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【Ai x 入力設計 24】田中君、会社のAI導入を考える




登場人物

田中君

AIを使いながら奮闘中の若手社員。
分からないことはAIと壁打ちしながら考えるタイプ。今回、なぜか会社のAI導入シミュレーションに巻き込まれる。😨

林さん

現場経験豊富な田中君の先輩。
冷静で面倒見がよく、田中君へのツッコミ役。**「実際の現場ではどうなのか?」**という視点を忘れない。

まゆみさん

利用者側の感覚を大切にする、優しくしっかり者の女性社員。
AIに慣れた人には見えにくい、初心者や普通の社員が感じる疑問を拾ってくれる。

佐藤さん

仕事も改善もよく分かっている経験豊富な先輩社員。
AIを使う前に、**「そもそも、その仕事は何のためにやっているのか?」**から考えるタイプ。



左から田中君、白木技術部長、黒田部長、保科部長

白木部長

技術・現場をよく知る技術部長。
設備や現場の事情を踏まえ、机上の理屈だけでは進められない部分を見ている。

黒田部長

営業部長。
田中君をからかうのが好きな、ちょっと悪だくみ顔の人。😏
一方で、顧客との関係や人に蓄積された経験の価値をよく理解している。

保科部長

品質を担当する部長。
穏やかな雰囲気だが、品質については妥協しない。
AIを使っても、**「最後に誰が確認するのか」**を重視する。


社長

今回の騒動の発端を作った人。
AIで単純に人を減らすのではなく、AIで社員の時間を作り、会社全体を強くする方法を考えている。



田中君、会社のAI導入を考える

「AIを入れる」より先に、人と仕事の流れを考えてみた

なんで社長までいるんですか……😨

「田中君。ちょっといいか?」

黒田部長に呼ばれた田中君は、

いつものように、

「はい!」

と返事をした。

ここまではよかった。

問題は、そのあとだった。

案内された部屋の扉を開ける。

ガチャ。

「失礼しま――」

田中君の動きが止まった。

黒田部長。

白木部長。

保科部長。

そして。

社長。

「…………」

田中君は、そっと扉を閉めようとした。

黒田部長が言った。

「おい」

「はい」

「なんで帰ろうとした?」

「いや……」

田中君はもう一度、部屋の中を見る。

「部長が三人いるだけでも嫌なのに……」

嫌なのかよ

「社長までいるじゃないですか!」

社長が笑った。

「そんなに緊張しなくてもいい」

「無理ですよ!」

思わず即答した。

白木部長が腕を組んだまま言う。

「お前、最近ずいぶん社内では好き勝手やってるだろ」

「好き勝手じゃないですよ!」

保科部長が、くすくす笑っている。

「まあまあ。座ったらどうです?」

「はい……」

田中君は、ものすごく居心地の悪そうな顔で椅子に座った。

黒田部長を見る。

😏

楽しそうだ。

白木部長を見る。

真顔。

保科部長を見る。

😊

楽しそうだ。

最後に社長を見る。

「そんな顔をするな」

「どんな顔ですか?」

「帰りたい顔だな」

「よく分かりましたね……」

部屋に小さな笑いが起きた。

だが。

社長は、机の上に置かれていた資料へ目を落とした。

そして、少しだけ表情を変えた。

「田中君」

「はい」

「最近、AIを使って仕事をしているそうだな」

「え?」

田中君が黒田部長を見る。

黒田部長は知らん顔をしている。

「……誰から聞いたんですか?」

「いろいろだ」

「怖いな、この会社……」

「聞こえてるぞ」

「すみません!」

また笑いが起こった。

社長は続けた。

「企画書も作ったそうだな」

「はい」

「報告書も?」

「はい」

「実際、どうだ?」

田中君は少し考えた。

「便利ですよ」

「便利?」

「はい」

「資料を探したり」

「文章を整理したり」

「考えてることをまとめてもらったり」

指を折りながら話す。

「僕一人で最初から全部やるより、かなり早くなりました」

社長が頷いた。

「なるほど」

そして。

少し間を置いた。

「だったら聞きたいんだが」

「はい」

社長は田中君を見た。

「うちの会社でAIを使うなら、どこから始める?」

「…………」

田中君の頭が止まった。

(来た)

嫌な予感がする。

こういう質問をされたとき。

黒田部長は大体楽しそうな顔をする。

ちらっ。

😏

(やっぱりだ)

「社長」

「なんだ?」

「それ、僕に聞きます?」

「聞いている」

「もっと詳しい人、いますよね?」

「いるだろうな」

「じゃあ、その人に……」

黒田部長が口を挟んだ。

「逃げるな」

「逃げてませんよ!」

「思いっきり逃げてるだろ」

田中君は頭を抱えた。

「会社のAI導入なんて、僕には分かりませんよ……」

社長は少し笑った。

導入計画を作れと言っているんじゃない

「え?」

実際に使っている側として聞きたいんだ

田中君が顔を上げる。

「田中君なら、どこから試す?」

「僕なら……ですか?」

「ああ」

田中君は少し考えた。

AIで何ができるか。

文章を書く。

画像を作る。

資料をまとめる。

検索する。

分析する。

いろいろできる。

でも。

田中君は、そこで少し引っかかった。

「……僕だったら」

「うん」

「最初に、AIで何ができるかは考えないかもしれません」

部屋が少し静かになった。

白木部長が聞く。

「どういう意味だ?」

田中君は考えながら話した。

「AIって、できることを探し始めると……」

「たぶん、いっぱい出てくるじゃないですか」

黒田部長が頷く。

「まあな」

「文章も作れる」

「資料も作れる」

「データも整理できる」

「画像だって作れる」

「そういうのを全部見てたら……」

田中君は少し困った顔をした。

「何をやればいいのか、逆に分からなくなる気がします」

社長は黙って聞いている。

田中君は続けた。

「だから僕だったら」

少し考えて。

言った。

「AIで何ができるかじゃなくて、今の仕事で何に困ってるかを見ると思います」

社長の表情が少し変わった。

困っているところ?

「はい」



第1章 「AIで何ができる?」から考えない

まず探すのは、AIではなく仕事の困りごと 🤔

田中君は、ようやく少し緊張が取れてきた。

「例えば……」

指を一本立てる。

「ものすごく時間がかかってる仕事」

二本目。

「毎回、同じことを繰り返してる仕事」

三本目。

「必要な資料を探すだけで時間がなくなる仕事」

四本目。

「情報が多すぎて、まとめるのが大変な仕事」

そして。

少し考えてから付け加えた。

「そういうところを先に探します」

白木部長が聞いた。

「なぜだ?」

「だって」

田中君は答えた。

「困ってない仕事をAIで速くしても、あんまり意味ないですよね?」

「…………」

田中君は、一瞬止まった。

「……違います?」

黒田部長が笑った。

「急に不安になるなよ」

「だって、みんな黙るじゃないですか!」

社長も笑った。

「いや。続けてくれ」

「はい……」

田中君は気を取り直した。

「僕が企画書を作ってたときもそうだったんです」

「最初からAIに『企画書を作って』って言っても」

手を横に振る。

「なんか違うんですよ」

黒田部長がニヤッとする。

「ずいぶん苦労したみたいだからな」

「その話はやめてください!」

「何回作り直した?」

「覚えてません!」

保科部長が笑う。

「かなりやりましたねえ」

「もういいじゃないですか……」

田中君は少し肩を落とした。

それから。

もう一度話を戻した。

「でも、やってるうちに分かったんです」

「何がだ?」

「僕が困ってたのって」

「企画書そのものだけじゃなかったんですよ」

白木部長が少し眉を上げる。

「というと?」

田中君は指を折った。

  • 過去の資料を探す

  • 必要な情報を抜き出す

  • 内容を整理する

  • 文章の形にする

  • 出来上がった内容を確認する

「こういうのが全部入ってたんです」

社長が聞く。

一つの仕事に見えていたが、実際にはいくつもの作業が入っていた?

「はい」

田中君は頷いた。

「だから」

「企画書をAIに作らせるって考えるより」

「僕がどこで困ってるのかを分けてみた方が、使いやすかったんです」

佐藤さんなら、おそらくこういうところを細かく見るだろう。

林さんなら、

「それ、本当に困ってるのか?」

と現場で確認するかもしれない。

田中君は、そんなことを考えながら続けた。

「だから会社でも」

「いきなり『AIを導入します!』じゃなくて」

少し身振りをつける。

「まず社員に聞いた方がいいんじゃないですか?」

社長が聞いた。

「何を?」

田中君は答えた。

「今、一番面倒な仕事って何ですか?」

「何に一番時間を取られてますか?」

「毎日やってるけど、本当は減らしたい仕事ってありませんか?」

田中君は三つ並べてから、少し笑った。

「僕だったら、そこから聞きます」

黒田部長が腕を組んだ。

「AIについて聞かないのか?」

「最初は聞かなくてもいいと思います」

「へえ」

「だって」

田中君は言った。

AIを知らない人に、AIで何をしたいですかって聞いても、分からないと思うんですよ。

「なるほどな」

社長が小さく頷いた。

田中君は続ける。

「でも」

「今の仕事で何が面倒ですか?」

「何に時間かかってますか?」

「何を減らしたいですか?」

「だったら」

少し笑う。

「AIを知らなくても答えられるじゃないですか」

部屋が静かになった。

今度の沈黙は。

田中君にも、さっきとは少し違って感じられた。

社長は机の上の資料を見た。

そして。

「つまり」

顔を上げる。

「AIから仕事を探すんじゃない」

田中君が頷く。

「はい」

社長はゆっくりと言った。

「仕事の困りごとから、AIを使える場所を探すわけか」

「僕は、その方が分かりやすいと思います」

田中君が答えた。

黒田部長が少し笑う。

「お前、ちゃんと考えてるじゃないか」

「ちゃんとって何ですか!」

「普段とのギャップだ」

「失礼ですよ!」

白木部長が口を挟む。

「まあ待て」

そして田中君を見る。

「困っている仕事を見つけたとして」

「はい」

「その次はどうする?」

「え?」

田中君が止まった。

また。

三人の部長と社長が。

田中君を見る。

「…………」

(まだ続くんですか?)

田中君は。

再び胃の辺りが痛くなってきた。😨



第2章 いきなり全社導入? それは怖すぎます

困っている仕事が見つかった。その次は? 🤔

「困っている仕事を見つけたとして」

白木部長が田中君を見る。

「はい」

「その次はどうする?」

「え?」

田中君が止まった。

また。

社長。

黒田部長。

白木部長。

保科部長。

四人がこちらを見ている。

「…………」

田中君は少し考えた。

「AIを……使ってみる?」

黒田部長が笑った。

「急に雑になったな」

「だって、次って言われたから!」

「会社のAI導入だぞ」

「僕に聞かないでくださいよ!」

社長が笑う。

だから、田中君ならどうするかを聞いてるんだ

「うーん……」

田中君は腕を組んだ。

困っている仕事を見つける。

そこまでは分かる。

でも。

その仕事を全部AIにやらせる?

「……それは怖いですね」

社長が聞いた。

「何がだ?」

「いきなり全部やらせるのがです」

「全部?」

「はい」

田中君は少し身を乗り出した。

「例えば」

「会社でAIを使うことになりました」

手を広げる。

「じゃあ今日から、みんな使ってください!」

少し間を置く。

「って言われても……」

首を振った。

「僕だったら嫌です」

黒田部長が笑う。

「お前、AI使ってるだろ」

「使ってるから嫌なんですよ!」

「どういうことだ?」

田中君は答えた。

「間違うじゃないですか」

保科部長が少し反応した。

「それはありますねえ」

「ですよね!」

田中君が勢いよく頷く。

「文章でも」

「数字でも」

「こっちが気づかなかったら」

少し考えて。

「普通の顔して、そのまま進んじゃうことあるじゃないですか」

黒田部長が聞く。

「普通の顔?」

「AIに顔はないですけど!」

「じゃあ言うなよ」

「雰囲気ですよ!」

社長が苦笑した。

「まあ、言いたいことは分かる」

田中君は続けた。

「だから」

最初から会社全体に広げるのは、ちょっと怖いと思います。

白木部長が聞いた。

「じゃあ?」

「小さくやります」

「小さく?」

「はい」

田中君は指で小さな四角を作った。

「一つの仕事とか」

「一つの部署とか」

「一人か二人とか」

「とにかく」

「失敗しても、大きな問題にならないところから試します」

社長が少し頷いた。

「なるほど」

白木部長も腕を組む。

「その考え方なら分かる」

田中君は、少し安心した。

(よし)

(今日は今のところ怒られてない)

黒田部長が言う。

「顔に出てるぞ」

「何がですか?」

「安心した顔」

「見ないでくださいよ!」

「目の前にいるんだから無理だろ」

保科部長が、くすくす笑った。😊


「ただ」

白木部長が続けた。

田中君が見る。

「小さく試すとしても、何を選ぶ?」

「何を……」

また質問だ。

田中君は天井を見た。

「もう今日、質問多くないですか?」

社長が言う。

「会議とはそういうものだ」

「僕、会議に呼ばれたつもりなかったんですけど……」

「もう参加してる」

「聞いてないですよ!」

黒田部長が笑う。

「諦めろ」

「嫌ですよ!」

それでも。

田中君は考え始めた。

現場の仕事。

部品を運ぶ。

設備を動かす。

組み立てる。

検査する。

そういう仕事にAIを入れる?

「……現場作業は、最初は難しいかもしれません」

白木部長が聞いた。

「なぜ?」

「だって」

田中君は手を動かした。

「部品を運ぶなら」

「AIだけじゃ運べないですよね?」

「まあな」

「ロボットとか必要になりますよね」

「そうなる」

「設備を動かすなら」

「設備側にも何か入れないと駄目ですよね?」

白木部長が頷いた。

「センサーや制御まで絡む可能性はあるな」

「ですよね」

田中君は少し考えた。

「そうすると」

  • 設備

  • ロボット

  • センサー

  • 安全対策

  • レイアウト変更

「みたいな話になって」

頭を抱える。

「いきなり僕の手に負えません」

黒田部長。

「最初からお前の手には負えてないぞ」

「分かってますよ!」

社長が笑った。

「では、どこなら試しやすい?」

田中君は少し考えて。

自分が最近やっていた仕事を思い出した。

企画書。

報告書。

資料探し。

文章整理。

ファイル。

パソコン。

「あ」

「何だ?」

「パソコンの中です」

白木部長が少し眉を上げた。

「パソコン?」

「はい」

田中君は続けた。

「最初は」

「パソコンの中だけで終わる仕事から試した方がいいと思います」

社長が聞く。

「例えば?」

田中君は指を折った。

「文章を作る」

「資料を探す」

「データを整理する」

「似た内容を分ける」

「情報をまとめる」

「企画書や報告書の下書きを作る」

少し考えて。

「そういう仕事です」

黒田部長が頷く。

「営業なら結構あるな」

「ですよね」

「提案書」

「顧客情報の整理」

「過去案件を探す」

「比較資料を作る」

田中君が言う。

「ほとんどパソコンの中ですよね」

ああ

保科部長も口を開いた。

「品質でもありますよ」

「過去の不具合を探したり」

「報告書をまとめたり」

「同じような事例を探したり」

「そういうのもそうですね」

白木部長も考える。

「技術側でも」

「図面そのものは別として」

「過去の資料検索や、記録の整理なら使えるかもしれんな」

田中君は少し嬉しくなった。

「ほら!」

「何がほらだ」

黒田部長が言う。

「今のところ、お前が何かしたわけじゃないぞ」

「でも方向は合ってるじゃないですか!」

社長が笑った。

「確かに」

田中君が少し胸を張る。

😏

黒田部長が言った。

「その顔やめろ」

「さっきから部長がやってるじゃないですか!」


社長は机の上の資料を見た。

「つまり」

最初の候補は

田中君を見る。

パソコンの中だけで完結している仕事

「はい」

「その中でも」

田中君は続けた。

「さっきの話と合わせるなら」

指を一本立てる。

時間がかかっている。

二本目。

何度も繰り返している。

三本目。

AIを使っても、最後に人が確認できる。

「そういう仕事がいいと思います」

保科部長が頷いた。

最後に人が確認できる、というのは重要ですねえ

田中君が見る。

「やっぱりですか?」

「最初からAIだけで完結させると」

保科部長は少し真面目な顔になった。

間違ったときに、誰も気づかない可能性がありますから

「ですよね……」

田中君は何度か頷いた。

自分にも思い当たることがある。

AIが出した文章。

一見すると。

それらしく見える。

でも。

よく読むと違う。

数字がおかしい。

前提が違う。

話が飛んでいる。

「僕、それ何回もやられました」

黒田部長が笑う。

「お前が確認しなかっただけじゃないのか?」

「痛いところ突かないでくださいよ!」

「事実だろ」

「そうですけど!」

田中君は少しむっとしながらも。

続けた。

「だから」

「最初は、AIが間違っても人間が止められる仕事がいいです」

部屋が少し静かになった。

社長が頷いた。

「それなら」

指先で机を軽く叩く。

「かなり対象を絞れるな」

「はい」

田中君も頷いた。

最初は。

「会社でAIを使う」

という、ものすごく大きな話だった。

でも。

少しずつ分けてみると。

まずは。

困っている仕事を探す。

その中から。

パソコンの中で完結する仕事を選ぶ。

さらに。

小さく試す。

そして。

最後は人が確認できるようにする。

田中君は少し笑った。

「なんか」

「うん?」

「ちょっとだけ、できそうな話になってきましたね」

黒田部長が言う。

「最初は逃げようとしてたのにな」

「その話はもういいでしょう!」

社長も笑った。

しかし。

すぐに、また田中君を見る。

「じゃあ田中君」

「はい」

「その小さな仕事でAIを使ったとして」

「はい」

「どうやって成功したか判断する?」

「…………」

田中君が止まった。

また。

質問だった。

「社長」

「なんだ?」

「今日、僕を帰す気あります?」

部屋に笑いが起きた。

田中君は。

今日何度目か分からないため息をついた。😮‍💨



第3章 早くなっただけで、本当に成功ですか?

