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私の中のバッテリー残量が減っていく

自分の住む街に戻ってきた夜、駅前の駐輪場で、顔なじみのおじいちゃんと少し立ち話をした。 他愛もない世間話だった。
自分の場所に帰ってきたんだと心がほっとした。



いや、楽しいは楽しかったんです、ほんと。
知らない人たちとの集団でほぼ一日中すごしたので
思ったよりHPが削られていきました。


退職してから久し振りに通勤時間帯の電車に乗って都会に行った。
日本一地価が高い、あのエリアへ。
参加の必要がある、とある集まりで、部屋に入ると、六十人はいただろうか。もしかしたらそれ以上。

初対面の人しかいない。
笑顔を交わし、うなずき合う。自己紹介もする。
誰もが意識の高い、とてもいい人たちだった。それは間違いない。
なのに、「集団の中にいる」というだけで、自分のバッテリー残量が、少しずつ減っていくのがわかった。

こういう場に出ると、いつも同じことが起きる。
人の声、視線、空気の揺れのようなものを、知らず知らず全部受け取ってしまう。
今回のように、楽しい集まりであればあるほど、人数が多くなるほど、その分だけ、こちらの充電は減っていく気がする。
そして自分の中のバッテリーを早々に減らさないために、行動も控えめになる。

思えば子供の頃は、もっと強く感じていた気がする。
教室のざわめきも、大人たちの機嫌も、いちいち肌に刺さるようだった。
大人になって、少しは鈍くなったつもりでいた。会社員を長くやれば、それなりに矯正されるものだと思っていた。

でも今日、六十人の部屋の中で気づいた。
鈍くなったのではなく、うまく隠す術を覚えただけだったのかもしれない。
中のセンサーは、あの頃とそう変わっていない…というか、会社という組織から離れたことで、その部分が戻ってきたのかも。

用事が終わったあとも、すぐに帰る人は少なくて、参加者同士でお喋りに花が咲いていた。
小さな輪をいくつも作っているのはほとんどが女性で、誰もが楽しそうだったが…私は外の空気に触れたくて、先に失礼させてもらった。
こういう時、自分は本当に女なのだろうかと、埒もないことを考えたりする。むろん、そういう話ではないのだけれど。

帰り道、街を見ながら地下鉄に向かう。
すれ違う海外からの観光客たちは、みな驚くほど元気そうだった。
観光地を歩き回り、写真を撮り、声を上げて笑っている。あの体力は、いったいどこから来るのだろう。

家に着くまでの時間が、やけに恋しかった。静かな落ち着いた部屋、私の空間。
そこに戻れると思うだけで、少し息がしやすくなる。

楽なほうに慣れるのは、こんなにも早いものなのか。それとも、もともとこちらが、自分に合った速さだったのだろうか。






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碧乃よしえ@やさしいエッセイマンガ 最後まで読んで下さりありがとうございます。いただいた応援は、マンガや文章など、誰かの心がほっとする作品づくりに使わせていただきます。これからも一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。