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フランス文学のおすすめ名作10選!その魅力と面白さを味わうための解説本もご紹介!


フランス文学は面白い!社会の仕組みや人間心理も学べて一石二鳥!

私はこれまで「親鸞とドストエフスキー」をテーマに研究を続けてきました。

そしてドストエフスキーの生涯を学んでいく内に、彼とフランス文学との強い結びつきについても知ることとなりました。

ドストエフスキーは1821年生まれで、物心つく頃には本を通してフランス文化にどっぷり浸っています。

特にバルザックの『ゴリオ爺さん』の時代、1830年頃からのフランスというのはドストエフスキーにとっても思い入れの強いものとなっていたことでしょう。

そんなドストエフスキーが憧れた世界はどのようなものだったのか。それを知りたいと思った私はフランス文学やフランス史の世界に飛び込むこととなったのです。

正直、私はフランスのことを学び始めるまでこの国には苦手意識しかありませんでした。気取っていて、貴族風で、お洒落で、お高くとまっている・・・そんなイメージが私にはあったのです。今思えば大変失礼な偏見ではありますが、かつての私にはフランスに対する苦手意識が強烈にあったのです。

しかしフランス文学や歴史や文化の参考書を読んでその印象はがらっと変わりました。フランスは面白い!知れば知るほどその魅力に私は惹きつけられることになりました。

やはり、「知らない」ということはもったいないですね。

私はこれまで何も知らぬまま勝手にフランスを苦手に思っていただけだったのです。この国の歴史や文化を知れば全く違う世界が見えてきました。

そしてドストエフスキーがフランスに対して何を思ったのかということについても深く考えるきっかけともなりました。

今回の記事ではそんなフランス文学のおすすめ作品とフランス文学の世界をもっと楽しむためのおすすめ解説書をご紹介します。

それぞれのリンク先ではより詳しい内容をお話ししていますので、興味のある本があればぜひ覗いて頂けたらと思います。

では、早速始めていきましょう。


フランス文学のおすすめ作品10選

バルザック『ゴリオ爺さん』

【フランス青年の成り上がり物語~ドストエフスキー『罪と罰』とのつながりも】

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『ゴリオ爺さん』は1830年に出版されたバルザックの代表作で、サマセット・モームの世界十大小説のひとつに入るほどの名作とされています。

この小説を読んで、私は驚きました。

といいますのも、主人公の青年ラスティニャックの置かれた状況が『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフとそっくりだったのです。

二人とも田舎から出てきた貧乏な家庭の期待の星。

貧しいながらも親がなんとか仕送りを工面し、息子が大学で学び弁護士になることを夢見ています。

しかし、親の期待も空しく、現実はそこまで甘くありません。お金も足りず、そもそも学問で身を立てるには時間があまりにかかり過ぎます。一人前の弁護士になって大金を稼げるようになるまで待つとしたら、貧乏な家族は破滅するしかないという状況です。

そうした状況に立たされていたのが『ゴリオ爺さん』のラスティニャックと『罪と罰』のラスコーリニコフだったのです。

そんな二人が片やパリ、片やサンクトペテルブルグでそれぞれの道に進み出します。

この小説は私のフランス文学デビューの記念すべき第一作目でした。

その第一作目にして超ド級のインパクトを残したのが『ゴリオ爺さん』です。ものすごく面白いです。

ただ、この小説はバルザック独特の表現もあり少し難しい箇所もありますので、あらかじめフランス文学者鹿島茂先生の『馬車が買いたい』や『職業別パリ風俗』などの参考書を読んでおくことをおすすめします。ある程度当時のフランスの空気感を知ってからの方が読みやすいと思います。

ぜひ合わせて読んでみてください。

また、以下の記事ではパリのバルザックゆかりの地を訪れました私の体験をお話ししています。


ユゴー『レ・ミゼラブル』

【ミュージカルでも有名なフランス文学の最高傑作!】

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この作品は1862年、ヴィクトル・ユゴーによって発表された言わずと知れた名作です。

この小説を原作に数多くの舞台や映画化もされていて、むしろそちらの方が印象が強い作品かもしれません。

『レ・ミゼラブル』はミュージカルでも大人気です。ちなみに私も大ファンです。観るたびに号泣し、今でもよくサントラを聴いています。

『レ・ミゼラブル』は「みじめな人々」という意味です。『レ・ミゼラブル』はユゴーのヒューマニズムの結晶であり、みじめな人々をめぐる壮大な作品です。

そしてこの作品はなんと、「物語が面白過ぎる」という理由で批判がなされることもあるというのですから驚きです。

善玉悪玉がはっきりしている点や、「えっ!?まさかここでこの人が!?」と思うような筋書き。こうした点で文学専門の批評家からはあまりに通俗的で、芸術的ではないと批判されてしまうのです。

つまり、「そんな劇的でわかりやすい物語はたしかに面白いが芸術的ではない、けしからん!」という批判です。

よくよく考えてみるとすごい批判ですよね。「面白過ぎるからいかんのだ!」

わからなくもないですが、面白いものを読んで楽しみたいという一読者からするとこんなありがたい批判はないでしょう。批判すべきところが「面白過ぎる」「わかりやすすぎる」しかないのですから。

『レ・ミゼラブル』は分量も多く、原作はほとんど読まれていない作品ではあるのですが、基本的には難しい読み物ではなく、わかりやすすぎるほど善玉悪玉がはっきりしていて、なおかつ物語そのものもすこぶる面白い作品です。

しかも単に「面白過ぎる」だけではありません。この作品にはユゴーのありったけが詰まっています。つまり、ものすごく深い作品でもあります。私もこの作品のことを学ぶにつれその奥深さには驚愕するしかありませんでした。

ただ、上の『ゴリオ爺さん』と同じくこの作品も当時の時代背景がわからないと難しい箇所もありますので、同じく鹿島茂先生の『レ・ミゼラブル百六景』などの入門書を読んでから挑戦するのをおすすめします。

以下バルザックと同じく『レミゼ』ゆかりの地を巡った私の体験をまとめています。


ゾラ『居酒屋』

【パリの労働者と酒、暴力、貧困、堕落の必然的地獄道】

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ゾラは1877年に出版されたこの作品をきっかけに作家としての地位を確かなものにします。

この小説は洗濯女ジェルヴェーズが貧しいながらも必死に働き、自分の店を開こうと奮闘し、念願の店を開店するもその後みじめな生活が始まっていくという、読んでいて辛くなるほど悲惨な物語です。

こう話していると、

「なんだ、ゾラって暗くて面白くなさそうじゃん」

そう思われた方もおられるかもしれません。

ですが、それが違うのです。

読んでいるといつの間にか引き付けられ、時間を忘れてしまうほどのめり込んでしまうのです。悲惨な内容にも関わらず。

たしかに描いている対象は悲惨です。

ですが不思議とページをめくる手が止まらないのです。いや、むしろ加速していくと言っても過言ではありません。

これはなぜなのでしょうか。私はいろいろ考えてみたのですが、おそらくゾラの小説がまるで映画のように読めるからなのではないかと思いました。

情景描写が巧みで、読んでいると目の前にその風景が実際に現れてくるような感覚になります。言うならば、脳内で映画が再生されているかのような感覚です。

見えるんです。風景が。登場人物の動きが。

しかもさらにすごいのがゾラは五感すべてに働きかけてきます。

特に匂い。ゾラは匂いの描写を多用し、しかもその効果がまた絶妙です。小説の流れや登場人物の心理を「匂い」によって絶妙にほのめかすのです。

物語を映画のように目の前に展開し、しかも匂いや音など全身感覚として私たちを誘い込むのがゾラの特徴です。

言葉の力ってものすごいですね。

『居酒屋』の中でも特に印象に残ったシーンに主人公ジェルヴェーズが洗濯場で他の女と取っ組み合いの激しい喧嘩をする場面があります。

共同洗濯場のがやがやした雰囲気、飛び散る水しぶき、喧嘩の激しさ、そしてそれを取り巻く背景の描写、光の加減など、もう見事としか言いようがありません。

喧嘩の激しさが映画のように目の前に現れてきます。その様子は今でも私の中に焼き付いています。

個人的にはこの喧嘩のシーンが私の中のハイライトです。ゾラのすごさが一発でわかるものすごいシーンでした。

私はこの作品を読んですっかりゾラのファンになってしまい、彼の長編シリーズ『ルーゴン・マッカール叢書』を全て読むことになりました。それほどこの『居酒屋』という作品が私にとって衝撃だったのです。

ぜひこの衝撃を皆さんにも体感して頂けたらと思います。

こちらも上のバルザック、ユゴーと同じくゆかりの地巡りをしています。ぜひご参照ください。


ヴォルテール『カンディード』

この世界の善悪とは何か、私たちは何を信じ生きていくのか】

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この作品は主人公のカンディードが世界を旅し、様々な災難や出来事を通して、この世界の善悪とは何か、私たちは何を信じ生きていくのかを探究していくという物語です。

この作品は実際にヴォルテールが生き、感じた時代を前提に書かれています。

特に1755年のリスボン大地震の影響は甚大でした。

というのも、当時キリスト教世界では「最善説」という考え方が流行していたのですが、それに対して決定的な疑問を感じさせたのがこの大災害だったのです。

この理論から言うと、リスボン大地震も人間が救われるために必要なものと考えられます。たしかに多くの人が亡くなり、生活が破壊されたが、それは最後に人間が救われるために必要な善だったのだと「最善説」は述べるのです。

ですがヴォルテールは言います。地震で亡くなった人は何かそれに価するような大きな罪を犯したというのだろうか。それに、たとえ最後の最後で人類が救われるとして、なぜ彼らが地震で死ななければならなかったのか。なぜ彼らはそんな目に遭わなければならないのか。全知全能の神ならばそんなことをしなくてもよかったのではないか。何が起ころうが「それは最終的な結果のためには善である」で片づけてしまってもいいのだろうかと。

たしかに、全知全能の絶対的なる神がこの世界を作ったとして、なぜ悪が存在しているのかというのはとてつもなく大きな問題です。

ここは多神教的な日本人のメンタリティーではなかなかぴんと来にくい問題ではありますが、キリスト教信仰においては非常に重要な問題です。

ヴォルテールはこうした最善説に対して反論すべく『カンディード』を書いたのでした。

そしてこの『カンディード』はドストエフスキーに特に大きな影響を与えています。

1877年、ドストエフスキーは『カラマーゾフの兄弟』を書き始める直前に「ロシアの『カンディード』を書く」と述べています。

実際、『カンディード』で書かれた「最善説との戦い」は信仰における最重要な問題です。なぜこの世界に悪はあるのか。なぜ悪があるのに神を信じなければならないのか。神がないならば善と悪にどんな意味があるというのだろうか。そもそも、私たちは何を信じて生きていけばいいのだろうか。

