛みを抱えた方にとって、
きっと心の支えになると思ったからです。


今日はまず、彼とその家族を紹介させてください。


◆ 主人公:武田 陽樹(たけだ はるき)

昭和の終わりごろ、小さな田舎町で生まれた男の子。

物静かで、感情の起伏を言葉にするのが苦手。

身体を動かすことや人付き合いが苦手だった反面、
勉強だけが自分の居場所だった。

人の言葉に傷つきやすく、
すぐに涙が出てしまうため、「泣き虫」と呼ばれることも多かった。

周囲に理解されにくいまま育ったが、
彼の中には繊細なやさしさと、小さな誠実さが息づいていた。


◆ 妹:武田 実里(たけだ みのり)

陽樹の2歳下。
明るく社交的で、地域の行事にもよく参加する活発な子。

兄のことを心から心配しているが、その想いはなかなか伝わらない。

彼女の存在が、後に大きな意味を持つようになる。


◆母:武田 智恵子(ちえこ)

代々農家の家系に生まれ育ち、六人姉妹の次女として実家を継ぐ。

現在は父(陽樹の母方の祖父)と同居している。

やさしい性格ながら、
息子である陽樹に対しては「武田家の長男」という強い期待を抱いている。

農作業、子育て、そして養子に迎えた夫と父との不仲という
三重の悩みを抱えながら、日々を過ごしている。


◆ 父:武田 正雄(たけだ まさお)

同じ田舎町の出身で、実家では四男。

婿養子として武田家に入ったが、農業は未経験だった。

物静かで不器用だが、力仕事には長けている。

ただ、妻の父との関係がうまくいかず、家では居心地の悪さを感じている。

高校進学を望んでいたものの、家庭の事情と兄たちの意向により
中卒で働き始めた過去が心の中にしこりとして残っている。

家庭内では子育てよりも自分の行動を優先してしまい、
たびたび妻から叱責を受ける。

頑固な一面もあり、家庭の中で摩擦を生むことも。


◆ 語り手:篠原 光(しのはら ひかり)

