見出し画像

AI時代に商業イラストレーターになりたい人、やめていく人、向いてる人

なぜみんな商業イラストレーターになりたいの?


先日、サタケシュンスケさんが記事にされていたこの問い。

一見、煽ってるふうにもとれるので、まずサタケさんの記事を読んでいただきたい。サタケさんと、中村佑介さんとのトークイベントで、参加者から届いた質問なのだが、

「商業イラストは生成AIが淘汰するだろうから、今後はオリジナルの即売会で収入を得るのが主流になるのでは?なのに、なぜみんな商業のイラストレーターになりたいの?」

かいつまんで言えばこういう内容だ。

まぁ、言わんとすることはわからないではない。確かに、生成AIに置き換わる分野もあるだろう。実際、街中を歩いていると、お店の店先のメニューとか、ChatGPTだなぁとわかるイラストが置いてあるのを見かける。

では、私の仕事の場合で言えばどうか。

私の仕事の主軸は、イラストレーターと、CMコンテライターだ。コンテライターとは何ぞやという方は、下の記事を読んでいただきたい。

はっきり言って、いの一番に生成AIにお株を奪われそうな商業である。「コンテマンやばいんじゃないの?」と業界の人から言われたこともある。たしかに正直、ちょっとこれは不味いかもしれないと思った。戦々恐々である。

そりゃそうだ。プロンプトや、簡単なラフ絵をブチ込んで、リアルな画像が出せるなら、いちいち絵なんぞ発注せず、全部AIに任せればいいではないか。私がプランナーでもそうする。お先真っ暗である。

しかし、そうはならなかった。

発注が増えた。

意外なことに、コンテの相談は減っていない。むしろ増えている。最近こんなことがあった。驚いた。なんと、全カットAIで生成した画像が貼られたラフ案が送られてきたのだ。

…え?もう、僕が描かなくても良くないですか?

まさに、このネットミームの心持ちであったが、電話口の担当スタッフはこう答えた。

「それがですね。目が怖いんですよ。目が死んでるっていうか、クリエイティブ的にはこのコンテでプレに勝てるとは思えないそうです。」

「なるほどですね。」である。確かに、送られてきたコンテの画像の人間は、絵そのものはリアルでわかりやすいが、皆張り付いたような笑顔をしている。血が通っていない。幽霊のような不気味さがある。魂が宿っていないと言えるかもしれない。たとえ、企画コンテだとしても、人の心を打つのは、人の魂ということか。

どうやら、まだまだ私がやれる仕事はありそうである。

なぜみんな商業のイラストレーターにそんなになりたいのでしょうか?

この問いに戻るが、実は私は、サタケさんのように「商業イラストレーターにどうしてもなりたい!」と思って、この仕事についたわけではない。元々は、どうしてもなりたい!と別の夢を追いかけていた。

しかし、その夢が自分に合っていないと気づき、諦めた。

絵は子供の頃から描いていたが、これで食べていけるなどとは微塵も考えていなかった。だが、夢を諦めた時期に再び絵を描くことの楽しさに気づき、また、当時いた業界内にニーズがあることも発見したので、こっちの方が自分の性に合ってそうだと、なりたかった夢ではなく、自分の腕が活かせそうなニーズに全振りしたのだ。

すると、すぐにコンテライターの仕事の依頼が舞い込み、気がつけば15年絵を描いて生活している。よくもまぁ、バイトもせずペン先一本で、家族5人支えているものだと思う。


コンテ以外の仕事も増やそうと、意識的にイラストにも手を伸ばした結果、今では、商業イラストでスケジュールが埋まり、コンテの仕事を受けられないほどだったりする。

つまり私は、なりたいではなく、結果的になっていた部類の人間なのだ。

なりたい職業が、向いてる職業とは限らない

先日、フジワラヨシトさんが、Painterとしての活動を始めるために、イラストレーター引退宣言を出された。引退の理由に、ADHDによる特性とフリーランスにつきまとうスケジュール管理、修正対応、メールの返信、営業活動、SNS更新などマルチタスクの相性の悪さを挙げられていた。

前述した私の経緯を踏まえると、フジワラさんにはイラストレーターという職業が合っていなかったということになる。

このように、夢として追いかけた職業、なりたかった職業が、自分の性格や体質に合っていない、向いていないということは往々にしてある。ハンターハンターで言えば、変化系と操作系が対極にあるように。無茶をすれば、私のように心身に不調をきたし入院し、手術までする羽目になる。だが、生まれ持ったスキルと、ニーズの相性が噛み合えば、つよつよ能力が発現する。

ただ、このつよつよ能力を発現するには、夢を追いかけるというこだわり、言い換えれば執着心と決別しなければいけない。これは非常につらい。失恋に近いドえらい喪失感を伴う。もちろん、夢と特性が最初からバッチリ噛み合っている人もいる。

私はたまたま、人が欲している絵を、人の代わりに描くという仕事が向いていたというだけだ。フリーランスの商業イラストレーターを目指している人は多い。しかし、本当にそれが自分に合っているのか。無理をしていないか。夢だけを見て視界が狭くなっていないか注意してほしい。もし、少し苦しさを感じているのであれば、一旦立ち止まって周りを見渡してみると良いかもしれない。

自分の腕が活かせるニーズ、必要とされているスキルは、他にあるのかもしれないのだから。

追記:生成AIにイラスト仕事をやらせてみた

ちなみに、冒頭の問いの大前提『商業イラストはAIが淘汰するだろう』だが、今年の春頃ChatGPTの画像生成精度が上がった際に、同様の問いがSNSに沸き返った。私もそれまでChatGPTを導入していなかったので、戦慄した。だが、人は実態を知らないものを極端に恐れる生きものである。恐れる前に知らねばならない。

と言うわけで、AIが私の仕事をこなせるのか実際に検証してみた記事がこちらだ。

なかなか面白い結果になったので、ご興味おありの方は是非。

それでは、読んでいただきありがとうございました。

もしこの記事が、少しでも考えるきっかけになったり、共感いただける部分があれば、スキ、フォロー、SNSでのシェアやコメントなどのリアクションをいただけると、とても励みになります。


いいなと思ったら応援しよう!

ウラケン・ボルボックス 記事をご覧いただきありがとうございます!チップで応援していただくと、嬉しさのあまり、ウラケンがジャンピングジャックで跳ねます!どんどん痩せます!