ヴォルテールの描く主人公カンディードは、世界を放浪し、そこで様々な出来事や災難とぶつかります。地震や戦争、そして『カラマーゾフの兄弟』でも出てくる異端審問官にも出くわします。

カンディードはそれらを自分の目で見、そして世界の善悪の意味、神の信仰について考察していきます。

カンディードは完成された人間ではありません。まさしく不完全で、それにもかかわらず世界を放浪し究極的なものを探究することになる人物です。ですが、不完全であるからこそ彼はより素直な目で世界を見ていくことができるのです。

これは『カラマーゾフの兄弟』の主人公アリョーシャとも重なってきます。アリョーシャも様々な出来事を通して神とは何か、善悪とは何かを感じとっていくことになります。

そして有名な「大審問官の章」の前でイワンがアリョーシャに語る幼児殺しの話や、世の悲惨さも『カンディード』を連想させます。『カンディード』もなぜ全知全能の神がいるのに世界はこんなにも悲惨なことで満ち溢れているのかと問います。

イワンはまさしく、この世界の悪の存在から神への疑問を提出します。それに対しアリョーシャは何を思い、そこからどう動いていくのか、物語はどのような結末を迎えるのか、これは『カラマーゾフの兄弟』を読む上で非常に重要なポイントとなってきます。

ドストエフスキーが「ロシアの『カンディード』」を書きたいと書き残したことの意味は非常に大きいものであるように思います。

『カンディード』で語られる問題を19世紀末のロシアにおいて改めて問い直そうとした。それがドストエフスキーの立場だったのではないかと思います。

『カンディード』は18世紀中頃の作品ではありますが、全く古さを感じない作品です。物語もドラマチックでストーリーにぐいぐい引き込まれます。とても面白い作品でした。

そして『カラマーゾフの兄弟』とのつながりを感じながら読むとこれまた味わいが増してきます。ドストエフスキーファンの方にもぜひおすすめしたい1冊です。


スタンダール『赤と黒』

【19世紀フランス社会を知るのにおすすめの傑作小説!名言の宝庫!】

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『赤と黒』はサマセット・モームの『世界の十大小説』にも取り上げられた名作です。

この作品ではまさに一九世紀前半から中頃にかけてのフランス青年の成り上がり物語が描かれています。これは上で紹介したバルザックの『ゴリオ爺さん』も同じですね。

そして本作で興味深いのがその成り上がりに「恋愛」が大きなウエイトを占めているという点です。「ナポレオンの作戦行動と同じ」という印象的な言葉も語られます。

ナポレオンも下級貴族から自分の才覚で皇帝まで成り上がりました。そしてそれと同じように今作の主人公ジュリアン・ソレルも成り上がりを目論みます。その手段として恋愛があり、それを足掛かりに一気に階級上昇を狙うという社会風潮がたしかにあったのがこの時代のフランスだったのでした。

このことについては下でも紹介する鹿島茂著『馬車が買いたい!』で詳しく説かれていますのでぜひそちらもご参照ください。

野心に燃えるジュリアン・ソレルの独白はやはり迫力があります。彼は冷静に社会を見つつも内に秘めた激情を抑えきれません。その心理をスタンダールは見事な筆さばきで描いていきます。流れるように展開していくジュリアンの独白と社会描写。これは読んでいてぞくぞくするほどでした。

この作品をサマセット・モームが十大小説に選んだのもわかります。これほどまでに赤裸々かつ痛烈にフランス社会と青年の心を描くこの作品は恐るべき傑作です。

非常に刺激的な一冊です。19世紀フランスを代表する名著中の名著です。


ジョルジュ・サンド『スピリディオン』

【『カラマーゾフの兄弟』に決定的影響!修道院のどろどろを描いた奇作】

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ドストエフスキーに大きな影響を与えたジョルジュ・サンド。そのサンドの作品をもう少し読んでみたくなり本を探していると、驚くべきフレーズが私の目の前に飛び込んできました。本の帯に大きくこう書かれていたのです。

「ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』に決定的に影響を与えた作品」

え!?

私は自分の目を疑いました。

これまで様々なドストエフスキー作品や参考書を読んできましたが、ジョルジュ・サンドの作品が『カラマーゾフの兄弟』に決定的な影響を与えていたというのは初めて聞きました。これには驚きでした。

というわけで私は早速この本を読んでみることにしたのです。

『スピリディオン』はある修道院を舞台に、信仰深く、思慮深い青年とその彼に多大な影響を与える老修道士との魂の交流を描いた物語です。

たしかにこの作品を読むと『カラマーゾフの兄弟』のゾシマ長老と主人公の見習い修道僧アリョーシャを彷彿とさせるシーンが多々出てきます。

もしかすると「決定的な影響を与えている」というのもあながち間違いではないかもしれません。


ガストン・ルルー『オペラ座の怪人』

【ミュージカルの原作はサスペンス感満載の作品だった!】

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『オペラ座の怪人』といえば何と言ってもミュージカルですよね。

私もこのミュージカルが大好きです。

学生時代、『オペラ座の怪人』の長年の大ファンであるおばに連れていってもらったのがきっかけで、私もこの作品の魅力にすっかりはまってしまったのでした。

それ以来、私は劇団四季さんの『オペラ座の怪人』を何度も観劇しています。

映画『オペラ座の怪人』を観た時も、息もできないほど号泣したのを覚えています。

そしてそんな『オペラ座の怪人』の原作をいよいよ読んでみようと思い、今回この本を手に取ってみたのでありました。

原作の『オペラ座の怪人』を読んで何より驚いたのは、「オペラ座の怪人は何者なのか?本当に存在するのか?」というミステリー的な雰囲気でストーリーが展開していく点でした。

そして物語の後半ではまるでパニック映画さながらの展開が続いていきます。「ラウルははたして無事にクリスティーヌを救えるのか?その冒険の結末はいかに!?」というような筋書きはミュージカルから入った私からするとかなり面食らうものがありました。

というのも、ミュージカルではそもそも「怪人は本当にいるのかどうか」という問題は存在しません。なぜなら舞台上でかなり早い段階で登場するため、怪人の存在はすでに自明のものだからです。

しかもミュージカルでは「はたしてラウルはクリスティーヌを救えるか」というハラハラする冒険物語というより、怪人とラウル、クリスティーヌの恋の物語であるわけです。

私はこのガストン・ルルーの原作を読んで改めて思いました。

「このミュージカルを作り上げたアンドリュー・ロイド=ウェバーはなんて偉大なんだろう!」と。

原作のサスペンス的なストーリーから感動的なミュージカルへ。しかもミュージカル音楽の素晴らしさたるや!

原作で語られた怪人の歌声をここまで忠実に再現したアンドリュー・ロイド=ウェバーにはただただ驚くしかありません。

原作からの再創造。その最大の成功例がこの『オペラ座の怪人』と言えるのではないでしょうか。

私も大好きなミュージカル『オペラ座の怪人』。その原作を読めたのは非常に楽しい読書となりました。ミュージカルとはまったく別物と考えた方がいいです。これはこれでひとつの物語として楽しめます。読みやすく、ハラハラする展開であっという間に読み切ってしまいました。

ミュージカルファンの方にもぜひおすすめしたいです。この原作をミュージカル化したアンドリュー・ロイド=ウェバーの怪物ぶりがよくわかります。

また、2019年にブロードウェイで『オペラ座の怪人』を観劇した際のレポと、2023年にパリのオペラ座を訪れた記事が以下になります。ぜひ合わせてご参照ください。


『ナポレオン言行録』

【読書は世界を制す?文学青年ナポレオンと読書~文豪達はなぜナポレオンに憧れたのか!】

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この作品はナポレオンが遺した手紙や言葉をパリの歴史家オクターヴ・オブリが編集したものになります。

この作品を読んでいて印象に残ったのはやはりナポレオンの言葉の強さでした。ナポレオンといえば軍人というイメージが強いかもしれませんが、驚くべきことに圧倒的な文才も兼ね備えていたのです。

ナポレオンの伝記では必ずと言ってもいいほど若きナポレオンの猛烈な読書ぶりが紹介されます。

ナポレオンは内気で、クラスの人気者というタイプではありませんでした。そうした性格や彼の置かれた境遇からも彼は本の世界にのめり込みます。

そして後に皇帝となって世界を席巻するようになってからもその読書人ぶりは変わりませんでした。

もちろん、ナポレオンは戦場でも武勇を見せ、兵士たちを鼓舞しました。ですがそのカリスマもやはり彼の思想や言葉があったからこそです。背中を見せるだけではどうしても限界があります。背中を直接見せることができる人数には当然ながら物理的に限界があります。

それでもなおナポレオンがカリスマになれたのは彼の言葉が人々の口や紙媒体を通して一斉に広まっていったからです。ここに言葉の力の偉大さがあります。

この本を読んでいて私が思ったのは「なぜ名だたる文豪たちがナポレオンに憧れたのか」ということでした。

彼に憧れた最たる例がバルザックですし、スタンダールもユゴーもそうです。さらにはトルストイやドストエフスキーも強烈な影響を受けています。

なぜ文豪たちはナポレオンに影響を受けたのか。

この本を読んでいて、私はナポレオンが若い頃ひたすら本に没頭する文学青年だったからかもしれないと思ってしまいました。

ナポレオンは学生時代はどちらかというと冴えないタイプの学生でした。そして本の世界に浸り、ひたすら読書の日々を過ごすという内向的な青年でした。そんな若者が自分の才覚で立身出世しついには皇帝になった。しかもその原動力は圧倒的な読書であり、言葉の力だったというのです。

当時の文学青年たちにとってこんなに夢のある話はありません。

ナポレオンがマッチョな大男で、筋肉を頼りに武勇を重ねたのであるならばきっと彼らはナポレオンに憧れることはなかったでしょう。

ひ弱な文学青年が文学、言葉の力と共に成り上がったことに意味があるのではないでしょうか。

もちろん、ナポレオンの軍事や統治の才能も大きな要因の一つでしょう。ですがそこに読書家ナポレオンという側面があったからこそのナポレオン人気なのではないでしょうか。


9カミュ『異邦人』

【村上春樹ファンにもおすすめしたい小説!】

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『異邦人』はカミュのデビュー作であり、カミュらしさが最も出ている作品とも言うことができます。

さて、この小説ですが、ムルソーという男が主人公の物語です。

彼は一見普通の人間ですが、どこか冷めたところがあります。かと言って感情がないというわけではありません。

人並みに悲しみ、人並みに人を好きになる感性もあります。

彼は彼なりの「ふつう」を生きています。ですがその「ふつう」が他の人とは何かずれているのです。

ムルソーは強い意志や信念があって人と違うことを思ったり、行動しているのではありません。彼は彼なりに他の人と同じように生きているはずなのです。ですが何かが違う。他の人には理解されない何かがある。そしてそのことを自覚もしているのです。

そんなムルソーなのですが不思議なことに異様にモテます。(不思議ではないのかもしれませんが)

そして彼の母の死の後、すぐにある女性といい仲になります。これといって彼が特別なことをしたわけではありません。彼女が彼に首ったけなのです。

彼女は彼との結婚を強く望みます。しかしムルソーは「君を愛してはいるけど結婚はしたくない」と勝手なことを言いながら関係を続けます。彼は彼なりの「ふつう」を続けようとするのです。

自分は他人とは何かがずれている。でもそんなの仕方がないと妙に冷めた目で世界を見る男。そしてなぜか異様にモテるきざな男・・・

・・・あれ?これはどこかで見たことあるような・・・

・・・あ!村上春樹だ!村上春樹の小説に出てくるタイプの男だ!

