15年描いてこんなに変わった!|CM企画コンテの変遷
コンテライターをはじめて今年で15年
2009年12月末日付でCM制作会社を退社し、2010年1月からコンテライター・イラストレーターとして仕事をスタートして、早いもので15年目です。コンテライターとは何ぞや?という方は、以前書いた↓こちらの記事をご一読ください。
十年一昔(じゅうねんひとむかし)という四字熟語がありますが、たかが10年と思ったら、されど10年。世の中移り変わりが激しく、10年も経つと気づけばいろんなことが変わっています。15年だと尚更です。
最近、コンテの仕事をしていてもその変化を感じてきたので、この際まとめてみました。
2009年〜2011年 《背景が増えた》
私がCM制作会社を辞めるちょっと前から、辞めてしばらくのこの頃。TV業界はある変革期にありました。関係者の方々はピンと来るのではないでしょうか。そう、
地デジ化です。
アナログ放送が、地上デジタル放送に切り替わっていくまさにその過渡期でした。このタイミングでブラウン管テレビを液晶テレビに買い替えた人も多いのではないでしょうか。
【地デジとは?】
地上デジタル放送の略称で、地上にある放送局からデジタル信号で送信されるテレビ放送です。アナログ放送に比べて高品質な映像や音声で視聴でき、字幕放送やデータ放送などのさまざまなサービスを利用できます。
アナログ放送が、地デジになることによって画質や音質だけでなく、大きな見た目の違いが発生しました。アスペクト比です。つまり、画面の比率が4:3から、16:9に変わりました。
企画コンテも、それまで4:3だったものが、16:9に変わっていきました。「今回のプレは4:3ですか?16:9ですか?」と確認していたのを覚えています。
絵で説明すると、こういうことです。

これが…

こうなりました。
お分かりでしょうか…そうです。
背景を描く面積が増えました。

青い部分が増えた面積です。砂漠とか、荒野とか、海とか、空抜けとかであればさほど大変ではないのですが、モブがいっぱいいるとか、街中とか、オフィスや飲食店が舞台の企画だと、単純に描く作業が増えます。
「そんなもん、背景のレイヤーを拡大したり、モブを増殖すれば良いじゃないか。」
と、お思いの方も多いと思いますが駆け出しの頃の僕は、紙にシャーペンでコンテを描いていたので、地デジ化は単純に作業の増加を意味しました。ちなみに、僕が液タブを導入したのは、2015年以降です。消費税が上がる前に何か大きな買い物をしておいた方がいいと妻に勧められて、大急ぎでヨドバシカメラに行ったことを覚えています。
2010〜2020年 《CM内容の変化》
駆け出しの頃は、まだまだガラケーが全盛で、ガラケーを持っている人の手元を描くのが難しくて難儀していました。依頼がくるCMも全体的にアルコール飲料などの飲み物や、家庭用品、車の企画が多かった印象です。しかし、2010年代中頃からCMの内容そのものに変化が現れはじめました。


この3枚は、2016年に作成したサンプルから発掘したカットです。お分かりでしょうか。そうです。スマホとアプリです。
ガラケーを耳に当てていた企画が消え、スマホの画面を見たり、スワイプする企画がとても増えました。現在流れているCMもそういうものが多いですが、それらのCMが増えはじめたのがこの頃です。
2023年〜 《CMがTV画面ではなくなる》
2023年の9月。ある企画コンテの相談がきて、衝撃を受けました。背景が増えるとか、商品の内容が変わるとか、そういうレベルではありません。今後のCMの将来が垣間見える大変革です。

これです。
そうです。縦型動画に特化したCMの企画です。4:3が16:9になるとか、そんなレベルの話ではありません。画角というものは基本的に横幅の話だと思っていたのですが、縦になっちゃいました。これはもう画面構成の考え方を大幅に見直さなければなりません。

例えば、従来はこういう画面構成だったものが、

こうなります。
印象がだいぶ変わってくるのです。横に長い背景で見せていたものが、縦に長く奥行きを感じる絵なりました。
そして、縦型に特化して作られたCMの例がこちらです。
いかがでしょうか。人物の立ち位置、画面構成、飲みカットなどがかなり縦を意識した絵作りになっています。具体的に言えば、縦の余白、奥行き、レイヤーを感じる絵作りです。
必要なのは変化への適応力
多くの人がTVを見ていた時代、CMと言えば、TVCMの略でした。しかし、テレビ画面だけではなく、スマホの縦画面を眺める時間が長くなったことで、その視聴者に対するCMも、より伝わりやすく効果的なサイズに変化してきているのです。
企画コンテの発注は、まだまだ16:9の発注が多いですが、2023年は1件だった縦コンテの発注が、2024年3カ月に1回くらいのペースに増えました。私1人でそうなので、業界全体で見ればもっと増えていることでしょう。


このページは、マンガを担当した本からの抜粋ですが、我々ホモ・サピエンスは、強いから生き残ったわけではありません。逃げたり、工夫したり、環境の変化にたまたま適応できた種が行き着いた先が我々です。
長らくテレビ一強だった時代が続きましたが、その時代に変化が生じています。生成AIの登場の台頭もまた然りです。我々コンテライターも適応力が試されています。
それでは、読んでいただきありがとうございました。
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