AIを使った。速くなった。……それだけ? ⏱️

「じゃあ田中君」

社長が聞いた。

「はい」

「その小さな仕事でAIを使ったとして」

「はい」

「どうやって成功したか判断する?」

「…………」

田中君が止まった。

また。

質問だった。

「社長」

「なんだ?」

「今日、僕を帰す気あります?」

部屋に笑いが起きた。

黒田部長が言う。

「まだ始まったばっかりだぞ」

「僕の中ではもう十分です!」

「座ってろ」

「座ってますよ!」

田中君はため息をついた。😮‍💨

そして。

少し考える。

AIを使った。

仕事が早くなった。

だったら。

「時間……ですか?」

社長が聞く。

「時間?」

「はい」

田中君は指を一本立てた。

「今まで30分かかってた仕事が」

「AIを使ったら10分になった」

「だったら20分短くなったって分かりますよね」

社長が頷く。

「そうだな」

田中君は少し安心した。

「じゃあ、それで――」

「成功か?」

「え?」

田中君が止まる。

「…………」

黒田部長が笑った。

「終わらせようとするな」

「だって時間短くなったじゃないですか!」

社長は笑いながら聞いた。

「その10分で作ったものが、間違っていたら?」

「…………」

田中君の顔が固まった。

保科部長が。

にこっ。

😊

田中君がそちらを見る。

「その笑顔、嫌な予感するんですけど」

気のせいですよ

「絶対違う……」

保科部長は穏やかな声で言った。

「田中君」

「はい」

「30分かけて正しいものを作っていた仕事が」

「AIを使って10分になりました」

「はい」

「でも」

少し間を置く。

「間違いが増えました」

「…………」

「それでも成功ですか?」

田中君は。

ゆっくり首を横に振った。

「駄目ですね」

「ですよねえ」

「それ、完全に駄目です」

黒田部長が言う。

「急に自信満々だな」

「そこは分かりますよ!」

田中君は少し身を乗り出した。

「だって」

早くなったけど、やり直しが増えたら意味ないじゃないですか。

「結局、後で直すんですよ?」

「場合によっては」

「間違ってることに気づかないまま出しちゃうかもしれない」

保科部長が頷いた。

「そこですねえ」

少しだけ表情が変わった。

「品質から見ると」

「速くなったかどうかだけでは判断できません」

田中君が聞く。

「じゃあ、何を見るんです?」

「例えば」

保科部長は指を折った。

  • 作業時間は短くなったか

  • 間違いは増えていないか

  • やり直しは増えていないか

  • 最後の確認に時間がかかりすぎていないか

  • 出来上がったものの品質は落ちていないか

田中君は途中から。

必死に頭の中で覚えようとしていた。

「多いな……」

黒田部長が言う。

「お前、メモ取れよ」

「あ」

田中君が慌ててメモを取る。

「こういうときだけ現場感あるな」

「うるさいですよ!」


社長が聞いた。

田中君は、AIで間違えたことはあるか?

「あります」

即答だった。

「早いな」

「めちゃくちゃあります」

黒田部長が笑う。

「胸張るところじゃないぞ」

「使ってたらありますよ!」

田中君は少し考えた。

「例えば」

「資料をまとめてもらったとき」

「それっぽく書いてあるんですけど」

顔をしかめる。

「よく読むと、ちょっと違うんですよ」

「ちょっと?」

「いや」

「結構違うときもあります」

保科部長が聞く。

「気づかなかったら?」

「そのまま使っちゃうかもしれません」

「そういうことです」

田中君が小さく頷く。

AIは。

間違えたときに。

赤いランプを点けて。

「今、間違えました!」

とは言ってくれない。

むしろ。

普通に続きを作る。

田中君は少し考えてから言った。

「僕が怖いと思うのは」

「間違えることそのものより」

社長が見る。

「うん」

「間違ってても、そのまま作業を続けちゃうことです」

部屋が少し静かになった。

保科部長が頷く。

「そこは大切ですねえ」

白木部長も腕を組んだ。

「機械なら異常信号が出ることもある」

「はい」

「だがAIの場合」

出力されたものを人間が見ないと、異常なのか分からないことがある

田中君が頷いた。

「そうなんですよ」

「しかも文章って」

「なんか、それっぽいんですよね」

黒田部長が言う。

「お前もそれっぽいこと言うようになったな」

「今、真面目な話してるんですよ!」

「悪い悪い」

まったく悪そうではなかった。😏


社長が机を指先で軽く叩いた。

「じゃあ」

「時間だけではない」

「はい」

「間違いも見る」

「はい」

「他には?」

「まだあります?」

「あるだろうな」

「やっぱり帰れない……」

田中君はまた考える。

AIを使って。

早くなった。

間違いも増えていない。

だったら?

「あ」

「何だ?」

「人が確認する時間も見た方がいいですよね」

保科部長が少し笑った。

「いいところに気づきましたねえ」

田中君が少し得意そうな顔をする。

😏

黒田部長。

「その顔やめろ」

「部長に言われたくないです!」

田中君は続けた。

「AIが作るのは10分になったけど」

「確認するのに30分かかったら」

「前より遅いですよね」

社長が頷く。

「その通りだ」

「だから」

田中君はメモを見ながら整理した。

AIを使う前

  • 作業時間

  • ミスの数

  • やり直し

  • 確認時間

AIを使った後

  • 作業時間

  • ミスの数

  • やり直し

  • 確認時間

「これを比べれば」

少し考える。

「本当に良くなったのか、分かりそうです」

白木部長が聞く。

「品質は?」

「あ」

田中君が書き足す。

出来上がったものの品質。

「これもですね」

「そうだな」


社長が少し考えた。

数字にしにくいものはどうする?

「数字にしにくい?」

「例えば」

「AIを使った人が」

ものすごく使いにくいと思っていたら?

「…………」

田中君が止まった。

「それもありますね」

社長は続ける。

「会社から見れば」

「20分短縮した」

「間違いも増えていない」

「数字だけなら成功だ」

「はい」

「でも」

「毎回使う社員が」

『これ、面倒くさい』

と思っていたら?

田中君が苦笑した。

「そのうち使わなくなると思います」

「だろうな」

黒田部長も言う。

「営業でもあるぞ」

「新しいシステムを入れたけど」

「入力項目が増えすぎて」

「みんな嫌がるやつ」

田中君が笑った。

「ありますね」

「笑うな。結構大変なんだぞ」

「すみません」

保科部長も言った。

「使う人の負担も確認した方がよさそうですねえ」

田中君はメモへ書き足した。

実際に使った人がどう感じたか。

そして。

少し考えた。

「じゃあ」

「AIを使った結果を見るときって」

指を折りながら。

  • 時間

  • ミス

  • やり直し

  • 品質

  • 確認時間

  • 使う人の負担

「この辺を見るってことですか?」

社長が頷いた。

「少なくとも、それくらいは必要だろうな」

「結構ありますね……」

「会社で使うならな」

田中君は。

自分のメモを見た。

最初は。

AIを使えば速くなる。

それだけだと思っていた。

でも。

会社で使うとなると。

それだけでは足りない。

速くなったか。

間違いは増えていないか。

人間の確認で止められるか。

実際に使う人が困っていないか。

全部見なければ。

本当に良くなったとは言えない。

田中君は小さく呟いた。

「AIを入れたら終わりじゃないんですね」

社長が聞く。

「何だって?」

「いや」

田中君は顔を上げた。

「AIを入れて」

「速くなりました」

「はい成功」

「じゃないんだなって」

保科部長が笑った。

「むしろ」

「そこからが確認ですよ」

「ですよね……」

田中君は。

メモを見ながら。

少しだけ嫌なことを思い出していた。

企画書。

報告書。

AI妖精ちゃん。

早く出来上がる。

嬉しくなって。

次。

また次。

そして。

間違いを見つけて。

戻る。

直す。

また確認する。

「…………」

黒田部長が聞いた。

「どうした?」

「いや……」

「僕」

「AI使って、結構痛い目見てるなと思って」

「今さらか」

「今さらです」

部屋に小さな笑いが起きた。

そのとき。

社長が田中君を見る。

「もう一つ聞いていいか?」

「…………」

田中君は。

天井を見た。

「もう驚きませんよ」

「そうか」

「はい」

「じゃあ聞く」

社長は言った。

「今の話を」

「田中君一人で会社全体について考えられるか?」

「無理です」

即答だった。

黒田部長が吹き出した。

「早いな!」

田中君は慌てて言った。

「いや!」

「これは本当に無理です!」

「さっきとは違います!」

白木部長が聞く。

「何が違う?」

田中君は。

今度は少し真面目な顔になった。

「僕が分かるのって」

「僕がやってる仕事ぐらいなんですよ」

そして。

少しずつ。

言葉を続けた。

「他の人が何に困ってるのか」

「現場全体で何が大変なのか」

「どこを改善したらいいのか」

「僕一人で決めたら」

少し間を置く。

「絶対、偏ると思います」

今度は。

誰も笑わなかった。

社長が。

静かに田中君を見ていた。



第4章 「僕一人では無理です!」

一人で考えたら、絶対に偏る 😓

「僕一人で決めたら」

田中君は少し間を置いた。

「絶対、偏ると思います」

今度は。

誰も笑わなかった。

社長が、静かに田中君を見る。

「偏る?」

「はい」

田中君は少し考えながら続けた。

「僕が分かるのって」

「結局、僕がやってる仕事なんですよ」

社長が頷く。

「うん」

「企画書とか」

「報告書とか」

「資料を探したり」

「文章をまとめたり」

指を折っていく。

「そういう仕事なら」

「ここ面倒だな、とか」

「ここAIでできそうだな、とか」

「少し分かるんですけど」

田中君は首を振った。

「でも」

「他の部署の人が」

「何に困ってるのかなんて」

「僕、分かりません」

白木部長が聞いた。

「現場は?」

「もっと無理です」

即答だった。

黒田部長が笑う。

「また早いな」

「本当のことですよ!」

田中君は少し身を乗り出した。

「例えば」

「僕が」

『この仕事、AIで楽になりますよ!』

って勝手に決めたとしても。

「実際にその仕事やってる人からしたら」

『いや、そこじゃない』

ってなるかもしれないじゃないですか」

社長が頷いた。

「確かにな」

「それに」

田中君は続ける。

「僕が簡単そうだと思ってても」

「現場では」

「ここ間違えたら大変なんだよ!」

「とか」

「この確認だけは絶対、人じゃないと駄目なんだよ!」

「とか」

「あると思うんです」

保科部長が小さく頷いた。

「品質では、特にありますねえ」

「ですよね」

田中君が続ける。

「だから」

「僕一人で」

『会社ではこれをAIにしましょう』

って決めるのは」

少し顔をしかめた。

「怖いです」


社長が聞いた。

「じゃあ、どうする?」

「え?」

田中君が止まる。

「一人では偏る」

「はい」

「なら」

社長は少しだけ笑った。

「どうすれば偏らない?」

「…………」

また考えさせられている。

田中君は黒田部長を見る。

😏

「その顔、ほんと嫌なんですけど」

「俺は何も言ってないぞ」

「言ってないから嫌なんですよ!」

白木部長が言う。

「考えろ」

「はい……」

田中君は腕を組んだ。

一人では無理。

だったら。

何人かで考える。

でも。

誰と?

田中君の頭の中に。

一人目の顔が浮かんだ。

「……林さん」

社長が聞く。

「誰だ?」

「現場の先輩です」

「どういう人だ?」

田中君は少し考えた。

「現場のことなら」

「僕よりずっと分かってます」

「作業してる人が」

「どこで困ってるとか」

「どこが危ないとか」

「そういうのも見てますし」

少し笑う。

「僕が変なこと言ったら」

「それ違うぞって、普通に言ってくれるんで」

黒田部長。

「それは大事だな」

「たぶん、めちゃくちゃ言われますけどね……」


そして。

もう一人。

田中君の頭に浮かんだ。

「佐藤さん」

白木部長が聞く。

「佐藤?」

「はい」

「改善とか」

「仕事の流れを見るのが得意な人です」

「僕だったら」

「ここAIでできそう!」

ってすぐ飛びついちゃうんですけど」

黒田部長が言う。

「飛びつきそうだな」

「だから!」

「まだ何も言ってないだろ」

「顔で言ってますよ!」

田中君は気を取り直した。

「佐藤さんなら」

「その前に」

『そもそも何でその仕事してるんだ?』

とか」

『その作業、本当に必要なのか?』

とか」

「たぶん聞くんですよ」

白木部長が少し頷いた。

「AIを入れる前に、仕事そのものを見るわけか」

「はい」

田中君も頷く。

「そこは僕だけだと」

「多分、抜けます」


そして。

もう一人。

田中君は少し考えた。

「……まゆみさん」

黒田部長の眉が上がる。

「誰だ?」

「あ」

田中君が一瞬止まる。

「林さんの……」

「林の?」

「いや」

「そこはどうでもいいです!」

黒田部長がニヤッとした。

😏

「何で急に焦る?」

「話がずれるからですよ!」

社長が笑う。

「それで、その人は?」

「AIを使う側として」

「聞いてみたいんです」

「どういう意味だ?」

田中君は少し考えた。

「僕って」

「もうAIを使うのに慣れちゃってるんですよ」

社長が頷く。

「なるほど」

「だから」

「これくらい普通に聞けばいいじゃん」

「とか」

「ここ直してって言えばいいじゃん」

って思っちゃうんですけど」

田中君は首を振った。

「使い慣れてない人からしたら」

その『普通』が普通じゃないかもしれない。

「まゆみさんなら」

「そこを言ってくれると思います」

保科部長が少し笑った。

「使う人の目線ですねえ」

「はい」

「僕たちが」

『簡単ですよ』

って言っても」

「本当に簡単なのか」

「実際に触る人がどう感じるのか」

「見た方がいいと思います」



社長は少し黙った。

田中君も。

自分で話しながら。

少しずつ頭が整理されてきた。

林さん。

現場を見る。

佐藤さん。

仕事の流れと改善を見る。

まゆみさん。

実際に使う人の感覚を見る。

そして。

田中君。

「……僕は」

黒田部長が聞く。

「お前は?」

「AIを使って」

「失敗した話をします」

「そこかよ!」

黒田部長が吹き出した。

「いや、大事ですよ!」

田中君は必死だった。

「僕、結構やらかしてますから!」

「自慢するな」

「自慢じゃないですよ!」

保科部長が笑う。

「でも、実際に使った経験がある人がいるのは大きいですよ」

「ほら!」

「すぐ調子に乗るな」

「もう!」

部屋にまた笑いが戻った。😂


社長が田中君を見る。

「つまり」

「はい」

「一緒に考えてほしい人がいる?」

田中君は頷いた。

「何人か」

「協力してもらいたいです」

社長は少しだけ考えた。

「ああ」

「え?」

「いいぞ」

「…………」

田中君が止まった。

「いいんですか?」

「なぜ駄目なんだ?」

「いや」

「社長から言われた仕事に」

「勝手に人を巻き込んでいいのかなって……」

社長は笑った。

「勝手じゃない」

「これは田中君一人の試験じゃないんだ」

その言葉で。

田中君の表情が少し変わった。

社長は続ける。

「会社がAIを使うなら」

「実際に使う人間が」

「どう考えるのかを知りたい」

「はい」

「一人で考えて偏ると思ったなら」

「それは正しい」

田中君は少し驚いた。

怒られると思っていた。

「できません」

と言ったら。

もっと勉強しろ。

自分で考えろ。

そう言われるかと思っていた。

でも。

社長が見ていたのは。

田中君が一人で答えを出せるかどうかではなかった。

「一人では足りないと分かったなら、人を集めればいい」

田中君は。

少しだけ肩の力を抜いた。

「分かりました」

「じゃあ」

「林さんと」

「佐藤さんと」

「まゆみさんに」

「相談してみます」

社長が頷く。

「ああ」

「必要なら、こちらから各部署にも話を通す」

田中君が目を見開いた。

「本当にですか?」

「会社の仕事だからな」

「…………」

田中君は。

少し考えた。

つまり。

林さんも。

佐藤さんも。

まゆみさんも。

社長命令で。

巻き込まれる。

「……怒られそう」

黒田部長が吹き出した。

「お前が頼むんだろ」

「だからですよ!」

白木部長も少し笑う。

「ちゃんと説明しろ」

「はい……」

田中君はメモ帳を閉じた。

とりあえず。

今日の話は。

終わりそうだ。

たぶん。

きっと。

そう思って。

田中君は立ち上がった。

「では」

深々と頭を下げる。

「失礼します」

社長が頷く。

「ああ」

「よろしく頼む」

「はい!」

また。

声が少し大きくなった。

黒田部長が笑う。

「最後まで緊張してるな」

「当たり前ですよ!」

田中君は。

扉へ向かう。

ガチャ。

廊下へ出る。

扉を閉める。

カチャ。

数秒後。

「…………」

田中君は。

その場で胸のあたりを押さえた。

「胃が痛い……」

社長。

部長三人。

会社のAI導入。

そして今度は。

林さん。

佐藤さん。

まゆみさん。

「なんでこうなったんだ……」

田中君は。

とぼとぼと廊下を歩き始めた。😨

でも。

その背中には。

さっきまでなかったものが。

一つだけ増えていた。

一人で答えを出さなくていい。

そのことだけは。

少し分かった気がしていた。

一方。

田中君が出ていった。

社長室では――。

黒田部長が。

閉まった扉を見ながら。

少しだけ口元を上げた。

😏

白木部長が横を見る。

「お前」

「何だ?」

「また悪い顔してるぞ」

「俺は何もしてない」

保科部長が。

くすくす笑う。

社長だけが。

まだ事情を知らなかった。

「何の話だ?」

三人の部長が。

今度は社長を見る。

ここから。

田中君の知らないところで。

もう一つの話し合いが始まろうとしていた。



第5章 田中君が帰ったあと――経営側の本音

さっきまでの笑いが、少しだけ消えた

カチャ。

田中君が出ていった扉を。

四人は、しばらく見ていた。

最初に口を開いたのは。

黒田部長だった。

「相当、緊張してましたね」

社長が笑う。

「そりゃそうだろう」

白木部長が腕を組んだ。

「現場の社員を社長室に呼んで」

「部長を三人並べて」

「会社のAI導入について意見を言え、ですからね」

保科部長も笑う。

「よく逃げませんでしたねえ」

黒田部長が言う。

「途中で何回か」

「逃げたそうな顔はしてたけどな」

三人が少し笑った。

そのとき。

社長の表情が変わった。

「さて」

空気が。

少しだけ変わる。

黒田部長も。

白木部長も。

保科部長も。

社長を見る。

「田中君の話」

「どう思った?」

最初に答えたのは。

白木部長だった。

「方向は悪くないと思います」

「どの辺がだ?」

「いきなり会社全体へ広げないところです」

社長が頷く。

白木部長は続けた。

「最初は」

  • パソコンの中で完結する

  • 小さく試せる

  • 最後に人が確認できる

「その辺りから始める」

「現実的だと思います」

黒田部長も頷いた。

「営業でも使えるところはありますよ」

「例えば?」

「提案書」

「過去案件の検索」

「顧客情報の整理」

「比較資料」

指を折る。

「人が時間を使ってるけど」

最初から最後まで

人間だけでやる必要がない仕事はあります

保科部長も言う。

「品質も同じですねえ」

「過去の不具合情報を探す」

「報告書をまとめる」

「似た事例を探す」

少し間を置く。

「ただし」

笑顔が少し消えた。

確認工程だけは

最初から外さない方がいいですね

社長が頷く。

「ああ」

保科部長は続けた。

AIが便利になるほど

人は確認を省きたくなると思います

黒田部長が少し顔をしかめる。

「ありそうですね」

「早いから」

「そのまま使いたくなる」

「そういうことです」

白木部長も言う。

「なら」

「最初からルールにするしかないですね」

AIが作る。

最後は人が見る。

「最初のうちは」

「それくらい単純な方がいい」

社長は。

机の上の資料を見た。

「……そうだな」

少しだけ。

沈黙があった。

そして。

社長が言った。

「もう一つ」

三人が見る。

「私は」

「今回のAI導入で」

「何を目指すのか」

最初にはっきりさせておきたい

黒田部長が聞いた。

「効率化ですか?」

「それもある」

社長は即答した。

「同じ仕事なら」

「今より短い時間で終わらせたい」

「同じ人数なら」

「今より多くの仕事を処理できるようにしたい」

白木部長が頷く。

「競合も動いてますからね」

「ああ」

社長の表情が。

少し厳しくなる。

「周りがAIを使って」

「仕事の速度を上げてるのに」

「うちだけ」

『今まで通りでいい』

とは思っていない」

誰も反対しなかった。

会社である以上。

競争はある。

利益も必要。

仕事を取らなければ。

会社そのものが続かない。

社長は続けた。

「だから」

「AIは使う」

「そこは迷ってない」

そして。

少し間を置いた。

「ただ」

黒田部長が社長を見る。

社長は。

はっきりと言った。

「AIを入れて、人が余ったから削ればいい」

「私は、そこから考えるつもりはない」

部屋が。

少し静かになった。

白木部長が聞いた。

「人員削減を目的にはしない?」

「ああ」

社長は答えた。

「勘違いしてもらっても困るが」

少し声が低くなる。

働く気のない人間まで

会社がずっと面倒を見るつもりはない

かなり。

ドライな言葉だった。

黒田部長も。

白木部長も。

何も言わない。

保科部長も。

静かに聞いている。

「だがな」

社長は続ける。

「毎日真面目に働いて」

「自分の仕事を覚えて」

「忙しい中でも」

「周りを助けて」

会社を支えてくれている人間

少し間を置いた。

「そういう社員を」

「AIで仕事ができるようになったから」

「それだけの理由で削るのは」

首を横に振る。

「会社にとって、本当に得なのか?」

誰もすぐには答えなかった。

社長は。

机の上の資料に目を落とす。

「人件費だけを見れば」

「一人減れば」

「一人分、数字は下がる」

「短期的にはな」

黒田部長が小さく頷く。

「そうですね」

「でも」

社長は顔を上げた。

「その人が」

「五年」

「十年」

「二十年」

この会社で覚えてきたものまで

一緒に消える

白木部長の表情が。

少し変わった。

社長が聞く。

「白木」

「はい」

「現場で」

「一人前を一人育てるのに」

「どれくらいかかる?」

白木部長は。

少し考えた。

「仕事によります」

「ただ」

「人数だけ揃えれば」

「同じ状態に戻る」

「という話ではないですね」

「だろうな」

白木部長は続ける。

「設備の癖を知ってる」

「異常が起きる前の」

「いつもと違う音を知ってる」

「この問題なら」

「誰に聞けば早いか知ってる」

「新人が困ってたら」

「言われなくても助けに行く」

少し間を置く。

「そういうのは」

人員表には出ませんから

社長が頷く。

黒田部長も言った。

「営業だって同じですよ」

「顧客名」

「担当者名」

「取引履歴」

「それだけ残しても」

その社員が何年もかけて作った関係まで

全部データで残るわけじゃない

保科部長も。

静かに続けた。

「品質もそうですねえ」

「過去の報告書を」

「全部読めば」

「経験者と同じ判断ができる」

そんな単純なものでもないですから

社長は。

しばらく黙った。

そして。

「そうなんだ」

三人を見る。

「私は」

「そこを軽く見たくない」

「社員は人件費でもある」

「でも同時に、この会社が時間をかけて積み上げた資産でもある」

部屋が。

また静かになった。

社長は続けた。

「だから」

「AIで人を減らすことから考えるんじゃない」

「まず」

「今いる人間が」

「AIを使ったら」

「どれだけ仕事を良くできるのか」

「そこを見たい」

黒田部長が聞いた。

「余った時間はどうします?」

社長が見る。

「何?」

「例えば」

「AIで一時間かかってた仕事が」

「三十分になった」

「三十分空きますよね」

「ああ」

「そこへ」

「すぐ別の仕事を三十分入れるんですか?」

社長は。

少し考えた。

そして。

首を横に振った。

最初は

全部は埋めない

白木部長が。

少し意外そうな顔をした。

「埋めないんですか?」

「ああ」

考える時間にしたい

「何を?」

社長は答えた。

「自分の仕事を」

「もっと楽にできないか」

「もっと良くできないか」

「AIを別のところにも使えないか」

「そういうことを」

本人たちに考えてもらいたい

保科部長が。

少し笑った。

「改善ですねえ」

社長も。

小さく笑った。

「そういうことだ」

黒田部長が腕を組む。

「AIで時間を作る」

「その時間で」

「次の改善を考える」

「うまくいけば」

「また時間ができる」

社長が頷く。

「ああ」

「人を減らして利益を作るんじゃない」

「今いる人間が、もっと力を出せる会社にしたい」

三人の部長は。

黙って聞いていた。

社長は続ける。

「もちろん」

「生産性は上げる」

「利益も出す」

「競争力も上げる」

「会社は慈善事業じゃない」

そこは。

迷っていなかった。

「でも」

「その利益の作り方として」

社員を減らすだけの会社には

したくない

しばらく。

誰も話さなかった。

やがて。

黒田部長が。

少しだけ笑った。

「田中たち」

「そこまで考えますかね」

白木部長が言う。

「無理だろ」

保科部長も笑う。

「まだ」

「最初のシミュレーションですからねえ」

社長も。

少し笑った。

「それでいい」

三人が見る。

「答えを作ってほしいんじゃない」

「実際に使う側が」

「どう考えるのか」

「それを見たい」

そして。

田中君が出ていった扉を見る。

「もしかしたら」

「我々が考えてないことを」

「言い出すかもしれない」

黒田部長の口元が。

ゆっくり上がった。

😏

白木部長が。

それを見る。

「お前」

「何だよ」

「また悪い顔してるぞ」

「俺は何もしてない」

その横で。

社長も。

少しだけ。

口元を上げた。

😏

白木部長が。

今度は社長を見る。

「……社長までですか」

保科部長が。

くすくす笑った。

社長は。

何も知らない顔をする。

「何のことだ?」

どうやら。

田中君が知らないところで。

悪だくみをする人間が、一人増えてしまったらしい。



第6章 人を減らせば、本当に会社は強くなるのか?

数字の上では、確かに安くなる 📉

「人を減らして利益を作るんじゃない」

社長はそう言った。

「今いる人間が」

「もっと力を出せる会社にしたい」

三人の部長は。

しばらく黙っていた。

そのあと。

白木部長が口を開いた。

「社長」

「なんだ?」

「それなら」

「一つ確認しておいた方がいいと思います」

「何をだ?」

白木部長は。

机の上に置かれた資料を見る。

「人件費削減です」

部屋の空気が。

また少し変わった。

黒田部長が腕を組む。

「AI導入の話になると」

「必ず出てきますからね」

AIで自動化する。

人の仕事が減る。

なら、人も減らせる。

社長が頷いた。

「ああ」

「数字だけ見れば」

「分かりやすい話だからな」

一人減る。

二人減る。

十人減る。

その分だけ。

毎月の人件費が下がる。

決算書だけを見れば。

効果はすぐに出る。

「だからこそ」

社長は言った。

「私は慎重に考えたい」

黒田部長が聞く。

「海外の話ですか?」

「ああ」

社長は資料を一枚めくった。

「AIで人を減らす動きは」

「すでに始まっている」

「だが」

少し間を置く。

「人間を減らせば」

「そのまま全部AIに置き換えられる」

「そんな単純な話でもないらしい」

保科部長が頷く。

「顧客対応なんかでは」

「特にそうでしょうねえ」

社長は資料を見る。

「実際」

「AIを理由に顧客対応の人員を減らした企業の中で」

「後になって」

「似た仕事をする人を」

「もう一度雇うことになる企業が出る」

「そんな予測まで出ている」

Gartnerは2026年、AIを理由に顧客サービス要員を削減した企業の50%が、2027年までに似た機能を担う人員を再雇用すると予測しています。

黒田部長が。

少し眉を上げた。

「半分ですか」

「あくまで予測だ」

「だが」

社長は資料を置いた。

「人を減らしてから、人間が必要だったと気づく」

「私は」

これをやりたくない

白木部長が。

静かに頷いた。


「実例もありますねえ」

保科部長が言った。

社長が見る。

「海外の決済会社です」

「顧客対応へAIをかなり積極的に入れた会社がありました」

黒田部長が聞く。

「うまくいったんじゃないんですか?」

「うまくいった部分もありますよ」

保科部長は答えた。

「大量の問い合わせを」

「AIで処理できるようになった」

実際、スウェーデンのKlarnaは2024年、AIアシスタントが開始1か月で約230万件の会話を処理し、顧客サービスチャットの約3分の2を担ったと発表しています。

「かなりの量だな」

白木部長が言う。

「はい」

「でも」

保科部長は続けた。

「全部ではなかった」

「どういう意味だ?」

「本人確認の問題とか」

「複雑なトラブルとか」

「人間の方が向いている仕事が残ったんです」

その後Klarnaは、人間の担当者がより適している複雑な案件があることを認め、人による顧客対応も再び取り入れています。

白木部長が。

少し苦笑した。

「AIが駄目だった」

「という話でもなさそうですね」

「そうなんです」

保科部長が頷く。

「AIは役に立った」

「でも」

「AIに向いている仕事と、人に残した方がいい仕事があった」

社長が頷いた。

「私は」

「そこが重要だと思っている」


黒田部長が。

椅子の背にもたれた。

「結局」

「最初から」

『何人減らせるか』

を目標にすると」

「おかしくなるってことですかね」

社長が答える。

「ああ」

「AIを入れた」

「十人分の仕事が減った」

「だから十人減らそう」

首を横に振る。

「その考え方では」

「残すべき仕事まで」

一緒に消す可能性がある

白木部長も言う。

「現場なら」

「かなり怖いですね」

「何がだ?」

「人数だけ減らされて」

「普段は回る」

「でも」

少し間を置く。

異常が起きた瞬間

分かる人が誰もいない

社長が。

白木部長を見る。

「あるか?」

ありますよ

白木部長は即答した。

「通常運転だけなら」

「誰でもできる仕事でも」

「異常が出たとき」

『この音、いつもと違う』

『このまま動かすとまずい』

「って気づく人がいる」

「それが」

十年やってる人だったりするんです

黒田部長も言った。

「営業も同じですね」

「普段は問題ない」

「でも」

「大きなクレームになった瞬間」

「昔から付き合ってる人間が」

俺が話してくる

って出ていく」

少し笑う。

「顧客データだけ持ってても」

「できないことありますから」

保科部長が頷く。

「品質も」

「異常が出てから」

経験者の価値が急に見えるんですよねえ


社長は。

三人の話を聞きながら。

しばらく黙っていた。

そして。

「だから」

ゆっくり口を開いた。

「人件費という言葉だけで」

「社員を見たくない」

「もちろん」

「給与は会社が払っている」

「経費でもある」

「だが」

白木部長を見る。

黒田部長を見る。

保科部長を見る。

「その人間を」

「同じ状態まで」

もう一度育てろと言われたら?

誰も答えなかった。

社長は続ける。

「採用して」

「教育して」

「経験を積ませて」

「失敗して」

「覚えて」

「人間関係を作って」

「ようやく」

「今いる社員と同じところまで来る」

Gallupは、退職した社員を置き換えるコストの目安を、現場社員で給与の約40%、専門・技術職で約80%、管理職では約200%と推計しています。さらに、失われる知識や士気など、数字に表れにくい損失もあります。

社長は。

少しだけ声を低くした。

「人を一人減らすのは簡単だ」

「同じ人間を、もう一度作るのは簡単じゃない」

白木部長が。

静かに頷いた。

その通りです


黒田部長が聞いた。

「じゃあ社長」

「もし」

「AIで本当に仕事が半分になった部署が出たら」

「どうします?」

「…………」

今度は。

社長が少し考えた。

「仕事が半分になった」

「はい」

「だから」

「人を半分にする」

黒田部長が頷く。

「そういう判断もできます」

「ああ」

社長は答えた。

「だが」

「私は」

「その前に聞きたい」

「何をです?」

社長は。

はっきりと言った。

「その人たちに、もっとできる仕事はないのか?」

三人が。

社長を見る。

「今まで」

「忙しくてできなかった仕事」

「改善」

「教育」

「顧客との会話」

「新しい仕事」

「AIを使った次の工夫」

「そういうところへ」

「人を使えないのか」

黒田部長が。

少し笑った。

「余った人じゃなくて」

「余った能力を見る?」

社長も。

少し笑った。

「そういうことだ」

「人を削る前に」

「その人間が持っているものを」

「もっと使えないか考える」

そして。

少し間を置いた。

「社員を大切にすることと、会社を強くすることは」

「私は、別の話だとは思っていない」

部屋が。

静かになった。

社長は続けた。

「社員が楽になればいい」

「それだけじゃない」

「会社だけ儲かればいい」

「それだけでもない」

AIで

人が本来やるべき仕事に時間を使えるようにする

「その結果」

「仕事の質が上がる」

「顧客を見る時間が増える」

「改善する時間が増える」

「次の人を育てる時間も増える」

そして。

会社が強くなる

白木部長が。

腕を組んだ。

「社員を残すことが」

「目的じゃない」

「ああ」

社員の能力を

今より使える会社にする

「そうだ」

黒田部長が笑った。

「結構、欲張りですね」

社長も笑う。

「経営者だからな」

「利益も欲しい」

「生産性も欲しい」

「社員にも育ってほしい」

「会社にも残ってほしい」

保科部長が。

くすくす笑った。

「全部欲しいわけですねえ」

「ああ」

社長は。

迷わず答えた。

そのために

AIを使うんだ

そして。

机の上に置かれた。

田中君の資料を見る。

「だから」

「田中君たちには」

「まず小さく考えてもらえばいい」

白木部長が聞く。

「人員削減まで?」

「いや」

社長は首を横に振った。

「そこまで背負わせる必要はない」

「彼らには」

「どうすれば、今の仕事をもっと楽に、もっと良くできるのか」

「そこを考えてもらう」

黒田部長の口元が。

また少し上がった。

😏

「なるほど」

白木部長が。

横を見る。

「だから、その顔やめろ」

「俺は何も言ってないぞ」

「絶対なんか考えてるだろ」

保科部長が笑う。

その横で。

社長は。

田中君の資料を見ながら。

静かに言った。

「さて」

「田中君たちは」

「どんな答えを持ってくるかな」

どうやら。

田中君たちが知らないところで。

経営側の方向は。

少しずつ。

決まり始めていた。



第7章 社員は「人件費」なのか、「会社の資産」なのか

同じ人を、もう一度育てられますか? 🏭

「そのために」

社長は言った。

「AIを使うんだ」

部屋が。

少し静かになった。

海外では。

AIで大量の仕事を処理できるようになった会社もある。

一方で。

人間にしか任せにくい仕事が残った会社もある。

では。

自分たちの会社では。

どう考えるべきなのか。

白木部長が。

腕を組んだまま口を開いた。

「社長」

「なんだ?」

「さっきの話ですけど」

「うん」

「人を一人減らすこと自体は」

少し間を置く。

「簡単なんですよ」

黒田部長が白木部長を見る。

「簡単?」

「ああ」

白木部長は淡々と答えた。

「数字の上ではな」

「一人減らせば」

「一人分の人件費が消える」

「確かにそうだ」

「でも」

白木部長は。

社長を見る。

「同じ人間を、もう一度育てろと言われたら」

「私は、簡単にはできません」

社長が。

少し眉を上げた。

「どういう意味だ?」

白木部長は。

少し考えた。

「例えば」

「現場に十年いる人間がいるとします」

「うん」

「設備を動かせます」

「手順書も読めます」

「仕事も一通りできます」

「そこだけ見れば」

少し手を広げる。

「別の人に教えれば」

「代わりは作れるように見える」

黒田部長が頷く。

「そうだな」

「でも」

白木部長は続けた。

「実際には」

「それだけじゃないんです」


「設備の音を聞いて」

『今日、ちょっと変だな』

「って気づく」

「振動を見て」

『これ、このまま使わない方がいい』

「って止める」

「トラブルが起きたら」

『これは保全の○○さんに聞いた方が早い』

「って分かる」

さらに。

「新人が作業してるのを見て」

『あそこ危ないな』

「って」

「何も言われなくても近くへ行く」

社長が黙って聞いている。

白木部長は。

少しだけ笑った。

「そういうの」

「作業手順書のどこにも書いてないんですよ」

保科部長が頷いた。

「ありますねえ」

白木部長は続ける。

「本人も」

「全部説明できないと思います」

「どういうことだ?」

「長くやってるから」

「何となく分かる」

「見た瞬間に」

「嫌な感じがする」

「聞いた瞬間に」

「いつもと違うと思う」

少し間を置いた。

「経験って、全部言葉になってるわけじゃないんです」

社長が。

静かに頷いた。


黒田部長も。

腕を組んだ。

「営業も同じですよ」

社長が見る。

「例えば?」

「顧客管理システムを見れば」

「会社名」

「担当者」

「売上」

「過去の案件」

「打ち合わせ記録」

「結構残ってます」

「うん」

「でも」

黒田部長が苦笑する。

「全部じゃない」

「何が残らない?」

「例えば」

「あの担当者は」

「最初から値段の話をすると嫌がる」

「こっちの人は」

「資料を先に送った方が話が早い」

「この人は」

「メールより電話した方がいい」

「この会社は」

「決裁する人が表に出てこない」

社長が。

少し笑う。

「細かいな」

「でも」

「営業って、そういうもんですよ」

黒田部長も笑った。

「あと」

「前にトラブルがあったとき」

『あの人に助けてもらったから、今回はこっちが動こう』

「とか」

「ありますからね」

「それはデータに残らない?」

「残そうと思えば」

「一部は残せるでしょうけど」

黒田部長は首を振った。

「十年付き合った人間関係を、全部データにするのは無理ですよ」

「なるほどな」

「顧客名と取引履歴だけ残して」

「人を切ったところで」

「その人が持ってた関係まで」

「会社に残るわけじゃないです」


「品質も同じですねえ」

保科部長が。

穏やかに言った。

社長が見る。

「やっぱりあるか」

「ありますよ」

保科部長は笑った。

「不良報告書を」

「百枚」

「二百枚」

「AIに読ませることはできるでしょう」

「むしろ」

「そこはAIが得意かもしれません」

白木部長が頷く。

「検索なんかは速そうだな」

「はい」

「でも」

保科部長の笑顔が。

少しだけ消えた。

「報告書を全部読んだら」

「二十年間現場を見てきた人と」

「同じ判断ができるか」

「それは別だと思います」

社長が聞く。

「何が違う?」

「例えば」

「数字は規格内です」

「見た目も問題ありません」

「でも」

「何となく気になる」

「前にも」

「似た感じがあった気がする」

「ちょっと止めて確認しよう」

少し間を置く。

「そういう判断ですねえ」

黒田部長が言う。

「それこそ」

「説明しろって言われても困るやつですね」

「そうなんですよ」

保科部長が笑う。

「後から原因が分かって」

『やっぱりあれだったか』

「ってなることもあります」

社長は。

少し考え込んだ。


三人の部長。

営業。

技術。

品質。

仕事は違う。

でも。

言っていることは。

ほとんど同じだった。

会社の中には。

数字にならないものが。

大量にある。

  • 経験

  • 人とのつながり

  • 異常への気づき

  • 過去の失敗

  • 誰に聞けばいいかという知識

  • 周囲を助ける動き

  • 状況を見て判断する力

それらは。

給料明細には。

一つも書いていない。

社長が。

ゆっくり口を開いた。

「人件費として見れば」

「社員はコストだ」

三人が。

社長を見る。

「会社は給与を払っている」

「社会保険もある」

「教育にも金がかかる」

「当然」

「費用ではある」

そこで。

一度言葉を切った。

「だが」

机を。

指先で軽く叩く。

「その人間が何年もかけて蓄積したものまで含めれば」

「社員は、この会社の資産でもある」

誰も。

何も言わなかった。


社長は続ける。

「例えば」

「十年働いた人間を一人減らす」

「その瞬間」

「人件費は下がる」

「だが」

「翌日」

「新しい人間を一人入れれば」

「元通りか?」

白木部長が。

すぐ首を横に振った。

「ならないですね」

「一年なら?」

「仕事によります」

「三年」

「まだ分かりません」

「五年」

白木部長は。

少し困った顔をした。

「同じ人には」

「ならないと思います」

「なぜだ?」

「経験することが」

「人によって違いますから」

社長が頷いた。

「そうだな」

同じ教育を受けても。

同じ仕事をしても。

まったく同じ人間にはならない。

覚えることも違う。

得意なことも違う。

築く人間関係も違う。

経験するトラブルも違う。

「そう考えると」

社長は言った。

「人員を削るという判断は」

「人数を一つ減らすだけじゃない」

少し間を置く。

「その人が持っていた会社の記憶まで、一緒に外へ出す判断になる」

黒田部長の表情から。

さっきまでの軽さが消えた。

「会社の記憶……ですか」

「ああ」

「私はそう思っている」


白木部長が言う。

「だからといって」

「人を抱え続ければいい」

「って話でもないですよね」

社長が。

すぐ頷いた。

「もちろんだ」

「仕事がなくなった」

「でも」

「何も変えません」

「全員そのままです」

「それでは経営にならない」

「ですよね」

社長は続けた。

「だから」

「人を残すか」

「人を切るか」

「その二択から考えたくない」

黒田部長が聞く。

「じゃあ?」

「仕事を変える」

「役割を変える」

「AIを持たせる」

「今まで忙しくて」

「できなかった仕事をしてもらう」

保科部長が。

少し笑った。

「さっきの」

「余った能力を見る」

「そうだ」

社長も笑う。

「AIで一つの仕事が減ったなら」

「その人間まで不要になったと」

「すぐ考えるんじゃない」

「その人が」

「次に何をできるか」

「そっちを見る」


黒田部長が。

少し考えた。

「営業なら」

「資料作成が減ったら」

「顧客と話す時間にできますね」

「そうだな」

白木部長も続ける。

「技術なら」

「復旧だけで終わってたトラブルを」

「原因まで追える」

保科部長。

「品質なら」

「報告書を書く時間が減れば」

「現場を見る時間を増やせますねえ」

社長が。

三人を見る。

「それだ」

「AIに任せられる仕事を」

「AIに渡す」

「そして」

「人間にしかやりにくい仕事へ」

「人を戻す」

少し間を置いた。

「人をAIに置き換えるんじゃない」

「AIを使って、人の使い方を変える」

白木部長が。

小さく頷いた。

「その方が」

「現場としても納得しやすいでしょうね」

黒田部長が聞く。

「社員には」

「どう説明します?」

社長が。

少し考える。

「そこだな」


もし。

突然。

会社から。

「AIを導入します」

と言われたら。

社員は。

何を考えるだろう。

便利になる。

そう考える人もいる。

楽しそうだ。

そう思う人もいる。

でも。

当然。

別の考えも出る。

「俺の仕事、なくなるんじゃないか?」

「人を減らすためじゃないのか?」

「AIが間違えたら誰が責任を取る?」

「今より面倒になるんじゃないか?」

黒田部長が言った。

「多分」

「そこを隠したまま始めると」

「警戒されますよ」

「ああ」

社長は答えた。

「だから」

「最初にはっきり言った方がいい」

白木部長が聞く。

「何をです?」

社長は。

少しだけ考えた。

そして。

「今回のAI導入は、人件費を削ることを目的にはしない」

「今いる社員が、今より力を発揮できる会社にするために使う」

部屋が。

静かになった。

社長は続けた。

「もちろん」

「それで終わりじゃない」

「AIを入れた結果」

「本当に仕事が良くなるのか」

「会社が強くなるのか」

「利益につながるのか」

「そこは」

「ちゃんと見る」

黒田部長が笑う。

「やっぱり甘くはないですね」

社長も笑った。

「当たり前だ」

「社員を大切にすることと」

「何でも許すことは」

「同じじゃない」

少し間を置く。

「むしろ」

「大切にするなら」

「もっと能力を発揮してもらわないと困る」

保科部長が。

くすっと笑った。

「結構厳しいですねえ」

「経営者だからな」

社長も笑う。


そして。

机の上に置かれた。

田中君の資料を見る。

「だから」

「最初のシミュレーションは」

「田中君たちに任せよう」

白木部長が聞く。

「本当に?」

「ああ」

「我々が最初から」

「全部決めてしまったら」

「現場から何も出てこなくなる」

黒田部長が。

また少し笑う。

「田中」

「大変ですね」

😏

社長も。

少しだけ笑った。

「まあ」

「彼なら」

「何か言うだろ」

白木部長が。

二人を見る。

「またその顔ですか……」

保科部長が。

くすくす笑う。

その頃。

田中君は。

そんな話になっているとも知らず。

林さんたちに。

どう説明するか。

必死に考えていた。

おそらく。

また。

胃を痛くしながら。😨



第8章 社長命令で、会議室を一室もらいました

逃げられないやつですか……? 😨

翌日。

田中君は。

林さん。

佐藤さん。

まゆみさん。

三人の前に立っていた。

場所は。

会社の会議室。

しかも。

いつものような。

空いている部屋を。

ちょっと借りました。

ではない。

正式に時間まで確保された会議室だった。

「…………」

田中君は。

机の上に置かれた資料を見る。

林さんも見る。

まゆみさんも見る。

佐藤さんも見る。

そして。

もう一度。

田中君を見る。

林さんが。

最初に口を開いた。

「田中君」

「はい」

「何だこれ」

「その……」

田中君は。

ものすごく言いにくそうな顔をした。

「社長命令です」

「…………」

林さんが止まった。

まゆみさんも。

少し目を見開く。

佐藤さんだけは。

静かに資料を見ている。

林さんが聞いた。

「もう一回言ってみろ」

「社長命令です」

「何でだよ!」

「僕に言わないでくださいよ!」

田中君も。

思わず声が大きくなった。

「僕だって昨日」

「社長と部長三人に囲まれて」

「胃が痛くなりながら話してたんですよ!」

まゆみさんが。

少し笑う。

「それで」

「今度はわたしたち?」

「はい……」

「巻き込んだの?」

「はい……」

林さんが。

田中君を見る。

「お前」

「はい」

「覚えてろよ」

「だから僕も被害者なんですって!」


佐藤さんが。

資料を一枚めくった。

「まあ」

「社長命令なら」

「部署への話は通ってるんだろ?」

「はい」

田中君が頷く。

「通常業務とは別に」

「この時間を使っていいそうです」

林さんが。

少し眉を上げた。

「本当に?」

「はい」

「途中で」

『お前ら何してるんだ』

とか言われない?」

「大丈夫です」

「本当に?」

「社長命令ですから」

林さんが。

少しだけ笑った。

「便利な言葉だな」

「僕も昨日」

「初めて便利だと思いました」

まゆみさんが笑う。

「じゃあ」

「今日はちゃんと」

「これが仕事ってことね」

「はい」

田中君も頷いた。

そして。

少し考えて。

「……仕事しなくていいんですよね?」

林さんが。

田中君を見る。

「仕事だよ」

「え?」

「これが仕事」

「…………」

田中君が止まる。

まゆみさんが笑った。

「田中君」

「休みに来たんじゃないのよ」

「いや!」

「そういう意味じゃなくて!」

「いつもの仕事をしなくていいって意味です!」

林さんが。

ニヤッとする。

😏

「楽したいだけじゃないのか?」

「違いますよ!」

佐藤さんが。

小さく笑った。

「始める前から」

「もう話がずれてるぞ」


田中君は。

一度咳払いをした。

「では」

「今日の目的なんですけど」

資料を見る。

「会社でAIを使うなら」

「どういう流れで始めるのがいいのか」

「現場側から」

「シミュレーションを作ってほしい」

「という話です」

林さんが。

腕を組む。

「で」

「何を決めればいい?」

「え?」

「だから」

「AIをどこに入れるとか」

「何を自動化するとか」

「そういうことだろ?」

「多分……」

田中君が答えようとしたとき。

佐藤さんが。

静かに口を開いた。

「いや」

三人が。

佐藤さんを見る。

「そこから始めない方がいい」

田中君が聞く。

「え?」

「AIをどこに入れるか」

「そこから考えると」

「多分」

「話が広がりすぎる」

林さんが聞いた。

「じゃあ何から?」


佐藤さんは。

ホワイトボードの前に立った。

そして。

ペンを持つ。

キュッ。

最初に。

大きく書いた。

まず、対象を絞る。

田中君が。

首を傾げる。

「対象?」

「そう」

「会社全部を見たら」

「何でも出てくる」

佐藤さんは続けた。

「文章」

「検索」

「集計」

「現場作業」

「設備」

「品質」

「営業」

「教育」

「全部AIで何かできないか」

「って考え始めたら」

少し笑う。

「今日中には終わらない」

林さんが。

会議室の時計を見る。

「それは困るな」

田中君が言う。

「今日中に終わらせる気だったんですか?」

「お前は泊まる気か?」

「嫌ですよ!」

まゆみさんが笑う。

「じゃあ」

「最初にやる範囲を決めるってこと?」

佐藤さんが頷いた。

「そう」


佐藤さんは。

ホワイトボードに。

もう一つ書いた。

AIだけで直接変えやすい仕事は何か?