村上春樹の小説を読んだことがある人ならきっと思い当たる節があると思います。

私は村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』が好きなのですが思わぬところで共通点を感じました。


10ゾラ『ボヌール・デ・ダム百貨店』

【欲望と大量消費社会の秘密~デパートの起源を知るためにも】

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私たちが日常生活でお世話になっているデパートや大型ショッピングセンター。

その起源がフランス第二帝政期に現れ、急成長していったデパートにあります。

その代表が「ボン・マルシェ」や「ルーブル」というデパートで、ゾラはこうしたデパートを実際に取材し、デパートの成長過程やその独創的な販売方法、客を惹き付けてやまない秘訣などを物語の中で明らかにしていきます。

このブログで何度もお話ししてきましたように、この時代は私たちの生きる現代社会と直結しています。私たちのライフスタイルはここから始まっているのです。

そのライフスタイルがどのように生まれ、何を意図して作られてきたのか。

それを知ることは今を生きる私たちそのものを知ることであります。

フランスの華やかなファッションの世界や、お洒落なフランス界隈の雰囲気もこの作品では感じることができます。それらがどのようにして出来上がったかを知ることはきっと興味深い体験になることでしょう。

このデパートについてはフランス文学者の鹿島茂先生が『デパートの誕生』という本を書いていますが、まさにこの本でもこの小説について言及しています。この本と合わせて読むことをおすすめします。ものすごく面白いです。

フランス文学や歴史、文化を知るのにおすすめの参考書①フランス革命頃~1850年頃まで

鹿島茂『フランス文学は役に立つ!『赤と黒』から『異邦人』まで』

【おすすめのフランス文学入門書!】

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皆さんはフランス文学といえばどのようなことが思い浮かぶでしょうか。

フランス文学といえば「恋愛」を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。

たしかにフランス文学は恋がものすごく大きな要素を占めています。これは間違いありません。

ですが、単に「恋愛もの」だと侮るなかれ。フランス文学は現代社会を生きる私たちに恋愛だけでは収まらない大きな知恵を与えてくれる文学です。

この本ではフランス文学者鹿島茂氏が17世紀から20世紀までのフランス文学の代表作を取り上げ、その作品の概要とそこから学べる教訓を語ってくれます。これはフランス文学入門として最高の手引きとなります。

フランス文学に興味のある方はぜひおすすめしたい作品です。


鹿島茂『職業別 パリ風俗』

【19世紀パリの人々の生活と職業、時代背景を知るならこの一冊!】

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この本では19世紀中頃のパリの人々の生活を職業という面から見ていきます。

この本を読めばフランス文学がものすごくわかりやすくなります。

これを読むことでフランス文学を読んだ時の印象がきっと変わると思います。

小説が書かれた当時に当たり前だったことはわざわざ書かれたりはしません。

ですがその当たり前は「現代人たる私達の当たり前」とはまるで異なります。仮に小説中に弁護士という職業の人間が出てきたとしても、私達の想像する弁護士とはだいぶ違った仕事や生活ぶりをしていたのです。学生や医者、教師、グリゼット、警察、ジャーナリストなどなど、この本では様々な職業の「当たり前」を知ることができます。

また、その職業の内容だけではなく、そうした職業が生まれてきた背景や当時の人たちがどのような生活をしていたのかということも詳しく語られていきます。

これはフランス文学という範囲に関わらず、現代日本に生きる私たちの生活を違った側面から見る素晴らしいきっかけになります。私達の生活はこの頃のフランスと繋がっています。私達のライフスタイルのルーツがここにあるのです。

フランス文学に興味のある方だけではなく、フランスそのものに興味のある方、歴史や文化に興味のある方にもぜひ手に取って頂きたい作品です。非常に興味深い本です。とてもおすすめです!


鹿島茂『馬車が買いたい!』

【青年たちのフレンチ・ドリームと19世紀パリの生活を知るならこの1冊!】

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この本ではバルザックの『ゴリオ爺さん』『幻滅』、スタンダールの『赤と黒』の主人公たちを手がかりに、地方から華の都パリに上京し成功を望む若者が見たパリを解説していきます。『レ・ミゼラブル』のマリユスもこの本では登場します。

この本は地方からパリに上ってくる馬車の解説からスタートします。地方から都に出てくるには移動手段が必要です。当時は鉄道もありませんので馬車です。そして彼らにはお金がないので乗合馬車でやってくることになります。一言で馬車と言っても様々なランクがあります。貧乏な青年である彼らが乗れるのはどんな馬車か。こうした所から鹿島氏は詳しい解説をしてくれます。ただ単に「こういうものがあってこうこうこうなのです」という事実の羅列ではなく、そこにある背景や「なぜ」をふんだんに語ってくれるのでものすごく面白いです。

この本では移動手段の説明から始まり、パリへの入場の手続き、宿探し、毎日の食事をどうするかを物語風に解説していきます。

そしてそこからダンディーになるためにどう彼らが動いていくのか、またタイトルのようになぜ「馬車が買いたい!」と彼らが心の底から思うようになるのかという話に繋がっていきます。

優雅な「おフランス」の姿だけでなく、普通の人々の生活を知れる貴重な1冊となっています。

成り上がりを目指す当時の若者たちの様子をつぶさに知ることができるこの本はとにかく面白いです。非常におすすめです。


鹿島茂『明日は舞踏会』

【夢の社交界の実態やいかに!?パリの女性たちの恋愛と結婚模様を解説!】

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ひとつ上で紹介した『馬車が買いたい!』ではパリの若い青年たちの成り上がりストーリーについて書かれていましたが今作はその女性版になります。

女性にとって、舞踏会は戦場です。ここでの立ち振る舞いがその後の生活に決定的な影響を与えかねません。

華やかな衣装に身を包み、優雅な社交界でダンディー達と夢のようなひと時を…という憧れがこの本を読むともしかしたら壊れてしまうかもしません。

社交界は想像以上にシビアで現実的な戦いの場だったようです。

当時の結婚観や男女の恋愛事情を知るには打ってつけの1冊です。

フランス文学がなぜどろどろの不倫や恋愛ものだらけなのかが見えてきます。

フランスといえば奥手な日本人にはわからない、恋愛上手というようなイメージがありますがその秘密もこの辺に隠されているように思えてきます。

イラストもたくさん挿入されており、とても楽しく読んでいける本なのでフランス社交界に興味のある方には特におすすめの一冊です。


鹿島茂『「レ・ミゼラブル」百六景』

【時代背景も知れるおすすめの最強レミゼ解説本!】

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この本はとにかく素晴らしいです。最強のレミゼ解説本です。

『レ・ミゼラブル』の原作は文庫本で2500ページを超える大作です。ミュージカルや映画で大人気のレミゼですがいざ原作を読むとなるとなかなか厳しいものがあります。

そこでこの本の出番です。

この本はレミゼの物語の重要なシーンをタイトルにありますように106のシーンに分けて挿絵と共に解説していきます。

ひとつのシーンに対して2枚の挿絵が付きますのでかなりたくさんの絵を見ることができます。

小説だけだと文字だけですべての状況を想像しなければならないのに対し、挿絵があるとやはりイメージしやすいですよね。

しかもまたフランス文学者鹿島氏の解説が抜群にわかりやすく面白いのです。

レミゼのストーリーの流れだけでなく当時の時代背景やもっともっとレミゼを楽しむための豆知識が満載です。

そしてさらには、この本はミュージカルのレミゼの最高の参考書にもなります。

ミュージカルでは時間の制限上、原作部分を泣く泣くカットせざるをえなかった部分がいくつもあります。

たとえばジャン・ヴァルジャンはなぜ市長になれたのかということやファンチーヌはなぜあんな悲劇的な状況に落ち込んだのか、マリユスはそもそもどんな生まれでどう育ってきたのかということも原作ではもっと掘り下げられています。

こうしたこともこの本ではしっかり解説されていますのでミュージカルをより楽しむための最強の参考書ともなっています。「え!?この人ってこんな背景があったのか!」と驚くことがたくさんあると思います。

この本はガイドブックとして無二の存在です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。


榮恵愛『-レ・ミゼラブルより- ルールブルーの友らへ』

【レミゼファン必読のおすすめ漫画!】

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この作品は『レ・ミゼラブル』ファンにぜひぜひおすすめしたい漫画です。

私がこの作品を手に取ったのはX(旧Twitter)でのこちらのポストがきっかけでした。ポスト内の動画をぜひご覧ください。

『レ・ミゼラブル』ファン、特にミュージカルを愛する方にとって「ABCの友」の存在はとてつもなく大きなものがあります。かく言う私も劇中の「ABCカフェ」の歌が大好きで、そこからの「民衆の歌」の流れや「ワン・デイ・モア」はもうたまりません。最高です。やはりレミゼには彼ら「ABCの友」は欠かせません。

今作『-レ・ミゼラブルより- ルールブルーの友らへ』はそんな「ABCの友」を深く掘り下げた作品になります。

上のポスト内の動画にありますように、この作品は「ABCの友」結成の前から物語が始まります。レミゼ本編では虚しく散る彼ら革命の学生たちではありますが、その彼らがいかにして集い、結束していったのかが物語られます。本編では彼らはすでに「ABCの友」として完成されていましたが、その前哨譚を見れるのはファンとしても実に嬉しいものがあります。

これは素晴らしい漫画です。『レ・ミゼラブル』のミュージカル開演まであとわずかになりましたが、これは嬉しい出会いとなりました。この漫画を読んでレミゼへの熱量がどんどん上がっていくのを感じます。レミゼファン必読です。この漫画を読めばもっとミュージカルが楽しくなること間違いなしです。もちろん、原作ファンにとってもこの作品が非常にリスペクトに満ちていることもお伝えしたいです。実に本格的な作品です。私もこの作品には感嘆の念でいっぱいです。

※以下、著者の榮恵愛氏のnoteページのリンクになります。こちらに作品情報等も掲載されていますので興味のある方はぜひこちらもどうぞ。


ユゴー『私の見聞録』

【衝撃の実話が聞ける回想録!ユゴーの内面やレミゼの裏話を知れる作品!】

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この本では1840年代から1850年代半ばの『レ・ミゼラブル』執筆に大きな影響を与えた時期のユゴーを知ることができます。

特にこの本にはレミゼの重要人物ファンテーヌのモデルになった女性が登場します。

ファンテーヌが無礼な男に雪を入れられ、それに反撃したが故に連行され牢獄行きを宣告されたシーンはレミゼを観た人には強烈なインパクトがあったと思います。そして作中でそんなファンテーヌを救ったのがジャン・バルジャンでした。

実はこの「捕らえられた娼婦と彼女を解放する紳士」という構図はユゴー自身が実際に体験した出来事がモデルになっているのです。

ユゴーはこれとまさに同じ場面をレミゼ執筆に先立つ1841年に体験していたのです。

この本では他にもレミゼにつながるユゴーの体験がいくつも出てきます。

レミゼが生まれてくる背景やユゴーが当時何に関心を持ち、どのような行動を取っていたかをこの本では知ることができます。


ディヴィッド・ベロス『世紀の小説 『レ・ミゼラブル』の誕生』

【レミゼファン必見のおすすめ参考書】

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この本もものすごいです。とにかく面白い!

