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【第2部】人はなぜ、質問ではなく『別の話』を始めるのでしょうか?

みなさんこんにちは!
行動心理士の僕です。

【第1部】では、Matthew Paulの面談から見えてきた、いくつかの違和感について整理しました。

  • 質問される前に防御する

  • 自分の説明が多い

  • 被害者より自分を語る

  • 理由を深く聞こうとしない

そして最後に、ある疑問を残しました。

なぜMatthewは、質問に正面から答えないのでしょうか?

実はここから、さらに興味深い現象が始まります。

捜査員は、Stephanieについて質問します。

  • 最後に会ったのはいつか

  • 何が起きたのか

  • どこへ行ったのか

しかしMatthewの話は、少しずつ別方向へ向かい始めます。

  • 家族の話

  • 娘の話

  • 誘拐の話

  • 別の人物の話

そして気づけば、最初の質問が消えているのです。

今回は、

  • なぜ人は質問ではなく別の話を始めるのか

  • なぜ話題が横へ逸れていくのか

  • なぜ「事実」より「物語」が優先されるのか

について整理していきます。

⚠️注意⚠️

ここで紹介する仕草は「必ず嘘をついている証拠」ではなく、本音がにじみ出る可能性があるサインの一例です。

心理学者ポール・エクマンの研究では、怒り・喜び・悲しみ・恐怖・驚き・嫌悪といった基本的な表情は文化を超えて普遍的に認識されるとされています。つまり、「表情や仕草は人類共通の手がかり」なのです。

象徴的にいえば、「真実はすべての人の顔に刻まれている」とも表現できます。

ただし目的は「相手を疑うこと」ではなく、相手を理解し、よりよいコミュニケーションにつなげる“おもてなし”であることを忘れないでください。

真心が大事であることも忘れないでください。

1. 質問に答えているようで答えていない

【第1部】では、Matthewが理由を深く聞こうとしないことに違和感がありました。

そして今回、さらに大きな違和感が現れます。

捜査員は、非常にシンプルな質問をします。

最後にStephanieを見たのはいつですか?

ところがMatthewは、質問に対して一直線に答えません。

  • 話が広がる

  • 別の説明が始まる

  • 別の人物が登場する

そして、気づけば質問から離れているのです。

行動分析では、質問と回答の距離を見ることがあります。

質問に対して、

  • どれだけ直接答えているか

  • どれだけ遠回りしているか

今回見えてくるのは、答えが増えるのではなく、説明が増えている構造です。

ここが【第1部】から続く大きな違和感です。

2. 情報は増えるのに答えが見えない

ここで面白い現象が起きます。

  • 情報量は増えていく

  • 話は長くなる

  • 人物も増える

  • エピソードも増える

しかし、最初の質問の答えは見えてこない。

人は情報量が増えると、「説明されている」ように感じます。

しかし、情報量と回答は別です。

例えば、「最後に会ったのはいつですか?」という質問に対して、10分話したとしても、最後に会った日時が出てこなければ、質問には答えていないことになります。

ここが今回非常に興味深いポイントです。

3. なぜ話題が飛ぶのか

もちろん、話題が飛んだからといって、何かを断定することはできません。

ただ、心理的負荷が高いテーマでは、周辺情報へ移動することがあります。

  • 中心ではなく外側を語る

  • 本題ではなく背景を語る

  • 質問ではなく説明を語る

こうした現象が起きることがあります。

今回のMatthewも、Stephanieについて聞かれているのに、Stephanie以外を語る場面が増えていきます。

なぜなら、【第1部】で見えた「被害者より自分を語る」という違和感が、さらに強くなっているからです。

4. 「事実」より「物語」

ここまで整理すると、ある構造が見えてきます。

【第1部】では、Matthewは自分を説明していました。

【第2部】では、Matthewは質問から離れ始めます。

つまり、事実よりも、自分にとって語りやすい流れが優先されているように見えるのが、かなり重要です。

心理学者 Leon Festingerは、認知的不協和理論の中で、人は心理的な不快感を減らそうとする傾向があることを説明しています。

もちろん、今回のケースにその理論を直接当てはめることはできません。

しかし、人が心理的負荷を感じると、出来事そのものより、自分にとって意味のある説明を優先することがあります。

ここが、今回の語りにも見えているように感じます。

5. 語りの中心から被害者が消える

ここで、【第1部】から続いている違和感が再び現れます。

Stephanieについて聞かれている。

しかし語られるのは、

  • Matthew自身

  • 家族

  • 周辺人物

そして、肝心のStephanieが、会話の中心から少しずつ消えていくことが重要です。

僕はここに、今回最大の違和感があるように感じます。

なぜなら、行方不明者について話しているはずなのに、行方不明者が会話の中心に存在しないからです。

この違和感は、【第3部】でさらに大きくなります。

6. 第3部への繋がり

【第1部】では、被害者より自分を語る違和感がありました。

【第2部】では、質問より別の話を語る違和感がありました。

そして【第3部】では、さらに大きな違和感が現れます。

  • 財布

  • 携帯電話

  • iPad

  • メモ

様々な証拠が出てくる。

しかし、Matthewの感情は、Stephanieへ向かいません。

なぜでしょうか?

【第3部】では、「彼が最後まで語らなかったもの」というテーマから、この事件を整理していきます。

そして、なぜ人は自分の物語を守ろうとするのか、なぜ被害者が会話から消えていくのか。

  • 認知的不協和

  • 自己保存バイアス

  • ワーキングメモリ負荷

  • 前頭前野の制御

こうした視点から、これまでのすべて繋がっていきます。

出典

  • Paul Ekman『Emotions Revealed』

  • Joe Navarro『What Every BODY Is Saying』

  • Daniel Kahneman『Thinking, Fast and Slow』

  • Leon Festinger『A Theory of Cognitive Dissonance』

  • Nalini Ambady & Robert Rosenthal『Thin Slices of Expressive Behavior as Predictors of Interpersonal Consequences』

最後に

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