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心配ごとの九割は、後部座席で起こらない 第2話 ペーパードライバー(連載AIマンガ・一部手描き・実話)



面接の続きは、駐車場での運転チェックだった。トヨタのコンフォート。冷えた車内はタバコの匂いがして、思わず息を止める。フェンダーミラーに映る自分の顔は、我ながら情けない面だ。もう少し気合いの入った顔にならんのかね。
「コラムシフトなんですね」と後部座席の藤森さん。関取男の運転は見事だった。急なスロープをかなりのスピードで降りても、ハンドルは動かない。「かつんと切ってやれば、もう動かさなくてもいいんです」——ドヘタなドライバーはコーナーの中でハンドルを細かく動かす。乗り物に弱い人はたちまち酔って吐く。プロの技を、俺は助手席で盗み見た。
藤森さん、宇佐美の順で運転。久しぶりのセダンだが、運転は得意だ。合格点をもらった。そして最後——スーパーペーパードライバーの橋本君。4年間で1度しか四輪に乗っていない男が、運転席に回る。
「ぶつけてもいいから、思い切っていきなさい」 「は、はい」
シートをつかむ俺の両手にも汗がにじむ。怖いからぶつけないでね……。
「おい、おい! サイドブレーキを解除してから出発だよ!」 「あのう……、サイドブレーキってどれですか?」
俺と藤森さんは思いっきりずっこけた。橋本君がレバーを操作すると、キュキュっと耳障りな音。「それはワイパー!」。突然、駐車場がぱっと明るくなる。ハイビームだ。「あのなあ……」。室内ミラーの橋本君は途方に暮れた顔をしている。
ようやく発進。ところが橋本君の体が、微妙に助手席の関取男の方へ傾いていく。後ろから見ると、ただならぬ雰囲気だ。
「橋本君、なぜそんなに身体を傾けているの?」 「あ、そうか! バイクの癖で」 「あー。ハングオンね」と俺。 「ジュディーオング?」と藤森さん。
全員大爆笑。このおかげでリラックスした橋本君は、見事にスロープをクリアした。

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