田中君が。

少し考える。

「文章とか?」

「そうだな」

「資料を探すとか」

「それも」

まゆみさんが続ける。

「情報をまとめる」

林さん。

「数字を集計する」

佐藤さんが。

一つずつ書いていく。

  • 文章を作る

  • 過去の資料を探す

  • データを整理する

  • 情報を分類する

  • 内容をまとめる

  • 数字を集計する

田中君が。

ホワイトボードを見る。

「ほとんど」

「パソコンの中ですね」

佐藤さんが。

頷いた。

「そこなんだ」

そして。

大きく書いた。

「まずは、パソコンの中で完結する仕事から見る」

林さんが。

少し眉をひそめた。

「現場は?」

「駄目とは言ってない」

佐藤さんは答えた。

「ただ」

「例えば」

「部品を運ぶ」

「製品を組み立てる」

「材料を設備へ入れる」

「これをAIだけでやろうと思っても」

AIだけじゃ無理だろ?

田中君が。

すぐ頷く。

「ロボットが要りますね」

「そう」

「設備側も変えないといけない」

「センサーも必要かもしれない」

「安全も考える」

「レイアウトも変わる」

林さんが。

苦笑した。

「急に話がでかくなるな」

「そういうことだ」

佐藤さんが。

ホワイトボードを見る。

「最初のシミュレーションで」

「そこまでやる必要はないと思う」


まゆみさんが。

少し考えた。

「じゃあ」

「パソコンの中なら」

「何でもいいの?」

「いや」

佐藤さんが。

首を横に振った。

「そこも絞った方がいい」

田中君が。

ペンを持つ。

「条件決めます?」

「そうしよう」

四人で。

少しずつ出していく。

田中君。

「時間がかかってる仕事」

林さん。

毎回同じことをしてる仕事

まゆみさん。

使ってる人が面倒だと思ってる仕事

佐藤さん。

最後に人が確認できる仕事

田中君が。

書きながら。

まとめる。

① パソコンの中で完結している

② 時間がかかっている

③ 繰り返しが多い

④ 最後に人が確認できる

四人が。

ホワイトボードを見る。

林さんが言った。

「これなら」

「結構絞れるな」

「ですよね」

田中君も。

少し嬉しそうに頷く。

まゆみさんが。

ホワイトボードを見ながら言った。

「わたしたちでも」

「具体例を出せそう」

佐藤さんが聞く。

「例えば?」

「毎回」

同じ形式の資料を作ってるとか

林さんが。

すぐ言う。

「あるな」

田中君も。

続ける。

「過去の報告書を探すのに」

「時間かかるとか」

林さん。

「それもある」

まゆみさん。

大量の文章から

必要なところだけ探すとか

田中君が。

急に元気になる。

「僕だったら企画書です!」

三人が。

田中君を見る。

「え?」

林さんが言う。

「また企画書かよ」

「しょうがないじゃないですか!」

「最近そればっかりやってたんですから!」

田中君は。

指を折る。

「資料を探す」

「必要なところを抜き出す」

「整理する」

「文章にする」

「確認する」

そして。

少し考える。

「確かに」

「ほとんどパソコンの中なんですよ」

佐藤さんが頷く。

「そういうものを」

「まず集めればいい」


田中君は。

少しずつ。

ホワイトボードに。

仕事を書き始めた。

林さんも。

思いついたものを出す。

まゆみさんも。

佐藤さんも。

気づけば。

ホワイトボードには。

いろいろな仕事が並び始めていた。

田中君が。

少し笑う。

「なんか」

「AI導入って聞いたときより」

「だいぶ分かりやすくなりましたね」

林さんが言う。

「最初は」

AIで何ができますか?

だったからな」

「はい」

佐藤さんが。

ホワイトボードの一番上に。

もう一度。

大きく書いた。

AIを入れる場所から探さない。

困っている仕事の中から、AIが効きやすい場所を探す。

四人が。

その言葉を見る。

しばらくして。

田中君が言った。

「……これ」

「やっとスタート地点ですか?」

佐藤さん。

「ああ」

田中君。

「結構考えましたよ?」

「ああ」

「まだスタート地点?」

「そうだな」

田中君は。

天井を見た。

「今日」

「長くなりそうですね……」

林さんが。

笑う。

「だから」

「時間もらってるんだろ」

「……そうでした」

まゆみさんも笑った。😊

そして。

会議室のホワイトボードには。

ようやく。

会社のAI導入を考えるための。

最初の入口が。

見え始めていた。



第9章 AIを入れる前に、情報が迷子になってませんか?

探せないなら、AIにも探させにくい 📂

ホワイトボードには。

いろいろな仕事が。

少しずつ並び始めていた。

田中君が書く。

「過去の報告書を探す」

林さん。

「設備トラブルの記録」

まゆみさん。

「毎月作ってる資料」

佐藤さん。

「似た案件の検索」

田中君は。

書き終わったところで。

少し満足そうに。

ホワイトボードを見た。

「結構出ましたね」

林さんが頷く。

「まあな」

まゆみさんも。

少し笑う。

「これだけあれば」

「AIで楽にできそうなもの」

「いくつかありそうね」

田中君が。

勢いよく頷いた。

「ですよね!」

そして。

少し嬉しそうに言う。

「じゃあ」

「この辺の資料をAIに読ませて」

「検索できるようにして」

「必要なものを探してもらえば――」

佐藤さん。

「その資料」

どこにある?

「え?」

田中君が止まった。

林さんが。

少し嫌な顔をする。

……そこか

まゆみさんも。

すぐ気づいた。

「あ」

田中君だけが。

まだ分かっていない。

「何です?」

佐藤さんが聞く。

「今言った」

『過去の報告書』

「どこに保存されてる?」

「ええと……」

田中君は考える。

「共有フォルダ?」

どこの?

「…………」

「部署の?」

「部署のどこ?」

「…………」

林さんが。

横から言う。

「お前」

「自分で探したことないのか?」

「ありますよ!」

「じゃあ分かるだろ」

「分からないから探すんですよ!」

林さん。

「それは探せてるのか?」

「…………」

田中君が黙った。

まゆみさんが。

思わず笑った。😂


佐藤さんは。

ホワイトボードに。

新しく書いた。

AIに探させる前に、情報がどこにあるか。

田中君が。

少し眉をひそめる。

「でも」

「AIなら」

「ファイルをいっぱい読ませたら」

「探してくれるんじゃないですか?」

「読ませられればな」

「え?」

「その前に」

「何を読ませる?」

田中君が止まる。

「…………」

佐藤さんは続けた。

「最新版はどれ?」

「…………」

「同じ名前のファイルが五個あったら?」

「…………」

「昔の資料と今の資料が」

「同じフォルダに入ってたら?」

「…………」

林さんが。

田中君の顔を見る。

「だんだん顔色悪くなってるぞ」

「嫌なこと思い出してるんですよ……」

「何を?」

「ファイル名です」

「ファイル名?」

田中君は。

遠い目をした。

「最終版」

「最終版2」

「最終版修正」

「最終版修正版」

「最終版本当の最終」

林さんが吹き出した。

「あるな!」

まゆみさんも。

口元を押さえて笑う。

「あるわね」

田中君は。

勢いよく言った。

「ありますよね!」

「僕だけじゃないですよね!」

佐藤さんまで。

少し笑った。

「そこは安心するところじゃない」

「ですよね……」


林さんが。

腕を組んだ。

「現場でも似たようなのあるぞ」

田中君が聞く。

「例えば?」

「トラブルの記録」

「紙で残ってる」

「Excelで残ってる」

「設備の横に置いてある」

「人によっては」

「自分のパソコンに持ってる」

田中君が。

顔をしかめる。

「バラバラじゃないですか」

「そうだよ」

「しかも」

「人によって書き方も違う」

まゆみさんが聞く。

「同じ故障でも?」

「ああ」

「A設備停止」

「設備異常」

「ライン停止」

「モーター不良」

「書いた人によって」

「全部違う」

田中君が。

少し考えた。

「それ」

「AIが検索するとき」

「困りません?」

佐藤さんが頷く。

「そこなんだ」


佐藤さんは。

ホワイトボードに。

大きく書いた。

AIを入れる前に、AIが使える状態へ情報を整える。

田中君が。

その文字を見る。

「AI導入なのに」

「最初にやるの」

「ファイル整理ですか?」

「場合によってはな」

「地味ですね……」

林さんが言う。

「仕事なんて」

「大体そんなもんだろ」

「夢がないなあ」

「お前はAIに何を期待してるんだ」

「もっとこう」

「未来っぽい感じを」

「仕事だぞ」

「はい……」

まゆみさんが笑う。😊


佐藤さんは。

話を続けた。

「例えば」

「同じ種類の報告書なら」

「保存する場所を決める」

「はい」

「名前の付け方をそろえる」

「はい」

「古いものと新しいものを分ける」

「はい」

「誰が見ても」

「どれが何の資料か分かるようにする」

田中君が。

メモを取る。

林さんが言った。

「それ」

「AIじゃなくても便利になるな」

「そう」

佐藤さんが頷く。

「そこが大事なんだ」

「AIを使うために整理したら」

「人間も探しやすくなる」

まゆみさんも。

少し納得した顔をする。

「それなら」

「AIがうまくいかなかったとしても」

「整理したこと自体は無駄にならないわね」

佐藤さんが。

少し笑った。

「そういうこと」

田中君が。

ホワイトボードを見る。

「失敗しても」

「残る改善ってことですか?」

「私は」

「そういう始め方の方がいいと思う」


田中君は。

少し考えた。

「じゃあ」

「例えば企画書を作るとして」

「過去の資料をAIに探してもらいたいなら」

指を一本立てる。

「まず保存場所を決める」

二本目。

「ファイル名をそろえる」

三本目。

「古いものと新しいものを分ける」

四本目。

「必要な資料が何なのか分かるようにする」

佐藤さんが頷く。

「そうだな」

田中君が。

少し得意そうになる。

「それからAIに」

『この中から探して』

「ってやればいい」

林さんが。

すぐ言う。

「最初からそう言え」

「今分かったんですよ!」

「だから遅いんだよ」

「厳しいな!」

まゆみさんが笑う。


そのとき。

まゆみさんが。

少し考えてから言った。

「でも」

「全部整理するのって」

「大変じゃない?」

三人が見る。

「会社中のファイルを」

「最初から全部きれいにしましょう」

「ってなったら」

「それだけで終わりそう」

田中君が。

想像した。

大量のフォルダ。

大量のExcel。

大量のPDF。

大量のWord。

そして。

謎のファイル。

新しいフォルダー

新しいフォルダー(2)

新しいフォルダー(3)

「…………」

田中君が。

青い顔をした。

「無理です」

林さん。

「また早いな」

「絶対無理ですよ!」

佐藤さんが。

少し笑った。

「だから」

全部やらない

田中君が見る。

「え?」

最初に試す仕事に必要な範囲だけ

整理する

まゆみさんが頷く。

「あ」

小さく試すって

ここでも同じなのね

「そう」

佐藤さんは。

ホワイトボードに書いた。

全部整理しない。

使う範囲だけ整理する。

田中君が。

ほっとする。

「それなら」

「できそうです」

林さんが言う。

「さっきから」

「できそうになったり」

「無理になったり」

「忙しいやつだな」

「初めてなんだからしょうがないでしょう!」


四人は。

ホワイトボードを見た。

最初は。

AIを使う仕事を探していた。

でも。

その前に。

一つ。

見落としていた。

AIが仕事をするには。

仕事に必要な情報へ、たどり着けなければならない。

そして。

その情報が。

バラバラなら。

AI以前に。

人間も困っている。

田中君が。

少し考えて言った。

「これって」

「AIを導入するために」

「新しい仕事が増えたっていうより」

「今まで放置してた面倒なところが」

「見つかっただけなんですかね?」

佐藤さんが。

田中君を見る。

少しだけ。

笑った。

「多分」

「そっちの方が近い」

田中君が。

ホワイトボードを見る。

AI導入。

と言うと。

何か新しいものを。

会社へ持ち込むように聞こえる。

でも。

実際には。

その前に。

今までの仕事の中にある。

分かりにくさ。

探しにくさ。

バラバラさ。

そういうものが。

次々と見えてくる。

田中君が。

小さく呟いた。

「AIって」

「結構」

「会社の汚いところ見つけますね」

林さんが。

すぐ言う。

「言い方」

「でもそうじゃないですか!」

まゆみさんが笑う。

「汚いじゃなくて」

「整理できてないところね」

「はい」

田中君が言い直す。

「AIを入れようとすると、今まで見えなかった仕事の弱点が見えてくる」

佐藤さんが。

静かに頷いた。

「そこに気づけるなら」

「シミュレーションをやる意味はあるな」

四人は。

もう一度。

ホワイトボードを見る。

仕事を探す。

情報を整理する。

そして。

AIに何を任せるか考える。

まだ。

AIそのものは。

ほとんど動かしていない。

それでも。

少しずつ。

導入する前にやるべきことが。

見え始めていた。📂



第10章 全部AIに任せるんじゃない。仕事を分ける

企画書って、一つの仕事じゃなかったんだ 🤔

ホワイトボードには。

少しずつ。

流れが見えてきていた。

困っている仕事を探す。

小さく試す。

必要な情報を整理する。

田中君は。

腕を組みながら。

ホワイトボードを見る。

「じゃあ」

「次は」

「AIにやらせますか?」

林さんが。

すぐ横を見る。

「雑だな」

「またですか?」

「まただよ」

田中君は。

少しむっとした。

「だって」

「情報も整理しました」

「仕事も絞りました」

「だったら」

「AIにやってもらえばいいじゃないですか」

佐藤さんが。

静かに聞いた。

「何を?」

「え?」

「何をAIにやってもらう?」

「…………」

田中君が止まる。

まゆみさんが。

少し笑った。

「また詰まった」

「いや!」

「今考えてます!」

林さん。

「便利な言葉だな」

「考えてるんですよ!」


佐藤さんは。

ホワイトボードの前に立った。

「例えば」

「田中君」

「はい」

「企画書を作る」

「これは一つの仕事か?」

「一つじゃないんですか?」

「本当に?」

「…………」

田中君は。

少し考えた。

そして。

前に自分が苦労したときのことを。

思い出した。

「あ」

佐藤さんが見る。

「何だ?」

「僕」

「いきなり企画書を書いてたわけじゃないですね」

林さんが聞く。

じゃあ何してた?

田中君は。

指を折る。

「まず」

「過去の資料を探して」

一本目。

「必要な情報を抜き出して」

二本目。

「それを整理して」

三本目。

「何を書くか考えて」

四本目。

「文章にして」

五本目。

「最後に確認してました」

佐藤さんが頷く。

「そういうことだ」

そして。

ホワイトボードに書いた。

探す

整理する

考える

下書きを作る

確認する

田中君が。

少し目を見開いた。

「こうやって見ると」

「企画書って」

「結構分かれてますね」

林さんが言う。

「お前」

今まで全部まとめて

企画書作る

って言ってたのか?

