見出し画像

雑記|創作お題における拘束対象の類型化と、お題語の抽象度による適用可能性について(なんの話ですか?)

お題企画の主催者様にはいつも大変お世話になっております。その忍耐と、不断の努力、創造性や発信力に、私は活動の多くを支えられている。そう思っています。頭が下がりっぱなしです。

***

決められたお題に基づいて小説等の創作を期間内に行うお遊び企画について考えます。

***

一口にお題と言いましても、創作のどの部分を拘束するかで様々なタイプがあるように思います。もちろん私の観測範囲の外側にもたくさんのお題企画があるでしょうから、全体は語れません。

なので、あくまで私の見るところでは、という半径3メートルぐらいの話になろうかと思いますので、その点はご了承ください。

***

以下に、ざっとまとめてみました。

◼️お題語「埋め込み型」

これは特定の語を本文のどこかで使えばよろしいという比較的ゆるい縛りのお題です。特に名詞ならほとんど何の苦もなくクリアできると思います。

お題語が「浴衣」なら、私ならヒロインに浴衣を着せてしまうか、あるいは着る着ないで揉めるか、浴衣を着た女の子が通りを横切るだけでも良い。

ところが、動詞や、修飾語付きの文、台詞などを埋め込まなければならない、となると難易度が上がります。かなり強く掴まれます。

例えばお題語が「屁っ放り腰で歯を磨く」だったりすると、他に言いようがないので、それをそのまま埋め込むしかない。トレンドワードになっちゃうかもしれません。ならないでしょうけど。

変則的な解法として、お題語をタイトルに持ってきて本文でその説明をする、というのもありますが、これは難易度が下がったのか上がったのかよく分かりません(笑)


◼️お題語「位置固定型」

これはお題語の使用を「タイトル」「書き出し」「結び」等に固定するものです。「埋め込み型」に比べるとやや拘束が強いです。

ただし、この型のお題語はいかにもそれらしい相貌を纏っていることが多いため、単語一語という出題にはなりにくいかもしれません。

いかにもタイトル風、書き出しになりそう風、締めの言葉になりそう風、という出題者側の配慮(難易度調整)があるように感じます。まあ中には無茶なのもありますけど(笑)

比較のため「浴衣」を例に取ってみましょう。タイトル固定なら「浴衣」にまつわる何かを書けば良い。かなり自由度は高いと思います。

「書き出し」にしても、一度使ってしまえば後は何を書いても良い訳で、「藍染の浴衣が川で泳いでいる」などと始めておいて、夏の涼についての話にでもしましょうか。

「結び」が一番難儀かもしれません。そこに着地しないといけないので、それを言った途端、ここまで積み上げてきたものを全て台無しかねない。そういうことも起き得るでしょう。要注意です。


◼️お題語「モチーフ型」

ここまで来ると格段に抽象度が上がります。モチーフを縛られるということは、その「もの」「状況」「イメージ」を作品の主要要素として扱わなければなりませんので、逆に言うと、お題語を使わなくても成立してしまいます。

また、お題の縛り自体も、特定の語ではなく、変化球を投げてくる場合もあるでしょう。「浴衣の帯をシュルシュルシュルーと解く」とか「空から浴衣が降ってきた」とか。ほぼ大喜利ですけど。埋め込み型との差別化のために行われる出題者側の工夫、と言ったところでしょう。

単純な一語だったとしても、通りすがりの女の子に着せて終わり、という訳にはいきませんから、浴衣を脱がせたり破いたり燃やしたり、何らかの形で物語に関与させる必要があります。

こうして見ると「埋め込み型」→「位置固定型」→「モチーフ型」は、必ずしも難易度の順とは言えないけれど、どうやら上位互換のようにはなっていて、右で処理することは出来ても左で処理することは出来ないという性質がありそうです。


◼️お題語「主題固定型」

これはお題語を主題(メインテーマ)として書かねばならないため、縛りの強さは「課題論文」並みです。こうなって来るともはやお題語も「浴衣」では済まされません。逆に出題者のセンスが問われます。

そもそも題意を図りかねる問題が生じてしまうからです。「浴衣」を主題に小説(あるいは詩でもエッセイでも構わない)を書け、と言われても、書こうとした瞬間、それはモチーフですよね?になりかねない。

上手く言えませんが、それは「浴衣」をモチーフに「性的な視線」や「揺れる恋心」といった主題を展開したものですよねと。

じゃあどうすれば。その答えが「そういうお題語は使わない」「出題者が主題として成立する抽象度を持った語を選ぶ」ということになるのでしょう。もはやこちらではどうすることも出来ません(笑)

ちなみに、この記事が参加しているハッシュタグ #なんのはなしですか  もある意味「何の話かわからないような話を書け」というお題企画のようなものです。縛りは、記事にお題語(ハッシュタグ)を付けろ、というだけと言ったら怒られそうですが。

強いて言うなら「主題固定型」のお題企画でしょうね。

***

こうしてお題語の四分類を考えてみましたが、何だかそこそこ使えそうです。

***

ところで、ここに私が参加している「一括提示型」のお題企画があります。

次々造語が出てきてすみません。

多くのお題企画が都度都度出題される「逐次提示型」だとしたら、これは常設タイプ。予め全てのお題語が公開されているのです。

@兎花さんというクリエイターさんが配布してくださった #創作お題30  というお題企画です。

01. アルコール
02. あんず
03. 三つ編み
04. 背中
05. オレンジ
06. 自販機
07. 笑顔
08. 交差点
09. 発車時刻
10. バニラアイス
11. ふたりぼっち
12. 10分前
13. 対戦ゲーム
14.
15. 苺飴
16. 夕立ち
17. 二人乗り
18. 隣
19. 通じない
20. ひなたぼっこ
21. 時間
22. 境界線
23. なんとなく
24. 立入禁止
25. 安全ピン
26. 天気予報
27.
コンプレックス
28. 殻
29. 目覚まし時計
30. バスタブ

私はこのうち10個を消化しました。

すべて「埋め込み型」で。ズコーッ

しかも、あえてその言葉を使った訳ではなく、たまたま当てはまったものを「消化しました」という体で、まあ、言ったらズルですね。はい。ズルしました。ズルしてます。

超イージーモード。緊張感もなければ悩みもない。頭を使っていないのだから、当然、達成感もない。これはあかん!

