【第2部】「その語り、うますぎないか?」、違和感はここで形になる
みなさんこんにちは!
行動心理士の僕です。
今日は投稿が遅れてしまったすみません😭
最後まで微調整を重ねていました。。。
というわけで、本編へ続きます!🙇
【第1部】では、妻の語りにある「違和感」を見てきました。
「普通だった」という強調
感情の安定
言葉と身体のズレ
そして、ここで1つの問いが残ります。
「もう一方の語りはどうなのか?」
同じ出来事を語る、もう一人、つまり夫の証言です。
ここから、「語りの構造」や語りの『質』が変わります。
⚠️注意⚠️
ここで紹介する仕草は「必ず嘘をついている証拠」ではなく、本音がにじみ出る可能性があるサインの一例です。
心理学者ポール・エクマンの研究では、怒り・喜び・悲しみ・恐怖・驚き・嫌悪といった基本的な表情は文化を超えて普遍的に認識されるとされています。
つまり、「表情や仕草は人類共通の手がかり」です。
象徴的にいえば、「真実はすべての人の顔に刻まれている」とも表現できます。
ただし目的は「相手を疑うこと」ではなく、相手を理解し、よりよいコミュニケーションにつなげる“おもてなし”であり、真心が大事であることを忘れてはいけません。
1.夫はどう語ったのか
まず重要なのは、『何が起きたか』ではなく『どう語られたか』です。
夫の証言の流れはこうです。
崖の近くでのやり取り
妻が近づく
接触が起きる
「押された感じがした」
気づいたら距離がある
この語りには特徴があります。
非常に『整理されている』話であるということです。
時系列が綺麗
説明が滑らか
聞き手が理解しやすい
ここで人はこう感じます。
「こっちの方が自然では?」
ですが、ここに落とし穴があります。
『理解しやすさ』は、必ずしも『体験のリアルさ」ではないということです。
2.整いすぎた語りの違和感
ここから深く見ていきます。
違和感①:「感じた」という表現
「I felt a shove」
この一言は非常に重要です。
本来、強い物理的接触は
「押された」
「突き飛ばされた」
と、動作として語られることが多いです。
しかし今回は、感覚(felt)として語られている。
これは何を意味するのか。
おそらくですが、出来事の『確定』を避けている可能性が考えられます。
違和感②:具体性の『抜け落ち』
語り全体を見ると、
方向
力の強さ
身体の動き
といった身体的なディテールが薄いです。
これはなぜかというと、僕は体験を辿っていない可能性があると考えました。
違和感③:語りの『滑らかさ』
ここが一番重要です。
人が体験を語るとき、
思い出しながら話す
時系列が前後する
感情で詰まる
つまり、一度話が『崩れる』のが普通なのです。
しかし今回は、崩れない。
むしろ、最初から最後まで完成している話だと言えるでしょう。
まるで、一種の脚本のように。
妻との対比(構造)
ここでようやく見えてきます。
妻
曖昧
ズレがある
身体寄り
夫
明確
滑らか
言語寄り
どちらも完全ではありません。
でも違うのは、『どのレイヤーで語っているか』です。
3.脳科学から見る『語りのズレ』
ここで一気に深掘りします。
記憶には2つのモードがある
① エピソード記憶(体験の再生)
海馬
扁桃体
感覚野
その場を『再現する』機能を司るところです。
特徴:
感覚が具体的
身体が動く
詰まりがある
というものがあります。
② 意味記憶・再構成(説明)
前頭前野
情報を『整える』際に使う場所です。
特徴:
話が滑らか
論理的
一貫している
今回のポイント
夫の語りは、②に強く寄っています。
つまり、体験の再生ではなく意味の構築になっている可能性が考えられるでしょう。
嘘・構築時の脳の特徴
研究では、嘘や再構成時に
前頭前野の活動増加
認知負荷の上昇
が確認されています。
これは何を生むかというと、『言葉は整うが、身体が遅れる』ということです。
行動としてどう出るか
ジェスチャーが減る
呼吸が浅くなる
リズムが乱れる
つまり、脳・言語・身体の同期が崩れるという話です。
【第1部】との接続
妻:軽いズレ
夫:構造的なズレ
といった、ここの部分で違和感が『形』になります。
【第2部】まとめ
① 語りが整理されすぎている
② 「感じた」で確定を避ける
③ 身体ディテールが弱い
④ 構築モードの語り
⑤ 脳と身体のズレが拡大
ここで重要なのは、まだ結論ではないということ。
なぜなら、この話は『対比』で完成するからです。
次回予告(第3部)
ここまでで、ピースは揃いました。
【第3部】では、すべてを重ねます。
妻の語り
夫の語り
言語
身体
そして見えてくるのは、違和感の正体であり、真実です。
それは、「体験を語る人」と「説明を作る人」。
みなさんが最初に感じた「なんか違う」、それを、言語化します。
出典
Paul Ekman (2003)『Emotions Revealed』
Paul Ekman & Wallace V. Friesen (1978)『Facial Action Coding System (FACS)』
Joe Navarro (2008)『What Every BODY Is Saying』
Desmond Morris (1977)『Manwatching』
Bessel van der Kolk (2014)『The Body Keeps the Score』
Endel Tulving (1972)『Episodic and semantic memory』
Elizabeth Loftus & John C. Palmer (1974)『Reconstruction of automobile destruction: An example of the interaction between language and memory
Daniel Langleben et al. (2002)『Brain activity during simulated deception: An event-related fMRI study』
Joshua D. Greene et al. (2001)『An fMRI investigation of emotional engagement in moral judgment』
Antoine Bechara et al. (1997)『Deciding advantageously before knowing the advantageous strategy』
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