テニス上達メモ553.五十嵐カノアがオジェ-アリアシムと対話──掟破りの逆サソリ炸裂!?
プロサーファー五十嵐カノアがATPファイナルズを観戦し、テニスに夢中。フェリックス・オジェ-アリアシムとの会談で学んだのは「セットはリセット」。浮かれず落ち込まず、呼吸と発声でリズムを整え、集中力を最大化する──波乗り感覚でコートを駆ける「禁じ手」のご紹介。
▶波乗り上手の五十嵐カノア、コートへ上陸!
こちらでご登場いただいたプロサーファー五十嵐カノア選手が、ATP ファイナルズを観戦。
「すっかりテニスの大ファンになった様子」なのだそうです。
その後、「戻るべき場所に戻った」というフェリックス・オジェ-アリアシムとも会談。
「テニスでは、ポイントを取ろうが取られようが一度リセットして、次のポイントに向けて心身を整える必要がある」と確認したのは、まさにそのとおりですね。
私は「セットはリセット」とたとえます(関連記事「セットは取っても取られても『リセット』──人生も同じ」)。
▶「浮かれず、落ち込まず」──人生もセットはリセット
上手くいってもどうせリセットされます。
ですから、精神的に浮かれてしまいませんように。
苦しくてもどうせリセットされます。
ですから、精神的に落ち込んでしまいませんように。
どうせ「禍福はあざなえる縄のごとし」。
なので、浮かれもせず落ち込みもしない「中道」を行くのです。
▶「心の達人」は浮かれずに始める
とはいえ「落ち込まないようにしよう」としてそうするのは、難しいのでしたね。
どうしても落ち込んでしまう。
それができるのは、そう考えただけで心をパッと変えることができる「心の達人」だけ。
それができるなら、苦労はない。
ですからまずは逆の「浮かれないようにする」ほうを、私はおすすめしているのです。
浮かれないのは初学者であっても、ある程度のコントロール(自制)を利かせやすいですからね(関連記事「こうして『平常心』は培われる」)。
▶感情は波──激しく振れても落ち着けば戻る
感情は波(振幅)ですから、浮かれなくなると、反対側へ落ち込みにくくもなります。
激しく両極へ振れ動くと「躁鬱」というわけです。
「祭りのあと」が寂しいのは、振り切った感情の勢いが、より戻るから。
これを仏教では「壊苦(えく)」と言います(関連記事「勝ったとしても『せいぜい2分』。そういえばアガシも……」)。
嬉しいときや楽しいときなど、手放しに喜んでしまわないようにする。
すると落ち込みにくくもなって波立たない「明鏡止水」の心でいられるというわけです。
また嬉しくても喜ばずにいると、「精神的エネルギー保存則」に従い、集中力の再エネも叶うのでしたね(関連記事「精神エネルギーも『有限』」)。
▶イチローの視野も狭くした「感情」は、「キートン山田方式」で客観視
イチローも言います。
「『感情的になると視野が狭くなる』といって、冷静にプレーすることの重要性を説いた」そうです。
イチロー自身。「子どものころは(感情を表に出すことが)あったけど、ろくなことがなかったから」と振り返ります。
この線引きは、客観視にあります。
「自分は怒っている」「悲しんでいる」「嫉妬している」などと、客観視するのは(むしろ)いいけれど、主観的になって飲み込まれてしまわない、という感じ。
怒っている時は、アニメちびまる子ちゃんの「キートン山田方式」で、「ムカついている※※さんであった」などと、心による自動的な反応を客観視(※※にはご自身の名前入る)」するのでしたね(関連記事「ムカつくのは人として当然」)。
▶ラリーも波も「リズム」で攻略
もうひとつ話題になったという「呼吸法」について。
日本でも武術などで受け継がれる「メソッド」です。
呼吸というのは、小自然の身体が起こすリズム。
サーフィンでは、寄せては返す波のリズムに乗る。
テニスでは、行き来するボールのリズムに乗る。
それら「合わせる対象」と、身体のリズムである「呼吸」とがシンクロすれば、波に乗れ、ラリーのリズムに乗れるから、「タイミングが合う」というわけです。
▶「えいっ、やー、とう!」──声で取る究極のタイミング調整
「えいっ、やー、とう!」
強豪校ほど、発声が大きい印象はないでしょうか?
単なる精神論ではなく、リズムに乗りタイミングを測る機能的な効果を、発声が担っています。
発声と呼吸はセットであり、声を出しているとき、出息となり、入息のとき、声は出ない相関です。
また集中するときは、止まる「保息」となるのでしたね(関連記事「『ンガーッ!』は力みじゃなく、投げ抜くための呼吸法」)。
▶セルフトークを止める──10秒間の「考えない贅沢」
そして発声しているとき、頭の中のセルフトークがやみます(関連記事「セルフトークをなくすには?」)。
「考えることが大事」とはいうけれど、私たち現代人は、一時も考えずにはいられません。
10秒間考えずにいられたら、達人。
やってみてください。
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「うーん、考えないって、どういうこと?」
「10秒くらいならできるんじゃない?」
「テニスゼロはデタラメだろ」などと、「考えた」のではないでしょうか(笑)。
だから「馬鹿であれ」(考えるな)と、スティーブ・ジョブズは言うのだと思います。
禅の大家である鈴木大拙の大拙とは、「大馬鹿もの」という意味なのでしたね。
なのに常識的なテニス指導では「ヒザを曲げろ」「腰を回せ」などとフォームについて「考える」から、セルフトークが止みません。
すると、ボールがスッスと消えるのです。
▶「考えすぎる人生はVR体験?」──リアルを見失わないために
ついでにいえばテニスに限らず日常でも、ずっと考え続けているわけですから、その生活は、見えず、聞こえず、味わえず……(関連記事「人間の認識システムの話」)。
生きてる「実感(リアル)」が伴いません。
「思考(バーチャル)」に人生が乗っ取られるのです(関連記事「ボールがすぐ手元に飛んでくるという錯覚」)。
▶声を出すだけでパワー倍増──脱力×リズム×呼吸の奥義
五十嵐カノアとフェリックス・オジェ-アリアシムの会談で、話題になったという「呼吸法」。
それとセットの「発声法」。
それによりパワーアップも叶うと、『究極』では説明されています。
なぜ、声を出すだけで、効果的な出力が叶うのか?
リズムに乗ると「タイミング」が合うから、(脱力しても)大きな力が出るのです。
室伏広治の「ンガーッ!」です。
逆に言うと、力んでしまうと身体の内側から出力される骨格やインナーマッスル由来の力が堰き止められて、弱くなるのです。
その脱力は、五十嵐カノアも実践(関連記事「ヒクソン・グレイシーと五十嵐カノアの脱力系」)。
▶テニス界の「禁じ手」──長州力もビックリの合理的奥義!?
モニカ・セレスやマリア・シャラポワ、そしてUSオープンを連覇したアリーナ・サバレンカらチャンピオンが発声する理由は、相手を威嚇するなどの「せこい理由」なはずがありません(関連記事「セレスもシャラポラも『せこい威嚇』などしない」)。
リズムに乗り、タイミングを測り、ミスせずパワーアップするための、合理的なメソッドだったのです。
発声法はまるで、プロレス界における「掟破りの逆サソリ」や「ドラゴンスープレックス」さながらの奥義。
テニス界の『禁じ手』です。
コートにこだまする打球音とステップワーク、そして選手の「吐息」に、耳を澄ませてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=t26ZJPxT8Ws
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero