ブンブンチョッパーと生き残りたちの、夏野菜のドライカレー
夏野菜というものは、なんというか、元気がありすぎる。

ズッキーニはごつごつしているし、ピーマンは青くてつやつやしているし、かぼちゃに至っては切るだけで一仕事である。
「夏の野菜はパワフルだから身体にいい」などと言われるが、それはつまり、調理する人間もそれなりにパワフルでないといけないということなのだろうか。少し理不尽な気もした。
そんな夏野菜を、私はある日まとめてブンブンチョッパーにかけることにした。

ブンブンチョッパーというのは、ひもを引っ張ると中の刃がまわって食材を細かくしてくれる、なかなか頼もしい道具である。
野菜を入れて、ブン、と引っ張ると、あっという間に細かくなる。文明の利器とはこういうものだ、と思いながら、私はひたすらブンブンした。

ところが、である。
ブンブンしても、たまに細かくなっていない野菜が混じっているのだ。玉ねぎがわりと大きいまま残っていたりする。
まわりはもうみじん切りに近いのに、そいつだけちょこんと、ほぼ原形を保ったまま鎮座していた。

生き残り、という言葉が頭に浮かんだ。
なんの意地なのかはわからないが、たしかにそいつは生き残っていた。ブンブンのなかで、うまいことよけたのであろう。
たいしたものだと思いつつ、私は包丁でそいつをきちんと細かくした。生き残っても、結局は細かくされるのだ。世の中とはそういうものである。

全ての野菜を細かくしたら、無水鍋にオリーブオイルを多めに入れてじっくり炒める。

野菜がしんなりしてきたところで、鶏むね肉のひき肉を加えた。ちゃんと「2割引」のシールが貼ってあって、なんだか少し得した気分になった。

2割引というのは、見るだけで気持ちが明るくなる。これは本当のことだと思う。
ひき肉に火が通ったら、トマトをどさっと入れる。グツグツと煮込んでいくと、トマトからじわじわと水分が出てくる。

水は一切加えていないのに、鍋のなかはだんだんとにぎやかになってくる。
トマト自身の水分だけで、ちゃんと進んでいくのだった。野菜というのは、意外とたくましい。
最後にカレー粉を入れたら完成である。

できあがったドライカレーを、私はパンにつけてつまみ食いした。
つまみ食いというか、ほぼ試食である。でもつまみ食いと言いたい気分だったので、つまみ食いということにした。
食べてみたら、最高においしかった。

野菜の旨みとトマトの酸味と、カレーのスパイスが全部いっしょになって、パンに乗っかっていた。
プロテインも一緒に飲んだ。健康的なんだか、そうでもないんだか、よくわからない組み合わせだったが、おいしかったのでまあいいのである。
生き残りのじゃがいもも、ちゃんと入っていた。

きっと、おいしくなっていたと思う。
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