【第1部】なぜ人は、『細部』だけ異様に詳しくなるのでしょうか?
みなさんこんばんは!
行動心理士の僕です。
今回は、海外で大きな話題になった事件について取り上げます。
Joseph Ferlazzo は、2021年、結婚1周年旅行中に妻 Emily Jean を殺害したとして、第一級殺人で有罪判決を受けました。
本人は法廷で、
妻が銃を取ろうとした
自分は正当防衛だった
と主張しています。
ただ、今回かなり興味深かったのは、「何を詳しく語るのか」です。
人は本当に体験したことを語る時、感情が強い場所ほど、記憶が自然に立ち上がることがあります。
しかし逆に、「作られた物語」では、詳細が不自然に偏ることがあります。
そして今回、僕がかなり違和感を持ったのが、「キャンドル」です。
今回は、
なぜ「細部だけ」が異様に具体的になるのか
なぜ突然、語りが崩れ始めるのか
なぜ人は「説明できる場所」だけを詳しく語るのか
ここを、行動心理学と脳科学の視点から整理していきます。
⚠️注意⚠️
ここで紹介する仕草や表情は、「必ず嘘をついている証拠」ではありません。
単一の仕草だけで真偽を断定することはできません。
重要なのは、
「変化」
「流れ」
「ベースラインとの差」
を見ることです。
心理学者ポール・エクマンの研究でも、感情表出は文脈や認知負荷の影響を強く受けるとされています。
そして目的は、相手を理解すること。
真心が大事であることを忘れないでください。
1. ベースライン
まず今回かなり重要なのが、「最初は普通に話せている」という点です。
例えば彼は、
RVの駐車
地面が平らだった話
建物の説明
などについては、非常にスムーズです。
しかも特徴的なのが、「身体で説明している」ことです。
例えば、
物が滑る
という話では、実際に手を使って再現しています。
ここがかなり重要です。
なぜなら、本当にイメージできている時に人は自然に、
ジェスチャー
空間再現
身体ナレーション
が増えることがあるからです。
つまりこの段階では、「普通に話せている」ように見えます。
ここが後半への、かなり大きな繋がりになります。
2. 『普通の会話』は自然だった
彼は序盤、
アイコンタクト
呼吸
ジェスチャー
これらが比較的自然です。
もちろん、裁判なので緊張はしています。
しかし、
「質問」
↓
「回答」
の流れ自体は、かなりスムーズでした。
ここで重要なのは、「全部が不自然」ではないことです。
むしろ、「自然な部分」があるからこそ、後半の変化が際立つのです。
ここがかなり重要です。
3. キャンドルだけ異様に詳しい
ここから空気が変わります。
彼はキャンドルについて、
大きさ
高さ
直径
配置
をかなり詳細に説明します。
例えば、
7〜8インチくらい
直径4インチくらい
などです。
ここで重要なのは、「物体描写」だけ異様に強いこと。
しかもこの時、手のジェスチャーも戻っています。
つまり脳内で、「映像化しやすい場所」では、急に流暢になる人なのです。
認知心理学では、人はイメージ可能な情報ほど、説明しやすいことが知られています。
つまり、「キャンドルの形」は説明できるが問題は、その後です。
4. 暴力描写だけ急に曖昧になる
キャンドルの説明は、かなり具体的でした。
しかし、
殴られた
という証言になると、急に変わります。
例えば、
「neck and head(首とか頭)」
「in my arms(腕のあたり)」
「like wrestled(みたいな感じで奪った)」
など、急激に曖昧になります。
ここでかなり重要なのが、「身体ナレーションが消えている」ことです。
序盤では、RVの説明を身体で再現できていました。
しかし、「暴行」になると、ジェスチャーが激減します。
かなり興味深いポイントです。
なぜなら、本当に経験した身体記憶では、
どこを殴られた
どう避けた
どうぶつかった
など、身体感覚が自然に出やすいことがあるからです。
もちろん、例外はあります。
ただ今回重要なのは、「急激な変化」です。
つまり、「説明できる場所」と「説明できない場所」が分かれているように見えます。
5. passive voice の違和感
今回もう一つ重要なのが、
「there was an argument(口論があった)」
という表現です。
なぜなら、「誰が始めたのか」が消えているからです。
これは、passive voice(受動構文)と呼ばれる形です。
もちろん、受動表現を使ったからといって、即座に嘘とは言えません。
ただ、認知負荷が高い時、「主体」を曖昧化することがあります。
つまり、
「私は〜した」
ではなく、
「そういうことが起きた」
という構造に変わっているということです。。
6. まとめ
ここまで整理すると、かなり興味深い構造が見えてきます。
自然な場所
RV
駐車
キャンドル
物体説明
については、
具体的
ジェスチャーあり
流暢
急に崩れる場所
暴力
感情
口論
「その後」
については、
曖昧
沈黙
「like」増加
視線停止
つまり今回見えてくるのは、「全部が不自然」ではありません。
むしろ、「一部だけ異様に自然」なんです。
そして次回、ここからさらに崩れ始めます。
長すぎる沈黙
「I just need a moment」
muttering(ボソボソ話していた)
approval seeking(確認視線)
つまり、「被害者物語」そのものが、少しずつ不安定になり始める。
ここが、【第2部】のテーマです。
出典
Paul Ekman「Emotions Revealed」
Joe Navarro「What Every BODY Is Saying」
Albert Mehrabian「Silent Messages」
Daniel Kahneman「Thinking, Fast and Slow」
Leon Festinger「A Theory of Cognitive Dissonance」
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