臨床心理士。青年が社会人になってから出会う女性。

彼の物語を静かに、優しく見守るナレーターでもあります。



物語の概要


【第1章】🌱 少年、春に生まれる

この物語のはじまりは、ひとりの男の子の幼いころにさかのぼります。

昭和の終わりが近づく頃、ある田舎町で、泣き虫な少年が生まれました。


言いたいことが言えず、友達との距離感がうまくつかめない。



けれど、彼の中には、確かに純粋な優しさと、
他人に寄り添うちいさな芽が息づいていたのです。


この町では、まだ『発達障害』という言葉が日常に存在しなかった時代。

人々は「育てにくい子」「変わった子」として彼を見つめていました。


それでも彼は静かに、けれど懸命に、
自分なりのペースで世界に触れようとしていたのです。


その小さな一歩が、やがて遠くの未来へと続いていくことを――

この時、誰も知る由はありませんでした。



【第2章】🎒 中学という小さな世界

思春期の入り口。

周囲の言葉が、態度が、まるでナイフのように感じられた時期。

何が「普通」かもわからない。

でも、合わせなければ仲間外れにされる。

そんな不安に、胸を締めつけられながら過ごした三年間。


理解者はいなかったかもしれない。

けれど、わかってほしいという気持ちも、うまく伝えられなかった。

勉強だけが、彼の逃げ場所でした。



【第3章】📚 高校、孤独と静かな反発

高校では、自宅から少し離れた進学校へ進学。

けれど、そこでも人との距離感はつかめないまま。

都会から来た同級生たちの話題についていけず、
孤立感はより強まりました。

自分なりの正義感と、「ちゃんとしていたい」という気持ちが空回りし、
クラスの中で浮いてしまうことも。

それでも、彼は歯を食いしばりながら、学び続けます。



【第4章】🏫 世界の輪郭が、にじむ

大学で化学を学び始めた彼にとって、それは未知の世界でした。

周期表や化学式に安心する一方で、
レポート提出やディスカッション、グループワークといった
『人と関わる学び』に戸惑いを覚える日々。


周囲の学生たちは軽やかに関係を築いていきます。

けれど彼はその流れにどう乗っていいかわからず、
次第に孤独を深めていきます。


心が疲れ果て、誰にも相談できないまま、
授業に足が向かなくなる日もありました。


そんな中、彼はふとしたきっかけで
「自分は、なぜこうなのか」と自問しはじめます。


けれど、この時点ではまだ『発達障害』という言葉には出会っていません。


ただ漠然と、「普通」というものからはみ出しているような不安に、
静かに包まれていくのでした。



【第5章】💼 社会人、理想と現実のはざまで

晴れて就職し、エンジニアとして働き始めた彼。

しかし、職場には「空気」「調和」「協調性」という
見えないルールがたくさん存在していました。

会議での発言が浮いてしまう。

細かすぎるこだわりが煙たがられる。

それでも真面目に、誠実に仕事をしてきた彼に、
やがて「技術士」という夢が芽生えます。



【第6章】📜 技術士をめざして

「資格を取れば、自分に自信が持てるかもしれない」

そう信じて、彼は技術士の取得に向けて学び始めます。

努力の末、ついに「建設部門」の技術士に合格。

しかし、その成功の裏で、心は少しずつ疲弊していきました。

誰も気づかぬうちに、自尊心は削られ、
彼の中で「もう何もしたくない」という声が大きくなっていきます。



【第7章】🌪️ 挫折という嵐

心が折れる音は、誰にも聞こえません。

ある日突然、彼は職場に行けなくなってしまいます。

人と話すのが怖くなり、外出すらままならなくなる。


「自分は、なんのために生きてきたんだろう」


それでも、完全に諦めることができなかったのは、
彼の中に、微かな希望の灯が残っていたからかもしれません。



【第8章】🌠 出会いと、新しい問いのはじまり

社会の中で、幾度もつまずきながらも、
技術士の資格取得を目指して走り続けた彼。

努力の末、ようやく手にしたその肩書は、
周囲からの評価という形で彼を一時的に安心させました。

けれど、心の奥では、
どうして自分は、こうも疲れてしまうのかという問いが、
消えることはありませんでした。


そんなある日。 ふと耳にした『発達障害』という言葉。


専門書でも、ネットの中でも、その特徴が語られるたびに、まるで鏡を見ているような感覚に包まれていきます。


「……これが、自分?」


ようやく彼は、
自分の歩んできた道に『言葉』という光が差し込む瞬間を迎えるのです。


それは同時に、新しい問いのはじまりでもありました。

――「これから、自分はどう生きるのか」。


そしてこの章の終わりで、彼はひとりの女性と出会います。


心を扱う仕事をしているその女性──
そう、これを書いている私との出会いも、この頃です。


偶然に交差したふたりの出会いは、やがて彼の人生にあたたかな光を灯し、 この物語を語る『私』という存在を誕生させるのです。

新しい扉が、静かに開きはじめていました。



【第9章】🌈 再起、そして歩き出す日々

かつての失敗も、痛みも、
すべてが今の自分を支える根っこになっていた。

そう気づいたとき、彼はようやく、
自分の足で立ち上がることができたのです。

「過去の自分に、ありがとうと言いたい」

──そう彼が言った日の空は、驚くほど青く澄んでいました。


そして今日も、彼は前を向いて、歩いています。



【第10章】👨‍💼はるきさんと私👩‍⚕️

幾度もの理不尽な体験を重ねながら、
それでも歩みを止めなかった彼は――

やがて、ひとつのかたちにたどり着きました。

それが、私とともに開いた、小さな相談室です。

ここには、日々、さまざまな想いを抱えた方が訪れます。

仕事のこと。
人との関わりのこと。
そして、生きていくこと、そのものについて。

かつて彼自身が感じていた戸惑いや痛みは、
いま、誰かの言葉に静かに耳を傾ける力へと変わりました。

そして私は、その隣で、
彼の歩みを見守りながら、同じ時間を重ねています。

この場所で生まれる一つひとつの対話には、
すぐに答えが見つからないものもあるかもしれません。

それでも――

誰かとともに考え、立ち止まり、
また少しだけ前を向く。

そんな時間が、ここには流れています。

これから、その過程を、
物語として、少しずつお届けしていきますね。



次回より物語開始です

この物語は、誰かの人生とぴったり重なるわけではないかもしれません。

でも、誰かの心にそっと寄り添い、
「自分だけじゃない」と思える時間を届けられたなら──
それはきっと、彼がこの物語に生きた意味になるのだと思うのです。

続きを、どうぞお楽しみに。




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