なぜnoteは「PV至上主義」と戦うのか

オープン社内報です。

なぜ私たちが広告導入に慎重なのか、なぜPV(ページビュー)を最重要指標に置かないのというお話。


1. PVで収益が決まる設計は「歪み」を生む

インターネットにおいて、広告は最も基本的なビジネスモデルです。
でも実は広告というモデルは、サービスにとっては依存症や中毒をもたらす、致命的な麻薬でもあります。

これは「PVが究極のKPI」となる設計は、人の心を歪めやすいためです。

クリックされれば勝ち、表示されれば儲かる。その構造を突き詰めると、行き着く先は、手段を選ばないアテンション(注目)の争奪戦となります。

  • 争いやゴシップ

  • タイトル詐欺(釣り見出し)

  • 「怒り」の駆動

  • 「XXXの衝撃」や「10のXXX」みたいなテンプレ化

ユーザーを怒らせて議論を呼び、クリックさせること(レイジ・ベイトといいます)が、最も効率よく儲かる手段になってしまうからです。リベラルなメディアやプラットフォーム、インフルエンサーでさえ、油断をするとこの「怒りを煽って数字を稼ぐ誘惑」に取り込まれてしまいます。

2. プラットフォームの「治安」は「何で儲かるか」で決まる

僕は、SNSやメディアの治安やカルチャーは、以下の3点でほぼ規定されると考えています。

  1. 何をすれば儲かるか

  2. 何をすれば人気者になれるか

  3. 何をすれば達成感を得られるか

多くのサービスは、経営者や設計者がこの本質を理解しないまま、PVや流通額、アクティブユーザー数(MAU)だけを見てグロースさせようとします。その結果、コミュニティやビジネスがドンドンと歪んでしまうのです。

私たちのサービス(note)が目指すのは、「PVやインプレッションだけでは儲かりにくく、継続率や読了率で儲かりやすい設計」です。

だからこそ

  1. 継続的にネットを良くすれば儲かる

  2. みんなの役立つ知識や経験を共有するほど人気者になる

  3. 読者に感謝されたり、読者が成長するほど達成感を得られる

ような設計を目指すべきだと感がています。

みんながカッとなって拡散するスナック的なコンテンツではなく、じっくりと読まれ、ファンが継続的に応援してくれるコンテンツが報われる世界。それが、私たちが広告導入に慎重である理由です。

3. 「外なる戦い」から「内なる戦い」へ

そのようなサービス設計するためには、クリエイターのエネルギーの向く先を内側へと変える設計が大事です。

  • 外なる戦い(Bad): フォロワー数の競い合い、他人とのケンカ、マウント合戦

  • 内なる戦い(Good): いかに己の文章力を上げるか、積み重ねるか、体験を深めるか、クソデカ感情を昇華するか、探求をさせるか

他者との争いへのコミットではなく、自分との戦いに集中できる場所。その設計こそが、プラットフォームの穏やかな治安を守ると考えています。

逆に言えば、「PVと連動しない、PVを要求しない広告ビジネスモデル」を発明できたなら、私たちは喜んで広告導入の実験をするでしょう。

数字を最重要KPIとしなければ、ユーザーにとって「ウザくない広告」が作れるはずだからです。

4. チームのみんなへ:私たちが追うべき真の指標

新機能を作るとき、あるいは日々の改善において、GMVやPV、MAUを「最上位の指標」にしないでください(GMVを無視しろということではありません。GMVは結果指標としてトラックすべきです)。

私たちが優先順位高く置くべきKPIは、もっと中長期でユーザーとプラットフォームが成長するような根源的な指標です。

  • 読者や著者が、楽しんで継続しているか?

  • 継続している人ほど、収入や人気が得られる仕組みになっているか?

  • あるユーザーの意見が、別のポジティブな意見や記事をたくさん生み出しているか?

こういった項目を定量的なKPIにセットすることで、「売り逃げ」のようなコンテンツも抑止していくことができます。

数字の向こう側にいる「人の感情」や「創作の連鎖」を、私たちは見ていきましょう。


「怒り」は瞬発的な拡散力を持ちますが、私たちのミッション「誰もが創作をはじめ、続けられる場所」には到達しないルートです。


プラットフォームの設計思想は、そのまま社会の空気を作ります。 直接的な数字を追うことよりも、ユーザーの「継続」と「ポジティブな連鎖」を担保する指標を追うことが大事です。

売上や利益は遅行指標(結果)であって、ビジネスの持続可能性を担保するKPIと考えるべきです。直接的に増加させるトラック指標にすべきではありません。

「売りをたてる」という考えではなく、「よい議論が交わされていくことで、拡大再生産される構造、プラットフォーム・ビジネスとはどのようなものか?」という問を立てながら進んでいければと思います。

表層的なハックではなく、できるかぎり根源的な設計や評価指標で、↓のグロースサイクルを回転させていくようにしましょう。

noteのグロースモデル(2017)


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深津 貴之 (fladdict) いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。

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