大好きなレミゼがどのようにして生まれ、そしてどのように広がっていったのか、そしてミュージカルとのつながりや物語に込められた意味など、たくさんのことを知ることができます。

この本は『レ・ミゼラブル』の伝記と言うことができます。『レ・ミゼラブル』がどのように書き上げられたのかがドラマチックに語られていきます。ユゴーがどんな状況でどんな思いでこの傑作を書いていたのか、それを知ると今まで知っていたレミゼとはまた違ったレミゼが見えてくることになると思います。

レミゼをもっと知りたい方の必読書です。ぜひ手に取ってみて頂きたい逸品となっています。


M・ヴァーメット『『レ・ミゼラブル』をつくった男たち ブーブリルとシェーンベルク そのミュージカルの世界』

【ミュージカルのレミゼ制作現場に迫る1冊!】

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「感動」を生み出す彼らの仕事。

驚異的動員数を更新するミュージカル『レ・ミゼラブル』と『ミス・サイゴン』。作詞・作曲のブーブリルとシェーンベルクの二人と共に持てる力のすべてを捧げ、単なるエンターテインメントを超越した名作を作り上げた者たちの肉声。

製作現場を知れば、ミュージカルの見方が変わる!

ファンのみならず、ミュージカル制作に興味を持つすべての人、必携。

三元社、マーガレット・ヴァーメット、高城綾子訳『レ・ミゼラブル』をつくった男たち ブーブリルとシェーンベルク そのミュージカルの世界』帯

この本はミュージカル『レ・ミゼラブル』の制作に関わった人たちの言葉を聞きながらレミゼ製作の裏側をたずねていく作品です。

これはレミゼファン必見です。

「製作現場を知れば、ミュージカルの見方が変わる!」

この言葉はまさにその通り!

この本を読んでレミゼのすごさを改めて知ることになりました!

私たちは劇場まで出向き、すでに出来上がった作品を観劇します。

ですが当たり前のことですが、その作品も多くの人が関わってゼロから作り上げられていったものです。

私たちは特に意識することなく完成品を享受しているわけではありますが、よくよく考えればその裏で製作陣がものすごい力を込めてそのミュージカルを作り上げてくれたからこそ、私達の前に作品が届けられています。

超一流の製作陣が精魂込めて作っている過程をこの本では知ることができます。

この本はミュージカルを楽しむ新たな視点を授けてくれます。この本もものすごくおすすめです。

レミゼファンはもちろん、舞台やミュージカル、映画などに興味のある方にもぜひおすすめしたい一冊です。


10B・ナイチンゲール、M・ハルマー『レ・ミゼラブルー舞台から映画へ』

【映画レミゼがいかにすごい映画かを知れるおすすめガイドブック!】

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ひとつ上で紹介した『『レ・ミゼラブル』をつくった男たち ブーブリルとシェーンベルク そのミュージカルの世界』はレミゼのミュージカル制作の裏側に迫る作品でしたが、この『レ・ミゼラブルー舞台から映画へ』はレミゼのミュージカル制作のスタートから2012年の映画化までの過程を知ることができます。

この本もまたものすごく面白かったです・・・!これはぜひおすすめしたい1冊です!

まずありがたいのは大量の写真やイラストの存在です。当時の様子が非常にイメージしやすいです。

そして解説の文章の読みやすさ。まるで小説を読んでいるかのような物語性を感じます。この本は全20章に分けてレミゼの映画化までの歴史が語られます。解説書というよりドキュメンタリー小説と言った方がぴったりかもしれません。ぐいぐい引き込まれます。

出演者や製作陣へのインタビューも絶妙に織り込まれ、彼らの声を生で聴いている感覚になります。

こちらの映像で語られますように、この映画はミュージカル映画史上、前代未聞の作品でした。

それまでは歌はスタジオで先に録音し、撮影は口パクで行っていました。

しかしレミゼは新しく開発された高性能マイクを駆使し、実際に歌いながらの撮影となりました。それによって役者さんたちがより感情を込めて演技することができるようになったのでした。

他にも画期的な演出が多々出てきます。

この本ではこの映像では語られない撮影の裏側がどんどん出てきます。この本を読めば映画を観る時の印象ががらっと変わると思います。この映画がいかにすごいのか、そしてレミゼの素晴らしさをもっともっと知ることができます。

この本はとにかく面白いです。

レミゼファン必見の一冊です。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。これを読めばもっともっとレミゼを好きになること請け合いです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。


11西永良成『『レ・ミゼラブル』の世界』

【レミゼとナポレオン、革命の関係を解説した1冊】

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この本の特徴はなかなか通読されることの少ない『レ・ミゼラブル』の原作に込められたユゴーの思いを明らかにしていくところにあります。

また、著者の西永良成氏はメインストーリーとは一見無関係な文章が延々と続く箇所にこそレミゼの面白さがあり、これらの記述の背景を知ることでレミゼがもっと面白くなるということを教えてくれます。

そしてこの本の前半ではレミゼの簡潔なあらすじが語られていきます。原作のエッセンスがコンパクトかつ絶妙にまとめられていてとてもわかりやすいです。このあらすじは非常にありがたいです。

こうしてレミゼの全体像をまず掴んだ上で著者はユゴーの思想やレミゼに込められた背景について解説していきます。

1789年のフランス革命からナポレオンの台頭、そこから1830年七月革命などフランスの歴史とレミゼが繋がっていきます。こうした背景を知るとレミゼがこれまでとは違って見えてきます。

特にナポレオンの存在はレミゼにとって非常に大きな意味を持ちます。この本ではその点が非常にわかりやすく解説されていますのでとてもおすすめです。

レミゼを学ぶ参考書としてぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。


12アンドレ・モロワ『ヴィクトール・ユゴー《詩と愛と革命》』

【ユゴーの圧倒的なスケールを体感できるおすすめ伝記】

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ユゴーは並々ならぬ人物です。正直、私達の常識で測れるスケールの人間ではありません。この伝記を読むと驚くような事実がどんどん出てきます。

ヴィクトル・ユゴー(1802-1885)Wikipediaより

この伝記の特徴は過度にユゴーを讃美するのでもなく、逆に欠点ばかりを誇張するのでもない、「人間ユゴー」の生涯を描いている点にあります。

そしてただ客観的に歴史的事実を追っていくのではなく、小説のように面白く読めるというのも大きな特徴となっています。

ユゴーと言えば「レ・ミゼラブル』を生み出したフランスの偉大な作家というイメ―ジが強かったのですが、この伝記を読んでその見方がだいぶ変わりました。

ユゴーはあくまで「詩人」なのです。

彼は詩人として文学者としての人生をスタートし、最晩年まで詩人として生きていました。

彼の溢れんばかりの感受性やそれを表現する圧倒的な言語的才能。

それがあってこそ舞台作品やレミゼをはじめとした散文作品が生まれたということがよくわかりました。

そして何より、彼の圧倒的なスケールの大きさ!

常軌を逸したスケールと言わざるをえません。人に影響を与えずにはいれない圧倒的な大人物。

「われこそはユゴーなり」

ユゴーを表す言葉としてこの言葉は何度もこの本に出てきます。

「何事もほどほどに、平穏な日々を過ごしたい」

そんな人生とは真逆の世界がこの本では展開されていきます。

ものすごく刺激的な一冊です。普通の小説を読むよりはるかに波乱万丈で刺激的な物語がここにあります。

この本を読めば「圧倒的な大人物」とはいかなる存在かということをこれでもかと感じることになるでしょう。

とてもおすすめな伝記です。


13鹿島茂『パリの王様たち ユゴー・デュマ・バルザック 三大文豪大物くらべ』

【ユゴー、デュマ、バルザック、パリの文豪達の圧倒的スケールを語る一冊!】

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『レ・ミゼラブル』のユゴー、『モンテ・クリスト伯』のデュマ、『ゴリオ爺さん』のバルザック。

この本では19世紀中頃にパリで大活躍した文豪達の尋常ならざるエネルギーについてフランス文学者鹿島茂氏が解説をしていきます。

私がこの本を読んだのは『レ・ミゼラブル』を書いたユゴーの生涯や人となりについてもっと知りたいと思ったのがきっかけでした。

ひとつ上の記事ではユゴーのおすすめ伝記を紹介しましたが、鹿島氏のこの本もユゴーを知る上でとても興味深い発見がいっぱいでした。二つ合わせて読むことでよりユゴーの人となりについて考えることができました。

天才とはどういうことなのか。

カリスマとは何なのか。

彼らは何を求め、どう突き進んでいくのか。

そして、そんな彼らを生み出した時代背景とは。

ユゴー、デュマ、バルザックという三人の怪物を比較しながら、当時の偉人の原動力を模索していくこの作品は非常に面白かったです。ぜひおすすめしたい一冊です。


14鹿島茂『パリ時間旅行』

【19世紀パリを体感する珠玉のエッセイ集。目から鱗の発見満載です!】

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この本はフランス文学者鹿島茂氏が19世紀のパリを時間旅行するという体で当時の様子や文化を臨場感たっぷりにお話ししてくれます。

この本の魅力は何と言っても鹿島氏の語り口にあります。

巻末解説で「堅苦しい学問だの理論だのを振りかざすようなことはしない。魅惑的でロマンティックな仕掛けによって、パリという不思議にアプローチしてゆく」と語られるようにとにかく読みやすくて面白いです。

この本では「パサージュ、音、匂い、光、馬車、写真、スポーツ」などをキーワードに様々なパリ情景を見ていきますが、その中で特に私が興味深く読んだのは「匂い」の箇所でした。

パリといえば高級なブランド香水が有名ですよね。「匂い」に対して強いこだわりがあるようなイメージが漠然とありますが、こうした香水がパリで人気になっていく過程がこの本で語られます。

