noteマガジン『となりの億万長者』
昔、同じ町内にひとりの“大金持ち”がいた。
くたびれた作業服に、園芸用の黒い足袋を履いて
趣味にしては広い畑でのんびり野菜を育てている、そんなおじさん。
どう見ても田舎のおじさんで
でも、毎年 新聞で発表される長者番付の常連だった人。
「どうやら無農薬レストランを経営しているらしいよ」
「サプリメントの事業をやってる会社の社長でもあるらしい」
何でそんなにお金があるのか 人づてにしか聞いたことがない
不思議なおじさん
──そんな“となりの億万長者”に、私はたくさんのことを教わりました。
教わった、といっても、何かを教えられたわけじゃない。
ただ、ときどき発せられるひとことが、人生の急所に突き刺さるんです。
「あんた、そのうちお金に困ることになるよ」
「いい人たちでも、一緒にいちゃいけないんだ」
失敗だらけだった30代。
介護に追われ、生活が崩れ、仲間にすら見捨てられかけたあの頃。
慰めてくれた人たちは優しかったけれど、
本当に人生を変えてくれたのは、優しくない人たちでした。
おじさんはもう亡くなり、
その息子さんも先日、静かにこの世を去りました。
いま私は、その会社を
未亡人の奥さまとともに共同経営しています。
お金の話はしていないのに、これは確かに「お金の話」。
ビジネスの話はしていないのに、これは完全に「実業家の話」。
あなたのそばにも、
“となりの億万長者”がいるかもしれません。
ただ、気づいていないだけで。
