部下が自分で動き出す「紙一枚マネジメント」|交換日記日報という育成法
管理職18年の現場で見えた「紙一枚」でチームを整える思考整理術④
管理職になると、多くの人がぶつかる壁があります。
それは
「部下のマネジメント」です。
プレイヤーとして成果を出してきた人ほど、
「なぜ部下は同じようにできないのか」
「どうすれば部下は主体的に動いてくれるのか」
と悩むことが多いのではないでしょうか。
私も18年前、初めてマネージャーになったとき、
まったく同じ壁にぶつかりました。
売上は伸びない。
チームの雰囲気も悪い。
そして残業だけが増えていく。
そんな状況を変えたのが
**「紙一枚マネジメント」**でした。
この記事では、私が10年以上実践している
「交換日記日報」というマネジメント方法についてお話しします。
これは数字を管理する日報ではありません。
部下が自分で考え、主体的に動くチームを作るための日報です。
この連載について
この記事は
「管理職18年の現場で見えた
『紙一枚』でチームを整える思考整理術」
というシリーズの第4回です。
流通業界で管理職を18年経験する中で、
私が実際の現場で使ってきた
思考整理の方法
を紹介しています。
このシリーズでは
・会議
・思考整理
・読書
・マネジメント
・手帳術
など、日々の仕事の中で使える
「紙一枚」の思考整理術を紹介しています。
ベースにある考え方は
ソリューションフォーカス(解決志向)
問題ではなく
「次の一歩」に焦点を当てる思考です。
そして、その思考を支えるツールが
紙一枚思考です。
マネージャーになって最初にぶつかった壁
もう18年前になりますが、
私が初めてマネージャーになったときのことです。
プレイヤーとしては、
それなりに成果を出していました。
仕事もできていたと思います。
だからこそ、マネージャーになりました。
しかし、それはあくまで
プレイヤーとしての評価でした。
私はもともと
・人に頼むこと
・人に教えること
があまり得意ではありませんでした。
どちらかというと
自分でやった方が早いタイプです。
その状態でマネージャーになると、
ある問題が起きました。
自分のレベルを
そのまま部下に求めてしまったのです。
教えてもいないのに
「なんで出来ないんだ」
「なんでこんなレベルなんだ」
と勝手に腹を立てる。
そして
「もういい、私がやる」
と仕事を取り上げてしまう。
当然、部下との関係は悪くなります。
部下は
「なんだあのマネージャー」
と思い、協力してくれなくなりました。
私は
「なんだこの部下たちは」
と部下たちに怒り覚えるようになりました。
チームの雰囲気は最悪でした。
売上も伸びません。
その一方で、私の残業だけがどんどん増えていきました。
マネジメントを変えた「交換日記日報」
そんな私を見て、
ある日、妻が一冊の本を差し出してくれました。
それが
「解決志向の実践マネジメント」という、
ソリューションフォーカスの本でした。
そこには
問題ではなく「できていること」に注目する
考え方が書かれていました。
私は、これだと思いました。
しかし、当時の私は
部下との関係が悪く、
コミュニケーションもうまく取れていませんでした。
そこで考えたのが
「紙一枚」を使ったマネジメント
でした。
こうして生まれたのが
交換日記日報
です。
これは数字を管理する日報ではありません。
部下には毎日、
・今日できたこと
・それをさらに良くするためのスモールステップ
この2つだけを書いてもらいます。
時間は
5分〜10分
帰る前に書いてもらいます。
そして私は、
翌朝出勤したときにコメントを書きます。
最初は正直、うまくいきませんでした
ただ、最初からうまくいったわけではありません。
当時は部下との関係も良くなかったので、
部下は口には出さないものの、
「面倒くさいことやらせるな…」
という顔をしていました(笑)
書いてくる内容も
「挨拶ができた」
など、本当に一行だけ。
「とりあえず書きました」
という感じが伝わってきました。
そんなコメントに対して、
私はコメントを書き続けていきます。
例えば、
「今日もお客様に気持ちの良い挨拶をありがとう。
田中さんの挨拶は素敵だなと思っていたので、
これからも素敵な挨拶でお客様を迎えてください。」
そんなふうに
部下の気づきを承認するコメントを書き続けたのです。
部下が自分で考え始める
すると少しずつ変化が起きました。
部下が
「今日は何を書こう」
と考えるようになったのです。
仕事中の出来事に
アンテナを張るようになっていったのです。
今までなら気づかなかったことにも
「こんなことがあった」
「こんなことができた」
と気づくようになっていきました。
そして
「次はこうしてみよう」
と、自然とスモールステップを考えるくれるようになりました。
つまり
自分で課題を見つけ、自分で改善を考える
ようになったのです。
残業200時間が40時間に減った
この日報を続けることで、
チームにも大きな変化が起きました。
最初はぎこちなかった関係も、
交換日記日報を通して少しずつ変わっていきました。
私が部下の書いてくれた内容にコメントを書き続けることで、
部下も少しずつ私を信頼してくれるようになったのです。
すると、ある変化が起きました。
部下が日報の中で
提案を書いてくるようになったのです。
「こんな売り場を作ってみたいです」
「こんなことをやったらお客様が喜ぶと思います」
そんな小さな提案です。
私はそれを見つけると、すぐに
「いいですね、やってみましょう」
と承認しました。
すると部下は
「自分の提案をやっていいんだ」
と、驚きながらも、嬉しそうにしていました。
そしてその話を、
他の部下にも話していきます。
すると
「じゃあ自分もやってみよう」
と、提案が少しずつ増えていきました。
そうして気がつくと、
現場のアイデアは私一人ではなく、
チーム全員から生まれるようになっていったのです。
すると自然と、社員の仕事は減っていきました。
それまで私が一人で考えていたことを、
チーム全体で考え、実施するように変わったからです。
そしてもう一つ、思わぬ変化がありました。
色々な人のアイデアが実行されることで、
自然と売上も上がっていきました。
一番うれしかった言葉
その後、私は別の店舗へ異動しました。
新しいマネージャーが配属されて、
しばらくしてから言われた言葉があります。
「諏訪さん、このお店のスタッフは
自分で何でもやってくれるので、
私はやることがなくて楽させてもらっています。」
その言葉を聞いたとき、
ああ、このマネジメントをやってきて
本当に良かったと思いました。
まとめ|マネジメントは小さな対話の積み重ね
「紙一枚」マネジメントは
特別なツールではありません。
やっていることはとてもシンプルです。
部下が
・今日できたことを書く
・次の小さな一歩を書く
そして上司が
・その気づきを承認する
たったこれだけです。
しかし、この小さな対話の積み重ねが
チームを変えていきます。
私はこの方法を
もう10年以上続けています。
多いときは20人、
今も5人のチームで実践しています。
私のマネジメントの信念は
「この職場で働けて良かった」
と部下が心から思える環境を作ることです。
「紙一枚」マネジメントは、
そのためのとてもシンプルな方法だと思っています。
次回予告
この記事は
「紙一枚」でチームを整える思考整理術
シリーズの第4回です。
次回は
「紙一枚手帳術」
についてお話しします。
忙しいビジネスパーソンでも
思考を整理しながら予定を管理できる
シンプルな手帳の使い方です。
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このシリーズでは、
流通業界で管理職を18年経験する中で私が実践してきた
「紙一枚でチームを整える思考整理術」
を紹介しています。
これまでの記事はこちらです。
第1回
会議が長い会社の共通点
第2回
紙一枚思考とは何か
第6回
管理職18年の現場で見えた「紙一枚」でチームを整える思考整理術まとめ