「悪臭を隠すために香水が発達した」と巷でよく言われますが、鹿島氏の解説を読んでびっくり、単純にはそう言い切れない歴史があったのでした。パリはそもそも信じられないほどの悪臭の街でした。街中に汚物が溢れ、さらにそもそも身体を洗う習慣もなかったので強烈な匂いが当たり前の世界だったのです。しかも、人々はそのことをあまり気にしていなかったようなのです。

むしろその強烈な体臭が性的に魅力があるとすら思われていたのだそう。

ですから匂いを隠すために香水ができたというのは正確な理由ではなかったのです。

ではなぜ香水ができていったのか。

これがまたものすごく面白いんです。ぜひこの本を読んでその答えを確かめてみてください。

そしてレミゼファンにとってこの本が重要なのは、ミリエル司教についての興味深い解説が掲載されている点です。

詳細については「レミゼのミリエル司教の燭台と蝋燭の大きな意味~暗闇を照らす光のはたらきー鹿島茂『パリ時間旅行』より」の記事でお話ししていますのでこちらを参照して頂きたいのですが、ぜひおすすめしたい一冊となっています。


15神野正史『世界史劇場 フランス革命の激流』

【フランス革命のなぜと流れを知るならこの入門書!】

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この本はフランス革命の入門書として最適です。

著者は河合塾の世界史講師で、歴史が苦手な人でもいつの間にかのめり込んでしまうような絶妙な語り口で物語を語ってくれます。

肩肘張らずに、まるで映画を見ているかのように読み進めることが出来てしまいます。え!?次はどうなるの!?とページをめくる手が止まらなくなります。

複雑なフランス革命の概要をまずは知りたいという方にとてもおすすめな入門書です。

また、この続編として『世界史劇場 駆け抜けるナポレオン』もあるので続けて読まれることをおすすめします。


16G・ルフェーヴル『1789年―フランス革命序論』

【なぜフランス革命が起こったのかを詳しく学べる名著!】

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この本の画期的な点は、フランス革命の過程を単純化せず、様々な要因が重なり合って革命が起きていったことをデータを駆使して詳細に解説していくところにあります。

フランス革命は、知れば知るほど面白いです。とんでもなく背景が入り乱れています。そしてその一つ一つを紐解くことで歴史の流れがまた違った姿を見せてきます。

上でご紹介しました神野正史『世界史劇場 フランス革命の激流』は革命そのもの流れを知るのに最適な入門書でしたが、今回のルフェーブルの作品はそもそもこの革命が起こる背景は何だったのかをさらに詳しく知ることができます。

この2冊の相乗効果は素晴らしいものがあると私は思います。


17ピーター・マクフィー『フランス革命史 自由か死か』

【フランス革命の背景を大きな視点で捉えるおすすめ解説書】

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フランス革命はミラボー、アベ・シェイエス、ロベスピエール、ダントンなど、有名人がどんどん出てきます。

フランス革命といえば首都パリを舞台に政治家たちと国王側が繰り広げた闘いがフォーカスされがちですが、事はそんなに単純な話ではありませんでした。

この作品ではそんなフランス革命の複雑さにスポットが当てられています。

この本はかなり骨太な本です。世界のあまりの複雑さに頭がくらくらするほどです。ですが読みにくいとかそういうわけではありませんのでご安心ください。

ただ、フランス革命の入門書としては正直厳しいと思います。ですのでこれまで当ブログでもフランス革命の入門書として紹介した神野正史著『世界史劇場 フランス革命の激流』やルフェーヴルの『1789年―フランス革命序論』などを先に読んでからこの本に取り掛かることをおすすめします。

フランス革命の複雑さ、革命とは何なのかを考えることができるこの本は素晴らしいものがあります。


18ピーター・マクフィー『ロベスピエール』

【フランス革命恐怖政治の独裁者は本当はどんな人物だったのか】

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今作の主人公ロベスピエールはフランス革命の中でも最も有名な人物のひとりです。

ですが彼のイメージは暗く血にまみれたものばかりです。というのもフランス革命の暗黒部分、恐怖政治の独裁者としてこの人物は知られているからです。1793年に公安委員会に任命されてから彼は次々と反対勢力を断頭台に送りました。疑わしければ即刻処刑という恐るべき状態が続きます。最後にはあまりの強行ぶりに逆に自分も断頭台に送られるという凄まじい政治人生を送ったのでした。

そんなロベスピエールについて書かれたのが本書なのですが、この作品を読んで私は驚くことばかりでした。

ロベスピエールはあまりに劇的な最期を遂げたため、死後様々な立場から多種多様に語られてきました。となるとそこに「語る者」の意図がどうしても色濃く反映されてしまいます。

ですが著者のマクフィーは歴史家としてそこからなるべく距離を置こうとします。その姿勢こそ本書の最も特徴的なポイントであり、私が感銘を受けた点でした。

フランス革命の流れをざっくりと頭に入れた上でそれらと比べながら本書を読むとより楽しめること間違いなしです。


19安達正勝『死刑執行人サンソン』

【ジョジョ第7部ジャイロ・ツェペリのモデル!ムッシュ・ド・パリの生涯を知れるおすすめ作品!】

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この作品はまさしく処刑人一族という運命を背負ったサンソン家の人間ドラマが描かれています。

処刑人というと、冷酷で血も涙もない野蛮なイメージを持ってしまうかもしれませんが、この本を読めばそのイメージはがらっと変わることになります。

まさに、サンソンほど高潔で人間味あふれる人はいないのではないかと思うほどです。

処刑人という人を殺すことを職業としながら、人を生かす医師としても超一流だったサンソン。

当時、差別され周囲の人々から蔑みの目で見られるこの職業において、それでもなお一人の人間としていかに高潔に生きていくのかを問い続けたサンソン。

フランス革命の激流に巻き込まれながらも懸命に生き、究極の問題を問い続けたこの人物には驚くしかありません。

この作品はフランス革命を普通とは違った目線で知ることができる素晴らしい作品です。

これはぜひおすすめしたい名著です。ものすごく面白いです!こんな人物がいたのかと驚くこと間違いなしです。


20新人物往来社『ビジュアル選書 ナポレオン』

【ナポレオンの入門書としておすすめの図版多数のガイドブック!】

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ナポレオン・ボナパルト(1769-1821)は言わずと知れたヨーロッパ史に残る大人物です。

ナポレオンはヨーロッパの政治経済、軍事、国際情勢にとてつもない影響を与えましたが、その影響は文学にも及んでいます。

トルストイの『戦争と平和』しかり、バルザックの『ゴリオ爺さん』しかり、ユゴーの『レ・ミゼラブル』しかり、そして何と言ってもドストエフスキーの『罪と罰』にも巨大な影響を与えています。

さて、そんなナポレオンとは一体どんな人物だったのか、どんな生涯を送ったのかを知るのにぜひともおすすめしたいのが今回ご紹介する『ビジュアル選書 ナポレオン』になります。

この作品はナポレオンを知る入門書として非常におすすめです。

分量も150ページ弱と、とてもコンパクトなものとなっています。

気軽に手に取れる本でありながらも内容はかなりしっかりしたものとなっていますので安心して読むことができます。


21アリステア・ホーン『ナポレオン時代 英雄は何を遺したか』

【ナポレオンの生涯と特徴、社会への影響をコンパクトに学べるおすすめ解説書!】

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この本の特徴はナポレオンその人だけでなく、この時代の社会の様子も知れる点にあります。ナポレオンの登場によって社会はどのような影響を受けたのか、人々の暮らしはどのように変わったのかということを知ることができます。

軍人ナポレオンの足跡はもちろん、文化面まで幅広く見ていけるのはとてもありがたいです。

特に第5章の建築や、第7章の娯楽については他の参考書ではなかなか見ることがない内容だったのでこれは興味深かったです。

また、ナポレオンその人の特徴について語られた箇所もとても面白かったです。文章も読みやすくスイスイ読んでいけるのでナポレオン入門としてとても優れた作品であることは間違いありません。


22コレンクール『ナポレオン ロシア大遠征軍潰走の記』

【ナポレオンのロシア遠征を詳しく知るならこの1冊】

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1812年のロシア遠征はナポレオンの運命を決める決定的な出来事になりました。

この本はそのロシア遠征をナポレオンの側近中の側近が記した記録であります。

この本はロシア遠征においてナポレオンが何を考え、どう行動したかを知るのにこの上ない記録です。特に、書名にもありますようにナポレオン軍のモスクワからの無残な敗走の姿をこれでもかと描写しています。

このロシア遠征はフランスだけでなくロシア史にとっても決定的な意味を与えた大事件です。このロシア遠征はトルストイの『戦争と平和』やドストエフスキーの『罪と罰』にも巨大な影響を与えています。

この本はナポレオンのロシア遠征の流れを学ぶのに最適の書です。ナポレオンの運命が変わったこの戦いは『レ・ミゼラブル』にも大きな影響を与えていることは間違いありません。フランス史における大事件を学ぶのにぜひおすすめしたい一冊です。


23マイク・ラポート『ナポレオン戦争』

【ナポレオン戦争の特徴を様々な観点から見ていくおすすめ参考書!】

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この本は「ナポレオンの天才的な軍事作戦」を解説するタイプの本ではありません。それよりもこの戦争が起きた背景や、戦争遂行に必要な様々なものをじっくりと見ていく作品になります。

ナポレオン一人の存在で戦争が起こったのではなく、すでに十八世紀の国際状況がそれを誘発するものをはらんでいたということ。そしてナポレオンの天才ぶりばかりが強調されがちな中で、実はその戦勝の背景にある個々の兵士たちの存在が大きな意味を持っていたこと。それらをこの本では学ぶことができます。

「ナポレオンひとりであの戦争が動いていたわけではない。広大な世界の動きはそんな一人の人間に作用されるものではない」という考え方はあの『戦争と平和』を連想してしまいます。

ナポレオン戦争を様々な視点から見ていけるこの本は非常に興味深いものがありました。これは面白いです!


24ヴィクトール・デル・リット『スタンダールの生涯』

【ナポレオンのモスクワ遠征にも従軍したフランスを代表する作家のおすすめ伝記!】

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この伝記では『赤と黒』、『パルムの僧院』などで有名な19世紀フランスの作家スタンダールこと本名アンリ・ベールの波乱万丈な生涯をわかりやすく学ぶことができます。

スタンダールというと、バルザックやユゴーなどと比べると意外と知られていない作家です。『赤と黒』、『パルムの僧院』などの作品は非常に有名ですが、スタンダール自身については謎に包まれた存在です。

私もこの伝記を読んで驚いたことがたくさんありました。

そもそもスタンダールという名前がペンネームであったことや、ナポレオンとのつながりについても非常に興味深いものがありました。

特にスタンダールがあのモスクワ遠征に従軍していたという事実には仰天しました。

あのほぼ全滅とも言ってもよい悲惨な遠征から生還し、そこでも見事な働きをしていたというのは驚きでした。そうした経験を経て書かれたのが『赤と黒』や『パルムの僧院』だと思うと、これまでとはまた違った姿が見えてくるように思えました。

19世紀フランス文学を知る上でもスタンダールは避けては通れない存在です。そのスタンダールの生涯をわかりやすく知れるこの伝記は非常におすすめです。


24小倉孝誠『『パリの秘密』の社会史』

【ドストエフスキー、マルクスにも影響を与えたウージェーヌ・シューの新聞小説とは】

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この本は十九世紀フランスの出版事情やメディア業界の裏側も知れるものすごく刺激的な作品となっています。

もしウージェーヌ・シューの『パリの秘密』がなければユゴーの『レ・ミゼラブル』もなかったかもしれないというのは驚きでした。日本ではウージェーヌ・シューという人物はあまり知られていませんが、とてつもない影響力を持っていた人物がフランスにいました。

フランス文学だけでなく、ロシア文学やイギリス文学、マルクスを考える上でも非常に興味深い指摘が次々と出てきます。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。


25R.J.ゴールドスティーン『政治的検閲』

【激動の19世紀。出版・音楽・文化はどんな意味を持っていたのか】

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この本はフランス革命を経てナポレオン時代へと突入して始まった激動の19世紀における検閲の歴史について書かれた作品です。

19世紀には鉄道網の発達によって情報伝達の速度が飛躍的に高まり、それまでの世界とは全く異なる状況が生まれてきた時代でした。

情報伝達の速度、そして人間自身もかつてよりヨーロッパ内の移動が圧倒的に便利になったことで文化の発展も恐るべき速度で進んだのでした。

こうしたテクノロジーの発展や、フランス革命をきっかけとした社会変動があったからこそ19世紀のヨーロッパは文学や音楽などの芸術が花を開いたのでありました。

ですが、だからこそ支配者側は神経をとがらせます。文学や音楽、芸術は国の体制を揺るがしうる危険な存在であることを彼らは実感していたのです。レミゼでも学生たちは街頭演説やビラ配りなどの政治活動をしています。彼らの政治活動について考える材料にもなる作品です。


26トリストラム・ハント『エンゲルス マルクスに将軍と呼ばれた男』

【マルクスを支えた天才の生涯と思想背景を知れるおすすめ伝記!】

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この本は正確にはフランス革命やその後のフランス史についての本ではありません。あくまでマルクスを支えた天才エンゲルスの伝記です。ただ、この本には1800年代中頃からの政治活動家の動きが詳しく語られています。レミゼの作中でも「ABCの友」の学生たちが革命運動を行っていますが、その実態をさらに深堀りして考えていく上でこの本は非常に有益です。

本そのものも刺激的で面白く、実に読みやすいです。私も貪るように読み込みました。あまりにこの本が面白かったのでメインブログでもこの本を参考に「マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ」という連続記事を更新したほどです。

フランス革命とは直接の繋がりは薄いですが、その時代を経た後のヨーロッパの動きを知る上でこの本はぜひおすすめしたいものとなっています。


27鹿島茂『新聞王ジラルダン』

【メディア・ジャーナリズム誕生の流れを知るのにおすすめの一冊!】

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ジラルダンは無一文から新聞王に上り詰めたフランス19世紀の大人物です。この本ではそのジラルダンの偉業やその背景についてじっくりと見ていくことになります。

ジラルダンの新聞『プレス』はまさしく革命でした。そしてこの新聞と共に新聞小説全盛の幕が開け、バルザックやジョルジュ・サンド、ウージェーヌ・シューなど文学界のスターたちが大活躍していくことになります。

鹿島茂著『新聞王ジラルダン』ではそんな革命児ジラルダンの生涯を時代背景と共に見ていける名著です。とにかく面白いです。

私達は日常メディア無しではいられないほどテレビや新聞、ネットの情報に囲まれていますが、その商業メディアというのは一体いつから始まったのか、そしてそれは何を意味するのだろうかということをこの本では学ぶことができます。一九世紀中頃のフランスを舞台にしたこの作品ですが現代社会を生きる私たちにも直結する内容がこの本で語られます。

フランス革命、ナポレオン時代を経たフランスの歴史を知る上でも非常に貴重な作品です。

28カラムジン『ロシア人の見た十八世紀パリ』

【憧れの都パリを見たロシア人文学者が受けた衝撃とは】

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一七九〇年三月二十七日、パリ

パリに近づいているのに、「パリはまだか」と、絶えず私は道連れに尋ねるのだった。ついに広々とした平原が開け、遠くにパリが見えた!……われわれは貪るようにこの無限の巨大な建築群を見た―そして目が建物の濃い陰に釘づけになった。心臓がどきどきした。「ほら、パリだ。これこそ何世紀にもわたって全ヨーロッパの手本であった都市、趣味と流行の源泉だ。ヨーロッパ、アジア、アメリカ、アフリカにおいて、学問のある人もない人も、哲学者も洒落者も、芸術家も教養のない人も、うやうやしくその名を言う。私はパリの名前を、自分の名前とほとんど一緒に知った。パリについては小説の中でたくさん読んだし、旅行者から聞いたし、夢みたし、考えもした!……ほら、パリだ!……目に見える、これからその中に入るのだ!」―おお、わが友よ!この瞬間は、私の旅の中で最も楽しい瞬間の一つだった!これほど生き生きした気持ちと好奇心をもって、待ちこがれながら近づいた都市はかつてなかった!

彩流社、福住誠訳、ニコライ・カラムジン『ロシア人の見た十八世紀パリ』P11

華の都、パリ。

そのパリを初めて見た時の感動、驚き。

それを表す言葉でこの文章を超えるものはなかなかありません。

この文章の作者はロシアの文学者カラムジン(1765-1826)。彼はロシアを代表する文学者で歴史家としても有名で、19世紀ロシア文学の全盛期を導いた偉大な人物であります。ドストエフスキーにも当然、大きな影響を与えています。

フランス革命の1年後にパリを訪れたロシアの文学者の言葉は非常に貴重です。外部の人間から見たパリの光と影をこの本では知ることができます。


30北川晴一『十九世紀パリの原風景①おしゃれと権力』

【おしゃれとはそもそも何なのか】

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フランスといえばファッション。

おしゃれなイメージは今でも健在ですが、フランスがファッションの中心地として君臨し出したのは19世紀になってから。

この本ではどのようにしておしゃれなフランスファッションが発展してきたのか、そしてそれが権力、つまりパワーと結びつき一つの文化として成り立っていったかを解説しています。

おしゃれとはそもそも一体何なのか。おしゃれであるということは何を意味するのか。

よくよく考えてみればこれって意外と謎ですよね。

ですがこの本を読めばその秘密やおしゃれを望む心がどのようにして生まれてきたかを知ることができます。

ファッションに興味のある人にはたまらない1冊なのではないでしょうか。フランス文化を知る上でも非常に興味深い内容が満載の1冊です。


31北川晴一『十九世紀パリの原風景②美食と革命』

【フランス料理の伝統はどこから始まった?】

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驚くべきことに、フランス料理も十九世紀に入ってから急激に発展したのでありました。

フランス料理自体の起源は古くからあったにせよ、それが世界に広まるほどの圧倒的な力を持つようになったのは最近のことだったのですね。

この本の帯には次のように本書の説明が書かれています。

「料理の発見、食べる人、食べ方、レストランの興亡史を通して、その恐るべき”美食と大食そして粗食”の様態に隠された〈欲望〉の制度を望見する。」

フランス人の飽くなき食への欲望はどこから来ているのか、そしてどのようにフランス文化に浸透していったのかをこの本では紹介しています。

面白いことにここでもフランス革命後の十九世紀前半の社会事情が文化の発展に大きな影響を与えていることがわかります。

ファッションに引き続き、この本でも当時のフランス人の生活が垣間見えてとても興味深いです。


32鹿島茂『19世紀パリ時間旅行―失われた街を求めて―』

【かつてのフランスの姿を見れる貴重な一冊!】

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この本の特徴は何と言ってもかつてのフランスの風景が描かれた膨大な資料を一挙に見ることが出来る点にあります。

やはりビジュアルで見ると、文字でイメージするよりずっとわかりやすいですね。

19世紀のフランスにはどのような建物が立っていたのか、人々の生活はどのようなものだったのか、それらが一目瞭然です。

それぞれの絵の解説も鹿島氏により懇切丁寧に書かれていますので、その絵がどのようなものなのかもとてもわかりやすいです。

見る資料集としてとてもありがたい1冊です。


33シュテファン・ツヴァイク『バルザック』

【桁違いのスケールのぶっとび偉人、バルザックの生涯を知れるおすすめ伝記】

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こちらはドストエフスキーに強い影響与えたフランスの文豪バルザックの伝記です。

バルザックの生涯は「事実は小説よりも奇なり」という言葉では表せないほど破天荒なものでした。

あまりに豪快過ぎます。

フランス社交界で名を成すために莫大な借金をし、いい商売があると思い立ったらすぐに莫大な投資をするもすぐに失敗。その借金を返すためにひたすら小説を書き続け、時には睡眠時間もほぼないままにどろどろの特製超濃厚コーヒーで頭を強制的に目覚めさせ、数週間も執筆し続けるという狂気の行動を繰り返した作家でした。

この他にも数え切れないほどのエピソードがあり、どれも度肝を抜かれます。

おそらく、ドストエフスキー以上にぶっ飛んだ個性を持った人間なのではないかとこの伝記を読んで思いました。

筆一本でパリで成り上がったバルザックの生涯は当時の時代風潮を知る上でもとても興味深い知見を与えてくれます。

並の小説よりもはるかに波乱万丈なバルザックの生涯を描いた伝記です。なかなかに面白い1冊でした。


34バルザック『幻滅』

華やかな世界の裏にどんな事情が隠されていたのか、当時のパリ事情に通ずるには最高の時代小説】

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バルザックの『ゴリオ爺さん』の続編にあたる作品です。こちらも『ゴリオ爺さん』に負けず劣らずの名作です。名作10選には入れることができませんでしたが、この作品も当時のフランス社会の雰囲気をよく知れる素晴らしい小説です。

こちらの主人公は美青年の詩人リュシアン。

彼もパリでの成功を夢見て地方から上京しますが、社交界の壁にいきなりはじき返されることになります。

前作『ゴリオ爺さん』の主人公ラスティニャックもこの作品で社交界のダンディーとして再登場し、リュシアンの前に現れます。彼は社交界の戦いに打ち勝ち、社交界に君臨するまでになっていました。

『ゴリオ爺さん』では社交界での戦いはあまり描かれませんでしたが、今作品ではリュシアンがいかにして社交界でのし上がっていくかが詳細に描かれています。

またリュシアンが働くことになるメディア界の実情や華やかな芸能界の舞台裏もこれでもかと暴露していきます。

華やかな世界の裏にどんな事情が隠されていたのか、当時のパリ事情に通ずるには最高の時代小説なのではないでしょうか。

ドストエフスキーも青年時代にこれを読んでいたわけであります。ドストエフスキーはこういう世界をどう見ていたのでしょうか、非常に気になります。


35アラン・コルバン『においの歴史[嗅覚と社会的想像力]』

【パリの衝撃的な汚さ、臭さについて知れる驚きの一冊!】

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ここでちょっと違った視点からの本を一冊紹介します。

以前メインブログのカラムジン『ロシア人の見た十八世紀パリ』あらすじと感想~憧れの都パリを見たロシア人文学者が受けた衝撃とは」の記事の中でも少し触れましたが、パリは圧倒的な豪華さと圧倒的な汚辱がそこかしこに同居している街でありました。

そのパリがどれだけ汚く、強烈な悪臭で満たされているかを過去の資料から丹念に研究し、パリがそこからどのような公衆衛生対策を取っていったか、また市民はにおいについてどのような感情を抱いていたのかをこの本では詳しく知ることが出来ます。

この本はかなり強烈です。パリが世界で最も汚く悪臭で満たされた街だったという、恐いもの見たさを刺激されるような内容の本です。

香水の文化が発展していくのもこうした背景があり、文化とにおいが結びついていく過程がとても興味深かったです。

異常なほどの清潔好きである日本人だからこそ、こうした海外の衛生事情を知ることも大切なのかもしれません。とても興味深い内容でした。江戸時代末期の日本の衛生状況などとも比べてみたいなと思ってしまいました。


36保苅瑞穂『ヴォルテールの世紀 精神の自由の世紀』

【ヴォルテールの生涯をわかりやすく解説したおすすめ伝記!】

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この作品は450ページを超える大作です。ですが一気に読めてしまうほどの面白さがこの本にはあります。著者の劇的な語り口によって、まるで小説を読んでいるかのような気持ちになります。

そして何より、ヴォルテールという人物の魅力!これに尽きます。

18世紀フランスの哲学者ヴォルテール。『哲学書簡』や『寛容論』、『カンディード』などで有名なヴォルテールですが、名前や作品は有名ではあってもこの人物がどんな時代に生きて、どんな生涯を送ったかというとほとんど知られていないというのが実際のところではないでしょうか。かく言う私も彼についてはほとんど知らなかったというのが正直なところでした。

ですがこの本を読んで驚きました。ヴォルテールという人物がどれほど革新的で、後の世にどれだけ大きな影響を与えたのかというのかが明らかになります。


37ヴォルテール『寛容論』

【狂信、宗教対立に対するヴォルテールの告発とは!今こそ読みたい名著!】

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この作品は「カラス事件」という、フランスで起きたある事件がきっかけで生まれた作品です。

冤罪であるにも関わらず住民や判事らの狂信によって父が死刑を執行され、家族共々悲惨な目に遭ってしまったカラス一家。その一報を知ったヴォルテールは激しく心を揺さぶられこの事件に介入することを決意します。

『寛容論』は現代にも通じる名著です。寛容さが失われつつある現代こそ、この本は非常に大きな意味を持つのではないでしょうか。ぜひおすすめしたい1冊です。


37G.ホルムステン『ルソー』

【入門書に最適なおすすめ伝記!】

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この本のありがたいのは絵や写真などのビジュアル資料も豊富な点です。当時の様子などもイメージしやすかったです。

また、伝記としても当時の時代背景などの知識がない人にもわかりやすく伝えるように書かれています。非常に読みやすく、すらすらと進むことができます。波乱万丈なルソーの生涯やその思想の特徴を楽しく学ぶことができます。

これまで当ブログでも紹介してきたヴォルテールも同時代人です。そのヴォルテールとの因縁もこの本では詳しく知ることができます。ヨーロッパ思想を切り開いた両者がなぜ犬猿の仲になったのか、それも非常に興味深かったです。


フランス文学や歴史、文化を知るのにおすすめの参考書②ナポレオン三世の第二帝政期

鹿島茂『怪帝ナポレオンⅢ世 第二帝政全史』

【ナポレオン三世の知られざる治世と実態に迫る一冊!】

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ナポレオン三世・・・日本では正直あまり馴染みがない存在ではありますが、フランスの歴史を考える上ではものすごく重要な人物です。このナポレオン三世の治世にあたり、彼に反対していたユゴーは亡命を余儀なくされていたのでした。

そんな亡命期間中に書き上げられたのがあの『レ・ミゼラブル』なのです。ある意味、亡命中の苦難や不満によって溜め込まれたエネルギーが爆発したかのようにあの作品は書き上げられたのでした。

レミゼの誕生という意味でもナポレオン三世とは一体何者だったのか、そして1852年から1870年のナポレオン第二帝政期というのはどういうものだったかを知ることは大きな意味があります。

この本もものすごくおすすめです。とにかく面白いです!読んでいる最中思わず声が出てしまうほどの発見がどんどん出てきます。

フランス第二帝政という日本ではあまりメジャーではない時代ですが、この時代がどれだけ革新的で重要な社会変革が起きていたかをこの本では知ることになります。人々の欲望を刺激する消費資本主義が発展したのもまさしくこの時代のパリからです。その過程を見ていくのもものすごく興味深いです。

非常におすすめな一冊です。ぜひ手に取って頂けたらなと思います。


尾﨑和郎『ゾラ 人と思想73』

【ゾラの生涯や特徴、ドレフュス事件についても知れるおすすめ伝記!】

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この本は200ページほどのコンパクトな分量の中にゾラの生涯とその特徴が非常にわかりやすく説かれています。

ゾラの生きてきた境遇や文学の特徴を知るならこの本が最適だと思います。この本を読めばゾラが小説を通して何を言おうとしていたか、ゾラは私たちにどんなメッセージを投げかけようとしていたのかが非常にクリアになります。

この伝記はそんなゾラの生涯と特徴をわかりやすく解説してくれる素晴らしい一冊です。ゾラファンとしてこの本は強く強く推したいです。ゾラファンにとっても大きな意味のある本ですし、ゾラのことを知らない方にもぜひこの本はおすすめしたいです。こんな人がいたんだときっと驚くと思います。そしてゾラの作品を読みたくなることでしょう。


『〈ゾラ・セレクション〉第8巻 文学論集1865-1896』

【ゾラはユゴーの傑作に何を思うのか】

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この本は1865年から1896年にゾラによって書かれた文学論の中から編訳者が重要な13の論文を選び翻訳したものになります。

ゾラ(1840-1902)はフランスの偉大な作家でありますが、彼は同時にジャーナリストとして活躍していました。

特に作家としての駆け出しの頃はジャーナリストが本業と言ってもいいほどで、日々新聞にたくさんの記事を書いていました。

ゾラはこの本でフランス文学の歴史を語り、小説や詩、演劇の変遷をわかりやすく解説し、その上でゾラが考える理想の文学観を語ってくれます。

ジャーナリストとして活躍していただけあって、ゾラの文章はものすごく読みやすいです。専門家だけを相手にするのではなく、一般読者にもわかりやすい文章をゾラは綴ります。ゾラのいいところは難解な言葉を使わず、明快な論旨で淡々と語りかけてくれるところにあります。ジャーナリストとしての面目躍如ですね。

この本を読めばフランス文学の歴史も知ることができます。

もちろん、その中には『レ・ミゼラブル』を書いたフランス文学の巨人ヴィクトル・ユゴーも出てきます。

世界文学史上の頂きに君臨し続けているユゴーの傑作『レ・ミゼラブル』。

現代でもミュージカルで大人気のこの作品ですが、ゾラならばこの作品について何と言うのでしょうか。

私はレミゼが大好きです。

でも、ゾラも大好きです。

ゾラの小説はとにかく面白いです。ゾラの連作シリーズ「ルーゴン・マッカール叢書」も全て読みました。

ただ、ゾラは空想的、ファンタジー的な文学を嫌います。

自然主義文学は現実の人間世界を忠実に描くことをモットーとしています。

そうなると、レミゼは「リアルな世界」と言えるのか・・・これは何とも言えないところですよね。

実はユゴーとゾラは真逆の文学観を持つ存在なのです。

これは非常に興味深い対称です。

ゾラはこの本においてユゴーに対する意見を述べています。これがまた頗るエッジの効いた評論になっています。

この評論が二人の文学スタイルを知る上で非常にわかりやすいものだったのでぜひ皆さんにご紹介したいと思います。これを読めばフランス文学とは何なのかということまで考えることができる非常に優れた評論です。

評論と言っても小難しい専門用語が飛び交うこともありません。そこはゾラです。ものすごくわかりやすく話してくれます。ユゴーやレミゼをもっと知る上でもとてもおすすめな1冊となっています。


鹿島茂『デパートの誕生』

【なぜ私たちは買いたくなるのか!パリの老舗百貨店に学ぶその極意とは】

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鹿島氏は、「デパートとは純粋に資本主義的な制度であるばかりか、その究極の発現」であると述べます。

そしてそれはなぜかというと、「必要によってではなく、欲望によってものを買うという資本主義固有のプロセスは、まさにデパートによって発動されたものだからである」と述べるのです。

つまり、現在私たちが生きている資本主義のシステムはここから始まったと言えるほどデパートの誕生は大きな意味を持つものだったのです。

なぜ私たちは「ものを欲しい」と思ってしまうのか。それを刺激する欲望資本主義の原点をこの本で知ることができます。

そして本書内でもたびたび言及されているのですが、このボン・マルシェを題材に書かれた『ボヌール・デ・ダム百貨店』というエミール・ゾラの小説も本書と合わせて非常におすすめです。これは上の10選でも紹介した作品です。

ゾラは現場での取材を重要視した作家で、この小説の執筆に際しても実際にボン・マルシェやルーブルなどのデパートに取材に出かけ、ほぼ1カ月にわたって毎日5、6時間みっちりと取材と見学を重ねたそうです。

私もこの小説が大好きで、ゾラの作品中ピカイチの作品だと思っています。


木村泰司『印象派という革命』

【ゾラとフランス印象派―セザンヌ、マネ、モネとの関係】

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この本は印象派が生まれてくる過程やその意義を印象派以前のフランス美術界の動きにまでさかのぼって解説してくれています。

フランスが芸術の都と呼ばれるようになるまでの流れや、パリ美術界の仕組みなどなど、実にわかりやすく興味深い話でいっぱいです。

何より時代の流れごとに代表的な絵をカラーで紹介してくれるので、解説を読みながら絵を見ることでその特徴が一目瞭然です。

印象派は今では圧倒的な人気を得ていますが、当時はあまりに革新的で、従来の保守的な美術界では到底受け入れられるようなものではなかったのです。

木村泰司氏の本では、印象派の何が革新的で、美術界がなぜそれに拒否反応を示したのがとてもわかりやすく解説されています。

また、ゾラと印象派との関係性についても非常に興味深いものがありました。ものすごく刺激的な一冊です。


新関公子『セザンヌとゾラ その芸術と友情』

【親友セザンヌ・ゾラは本当に絶交したのかを考察したおすすめ作品!】

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「ゾラとセザンヌは中学の同級生で、パリに出てからも親友のままだった。しかしゾラの小説『制作』の主人公クロードが作品を完成できず自殺してしまうという筋書きがきっかけで2人の親友関係は終わってしまった」というのが2人の友情関係の定説です。

ですが、ゾラとセザンヌの絶交はあくまで後の学者の推論であり、絶対的な事実ではなく、あくまでも通説です。ですがその通説があまりに根付いてしまったのでこれが動かしようもない事実のようになってしまっていたのでした。

というわけで、ゾラとセザンヌに造詣の深い著者が、この作品で本当にゾラとセザンヌは絶交していたのかということを検証していくのがこの本の大きな流れとなります。

この本では様々な驚きの事実が語られます。私もこの本を読んで仰天しました。

印象派絵画に興味のある方にも、ゾラの小説に興味のある方にもぜひぜひおすすめしたい作品です。印象派とゾラがつながる素晴らしい作品です。


鹿島茂『絶景、パリ万国博覧会 サン=シモンの鉄の夢』

【渋沢栄一も訪れたパリ万国博覧会~欲望喚起の装置としてのパリ万博】

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絶景、奇怪、絢爛。物神【フェティッシュ】の聖堂のスペクタクル!