「言ってましたよ!」

「そりゃ分からなくなるわ」

「厳しいな!」


まゆみさんが。

ホワイトボードを見る。

「じゃあ」

「この中で」

「AIに任せられるところを探すの?」

佐藤さんが頷く。

「そう」

田中君が。

少し元気になる。

「だったら」

「探す!」

「AI得意ですよね?」

「条件次第ではな」

「整理する!」

「これも得意そう」

「そうだな」

「下書き!」

「そこも使える」

田中君は。

どんどん指を差していく。

「じゃあ」

「ほとんどAIじゃないですか!」

林さんが。

呆れた顔をする。

「お前」

「すぐ全部渡そうとするな」

「でも!」

「できるところは任せた方が」

「楽じゃないですか!」

まゆみさんが笑う。

「また楽する話になってきた」

「改善です!」

田中君は。

強く言い切った。


佐藤さんは。

少し笑いながら。

ホワイトボードの横に。

新しく二つ書いた。

AI

人間

「じゃあ」

「分けてみよう」

田中君が。

身を乗り出す。

「はい!」

まず。

資料を探す。

田中君。

「AI」

佐藤さん。

「候補はそうだな」

次。

大量の情報から必要なところを抜き出す。

まゆみさん。

「AI?」

「使えると思う」

次。

似た内容をまとめる。

林さん。

「AIでもできそうだな」

次。

文章の下書きを作る。

田中君。

「AI!」

「元気だな」

「得意分野ですから!」

そして。

最終確認。

田中君が。

少し止まる。

「……人」

保科部長の顔が。

頭に浮かんだ気がした。

最後は人が確認する。

「これは」

「人ですね」

佐藤さんが頷く。

「そうだな」


田中君が。

ホワイトボードを見る。

「じゃあ」

「こんな感じですか?」

AI

  • 資料を探す

  • 情報を抜き出す

  • 分類する

  • 整理する

  • 下書きを作る

人間

  • 目的を決める

  • 必要な情報か判断する

  • 内容を見る

  • 間違いを確認する

  • 最後に決める

まゆみさんが。

少し考える。

「人間の方」

「少ないようで」

「結構大事ね」

田中君も。

ホワイトボードを見る。

「確かに」

「AIがいっぱい作っても」

「何を使うか決めるのは」

「人ですよね」

佐藤さんが。

静かに言った。

「AIに作業を渡しても、判断まで全部渡さない」

四人が。

その言葉を見る。


林さんが。

少し眉をひそめた。

「でも」

「判断までAIにやらせたら」

「もっと早くなるんじゃないか?」

田中君が。

一瞬。

「それ僕も思いました」

佐藤さんが聞く。

「じゃあ」

何を基準に判断させる?

「え?」

「どの資料が正しい?」

「どの情報を使う?」

「何を優先する?」

「何を書かない?」

「最後に誰が責任を持つ?」

「…………」

田中君。

沈黙。

林さんが。

少し笑った。

「また止まったぞ」

「考えてるんですよ!」

「今日何回目だよ」

まゆみさんが笑う。😊


佐藤さんは続けた。

AIが判断できないと言ってるわけじゃない

「条件がはっきりしていれば」

「かなりできると思う」

「でも」

「会社の仕事には」

条件が全部書いてないことも多い

林さんが頷く。

「あるな」

「例えば」

佐藤さんが聞く。

「この企画書」

「誰向け?」

田中君。

「部長です」

「どの部長?」

「…………」

田中君が。

嫌な顔をした。

「それ」

「前にやりました……」

林さん。

「何を?」

「部長ごとに」

「内容変えたんですよ」

「何で?」

「見るところが違うからです」

佐藤さんが頷く。

「それだ」

営業。

技術。

品質。

同じ企画でも。

気になるところが違う。

必要な情報も違う。

強調する場所も違う。

「AIに」

『企画書を作って』

「だけでは」

「そこまで分からない」

田中君が。

勢いよく頷いた。

「分かります!」

「めちゃくちゃ分かります!」

林さん。

「急に実感こもったな」

「痛い目見てますから!」


まゆみさんが聞く。

「じゃあ」

「AIに渡す前に」

「人間が決めることもあるってこと?」

「そう」

佐藤さんが答える。

例えば。

  • 誰のための資料か

  • 何を伝えたいのか

  • どの情報を使うのか

  • 何を優先するのか

  • 最後に誰が確認するのか

田中君が。

メモを取る。

「これ」

「決めないでAIに渡すと」

「どうなります?」

佐藤さんが。

少し笑う。

「それなりのものが出てくる」

田中君。

「それ」

「一番困るやつです!」

林さん。

「何で?」

「間違ってるなら」

「違うって分かるんですよ!」

「でも」

「それっぽいのが一番困るんです!」

まゆみさんが。

笑いながら頷く。

「使えそうに見えるから?」

「そうです!」

「後から

『なんか違う』

ってなるんですよ!」


田中君は。

ホワイトボードの前に立った。

そして。

自分なりに。

流れを書き直す。

人間が目的を決める

AIが資料を探す

AIが整理する

人間が必要な情報を判断する

AIが下書きを作る

人間が確認する

必要ならAIに修正させる

人間が最終決定する

田中君は。

しばらく。

それを見た。

「これ」

「AIと人が」

「交互ですね」

佐藤さんが。

少し笑った。

「そうなる仕事は多いと思う」

AIに全部やらせて

最後だけ人が見る

「じゃない?」

「それでもできる仕事はある」

「でも」

途中で判断が必要なら

そこには人が入る


林さんが。

ホワイトボードを見る。

「ラインみたいだな」

田中君が振り返る。

「ライン?」

「ああ」

「一人が最初から最後までやるんじゃなくて」

「工程ごとに」

「役割を分ける」

田中君が。

少し目を見開いた。

「あ」

まゆみさんも。

ホワイトボードを見る。

「AIも」

「一つの工程に入るってこと?」

佐藤さんが頷いた。

「そういう考え方でもいいと思う」

田中君が。

少し嬉しそうになる。

「それ」

「分かりやすいですね」

そして。

ホワイトボードの横に。

大きく書いた。

AIを社員の代わりに置くんじゃない。

仕事の流れの中に、AIの工程を入れる。

四人が。

その言葉を見る。

林さんが。

小さく頷いた。

「それなら」

「何でもAIにやらせよう」

「って話にはならないな」

「はい」

田中君も。

頷いた。

「仕事を分けて」

「AIが得意なところだけ渡す」

「人がやるところは残す」

まゆみさんが続ける。

「その間に」

「確認も入れる」

「そう」

佐藤さんが答えた。


田中君は。

ホワイトボードを見る。

最初は。

AIを導入する。

それだけだった。

でも。

少しずつ。

形が変わってきた。

AIに仕事を奪わせる。

ではない。

AIに仕事を丸投げする。

でもない。

人間がやっている仕事を。

一度分ける。

その中から。

AIに向いている部分を渡す。

そして。

人間は。

判断する。

確認する。

決める。

田中君が。

少し笑った。

「なんか」

「AI導入っていうより」

「仕事の流れ作り直してません?」

佐藤さんが。

頷いた。

「多分」

「それが必要なんだと思う」

林さんが言う。

AI入れたら

勝手に仕事が良くなるわけじゃないってことだな

「はい」

田中君も。

少し考える。

そして。

言った。

「AIに何をやらせるか考える前に、仕事をどう流すか考えるんですね」

佐藤さんが。

静かに頷いた。

「そういうことだ」

四人は。

ホワイトボードを見る。

そこには。

人間。

AI。

人間。

AI。

人間。

それぞれの役割が。

少しずつ。

一本の流れとして。

つながり始めていた。🔄



第11章 楽をするのは、サボることなのか?

AIで時間が空いたら、何をする? ⏰

ホワイトボードには。

人間。

AI。

人間。

AI。

そして。

最後にまた人間。

仕事の流れが。

少しずつ。

一本につながっていた。

田中君は。

それを眺めながら。

腕を組んだ。

「……これ」

林さんが見る。

「何だ?」

「かなり時間」

「空きません?」

三人が。

ホワイトボードを見る。

資料を探す。

AI。

必要な情報を整理する。

AI。

内容を確認する。

人間。

下書きを作る。

AI。

最終確認。

人間。

田中君は。

指を折りながら言った。

「今まで」

「資料を探して」

「必要なところ抜き出して」

「整理して」

「文章考えて」

「書いて」

「また確認して」

「ってやってたんですよね?」

佐藤さんが頷く。

「そうだな」

「それを」

「AIに手伝ってもらったら」

田中君は。

少し考える。

「かなり早くなる気がするんですけど」

まゆみさんも。

ホワイトボードを見る。

「確かに」

「探す時間と」

「まとめる時間が減るだけでも」

「結構違いそうね」

林さんも頷いた。

「うまく使えればな」

田中君が。

少し嬉しそうになる。

「ですよね!」

そして。

少し間を置いた。

「じゃあ」

三人が見る。

「空いた時間」

「何するんです?」

「…………」

林さん。

沈黙。

まゆみさん。

沈黙。

佐藤さん。

沈黙。

田中君も。

少しだけ。

沈黙。

そして。

言った。

「もっとAI使えばいいんじゃないですか?」

林さんが。

眉をひそめる。

「何に?」

「もっと楽するために」

「…………」

林さんが。

田中君を見る。

「お前」

「はい?」

「さっきから」

「楽することばっかり考えてないか?」

「え?」

林さんは。

指を折った。

「仕事減らす」

「AIにやらせる」

「時間空ける」

「その時間で」

「もっと楽する」

そして。

田中君を見る。

「お前、サボる方向に全力じゃないか」

「違いますよ!」

田中君が。

勢いよく立ち上がった。

「何が違うんだよ」

「改善ですよ!」

「言い方変えただけだろ」

「違いますって!」

まゆみさんが。

二人を見ながら。

少し笑っていた。😂


「林さん」

まゆみさんが言った。

「何だ?」

「それ」

「ちょっと違うと思う」

林さんが。

まゆみさんを見る。

何が?

楽することと

サボること

同じじゃないでしょ

林さんが。

少し止まった。

田中君が。

勢いよく頷く。

「そうです!」

林さん。

「お前は黙ってろ」

「何でですか!」

まゆみさんは。

笑いながら続けた。

「例えば」

「今まで30分かかってた仕事を」

「10分で終わらせられるようになった」

「品質も同じ」

「間違いも増えてない」

「ちゃんと確認もしてる」

林さんが頷く。

「うん」

「それなら」

「残った20分を」

「わざわざ30分になるまで」

「ゆっくり仕事する必要ないでしょ?」

「まあ」

「それはそうだな」

「だったら」

「同じ仕事を、同じ品質で、短い時間で終わらせる」

「それはサボりじゃなくて、改善でしょ」

田中君が。

ものすごい勢いで頷いた。

「そうです!」

林さん。

「だからお前は便乗するな」

「僕が最初に言ったんですよ!」

「楽したいってな」

「改善って意味です!」

「後から足しただろ」

「最初からそういう意味です!」

「絶対違う」

「違わないです!」

佐藤さんが。

二人を見る。

「話が進まないぞ」

「すみません……」

二人とも。

少しだけ静かになった。


佐藤さんが。

ホワイトボードの前に立った。

そして。

大きく書いた。

30分

AI活用

10分

「仮に」

「これができたとする」

田中君が頷く。

「はい」

「残り20分」

「どうする?」

林さんが答える。

「別の仕事をやる」

「それも一つ」

「でも」

佐藤さんは続ける。

「20分空いたから」

「その瞬間に」

「別の仕事を20分分」

「全部詰め込む」

「それだけでいいのか?」

林さんが。

少し考える。

「……忙しさは変わらないですね」

「そう」

佐藤さんが頷く。

「仕事は速くなった」

「でも」

「空いた瞬間」

「また別の仕事で全部埋める」

「それを続けたら」

「人間側は」

「ずっと忙しいままだ」

田中君が。

少し首を傾げる。

「じゃあ」

「空けておくんですか?」

「少しは」

「考える時間にしてもいいと思う」

「何を考えるんです?」

佐藤さんは。

ホワイトボードを見る。

「次に」

「面倒な仕事は何か」

田中君が。

少し目を開く。

「次?」

「そう」

「今回」

「30分を10分にできた」

「だったら」

「その20分で」

「次の30分を探す」

林さんが。

少し笑った。

次に削れそうな仕事を探す?

そういうことだ


田中君が。

少し考える。

「じゃあ」

「例えば」

「企画書が早くなった」

「はい」

「空いた時間で」

「報告書も楽にできないかな」

「って考える」

佐藤さんが頷く。

「そう」

「報告書も楽になった」

「次は?」

まゆみさんが言う。

「資料探し?」

「そういうこと」

林さんも。

少しずつ分かってきた。

「一個ずつ」

「面倒な仕事を減らしていくのか」

「私は」

「その方がいいと思う」

田中君が。

また少し嬉しそうになる。

「やっぱり」

「ずっと楽になっていくじゃないですか!」

林さんが。

すぐ睨む。

「お前はそこしか見てないな」

「だから改善ですよ!」

まゆみさんが笑う。

「今回は」

「田中君の言ってること」

「そんなに間違ってないと思う」

林さんが。

まゆみさんを見る。

「まゆみまで?」

「だって」

面倒なことを

わざわざ面倒なまま残す必要ないでしょ?

