宇宙叙事詩の科学ノート 第32回 抽象化とは何か
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第2章「想像するもの」では、埋葬、象徴、神話、星座を扱った。一見すると、それぞれ全く別の話に見える。しかし、その背後には共通する一つの能力がある。それが抽象化である。
抽象化とは、個別のものごとから共通する特徴を取り出し、概念として扱う能力である。
例えば、目の前に一頭の鹿がいる。別の場所にも鹿がいる。大きさも違う。色も違う。角の形も違う。それでも私達は、それらをまとめて「鹿」として認識できる。これが抽象化である。
現代人にとっては当たり前の能力だが、人類の進化においては極めて重要な意味を持つ。なぜなら、抽象化によって人類は、目の前に存在しないものを扱えるようになったからである。
1 埋葬
埋葬は、人類史上最も古い抽象化の一つと考えられている。
目の前にあるのは遺体である。しかし埋葬を行う人々は、そこに単なる物体以上のものを見ている。
花を添える。道具を残す。土をかける。これらの行為は、死者という概念を共有していなければ成立しない。
死者は見えない。しかし共同体は、その存在を扱い始める。ここに抽象化能力の萌芽を見る研究者は少なくない。
2 象徴
洞窟壁画や装飾は、さらに高度な抽象化を示している。
壁に描かれた動物は本物ではない。しかし人々は、その絵を見て実物を思い浮かべる。つまり絵は、対象そのものではなく、対象を表す記号になっている。これを象徴という。
象徴の成立は、後の文字や数学の基礎となる。人類はここで、世界そのものではなく、世界を表すものを扱い始める。
3 神話
抽象化能力がさらに発達すると、人類は物語を生み出す。
祖先、精霊、神々。それらは目の前には存在しない。しかし共同体は、それらを共有し、語り継ぎ、行動の基準として用いる。
神話は単なる空想ではない。共同体が世界を理解するための枠組みである。近代科学が登場する以前、神話は世界を説明する最も重要な方法の一つだった。
4 星座
星座は抽象化能力を最も分かりやすく示す例かもしれない。
夜空には無数の星がある。しかし実際には、星と星の間に線は存在しない。それでも人類は、そこに動物や人物の形を見出した。つまり人類は、存在しない線を心の中で描いたのである。
星座は単なる想像ではない。季節を知り、航海を行い、共同体で知識を共有するための重要な道具でもあった。
5 抽象化がもたらしたもの
抽象化能力は、埋葬、象徴、神話、星座だけを生み出したわけではない。
国家、法律、貨幣、宗教、数学、科学。それらもまた、抽象化能力の上に成立している。
人類は、目の前に存在しないものを共有できる。だからこそ、巨大な共同体を作ることができた。
その一方で、境界や対立も生み出した。
抽象化は、人類を人類たらしめた能力の一つである。そして第2章「想像するもの」で描かれているのは、まさにその能力が立ち上がる瞬間なのである。
※ noteによるAI自動翻訳(英訳)版も公開されています。興味のある方は、下記からご覧ください。👇
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🌐 Scientific Notes on the Cosmic Epic, Part 32: What is Abstraction?
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