【第1部】嘘をついているのはどんな人か、行動心理学から考える「違和感」の正体
みなさんこんばんは!
行動心理士の僕です。
皆さんは、人を見て
何となく怪しい。
何か隠していそう。
そう感じた経験はありませんか。
私たちは日常の中で、相手の表情や話し方、仕草から無意識に相手を判断しています。
しかし、その第一印象は本当に正しいのでしょうか。
今回は、一つの実際の映像を題材にしながら、
「人はどのような時に相手を怪しいと感じるのか」
そして、
「緊張している人は、本当に嘘をついているのか」
について考えてみたいと思います。
今回の事件概要
今回取り上げるのは、アメリカで公開された警察のボディカメラ映像です。
学校への襲撃予告に関する情報を受け、警察官が13歳の少年の自宅を訪れ、父親立ち会いのもとで事情を確認します。
警察官は、
学校を撃つと言ったのか。
Discordを利用していたのか。
などについて質問します。
その間、少年は身体を左右に揺らしたり、視線をあまり合わせなかったり、ポケットに手を入れたり、質問を繰り返したりする様子が見られました。
この映像だけを見ると、
何か隠しているのではないか。
そう感じる人も少なくないと思います。
しかし、僕が最初に考えたことは違いました。
もし自分が13歳で、突然警察官から事情を聞かれたら、同じように緊張しないだろうかと。
※今の年齢でも、緊張するとは思います。。。
この疑問から、僕は映像を観察し始めました。
⚠️注意⚠️
この記事は、映像から観察できる行動を、心理学や脳科学の知見と照らし合わせながら考察したものです。
一つの仕草だけで相手の心理や真実を断定することはできません。
重要なのは、
行動の流れ
その場の状況
本人の普段との違い
複数の情報を総合して考えること
です。
目的は、人を疑うことではなく、人を理解することです。
真心を大切にしながら、一緒に考えていきましょう。
1. 緊張すると身体はどう変化するのか
人は突然強いストレスを感じると、自律神経の働きによって身体にさまざまな変化が現れます。
心拍数が上がる
呼吸が浅くなる
筋肉が緊張する
身体を落ち着きなく動かす
こうした反応は、危険を察知したときに身体を守ろうとする「闘争・逃走反応(Fight or Flight Response)」として広く知られています。
つまり、緊張して身体が動くこと自体は、人間にとってごく自然な反応なのです。
2. 「怪しく見える仕草」は本当に怪しいのか
映像の中で少年は、
身体を左右に揺らし
視線をあまり合わせず
ポケットに手を入れ
質問を繰り返す
場面がありました。
SNS上などでは、
目をそらしたから嘘。
落ち着きがないから怪しい。
といった解説を見かけることがあります。
ですが、それはあり得ません。
なぜなら、この少年が置かれている状況そのものが、非常に強いストレス環境だからです。
13歳という年齢で、突然警察官から重大な疑いについて質問を受ける。
その状況で身体が強く反応することは、十分に考えられます。
だから僕は、これらの仕草を「嘘のサイン」としてではなく、「強い緊張状態を示している可能性がある行動」として観察しました。
3. ストレスは身体に現れる
ストレスを感じると、人は無意識のうちに自分を落ち着かせようとします。
身体を揺らす
服を触る
ポケットに手を入れる
指先を動かす
女性に多いのは、髪を触る・アクセサリーに触れるなど
こうした行動は、心理学では自己鎮静行動(Self-Soothing Behavior)やアダプター(Adaptor)として説明され、日本語だとなだめ行動とも言います。
つまり、身体は「落ち着こう」として反応しているのです。
ここで大切なのは、ストレスによる反応と、嘘をついていることは同じ意味ではないということです。
緊張しているからといって、その人が嘘をついているとは限りません。
4. 僕が最初に注目したこと
僕は、この映像を見始めた時、一つひとつの仕草よりも、
この少年は今、どれほど強いストレスを感じているのだろう。
ということを考えていました。
警察官が目の前にいる
父親も隣にいる
学校襲撃という重大な疑いについて質問されている
そうした状況を考えると、身体が思うように動かなくなったり、落ち着きを失ったりすることは、不思議ではありません。
だから僕にとって、この場面は「怪しい」というより、
極度に緊張している少年
という印象から観察が始まりました。
5. 違和感は結論ではない
僕は、心理学を学ぶ中で一つ大切にしていることがあります。
それは、違和感は、結論ではなく観察の入り口であるという考え方です。
違和感を覚えたからといって、すぐに
嘘だ。
隠している。
と決めつけることはできません。
むしろ、
なぜ今、この反応が起きたのだろう。
と問いを立てることが重要です。
今回の映像でも、この段階では、僕は「緊張している」という事実以上のことは言えませんでした。
しかし、映像を最後まで見ていくと、ある特定の話題になった瞬間だけ、少年の反応が少し変化する場面がありました。
その変化は偶然なのか。
それとも意味のある変化なのか。
次回は、その「変化」に注目しながら、僕がどのような視点で映像を観察したのかを、一緒に考えていきたいと思います。
出典
LeDoux, J. (1996)『The Emotional Brain』
Sapolsky, R. M. (2004)『Why Zebras Don't Get Ulcers』
Ekman, P. (2003)『Emotions Revealed』
Vrij, A. (2008)『Detecting Lies and Deceit: Pitfalls and Opportunities』
Knapp, M. L., Hall, J. A., & Horgan, T. G. (2014)『Nonverbal Communication in Human Interaction』
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