「まあ……」

林さんは。

少し渋い顔をした。

それはそうだけど


田中君が。

ホワイトボードを見る。

「でも」

「次の面倒な仕事って」

「どうやって探します?」

佐藤さんが。

少し笑った。

「せっかく」

「チャット型のAIがあるんだ」

「え?」

AIに相談すればいい

田中君が。

一瞬止まった。

そして。

「あ」

「壁打ち?」

「そう」

佐藤さんが。

頷いた。

「作業させるだけじゃなくて」

相談相手として使う

林さんが聞く。

「何て聞くんです?」

佐藤さんは。

少し考えた。

そして。

ホワイトボードに書いた。

「この仕事、もっと楽にできない?」

田中君が。

吹き出した。

「それ」

「僕が絶対聞くやつです!」

林さん。

「お前は聞くな」

「何でですか!」

「楽する方向しか出てこないから」

「いいじゃないですか!」

佐藤さんも。

少し笑った。

「でも」

本当にそれくらいでいいと思う

三人が。

佐藤さんを見る。

「今やっている仕事を」

AIに説明する

ここが面倒

ここに時間がかかる

毎回同じことをしている

もっと簡単にできないか

少し間を置く。

「そうやって」

「話せばいい」

まゆみさんが。

頷いた。

「難しい質問を作らなくても?」

「ああ」

「困ってることを」

「そのまま話すだけでもいい」

田中君が。

勢いよく頷く。

「僕もそれやります!」

林さん。

「また急に元気になったな」

「これ得意なんですよ!」


田中君は。

少し身を乗り出した。

「僕」

「何かうまくいかないとき」

「とりあえずAIに話すんですよ」

「例えば?」

まゆみさんが聞く。

「なんか違う」

林さん。

「雑だな」

「本当にそう言うんですよ!」

「それで」

「AIが

『どの部分が違いますか?』

みたいに返してくる」

「で」

「僕も考える」

『ここかな』

「って」

「また返す」

「そしたら」

「また返ってくる」

田中君は。

手で往復するような動きをした。

「そうやってるうちに」

「最初は」

『なんか違う』

だけだったのが」

「だんだん

『ここが違う』

『本当はこうしたい』

って分かってくるんです

佐藤さんが。

静かに頷いた。

それが壁打ちだな

まゆみさんも。

少し納得した顔をする。

「答えを聞くっていうより」

「話しながら」

自分の考えも整理するのね

「そうです!」

田中君が頷いた。

「だから」

「AIに正解を出してもらうというより」

「一緒に考える感じです」

林さんが。

少し感心したように。

田中君を見る。

「珍しく」

「まともなこと言うな」

「珍しくって何ですか!」


佐藤さんは。

ホワイトボードに。

新しい流れを書き始めた。

AIで時間を作る

空いた時間でAIと壁打ちする

次に楽にできる仕事を探す

小さく試す

また時間が生まれる

四人が。

その流れを見る。

田中君が。

しばらく。

黙っていた。

そして。

言った。

「これ」

「ずっと回ったら」

「かなり楽になりますよね?」

林さんが。

ため息をつく。

「やっぱり」

「そこに戻るんだな」

「でも!」

田中君は。

ホワイトボードを指差した。

「改善って」

「そういうことでしょ?」

「面倒な仕事を」

「面倒なまま続けない」

「楽にできるなら」

「楽にする」

「空いた時間で」

「次を考える」

佐藤さんが。

少し笑った。

そして。

ホワイトボードの最後に。

一言だけ。

書いた。

楽をするために、頭を使う。

田中君が。

その言葉を見る。

「……これ」

「いいですね」

まゆみさんも。

小さく頷いた。

林さんは。

少し考えてから。

「まあ」

「サボるのとは違うか」

田中君が。

すぐ反応した。

「やっと分かってくれました?」

「お前が言うと」

「まだ怪しいけどな」

「何でですか!」

また。

会議室に。

笑い声が響いた。😂

佐藤さんは。

笑いながらも。

ホワイトボードを見た。

「サボるためじゃない」

「人間が」

「やらなくてもいい仕事を減らす」

「そして」

「人間が」

「考える時間を増やす」

少し間を置いた。

「そのために、AIを使う」

会議室が。

少しだけ。

静かになった。

四人は。

ようやく。

AIで仕事を減らした。

その先に。

何をするのか。

少しずつ。

見つけ始めていた。💡


【Ai x 入力設計 23】田中君、三人の部長の要望を全部入れたら企画書が「辞書」になった     で、田中君が頭を使いすぎた結果の一コマ


第12章 AIで速くなったのに、田中君が机に突っ伏した理由

楽になったはずなのに、なんでこんなに疲れるんですか? 😵‍💫

会議室には。

まだ。

さっきの笑いが。

少し残っていた。

ホワイトボードには。

AIで時間を作る

空いた時間でAIと壁打ちする

次の改善を探す

小さく試す

また時間が生まれる

その流れが。

きれいに並んでいる。

田中君は。

しばらく。

それを見ていた。

そして。

少しだけ。

顔をしかめた。

「……でも」

林さんが見る。

「何だ?」

「一個」

「あります」

「何が?」

田中君は。

少し言いにくそうに。

頭をかいた。

「これ」

「ずっとやると」

「結構疲れます」

「…………」

林さんが。

眉をひそめる。

「楽になる話してたよな?」

「そうなんですけど!」

「どっちなんだよ」

「仕事は楽になるんですよ!」

田中君は。

慌てて手を振った。

「でも」

「頭が疲れるんです」

まゆみさんが。

少し首を傾げる。

「頭?」

「はい」

佐藤さんは。

何となく。

察したような顔をした。


田中君は。

椅子に座り直した。

「僕」

「前に企画書を」

「何本か続けて作ったことがあるんです」

林さん。

「例のやつか」

「そうです」

「部長ごとに」

「内容変えて作ったやつです」

まゆみさんが聞く。

「AI使ったんでしょ?」

「使いました」

田中君は。

少し嬉しそうに言う。

「めちゃくちゃ速かったんですよ」

「資料を渡して」

「まとめてもらって」

「下書き作ってもらって」

「違うところ直して」

「また出してもらって」

手を動かしながら。

どんどん続ける。

「一個終わったら」

「次!」

「また次!」

「それも終わったら」

「次!」

林さんが。

少し嫌な顔をする。

「お前」

「調子乗っただろ」

「……乗りました」

「やっぱりな」

田中君は。

少し肩を落とした。


「最初は」

「すごかったんですよ」

田中君は続けた。

「今までだったら」

「一個の企画書で」

「結構時間かかってたのが」

「AI使うと」

「どんどん進む」

まゆみさんが頷く。

「それなら」

「楽になったんじゃない?」

「作業は」

「楽になりました」

「じゃあ?」

田中君は。

少し遠い目をした。

「途中から」

「やることが」

「増えたんです」

林さん。

「減ったんじゃないのか?」

「僕もそう思ってました!」


田中君は。

ホワイトボードの前に立った。

そして。

書き始める。

AIに作らせる

出てきたものを確認する

違うところを直す

次の指示を出す

別の資料を見る

次の企画書を考える

さっきのAI出力に戻る

また確認する

田中君は。

書き終わって。

ホワイトボードを見る。

「こんな感じです」

林さんが。

じっと見る。

「……忙しいな」

「ですよね!」

「お前が勝手に増やしたんじゃないのか?」

「そこなんですよ!」

「そこなのか?」


佐藤さんが。

静かに聞いた。

AIが速いから

待ち時間が減った?