現在も世界各国が競って開催する万国博覧会。
それは、サン=シモンという男が思い描いた「産業という宗教」を奉ずる者たちが、物神たる機械と商品の数々によって荘厳した神殿として創められた。
万博というものを、単なる近代産業技術のひとこまとしてではなく、来たるべきユートピアとして構築され、資本主義文明の展開そのものを懐胎した運動であったことを活写する、この著者だからこそ書けた万博論の決定版!

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この本紹介にもありますように、この本も鹿島節全開の最高に刺激的な一冊となっています。

万博とはそもそも何なのか、何が画期的だったのか、この本を読めば驚きの事実を次々と知ることになります。

私達の生きる社会のベースにこの万博の精神が絡んできます。

そして上にも書きましたがあの渋沢栄一もこのパリ万博を訪れています。幕末明治の日本人も目にした驚異の世界をぜひ皆さんもこの本で体感してみてください。


サン・シモン『産業者の教理問答』

【空想主義的社会主義者の一人サン・シモンの主著】

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上の『絶景、パリ万国博覧会 サン=シモンの鉄の夢』でサン・シモンの話が出てきましたので時代的にはさかのぼりますがここでサン・シモンその人の著作についても紹介したいと思います。

サン・シモン(1760-1825)は由緒ある貴族の子として生まれ、啓蒙主義思想教育を受け育った人物です。そして彼はアメリカ独立戦争、フランス革命、ナポレオン戦争などなど、激動の時代を生きた人物になります。

フランス革命後絶対王政はなくなったフランスですが、依然階級社会はそのままです。そのような中でサン・シモンは「世の中は生産者、つまり産業者によって成り立っている。だからこそ産業者の地位が認められなければならない。」と宣言したのでありました。

巻末解説で述べられていましたが、サン・シモンが生きた時代はまだフランスで本格的な産業革命は始まっていません。ですのでその後の重工業や金融経済についてはさすがのサン・シモンも言及はしていません。

ですが、産業者こそ世界を担っていくのだという思想は後の弟子たちに引き継がれ、1852年からのナポレオン三世第二帝政期ではその思想が花開くことになります。

そうした意味でも「産業者こそ世を作るのだ」と宣言したこの著作は大きな意味があります。

サン・シモンの思想については以下の記事でもまとめていますので興味のある方はぜひこちらもご参照ください。


石井洋二郎『科学から空想へ よみがえるフーリエ』

【ユートピアを描いた有名な空想的社会主義者フーリエとは】

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フーリエ(1772-1837)もサン・シモンと同じく空想主義的社会主義者の一人として有名なフランス人思想家です。

フーリエはフランス商人の家の生まれで、成人した後も雇われ店員や行商をしながら著作を作り続けていました。20代にして大実業家として成功していたオウエンとはこの点で大きく異なります。彼は資本家側の人間ではありませんでした。

彼は「ファランジュ」という農村共同体を提唱するのですがこれがなかなかに奇想天外と言いますか、当時の常識から言ってもかなり「ぶっ飛んだ」ものだったようです。

しかし彼の語る共同体や社会理論に惹き付けられる者も続出し、有能な弟子たちを輩出します。その弟子たちの尽力によりヨーロッパ中にフーリエの思想は広まっていったのでした。

実はドストエフスキーもこのフーリエに一時期傾倒していました。そしてその後政治犯としてシベリア流刑になってしまうのですが、その入り口がユートピアを語るフーリエだったというのは非常に興味深いです。

著者は「序章」でそもそも「ユートピア」とは何なのかというところから解説を始めてくれます。

そこからマルクス、エンゲルスによってどのように空想的社会主義者という定義がなされたのか、そしてその代表として知られるロバート・オウエン、サン・シモン・シャルル・フーリエとはいかなる人物かをざっくりと解説してくれます。

これが非常にわかりやすく、初学者でもその流れを把握することできます。これはありがたいです。

そこから実際にフーリエとは何者なのか、どんな思想を持っていたのかが語られます。

フーリエについての参考書はほとんどなく、私達が手に取れるものは限られています。ですがその中でもまず入門として読むにはこの本はおすすめです。フーリエ自身が非常に難解な人物でありますので、この本の内容でも難しい部分があるのですが、それでも全体図を知るにはありがたい1冊だと思います。


10ジョナサン・ビーチャー『シャルル・フーリエ伝 幻視者とその世界』

【ドストエフスキーがなぜフーリエに傾倒したかがわかるおすすめ本】

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この作品は通俗的に書かれたものではなく、学問的研究にもたえうるものとなっています。かといって学術的すぎて一般読者にはさっぱりわからないという類の本でもありません。

私自身、楽しみながら読むことができましたし、意外な事実に驚くことが何度もありました。特にマルクスを学ぶためにフーリエを読もうとしていた私でしたが、ドストエフスキーとの関係性には何度も驚かされました。ドストエフスキーは一時期フーリエに傾倒していた時期がありました。そしてその後彼は政治犯としてシベリアに流刑されることになってしまいます。この本では直接ドストエフスキーについての言及はありませんが、読んでいてドストエフスキーがフーリエのどこに惹かれたのかが何となく見えてくるような気がしました。

このことについては「ユートピア社会主義者フーリエとドストエフスキー~なぜドストエフスキーはフーリエに惹かれたのか」の記事でまとめていますので興味のある方はぜひご参照ください。きっと驚くと思います。

この本は気軽に読める伝記というわけではありませんが、驚くような事実と出会える刺激的な一冊となっています。


11中嶋洋平『社会主義前夜』

【マルクスによる空想的社会主義者のレッテルは不当だった?】

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格差によって分断された社会を、どのように建て直していくべきなのか。革命の焼け跡で生まれた、”空想的”でも”社会主義”でもない三者の思想と行動を描く。

 サン=シモン、オーウェン、フーリエ。この三人の名を聞けば、多くの人が「空想的社会主義」という言葉を連想するだろう。だが、彼らの一人として社会主義を打ち立てようとした人はいないし、地に足のつかない夢想家でもない。現在から見れば、彼らは社会企業家や社会プランナーとも呼べる存在だった――。一九世紀初頭、フランス革命と産業革命という二つの革命によって荒廃し、格差で分断された社会をどのように建て直すのか。この課題に取り組んだ三者の思想と行動を描く。

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サン=シモン、オーウェン、フーリエ。

マルクス・エンゲルスによって「空想的社会主義者」のレッテルを張られたこの三人。この本はそんな三人がはたして本当に空想的な社会主義者だったのかということを見ていく作品になります。

上の本紹介にもありますように「空想的でも社会主義でもない」その実態を知ることができる刺激的な作品です。

この作品のありがたい点は彼ら三人が生きた時代背景を詳しく知ることができるところにあります。

マルクス・エンゲルスよりも五〇年ほど前に生まれた三人。その時のヨーロッパの時代背景はどのようなものだったのか。その上で人々は何に苦しみ、何を求めていたのかということがわかりやすく解説されます。


12鹿島茂『渋沢栄一』

【サンシモン主義と強いつながり!日本経済を支えた偉人のおすすめ伝記!】

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渋沢栄一は幕末から明治、大正、昭和を駆け抜けた偉人です。

2021年には大河ドラマ『青天を衝け』の主人公として描かれることになりました。

上にも書きましたように今作の主人公渋沢栄一も1867年パリ万博を訪れています。

渋沢はこのパリ滞在でナポレオン三世によるフランス第二帝政の経済理念、サンシモン主義の姿を見ることになります。そしてこの時の滞在は渋沢の経済理念に大きな影響を与えることになりました。

日本人から見たパリ万博を知れるおすすめ作品です。


13ドストエフスキー『冬に記す夏の印象』

【西欧社会を厳しく批判!異色のヨーロッパ旅行記】

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この作品は1862年6月に出発したドストエフスキーの初めてのヨーロッパ旅行を基にした旅行記です。

ドストエフスキーはサンクトペテルブルグを出発し、ベルリン、ドレスデン、ヴィスバーデン、バーデン・バーデン、ケルン、パリ、ロンドン、ルツェルン、ジュネーブ、ジェノア、フローレンス、ミラノ、ヴェニス、ウィーンを2か月半で回っています。

当時は鉄道がヨーロッパ中に広がりだした時期だったとはいえ、これだけの行程を2か月半で回るというのはかなりの強行軍です。

この『冬に記す夏の印象』はドストエフスキーのヨーロッパ観を知る上で非常に重要な作品です。

また「奇妙な旅行者」ドストエフスキーの姿を見ることができる点もこの作品のいいところです。小説作品とはまた違ったドストエフスキーを楽しむことができます。

文庫化された作品ではありませんが、『冬に記す夏の印象』はもっと世の中に出てもいい作品なのではないかと強く感じます。

日本人には特に共感できる内容なのではないかと思います。

また、2022年8月、私はドストエフスキーとトルストイを学ぶためにパリとジョージアに向かいました。

この旅行記のタイトルはまさにドストエフスキーの『冬に記す秋の印象』をもじっています。


おわりに

以上、名作10選とおすすめ参考書をご紹介しました。

書いている私もこんな膨大なものになるとは思ってもいませんでしたが、それだけフランス文学やその歴史、文化は面白いということです。

この記事が少しでも皆さんのお役に立てましたら何よりでございます。

以上、「フランス文学のおすすめ名作10選!その魅力と面白さを味わうための解説本もご紹介!」でした。

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