スキ数3の記事で Google Gemini 賞を受賞した私が語る、note投稿コンテストの傾向と対策
2月12日、「#AIと振り返ってみた」の最終選考のお知らせが届きました。
改めて2ヶ月前に書いた記事を見返すと、スキは3、ビューは100未満。
楽しく書けたし、自分なりの気づきもあった。今の「歩く習慣」にもつながっている、大切な記事です。けれど、数字だけを見れば、あまり読まれておらず、評価もされていない記事でした。
だからこそ、受賞のお知らせには正直驚きました。
フォロワー数が二桁の私にとって、記事が人目に触れる経路は限られています。noteのレコメンド、SNS、検索流入。その閲覧数に比例してスキがつくと考えれば、数字が伸びなかったのも自然なことでした。
時を同じくして、noteからは「一次情報を最優先にする」「PV至上主義と戦う」「フォロワーが少なくても届く設計へ」というメッセージが発信されていました。
今回の受賞は、偶然だったのか。それとも、今noteが目指している方向と、重なった結果だったのか。
この記事では、最近のnoteのリリースや過去の受賞作品を手がかりに、noteのコンテストで好まれる記事の傾向と対策について、考えていきたいと思います。
2026年のnoteのリリース
今年に入り、noteから発信された一連のメッセージは、明確にひとつの方向を示していました。
noteのオープン社内報
まずは1月。noteのCXOの深津貴之さんが、オープン社内報として2本の記事を公開します。
そこに書かれていたのは、「一次情報」と「生の体験の記録」「私の気づき」の発信を、今後より積極的に応援していくという方針。そして、「PVやインプレッションだけでは儲かりにくく、継続率や読了率で儲かりやすい設計」を目指すという宣言でした。
SNSで話題になっていたこともあり、私もリアルタイムで拝見していました。
SNSが荒れやすい理由について、私はこれまで、人間の脳は狩猟採集民の時代から大きく変わっていないから、不特定多数の人とのコミュニケーションに適していないんだよなと、半ば諦め気味でした。けれど深津さんは、それを「設計の問題」として指摘します。
PVを最重要KPIに置けば、より強い言葉や煽る表現が有利になる。人の心を歪めるのは人間の性質ではなく、設計によって変えられる問題であることを示され、目から鱗が落ちたようでした。
さらに、noteが「非奨励」と明示したコンテンツの一覧も印象的でした。攻撃や断罪、不安の煽動、安易な再生産、フェイクや疑似科学。どれも、私自身がどこかで嫌だなと感じていたものばかりです。
応援する創作の方向性を明確にしつつ、推さないものもはっきり示す。
そこに、noteからの強いメッセージを感じました。
noteの機能アップデート
深津さんの記事からほどなくして、機能アップデートのリリースが発表されます。ちなみに、その日は、「#AIと振り返ってみた」の最終選考のお知らせが届いたのと同じ日でした。
発信されていたのは、「SNSでバズらなくても、フォロワーが少なくても、いい記事を書けば読みたい人に届く」というメッセージ。読み手には「自分に合った記事との出会い」を、書き手には「良い記事が届く循環」をつくるという、明確な方向性でした。
フォロワー数が多くない書き手である私にとって、それは背中を押される言葉でもありました。
翌日には、アップデートの舞台裏を解説する開発者の記事も公開されます。そこでは、ランキングを設けず「一次情報を最優先に届ける」設計思想があらためて語られていました。
生成AIでコンテンツが急増するなかでも、重視されるのは「クリエイター自身の体験にもとづいているか、オリジナルな視点があるか」。LLMが記事の文脈を読み取り、届ける相手を判断する仕組みによって、カテゴリ経由の表示回数は4倍以上に伸びたといいます。
フォロワーが少なく、スキが3しかなかった私の記事が届いたのは、偶然ではなく、数字ではなく中身を評価する構造が整いつつあるからなのかもしれないと思ったのでした。
Google Geminiとnoteで開催した投稿コンテストの受賞作品
noteでは、定期的に投稿コンテストが開催されています。
ここでは、Google Geminiとnoteで開催したものに絞って、その傾向を見ていきたいと思います。
昨年、Google Geminiとnoteで開催した投稿コンテストは6件、受賞作品は25作品。そのきっかけは、両者の資本業務提携だったと思われます。
noteとGoogleの資本業務提携
1月、noteはGoogleとの資本業務提携を発表。「AI技術を活用した新たなサービス開発を促進し、クリエイターの創作をより一層支援」することが示されていました。
Google Geminiとnoteで投稿コンテスト開催
同年6月、Google Geminiとnoteによる投稿コンテスト「#AIとやってみた」が開催されました。応募総数は24,296件にのぼり、グランプリをはじめとする受賞作品は10作品でした。
Google Geminiとnoteで投稿コンテスト毎月開催へ
さらに8月から12月にかけては5ヶ月連続開催。受賞作品数は、初回の10作品から3作品に絞られ、応募総数は1,753〜13,682件とテーマによってばらつきがありました。
受賞した25作品を Gemini の Deep Research で分析してもらったところ、1万字をこえるレポートが返ってきました。
全文を載せると情報量が多くなりすぎるため、3つのポイントに絞って紹介します。
Geminiによる受賞作品の評価
Google Geminiとnoteで開催された投稿コンテストの受賞作品を分析すると、単なる技術の紹介にとどまらず、読者の深い共感を呼ぶいくつかの共通点が見えてきます。受賞作品に共通する「求められる作品の傾向」を3つのポイントにまとめました。
1. AIとの「試行錯誤のプロセス」を楽しむ
完璧なプロンプトで一発で正解を出すのではなく、AIの少しずれた回答や失敗もエンタメとして取り入れ、共に悩みながら理想に近づいていく「共創」の過程そのものが高く評価されています。
2. 自身の「偏愛」や「制約」を主役にする
AIの凄さを語るのではなく、「どうしてもこれがやりたい」「こんな制約(材料不足、妊娠中など)がある」という、書き手自身の個人的で切実な想いが起点となっています。AIはそれを実現するための頼れる相棒として機能しています。
3. 「関係性や感情のポジティブな変化」で結ぶ
成果物が完成して終わるのではなく、AIが介入したことで「家族との会話が増えた」「失っていたワクワクを取り戻した」「自己肯定感が上がった」など、生活の質や人間関係の豊かな変化を最終的なオチに据えています。
コンテストで求められているのは、効率的な時短術やプロンプト集ではなく、AIという新しい相棒と共に日常の課題や好奇心に向き合う「人間らしいストーリー」です。自身の弱さや偏愛を包み隠さず書き、AIとの温かい関わりを物語として描くことが受賞への最大の鍵となります。
受賞作品に対する個人的な気づき
受賞した25作品を拝見し、個人的に気づいたことも3つの視点でまとめます。
1. 数字と受賞の関係
私が受賞した回では、スキ数が表彰順に多かったため、スキ数と順位には一定の相関があるのかもしれないと思いました。
しかし他の回も確認すると、必ずしも単純な比例関係があるわけではありませんでした。フォロワー数やスキ数といった定量的な指標ではなく、記事そのものの背景や文脈、企画意図との適合性など、別の評価軸が働いている可能性を感じました。






なお、「#AIと学び」の参考作品として紹介されていた中村洋太さんの「GeminiとNotebookLMが、我が家の「謎」を27年越しに解き明かした」をきっかけに、Google Geminiとnoteのコンテストを知り、応募するようになりました。これまで3回応募し、3回目での受賞となります。
初めて読んだとき、強く心を掴まれ、社内で生成AI活用の話題が出た際に、こちらの記事について言及し、熱弁したことを覚えています。
2. 最終選考のお知らせ
受賞作品を巡回していると、コメント欄にnoteコンテスト事務局からメール確認を促す書き込みが見られました。


私のもとに届いたメールには、「期限までに入力がない場合は、最終選考の対象外となる」旨が明記されていました。運営側の確認作業の負荷軽減のため、直近はコメントでの個別リマインドを行わず、メール確認のみを前提とする運用に移行したのかもしれません。
もしかすると、返信期限内に確認できなかった方がいて、私自身、繰り上げで入賞した可能性もあるなと感じました。いずれにせよ、今回の受賞はラッキーでした。
3. 受賞作品の共通点と再現性
受賞作品を見ていくと、Google Geminiとnoteのコンテストに限らず、他の創作系コンテストでも受賞経験のある方がいらっしゃることに気づきました。
コンテストには運の要素もあるとは思いますが、複数回の受賞となると、そこには一定の再現性があるのではないかと感じます。
例えば、「創作大賞2024」と「#AIとやってみた」を受賞された、みねのもみぢばさん。プロフィールには「ガラスペン研究家」とあり、230本を超えるガラスペンの継戦能力を検証・公開されていると記されています。
創作大賞2024の受賞作品、「ガラスペン230本ぶんの『正』の字を集めたはなし。」というタイトルからして、圧倒的な偏愛と熱量が伝わってきます。
また、「#AIとやってみた」で審査員特別賞(岡田悠さん賞)を受賞した「Geminiと一緒に刺繍ブローチを作ったはなし。」も印象的でした。
オリジナルの刺繍ブローチを作りたいという宣言から始まり、試行錯誤を重ねながら最後まで作り切る。その過程には純粋な「やってみたさ」が貫かれており、AIとのやり取りもどこか冷静に、しかし楽しみながら描かれていました。
どちらの作品にも共通していたのは、試行錯誤のプロセスそのものを楽しんでいること、自身の偏愛を物語の中心に据えていること、そして最後をポジティブに結んでいることです。これは、Geminiによる受賞作品の講評で挙げられていた観点とも重なります。
* * *
受賞作品を通じて見えてきたのは、技術的な巧みさ以上に、日常の体験にAIが寄り添い、生活を少し豊かにしている実感が描かれている点が印象に残りました。さらに、生成画像や実際に作られたものなど、視覚的にわかりやすいアウトプットがある作品は、読者にとっても追体験しやすいのかもしれません。
またnote側の姿勢として、受賞記事を一貫して「受賞作品」と表現していることや、これまで何気なく目にしていた「クリエイターページ」という呼称の意味にも、改めて意識が向きました。
言葉づかいの一つひとつに、創作へのリスペクトが込められているのだと感じられたのも、印象的な気づきでした。
多彩な作品が集うnoteの投稿コンテスト。しかしその一方で、生成AIの台頭による新たな課題も浮かび上がっています。
公募コンテストが現在抱えている課題
現在、公募コンテストのあり方そのものが大きな転換期を迎えています。
生成AIの普及により、制作のハードルが下がり、一定水準のアウトプットが短時間でつくれる時代。「うまさ」や「完成度」だけでは測りきれない領域が広がり、人の創作をどのように評価するのかという根本的な課題が浮かび上がっています。
公募コンテストの中止と辞退
2025年11月8日付の日本海新聞は、鳥取県境港市で長年開催されてきた「妖怪川柳コンテスト」が第20回をもって終了すると報じました。主催する境港観光協会は、生成AIによる作品との判別が難しくなったことを理由に挙げています。
同じく2025年11月、朝日新聞社などが主催する「第42回埼玉県写真サロン」では、最優秀賞に選ばれた作品の授賞が取り消されました。SNS上で海外サイトのAI生成画像との酷似が指摘され、受賞者が「自身が制作していない作品を応募した」と申告したためです。
少し過去にさかのぼると、海外でも同様の議論が起きています。
2023年、ドイツの写真家ボリス・エルダグセンがAI生成作品で「ソニー・ワールド・フォトグラフィー・アワード」のクリエイティブ部門賞を受賞しましたが、その後「AI画像は写真と同列に扱うべきではない」として辞退しました。AI作品と写真の境界をめぐる議論を提起する出来事となりました。
いずれの事例も背景は異なりますが、AI時代における「創作」と「評価」の関係性が揺らいでいることを示しているように感じられます。
応募作品の審査構造と「下読み」の再定義
応募数の増加と作品水準の均質化が進む中で、一次選考、いわゆる「下読み」の負荷はこれまで以上に重くなっています。
多くの公募は、下読みで大半を選別し、段階的に絞り込んでいく構造をとっています。この入口が機能しなくなれば、コンテストそのものの持続可能性にも影響が及びます。
仮に、私が受賞したコンテストの応募総数7,791件を、1作品あたり5分で下読みすると想定した場合、必要な時間は約38,955分、時間にして約649時間になります。これは1日8時間稼働でもおよそ81日分に相当します。
審査方法が公開されていないため、あくまで推測の域を出ませんが、noteでは記事冒頭で触れたレコメンド機能の刷新にも見られるように、LLMを活用して文脈や一次情報、独自性といった観点から作品を抽出している可能性があります。
もしそうであれば、人が時間をかけて行ってきた「下読み」の一部をAIが補完しているとも考えられます。
AIによって生じた課題に対し、AIを用いて応答する。そうした仕組みを内包できること自体が、noteの構造的な強さを物語っているように感じます。
note投稿コンテストに応募する際、心がけると良さそうなこと
最近のnoteのリリースや過去の受賞作品を振り返って見えてきたのは、noteの投稿コンテストが単なる人気投票ではないということです。
今年に入ってからの公式リリースでは、創作のプロセスや一次情報の重視、そして書き手自身の体験に根ざしたコンテンツの価値が明確に打ち出されています。
実際に受賞している作品を見ても、試行錯誤の過程を丁寧に描いたものや、固有の体験や偏愛を軸にした作品が多く選ばれています。公式に示されている方針と、受賞作品の傾向は方向性として一致していると言えるでしょう。
そう考えると、コンテストに臨む際に意識しておきたいことも、いくつか見えてきます。
1. 主催者からのメッセージを丁寧に読む
まず大前提として、主催者が何を定義し、どのような価値を大切にしているのかを丁寧に読み取ることがポイントです。
noteの場合、プラットフォームとして目指す方向性は、冒頭で紹介した記事などで明確に示されています。一方で、投稿コンテストにはそれぞれ固有のテーマや評価観点があり、応募要項などが募集ページに具体的に記載されています。
「noteが目指す方向性」と「企画が求めているもの」両方を読み込むことが、出発点になります。
主催者側の指針が書かれた記事の例
・noteが目指す方向性:noteの推しアルゴリズム
・企画が求めているもの:「#AIと振り返ってみた」を開催します!
ある程度アウトラインが固まった段階で、生成AIに自分の記事案を共有し、主催者側の意図と「ずれていないか」を確認するのも一つの方法です。第三者的な視点で整合性をチェックしてもらうことで、思い込みに気づけることもあります。
特に応募要項は、想像以上に重要です。
これはコンテストの話ではありませんが、先日、あるギフトカードの還元キャンペーンで、条件をよく読まずに申し込み、1万円分のキャッシュバックを逃してしまいました。問い合わせても覆りませんでした。
だからこそ、まずは読むこと。読んで理解した上で書くこと。そこからすべてが始まるのだと思います。
2. 自分自身の体験とプロセスを主役にする
受賞作品に共通していたのは、完成度の高さ以上に、書き手自身の偏愛や試行錯誤の過程が丁寧に描かれていることでした。
うまく書こうとするよりも、自分が本当にやってみたこと、感じたことを軸に据える。その姿勢こそが、結果として独自性につながっていくのかもしれません。
今回はGoogle Geminiとnoteが開催した投稿コンテストに絞って受賞作品を振り返りましたが、応募する類似コンテストの受賞作品に目を通してみると、評価されやすい方向性がより具体的に見えてきます。
テーマが異なっても、「どのようなプロセスが描かれているのか」「どの部分に書き手の一次体験があるのか」といった観点で読み解くことで、共通する評価軸が浮かび上がってきます。
3. メールを確実に確認できる状態にしておく
そして意外と見落とせないのが、noteコンテスト事務局からメールを確実に受け取れる状態にしておくことです。
最終選考に進むための確認や期限付きの返信が求められるケースもあります。どれだけ良い作品を書いても、連絡に気づかなければ機会を逃してしまう可能性もあります。
noteに登録しているメールアドレスは、日頃から使用しているものにしておきましょう。迷惑メールに振り分けられる可能性がある場合は、その部分も生成AIなどに相談し、解消しておきましょう。
* * *
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ちなみに、私が受賞した作品はこちらとなります。3だったスキ数も、受賞後10倍以上に増えちゃいました。
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