田中君が。

振り返る。

「そうです!」

「それです!」

少し興奮する。

「今までは」

「僕が文章を書いてる間は」

「その文章のことしか考えてなかったんですよ」

「うん」

「でもAIだと」

「作ってって渡したら」

「すぐ返ってくる」

「だから」

「確認する」

「直す」

「次を考える」

「また確認する」

「さらに次の資料を見る」

どんどん。

指を折っていく。

「判断する回数が」

「一気に増えるんです」

佐藤さんが。

小さく頷いた。

「なるほど」


まゆみさんが聞く。

「それで」

「どうなったの?」

田中君。

「机に突っ伏しました」

「…………」

林さん。

「結局へばってるじゃねえか」

「そうなんですよ!」

「威張るな」

「威張ってません!」

まゆみさんが。

思わず笑った。😂

「それ」

「楽になったって言えるの?」

田中君は。

必死に説明する。

「だから!」

「作業は楽なんです!」

「資料探すのも早い!」

「文章作るのも早い!」

「でも」

「頭の切り替えが多すぎて」

「集中力が切れた瞬間」

少し間を置く。

「一気に来るんですよ」

林さん。

「何が?」

「疲れが」


佐藤さんは。

ホワイトボードを見ながら。

少し考えていた。

そして。

新しく書いた。

作業時間が短くなる

判断する回数が増える

確認する回数が増える

仕事の切り替えが増える

人間側が疲れる

田中君が。

指を差す。

「それです!」

「まさにそれです!」

林さんが。

少し考える。

「じゃあ」

「AI使って仕事が倍できるようになったから」

「仕事も倍入れよう」

「ってやったら?」

田中君が。

すぐ首を横に振った。

「多分」

「死にます」

「言い方」

「いや!」

「ほんとにそれぐらい疲れるんですよ!」

まゆみさんが。

少し真面目な顔になる。

「じゃあ」

「さっきの」

空いた時間を全部仕事で埋めない

「って話」

「別の意味でも大事なのね」

佐藤さんが。

頷いた。

「そうだと思う」


田中君は。

少し考えた。

「AIって」

「人間がやってた作業を」

「減らしてくれますよね」

「うん」

「でも」

「その代わり」

「人間は」

  1. 出力を見る

  2. 判断する

  3. 修正する

  4. 次を考える

  5. 指示を出す

  6. また確認する

「こっちが増える」

佐藤さんが答えた。

「単純作業が減って」

「考える仕事が増えるわけだ」

「はい」

田中君は。

大きく頷いた。

「AIで仕事が速くなると、人間まで無限に速くなるわけじゃないんです」

四人が。

少し黙った。


林さんが。

腕を組む。

「現場でも似たようなのあるな」

田中君が聞く。

「何がです?」

設備が速くなったからって

人も同じだけ速くできるとは限らない

「あ」

「設備側だけ能力上げても」

「人が追いつかなかったら」

「そこが詰まる」

田中君が。

少し目を見開いた。

「ボトルネック?」

「まあ」

「そういうことだな」

佐藤さんも。

頷いた。

「AIを入れたことで」

「今まで作業だったところが短くなる」

「すると」

「今度は」

人間の判断と確認がボトルネックになる。

田中君が。

ホワイトボードを見る。

「なんか」

「AI導入って」

「楽になるだけじゃないですね」

林さん。

「今さら?」

「いや!」

「使ってたんですけど」

「こうやって整理したことなかったんですよ!」


まゆみさんが聞く。

「じゃあ」

「どうしたらいいの?」

田中君が。

佐藤さんを見る。

佐藤さん。

「私を見るな」

「こういう時は佐藤さんじゃないですか!」

「まず自分で考えろ」

「厳しい!」

林さんが笑う。

田中君は。

仕方なく考えた。

「……休む?」

林さん。

「小学生か」

「でも大事でしょう!」

まゆみさんが。

少し笑う。

「それは大事よ」

田中君。

「ほら!」

佐藤さんも。

小さく頷いた。

「休憩は必要だな」

そして。

ホワイトボードに書く。

  • AIで一度に処理する量を増やしすぎない

  • 人間の確認量を見る

  • 判断が集中しすぎないようにする

  • 作業の切り替えを増やしすぎない

  • 集中が切れる前に休憩する

田中君が。

一つずつ読む。

「これ」

「AIの使い方じゃなくて」

「人間の使い方ですね」

林さん。

「言い方」

「でもそうじゃないですか?」

佐藤さんが。

少し笑った。

AIだけ設計しても

仕事は回らないってことだ


田中君は。

第10章で作った流れを見る。

AI

人間

AI

人間

交互に並んでいる。

そこへ。

新しく。

一つ書き足した。

人間が無理なく確認できる量にする。

まゆみさんが。

それを見る。

「これ」

「結構大事かも」

「はい」

田中君は。

少し真面目な顔で答えた。

「AIって」

「疲れないじゃないですか」

「そうね」

「24時間でも」

「こっちが指示すれば」

「どんどん返してくる」

「でも」

自分を指差す。

「僕は疲れます」

林さん。

「知ってる」

「そこ強調しないでくださいよ!」


佐藤さんが。

ホワイトボードの前に立った。

そして。

最後に。

大きく書いた。

AIの処理能力ではなく、人間が判断できる速度で仕事を流す。

田中君が。

その言葉を見る。

「これ」

「工場と同じですね」

林さん。

「何が?」

「一工程だけ速くしても」

「次が処理できなかったら」

「詰まる」

「そうだな」

「AIだけ爆速にしても」

「人間が確認できなかったら」

「結局止まる」

佐藤さんが。

頷いた。

「それどころか」

確認を飛ばし始めるかもしれない

「……それは怖いですね」

田中君は。

第3章で話したことを。

思い出した。

AIは。

間違っていても。

普通に進むことがある。

人間が疲れて。

確認を省き始めたら。

せっかく入れた確認工程そのものが。

機能しなくなる。


田中君は。

少し考えてから。

言った。

「じゃあ」

「AI導入って」

「AIにどれだけ仕事させられるか」

「じゃなくて」

「人間も含めて」

「どれくらいなら無理なく回るのか」

「そこまで見ないと駄目なんですね」

佐藤さんが。

静かに頷いた。

「私はそう思う」

林さんも。

ホワイトボードを見る。

「楽するためにAI入れて」

「人間がへばったら」

「意味ないしな」

田中君。

「僕みたいに」

「そう」

「…………」

「そこは否定してくださいよ!」

まゆみさんが。

吹き出した。😂


会議室には。

また。

少し笑いが戻った。

でも。

ホワイトボードには。

新しい注意点が。

一つ増えていた。

AIを速くすること。

だけではない。

人間が無理なく使い続けられること。

そこまで考えて。

初めて。

AIを使った仕事は。

長く回り続ける。

田中君は。

自分が机に突っ伏した日のことを思い出しながら。

小さく呟いた。

「……あれも」

「無駄じゃなかったんですね」

林さんが。

すぐ返す。

「いや」

「調子に乗ったのは反省しろ」

「そこは反省してますよ!」

また。

会議室に。

笑い声が響いた。😅



第13章 4人が作った「AI導入シミュレーション第一案」

で、結局どういう順番になったんですか? 📝

会議室のホワイトボードは。

いつの間にか。

かなり大変なことになっていた。

文字。

矢印。

丸。

四角。

追記。

修正。

さらに追記。

田中君は。

少し離れたところから。

それを見る。

「…………」

林さんが聞く。

「どうした?」

「汚いですね」

「お前も書いたんだろ」

「だから言ってるんですよ!」

まゆみさんが。

少し笑う。

「最初より」

「だいぶ増えたわね」

佐藤さんも。

ホワイトボードを見る。

「ああ」

「でも」

「言ってること自体は」

「そんなに複雑じゃない」

田中君が。

振り返る。

「そうですか?」

「そう」

佐藤さんは。

新しいスペースを作った。

そして。

ペンを持つ。

「一回」

「全部まとめよう」


田中君が。

少し姿勢を正した。

「お願いします」

林さん。

「お前もやれ」

「はい……」

四人は。

今まで話した内容を。

一つずつ。

拾っていった。

最初は。

田中君。

「まず」

「AIで何ができるかじゃなくて」

「困ってる仕事を探す」

佐藤さんが書く。

① 困っている仕事を探す

林さんが続ける。

「その中でも」

「最初は全部やらない」

「小さく試せる仕事にする」

② 小さく試せる仕事を選ぶ

まゆみさん。

「パソコンの中で終わる仕事からね」

③ PC内で完結する仕事を優先する

田中君が。

指を一本立てる。

「その前に!」

林さん。

「何だ?」

「資料です」

「ああ」

田中君は続ける。

「必要なファイルが」

「どこにあるか分からない状態だと」

「AI以前の問題なので」

④ 必要な情報・ファイルを整理する

まゆみさんが。

少し笑う。

「最終版、本当の最終版とか?」

田中君。

「やめてください」

林さんが吹き出す。

「効いてるな」

「思い出したくないんですよ!」


佐藤さんは。

次を書いた。

⑤ 仕事を工程に分ける

田中君が頷く。

「これ結構大事でしたね」

「例えば企画書なら」

指を折る。

「探す」

「整理する」

「考える」

「下書きする」

「確認する」

林さん。

「一個の仕事だと思ってたけど」

「分けたら」

「AIに渡せるところが見えた」

「そういうことだな」

佐藤さんが頷く。

そして。

次。

⑥ AIと人間の担当を決める

田中君が。

ホワイトボードの横に書く。

AI

  • 検索

  • 分類

  • 整理

  • 要約

  • 下書き

その横。

人間

  • 目的を決める

  • 判断する

  • 確認する

  • 修正方針を決める

  • 最終決定する

まゆみさんが。

それを見る。

「こうやって並べると」

「AIが全部やるわけじゃないって」

「分かりやすいわね」

「はい」

田中君が。

少し得意そうに頷く。

林さん。

「何でお前が得意そうなんだ」

「僕も考えたじゃないですか!」


佐藤さんが。

次を書く。

⑦ 小さく実際に試す

林さんが聞く。

「試したら?」

田中君。

「確認します!」

保科部長の顔が。

頭の中に浮かぶ。

😐

田中君は。

何となく背筋を伸ばした。

「最後は」

「絶対、人が確認する」

⑧ 人間が確認する

さらに。

田中君は続けた。

「それで」

「早くなっただけじゃ駄目」

林さん。

「何を見る?」

田中君は。

もう一度。

指を折った。

  • 時間

  • ミス

  • やり直し

  • 品質

  • 確認時間

  • 実際に使った人の負担

佐藤さんが書く。

⑨ 本当に良くなったか確認する

まゆみさんが。

小さく頷く。

「数字だけじゃなくて」

「使った人にも聞く」

「そうですね」


そして。

田中君が。

少し嬉しそうに言った。

「それで」

「時間が空く!」

林さんが。

即座に見る。

「嬉しそうだな」

「大事なところですよ!」

佐藤さんが。

苦笑しながら書く。

⑩ 空いた時間を作る

田中君が続ける。

「その時間で」

「AIと壁打ちする」

⑪ AIと壁打ちして次の改善を探す

まゆみさん。

「もっと楽にできない?」

田中君。

「そうです!」

林さん。

「それしか覚えてないのか」

「分かりやすいじゃないですか!」

佐藤さんが。

その下に書いた。

⑫ 次の仕事をまた小さく試す

そして。

最後に。

また時間が生まれる

四人が。

一度。

黙って。

ホワイトボードを見た。


そこには。

一本の流れが。

できていた。

困りごとを探す

小さく試す仕事を選ぶ

情報を整理する

仕事を工程に分ける

AIと人の担当を決める

実際に試す

人が確認する

効果と問題を確認する

時間を作る

AIと壁打ちする

次の改善を探す

田中君は。

しばらく。

その流れを見ていた。

そして。

「……これ」

「結構ちゃんとしてません?」

林さん。

「自分で言うな」

「でも!」

「最初より」

「かなり形になったじゃないですか!」

「まあな」

林さんも。

少しだけ笑った。


まゆみさんが。

ホワイトボードを見る。

「でも」

「一個足りなくない?」

田中君が。

すぐ不安になる。

「え?」

「何です?」

「さっきの」

「田中君が机に突っ伏した話」

「あ」

田中君の顔が。

一瞬で嫌そうになる。

「それ」

「入れます?」

林さん。

「入れろ」

「何でですか!」

「実例だろ」

「恥ずかしい実例ですよ!」

佐藤さんが。

少し笑う。

「本人の名前は」

「別に書かなくていい」

「そういう問題ですか?」

そして。

ホワイトボードに。

一つ追加した。

人間の確認量・判断量を増やしすぎない

田中君が。

それを見る。

「これですね」

「ああ」

佐藤さんが頷く。

「AIの速度だけ見て」

「仕事量を増やしすぎると」

「人間側が持たない」

林さん。

「一工程だけ速くなっても」

「次が詰まったら意味ない」

田中君が頷く。

「だから」

AIの処理速度ではなく、人間が無理なく判断できる速度で流す。

まゆみさん。

「これも」

「最初から入れておいた方がいいわね」

「そうだな」


四人は。

もう一度。

全体を見る。

田中君が。

少し感心したように言った。

「最初」

「社長に」

『会社でAIを使うならどうします?』

って聞かれたとき」

「本当に何も分からなかったんですよ」

林さん。

「逃げようとしてたしな」

「それはもういいでしょう!」

「でも」

田中君は。

少し笑った。

「今なら」

「何となく」

「最初にやることくらいは」

「言えそうです」

佐藤さんが聞く。

「例えば?」

田中君は。

少し考えた。

そして。

答えた。

「AIを買う前に、まず仕事を見る」

「困っている場所を見つけて、小さく試す」

「それで本当に良くなったら、次へ広げる」

佐藤さんが。

静かに頷いた。

「それくらいでいいと思う」


林さんが。

ホワイトボードを見る。

「でも」

「これって」

「会社のAI導入計画なのか?」

田中君が。

少し不安そうになる。

「違います?」

佐藤さんが答えた。

「計画というより」

「最初の仮説だな」

「仮説?」

「ああ」

「私たち四人で」

「こうやったらいいんじゃないか」

「って考えただけだ」

まゆみさんも。

頷いた。

「まだ」

「実際に使う人たちには」

「聞いてないものね」

田中君。

「あ」

林さん。

「部署が違えば」

「困ってることも違うだろうしな」

「そうですね」

佐藤さんは。

ホワイトボードの一番上に。

新しく。

大きく書いた。

第一回 AI導入シミュレーション案

田中君が。

それを見る。

「完成?」

佐藤さん。

「第一案」

「完成じゃない?」

「第一案」

田中君は。

少し肩を落とした。

「まだ終わらないんですね……」

林さん。

「当たり前だろ」

「結構頑張りましたよ!」

まゆみさんが笑う。

「でも」

「最初の形はできたじゃない」

田中君が。

もう一度。

ホワイトボードを見る。

確かに。

最初は。

何もなかった。

そこから。

四人で話して。

失敗した話も出して。

現場の話も出して。

少しずつ。

流れを作った。

完璧ではない。

でも。

「現場から見た最初の仮説」

そこまでは。

確かにできていた。


田中君は。

少しだけ。

満足そうに笑った。

「じゃあ」

「これ」

「社長に持っていけばいいんですよね?」

林さんが。

田中君を見る。

😏

「何です?」

「また」

「胃痛くなるぞ」

田中君の顔から。

笑顔が消えた。

「…………」

まゆみさんが。

吹き出す。

「林さん」

「言わなくてもいいのに」

「いや」

「大事だろ」

「大事じゃないですよ!」

田中君は。

頭を抱えた。

「せっかく」

「いい気分だったのに……」

佐藤さんが。

苦笑しながら。

資料をまとめ始める。

「まあ」

「社長に見せる前に」

「もう一度整理しよう」

田中君。

「まだやるんですか?」

林さん。

「仕事だ」

「……そうでした」

会議室に。

また。

小さな笑い声が響いた。😂

そして。

ホワイトボードには。

田中君たち四人が作った。

会社のAI導入を考えるための、最初の地図。

それが。

ようやく。

一つの形として。

残っていた。📝



第14章 「これ、本当に現場で使えますか?」

4人で考えた。でも、4人だけで決めていいの? 🤔

ホワイトボードには。

大きく。

第一回 AI導入シミュレーション案

と書かれていた。

その下には。

田中君たちが。

何度も話しながら作った流れ。

困っている仕事を探す

小さく試す

情報を整理する

仕事を分ける

AIと人の役割を決める

実際に試す

人が確認する

効果を見る

時間を作る

AIと壁打ちする

次の改善を探す

そして。

忘れてはいけない。

人間が無理なく確認できる量にする。

田中君は。

腕を組みながら。

ホワイトボードを見た。

「……結構できましたね」

林さん。

「まあな」

まゆみさん。

「最初に比べたら」

「かなり分かりやすくなったわね」

田中君が。

少し嬉しそうに頷く。

「ですよね!」

そして。

佐藤さんを見る。

「じゃあ」

「これで完成ですね!」

佐藤さん。

「第一案だ」

「…………」

田中君。

「まだ言います?」

「言う」

林さんが笑った。

「諦めろ」

「結構頑張ったんですよ!」

「だから第一案なんだろ」

「なんか納得いかない……」


まゆみさんが。

ホワイトボードを見ながら。

少し考えていた。

「でも」

田中君が見る。

「何です?」

「これって」

「わたしたち4人では」

「いいと思ってるのよね」

「はい」

「でも」

少し間を置く。

「他の人も、本当にそう思うのかな?」

田中君が。

止まった。

林さんも。

少し表情を変える。

佐藤さんは。

静かに頷いた。

「そこだな」

田中君が聞く。

「どういうことです?」

佐藤さん。

「私たちは」

「ここまで話した」

「だから」

「どういう意味で書いてあるか」

「全部分かってる」

「はい」

「でも」

「何も知らない人が」

「いきなりこれを見たら?」

田中君は。

ホワイトボードを見る。

AI導入。

仕事を分ける。

AIに任せる。

時間を作る。

少し考える。

「……怖い人」

「いるかもしれませんね」

林さんが頷く。

「いるだろうな」


田中君は。

少し想像した。

会社から。

突然。

資料が回ってくる。

AIを導入します。

仕事を効率化します。

AIへ作業を移します。

その文字だけ見たら。

「……あ」

まゆみさんが聞く。

「何?」

田中君は。

少し嫌な顔をした。

「僕だったら」

「最初に」

『僕の仕事なくなるの?』

「って思うかもしれません」

林さんが。

腕を組む。

「現場なら」

「普通に出るだろうな」

「ですよね」

佐藤さんも言う。

「それだけじゃない」

「例えば」

『AIなんて使ったことがない』

『何を入力すればいいのか分からない』

『間違ったら誰が責任を取るんだ』

『確認が増えて、逆に面倒にならないか』

田中君が。

一つずつ。

頷いていく。

「全部ありそう……」

まゆみさんが続ける。

「逆に」

「もっと使えるって人もいるかもしれないわよ」

「例えば?」

「わたしたちが考えてない仕事で」

『ここにも使えるんじゃない?』

「って」

田中君。

「ああ!」

少し目を開く。

「それもありますね」

林さん。

「部署が違えば」

「仕事も違うからな」

「はい」


田中君は。

少し考え込んだ。

「じゃあ」

「この第一案」

「どうするんです?」

佐藤さんが答える。

「まず」

「社長たちに見てもらう」

田中君。

「やっぱりですか……」

林さん。

「何で落ち込むんだよ」

「胃が」

「まだ何も起きてないだろ」

「前回の記憶があるんですよ!」

まゆみさんが笑う。😂


佐藤さんは。

続けた。

「その上で」

「本当に会社へ広げる前に」

「実際に使う人へ」

「聞いた方がいいと思う」

田中君。

「何をです?」

「そのままだ」

佐藤さんは。

ホワイトボードへ。

新しく書いた。

「このやり方、本当に使えそうですか?」

そして。

もう一つ。

「困りそうなところはありませんか?」

さらに。

「他にAIを使えそうな仕事はありませんか?」

田中君が。

その三つを見る。

「これなら」

「答えやすいですね」

まゆみさんも頷く。

「会社から」

『AIについて意見を出してください』

だけだと」

「何を言えばいいか分からないもの」

「そうなんですよ!」

田中君が。

すぐ反応する。

「僕も社長に聞かれたとき」

「最初」

「何答えればいいか分からなかったですから!」

林さん。

「逃げようとしてたしな」

「そこはもういいでしょう!」


田中君は。

ホワイトボードを見る。

「じゃあ」

「この資料を」

「全社員に」

「見せるんですか?」

林さん。

「いきなり?」

「…………」

田中君。

「また雑でした?」

「かなり」

「今日ずっと言われてる気がする……」

佐藤さんが。

少し笑った。

「まず社長たちだな」

「この案で」

「本当に現場へ聞いていいのか」

「そこを確認する」

まゆみさんが言う。

「会社から出すなら」

「田中君個人の話じゃないものね」

「はい」

田中君が。

少し安心した。

「社長から」

「出してもらった方がいいですね」

林さん。

「それはそうだろ」


そして。

田中君が。

少し考えた。

「でも」

「言い方も大事ですよね」

佐藤さんが。

田中君を見る。

「どういう意味だ?」

「例えば」

田中君は。

少し姿勢を正した。

「会社から」

『AI導入を決定しました』

「って出したら」

「みんな」

「もう決まったと思いますよね」

「そうだな」

「でも」

「今って」

「まだシミュレーションですよね?」

佐藤さんが頷く。

「そう」

「だったら」

田中君は。

少し考えながら。

ゆっくり言った。

「こういう感じじゃないですか?」

『会社でAIを使う場合、どんな流れなら安全に始められるか、まずシミュレーションを作ってみました』

『実際に仕事をしている皆さんから見て、使えそうか、困りそうなところはないか、率直な意見を聞かせてください』

三人が。

少し黙った。

田中君が。

不安になる。

「……何です?」

林さん。

「いや」

「まともだなと思って」

「失礼ですよ!」

まゆみさんも笑う。

「でも」

「それなら」

「決めつけられてる感じは少ないわね」

佐藤さんが頷いた。

「ああ」

「答えを押しつけるんじゃない」

「一緒に作るために」

「聞く」

田中君。

「それです」


ホワイトボードに。

新しい流れが。

付け加えられた。

第一案を作る

経営側へ提出する

現場へ見せる

意見を集める

問題を直す

第二案を作る

田中君が。

それを見る。

「……また第二案がある」

林さん。

「嫌そうに言うな」

「終わらないじゃないですか!」

佐藤さん。

「改善なんて」

「一回で終わる方が珍しい」

「そうなんですけど……」

まゆみさんが。

少し笑う。

「でも」

「最初から完璧に作らなくてもいいってことでしょ?」

田中君が。

少し止まった。

「……あ」

確かに。

最初から。

全部決めなくていい。

まず考える。

試す。

聞く。

直す。

また試す。

「完成してから現場へ出すんじゃない」

「現場へ出して、完成に近づけていく」

田中君が。

ゆっくり頷いた。

「それなら」

「ちょっと気が楽です」

林さん。

「お前」

「完璧なもの持っていこうとしてたのか?」

「社長に出すんですよ!」

「そりゃ緊張しますよ!」

「また胃痛くなるぞ」

「言うなって!」


佐藤さんは。

資料をまとめた。

「じゃあ」

「第一回は」

「ここまででいいだろう」

田中君が。

少し驚いた顔をする。

「え?」

「終わり?」

「ああ」

「本当に?」

「ああ」

「追加ありません?」

「今のところは」

田中君は。

少しだけ。

目を輝かせた。✨

「終わった……」

林さん。

「まだ提出があるぞ」

田中君。

「…………」

「何で言うんですか」

「現実だから」

「今くらい喜ばせてくださいよ!」

まゆみさんが。

吹き出した。


田中君は。

最後に。

ホワイトボードを見た。

今日。

四人で作ったもの。

それは。

会社全体の答えではない。

AI導入の完成形でもない。

まして。

正解でもない。

現場4人で考えた、最初の仮説。

それだけだった。

でも。

最初は。

「AIって何ができるんだ?」

から始まった話が。

今は。

「どんな仕事から」

「どう試して」

「どう確認して」

「どう改善するか」

そこまで。

見えるようになった。

田中君は。

少し笑った。

「じゃあ」

「持っていきますか」

林さんが聞く。

「どこへ?」

田中君。

「社長のところです」

少し間があった。

田中君の笑顔が。

だんだん。

引きつっていく。

「…………」

まゆみさん。

「田中君?」

「はい」

「大丈夫?」

田中君は。

お腹を押さえた。

「もう」

「痛くなってきました」

林さん。

「早いな!」

佐藤さんまで。

少し笑った。😂


こうして。

田中君たち四人の。

第一回AI導入シミュレーション会議は。

一旦。

終了した。

でも。

本当の意味で。

会社のAI導入が始まるのは。

おそらく。

ここからだった。

なぜなら。

次に待っているのは。

田中君たち四人ではない。

営業。

技術。

品質。

事務。

そして。

実際に現場で働く。

たくさんの社員。

田中君たちが。

「これならいけるかもしれない」

と思った第一案を。

彼らは。

どう見るのか。

歓迎するのか。

怖がるのか。

反対するのか。

それとも。

田中君たちが。

まったく考えていなかった。

新しい使い方を。

見つけるのか。

それは。

まだ。

誰にも分からなかった。

第一部――会議室シミュレーション編・完。 🤖🏭



そして、次のシミュレーションへ

4人で考えた答えは、本当に会社で通用するのか? 🤔

田中君たち四人の。

第一回AI導入シミュレーションは。

ひとまず。

終わった。

ホワイトボードには。

四人で考えた。

最初の仮説。

そこまでなら。

かなり形になった。

でも。

まだ。

一つ。

大きなことをしていない。

実際に、このAIを使う人たちに聞いていない。

田中君たちには。

良さそうに見える。

でも。

別の部署では。

まったく違うかもしれない。

「AIって何を入れればいいの?」

「仕事なくならない?」

「確認増えて逆に面倒じゃない?」

「うちの部署、そもそも資料整理されてないよ」

あるいは。

田中君たちが。

まったく考えていなかった。

「これにもAI使えるんじゃない?」

そんな意見が。

出てくるかもしれない。

つまり。

次にやることは。

AIをもっと詳しく調べることではない。

田中君たちの第一案を、会社のみんなにぶつけてみること。

そして。

返ってきた声を。

もう一度。

田中君たちが考える。

田中君。

「……なんか」

「嫌な予感するんですけど」

林さん。

「今さらか?」

まゆみさん。

「でも」

「聞かないと分からないでしょ」

佐藤さん。

「ああ」

「次は」

少し間を置いた。

「現場が答えを出す番だ」

田中君は。

その言葉を聞いて。

静かに。

お腹を押さえた。

「……また胃が痛くなりそう」

どうやら。

田中君たちのAI導入シミュレーションは。

まだ。

始まったばかりだった。😨

――第二部・現場ヒアリング編へ続く。


誰もいなくなった社長室

会議が終わり。

田中君たちも。

三人の部長も。

社長室を出ていった。

部屋には。

夕方の光だけが。

静かに残っていた。

社長は。

一人。

さっきまで広げられていた資料を見ていた。

しばらくして。

椅子にもたれ。

小さく息を吐く。

「……人を一人減らしたら」

少しだけ。

間を置いた。

「数字の上では」

「マイナス1か」

窓の外を見る。

そして。

誰に聞かせるでもなく。

ぽつりと言った。

「でも、そのマイナス1は」

「ただのマイナス一じゃないんだよな」

十年。

二十年。

その会社で働いた人間なら。

一緒に消えるのは。

一人分の給与だけではない。

経験。

失敗。

判断。

人とのつながり。

仕事の癖。

会社の中で覚えてきた。

たくさんのこと。

社長は。

机の上の資料へ視線を戻した。

「AIで仕事が減ったから」

「人も減らせばいい」

少しだけ。

苦い顔をする。

「そんな簡単な話なら」

「経営なんて楽なんだけどな」

そして。

もう一度。

小さく呟いた。

「人を一人減らしたという数字の“−1”と」

「会社が失う価値の“−1”は、同じじゃない」

誰もいない社長室で。

その言葉だけが。

静かに残った。


✨田中君シリ-ズです。ご興味がございましたらお楽しみください。


田中君シリーズを応援してください

今回も田中君は、便利なAIへ全部丸投げしようとして、林さんと佐藤さんに止められてしまいました。
これからも、田中君たちは失敗しながら、AIとの安全で便利な付き合い方を学んでいきます。
「続きを読んでみたい」「今回の記事が役に立った」と感じていただけましたら、スキ、コメント、チップで応援していただけるとうれしいです。
皆さまからの応援は、田中君のおやつ、林さんの胃薬、佐藤さんのコーヒーブレイクに使わせていただきます。


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