外来種問題と「外国人排斥」を混ぜてはいけない理由
ギョッとした漫画
昨日、XのTLであるポストを見かけてギョッとした。
少子化で労働力が足りなければ 移民を受け入れればいいじゃない pic.twitter.com/Yad7G9c0W2
— 4氏 (@mitarai_4shi) May 18, 2025
日本の池にアメリカザリガニが入ることで、環境が激変する様を移民問題に落とし込み表現しているマンガだが、この漫画の表現方法は、私が環境省の仕事で描いたアメリカザリガニ防除のイラストに似ており、実際引用ポストでは、私が描いたものだと勘違いしている人もいた。


公的に使われた絵を模倣して、外国人排斥のプロパガンダとも取られるコンテンツを生み出すとは醜悪極まりない。
外来種問題と移民問題を混合してはいけない
この漫画は、外来種問題を移民問題を当てはめることで、外国人排斥にも取れる表現になっている。これはいけない。外来種問題と移民問題は全く別の問題だ。
人間の移出入は人間という生物内で自発的に起こっていることだが、外来種は人間がその生物の事情を顧みず勝手に移出入してる問題だ。言い換えれば、
「人間が生物の意志など関係なしに、身勝手によその地域から運んできた人間以外の生物」
に対する問題なのだ。アメリカザリガニは本来なら太平洋を渡って来日したりなどしない。人間の都合で、ウシガエルの餌として連れてこられた生物だ。

ウシガエルもまた同様に人間の都合で、アメリカから連れてこられた。
先ほどの漫画では、ドジョウ、ゲンゴロウ、メダカなどの在来種が望んでアメリカザリガニを池に招き入れているような表現をしている。全くもって正しくない。言語道断である。
外国人排斥につながるような表現に、在来種と外来種を利用してはいけない。外来種問題では、駆除・制御・防除などの科学的アプローチが用いられる。しかし人間に対してそのような“排除的”手段をとれば、人権侵害やヘイトクライムになる。
陥りがちな落とし穴
だが、このような連想は、外来種問題を語る際に陥りがちな落とし穴だとも言える。外来種問題を語る際には、ここをかなり注意しないといけない。相手が理解の乏しい子供だったりすると外から来たものを一緒くたに考えて、同級生の外国人の子を排斥するような行動を取りかねない。また、短絡的にヘイトスピーチにつなげてしまう人もいる。
外来種問題は、人間が引き起こした人間以外の生物の問題であって、人間同士の問題ではない。
実際、最近あまりにも外国人排斥の気運が強くなりすぎて、自分の外来種に関するポストも、レイシストの主張に利用されていないかとヒヤヒヤしている。
「外来=悪」ではない
池の水を全部抜く番組などで、殊更に外来種を悪者として取り上げたが、外来種問題の根本はその外来種を導入、拡散させた人間(多くの場合は日本人)にある。
外来種のすべてが有害なわけではない。また、外国人の存在が社会にとって必ずしも負担や脅威ではなく、多くは貢献している。外来種問題は、生態系のバランスや在来種への影響という生物学的・環境的な課題であり、外国人排斥は、国家・社会における人権・差別・共生の問題だ。
外来種は“生物種”としての適応や競争力が問題になるが、人間には文化的多様性・人格・自由意志があり、生態系の侵略的外来種と同列に扱うのは非倫理的だ。
外来種問題を「ヘイトの道具」として使ってはいけない
幸い、当該のポストには批判が集中して、コミュニティノートがついている。だが、それ以上のイイねがついている。
外来種問題をわかりやすく理解してもらうため、イラストや漫画の手段をとってきたが、ヘイトの道具として流用する人が現れたことを残念に思う。
外来種問題は環境保全の話、
外国人との共生は人権と社会の話。
この二つを混同すると、科学も社会もどちらも歪む。
どちらも大事だ。しかし、混ぜてはいけない。
それでは、読んでいただきありがとうございました。ヒトが引き起こした外来種問題に関しては、こちらの本を読んでいただくと、より理解が深まると、専門家の方からもお墨付きをいただいております。
「侵略!外来いきもの図鑑 もてあそばれた者たちの逆襲」良い本です。五箇先生が監修されてて内容も正確です。外来種が悪いんじゃなくて人間が悪いんだけど害があるから対策しなきゃいけない、ということがどういうことかよくわかると思います。この分野で必読の書のひとつ。https://t.co/jZ8Xi0D2HR
— オイカワ丸 (@oikawamaru) July 11, 2020
ちなみに、よく日本ザリガニだと勘違いされがちな灰色で小さく地味な個体はアメリカザリガニの幼体です。ニホンザリガニは北東北以北の山間部の清涼な沢で落ち葉などを食べている生き物なので、そこら辺の池や用水路にはいません。


また、アメリカザリガニは条件付特定外来生物にしていされているので、そこら辺に放してしまったり、逃がしたりすると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。ご注意ください。
詳しくは、こちらの記事をご参考ください。
追記:外来種の駆除が必要な理由
noteにこのような意見をいただきました。
書かれていることはもっともな内容で全く異論はないのですが、例えばザリガニは全国に生息域を広げて既に50年以上になる。ブラックバスもそれに近いかな。だからなぜ今になって外来種騒動が起こるのかが分からないのです。駆除は不可能で、いまや日本の生態系を担っているとも言えますね。ザリガニやジャンボタニシに関してはため池や水田で駆除する必要があるでしょうが、外来種をテレビの視聴率や製作費削減のために利用する風潮にはどうしても馴染めない。もう間に合わないものを今なぜ大仰に騒ぎ立てるのか。外来種にも生存権はあると思うのです。
— T・Shirano (@astroboy-2007.bsky.social) 2025-05-21T07:27:41.244Z
もはや駆除は不可能、日本の生態系を担っているというご意見ですが、駆除は不可能ではなく、間に合わないことはありません。捕獲を継続し低密度化させることによって、日本本来の生態系を担う在来種が戻ってきた成功事例が報告されています。
また、外来種が長年定着していても、生態系への影響は今なお進行中です。ザリガニやブラックバスが在来種を捕食・競合し、生物多様性を著しく損なっています。放置すれば被害は拡大し、回復困難になります。また、未侵入地域への拡大を防止するためにも、駆除は必要です。
駆除は不可能ではなく、間に合わないことはありません。捕獲を継続し低密度化させることによって、日本本来の生態系を担う在来種が戻ってきた成功事例が報告されています。 www.env.go.jp/nature/ameza... www.env.go.jp/nature/ameza... 外来種が長年定着していても、生態系への影響は今なお進行中です。ザリガニやブラックバスが在来種を捕食・競合し、生物多様性を著しく損なっています。放置すれば被害は拡大し、回復困難になります。また、未侵入地域への拡大を防止するためにも、駆除は必要です。 bsky.app/profile/astr...
— ウラケン・ボルボックス (@ulaken.bsky.social) 2025-05-21T08:20:34.258Z

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