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二十年目のお弁当と、マフィン型のこと


マフィン型というものが、うちにある。
お菓子を作ろうと思って買ったのだが、お菓子はほとんど作っていない。

そのマフィン型が、最近お弁当作りに使われている。

きっかけはなんとなくであった。「お弁当のおかずを全部オーブンに突っ込んだらどうなるか」という、主婦として長年抱えてきた素朴な疑問を、ある朝ふと実行に移したのである。

鶏肉はチューリップにした。
チューリップというのは、骨つきの鶏肉の皮と肉を骨の先にくるくるとまとめた形のことで、食べやすくてかわいらしい見た目になる。

私はこれを丁寧に作ることにしている。夫のお弁当だから、というのもあるが、チューリップを作っていると、なんとなく自分がちゃんとした料理人のような気持ちになれるからだと思う。実際はただの主婦なのだが。

鶏肉には前の晩からはちみつと醤油とにんにくで下味をつけておいた。

片栗粉をまぶして、マフィン型のくぼみにひとつずつ収める。なかなかきれいに収まらなくて、骨の部分がはみ出したりもするが、それはそれで愛嬌だと思うことにした。

ちくわとピーマンは、すりごまと砂糖とみりんと味噌と醤油で和えた。甘辛い、ちょっとこってりした味付けである。厚揚げも同じ味付けにして、チーズをのせた。

それから卵をひとつ、シリコンカップに割り入れる。マフィン型のなかに並ぶ鶏肉と卵は、なんとも不思議な集団であった。生の状態で見ると、少々おそろしい景色でもある。

220度のオーブンに、全部入れた。
25分に設定して、タイマーを押した。

あとは待つだけである。

この25分というのが、案外よいのだ。フライパンの前で立ちっぱなしにならなくていい。
洗い物ができる。

コーヒーを飲める。ぼんやりすることもできる。

料理している間に料理以外のことが全部できてしまうのだから、人類はもっとオーブンを使うべきではないかと思った。

チンという音がして、オーブンを開けると、チューリップがこんがりと焼けていた。


卵は半熟になっていて、ちくわはすこしカリッとしていた。厚揚げの上のチーズがとろけている。

これをお弁当箱に詰める。

チューリップがたくさん入るので、なかなかの迫力のお弁当になった。ご飯と、目玉焼きと、ちくわピーマンと、チーズのった厚揚げ。あとは高菜と梅干しも入れた。

夫はこれを会社で食べる。どんな顔をして食べているのかは、知らない。
美味しかったとは言う。でも毎回言うから、本当かどうかはわからない。

まあ、25年近くお弁当を作り続けてきたのだから、今さらそのあたりを確かめなくてもいいのかもしれない。

マフィン型は、今日もお弁当のために使われた。
お菓子はまだ、作っていない。

🍱 今日のお弁当メモ

・鶏チューリップ(はちみつ・醤油・にんにく下味、片栗粉まぶし)
・ちくわとピーマンの味噌ごま和え(すりごま・砂糖・みりん・味噌・醤油)
・厚揚げの味噌チーズ焼き
・目玉焼き
・ご飯

調理法:220度オーブン25分

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