***

どうにかして難易度を上げようと思うのです。

やり方は色々ありますが、お題語が30個用意されている意味を考えるならば、これは毎日消化していったら一ヶ月でコンプですね、ということにも出来るでしょう。しかし、それは辛い。さすがに辛い。辛いのはイヤだ。

***

ここで、先ほどの四分類が役に立ちそうです。

お題語には、それぞれ適したお題(縛り)がありそうだ、というところまでは確認しました。

同じお題語でも、与える縛りによって性格が変わる。そして、お題語にも向き不向きがあるということです。

「埋め込み型」で処理するのが一番容易で、しかも「一括提示型」という常設タイプには締め切りの緊張感もありません。

しかしです、これらのお題語も、どう処理するかで難易度が大きく変動することが期待できるのです。

***

では、ひとつずつ見ていきますか?

それか、まずはテキトーに分類しちゃいましょう。

◼️「埋め込み型」

02. あんず
05. オレンジ
10. バニラアイス
14. 月
15. 苺飴
23. なんとなく

一番簡単なグループ。特に「月」とか「なんとなく」は瞬殺できそう。ならばここに含めるのはやめて、次の「位置固定型」にでも移管すべきか。

◼️「位置固定型」

04. 背中
07. 笑顔
09. 発車時刻
12. 10分前
18. 隣
24. 立入禁止

埋め込む位置を縛るグループ。通常は「タイトル」または「書き出し」または「結び」のどこに埋め込むか決まっていることが多いですけれど、ここではそれらのうちいずれか、ということにしておいても構いません。

ポイントとしては、モチーフにも主題にもなりにくいものを選んだ感じです。

◼️「モチーフ型」

01. アルコール
03. 三つ編み

06. 自販機
08. 交差点
13. 対戦ゲーム
16. 夕立ち
17. 二人乗り
20. ひなたぼっこ
25. 安全ピン
26. 天気予報
29. 目覚まし時計
30. バスタブ

このグループの、最も安易で、しかしやったらやったでそこそこ難しいのが、擬人化してしまえ、という解法ではないでしょうか。

主題は何でも良いのです。例えば「日常のちょっとした気付き」とか。それを「目覚まし時計」に語らせるのはつまらない。「ひなたぼっこ」に語らせよう。

出だしはこんな感じ。

「ぼくの名前は日向坊子。そう、君たちがひなたぼっこと呼ぶあれさ」みたいな。

「目覚まし時計」にはまた別の主題を与えてあげましょう。

◼️「主題固定型」

11. ふたりぼっち
19. 通じない
21. 時間
22. 境界線
27. コンプレックス
28. 殻

このグループは比較的抽象度の高いお題語を選びました。例えば「安全ピン」なんかの具体物はモチーフにはなれても主題には容易になれません。なので選んだとしても結局モチーフとして処理するしかないんですよね。たぶん。

主題(メインテーマ)というのは作品全体でその概念や問題を扱わなければなりませんから、作品の内容や方向性を大きく掴まれることになります。

「コンプレックス」というお題を「シネマコンプレックス」に言い換えて週末デートの話にしたりするのは、ちょっとズルです。いやかなりズルです。ズルに詳しい私が言うのだから確かです。

***

さて、@兎花さんが配布してくださった #創作お題30  を例に、その分類を通じて「お題語とはなにか」を私たちは見てきました。

そして、ここまで来たからこそ見えて来るものもあります。別に隠された真実などというような大袈裟なものではありません。

お題に対して私たちは常に自由だ、という、ある種、身も蓋もない事実です。

やるも自由、やらないも自由。

ズルしたからって見つかって咎められて人生を棒に振る訳じゃない。コンプリートしなければならないこともない。締切がないならそれこそいつ何をやるかも自由です。安易に埋め込んだりせず、全部を「モチーフ型」として取り組んでも良い。なんなら30個を一度に残らず全部使って一本の小説を書いたって良いのです。今回のようなルール(縛り)を作ってそれに従うのもあり。それもこれも結局は、私たちの自由なのです。

 (出題者様のご機嫌を損なわない限り、ですけど)

***

 思えば、そもそも小説とは自由な形式です。と私は思います。拳銃が出てきたからといって必ずしもそれが使われなければならないなんてことはないんです。

 話が若干逸れましたけど。逸れますけれど。

 世の中には、訳の分からないルール(縛り)、不自由がたくさんあって、それが私たちを日々雁字搦めにしています。他人を拘束するための縛りは、そこから逃げる自由を認めてくれません。ズルを許してくれない。

 でも、私は許されたい!

 創作の世界では、なおさらです。

 不自由を蹴飛ばして、脱臼させて、解体してやりたい。そのために、あえて不自由になって、拘束されて、そのうえでメッチャ解放されたい。

 そんで、なんか最高ーってなりたいのです。

#なんのはなしですか

(おわり)

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集