ヤバすぎる男、スメルジャコフにご用心・・・「カラマーゾフを読む」(24)
ヤバすぎる男、スメルジャコフにご用心・・・「カラマーゾフを読む」(24)
第三編 好色な男たち 六 スメルジャコフ
この章ではカラマーゾフ家の召使であるスメルジャコフについて語られます。スメルジャコフはすでに第二章でその母親について語られていましたが、この章ではいよいよその本人について見ていくことになります。
ただ、この章を読んで気分が良くなったという人はほとんどいないでしょう。
なにせこのスメルジャコフという男があまりに陰惨で絶望的に暗い人間なのです。
特に「少年時代には、猫を縛り首にして、そのあと葬式をするのが大好きだった」というエピソードはあまりにどぎついです。
そんなスメルジャコフに対しグリゴーリイが「お前なんぞ、人間でねえわさ。お前は風呂場の湯気から湧いて出たんだ、それがお前さ……」と怒りの声をぶつけましたが、これをスメルジャコフは絶対に許すことができなかったと解説されます。
まあ、自分の母親のあまりに特殊な出産と死をこのように言われてしまったら怒るのも無理はありませんが、それにしてもこのスメルジャコフの卑屈さは度を越しています。
この強烈な個性は、やはり彼もカラマーゾフの血を継いでいるとしか思えません。召使として黙々とフョードルに仕えていますが、この男、ヤバすぎます。この登場時点ですでに危険な匂いがプンプンしています。直情的なドミートリイなんぞよりよっぽど危険で陰湿な空気を醸し出しています。本当に恐るべきはこういう人間なのです。
そしてこのスメルジャコフについて重要なのが、彼が重度のてんかんを発症するようになったということです。このてんかんの発作が物語の鍵になっていきます。
ちなみに、てんかんといえば、当のドストエフスキー自身が苦しみ続けていた病気でした。その病状については「(6)ドストエフスキーが生涯苦しんだ持病てんかんの発作を目の当たりにするアンナ夫人」の記事で詳しくお話ししているのでそちらを参照して頂ければと思います。
また、この章ではフョードルがスメルジャコフのことを頭から信じ込んでいるということも明かされます。落とした金を盗みもしないスメルジャコフにすっかりフョードルは感心してしまったのです。
このスメルジャコフへの信頼も物語の大きなカギになりますのでしっかり頭に入れておきましょう。
続く
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