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ウォルトの伝記などおすすめディズニー解説本12選~思想・文化としてのディズニーはこんなにも奥深い


はじめに

さて、いきなりですがこの記事を見て「僧侶のブログでなぜディズニーについての本を紹介するのか」と疑問に思われた方もおられるかもしれません。

たしかにディズニーはエンタメ的なもので仏教とは全く関係のないものというイメージがあるのは事実でしょう。

しかし、ディズニーは単なるエンタメ的なもので終わる存在ではありません。思想的、歴史的、芸術的にも圧倒的な力を持っているのも事実です。

私はそうしたディズニーに興味を持っています。元々ディズニー映画が好きだったということもありますが、ここに来てさらにその芸術性や物語のパワーに圧倒されている自分がいます。やはり知れば知るほどその奥深さが見えてくるということがあります。

今回の記事ではそんな奥深いディズニーについて知ることができるおすすめ解説書を紹介していきます。

では早速始めていきましょう。それぞれのリンク先ではより詳しく本を紹介していますのでぜひそちらもご参照ください。


1 クリストファー・フィンチ『ディズニーの芸術』

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本作『ディズニーの芸術』はディズニー作品の歴史を知れるおすすめ作品です。

まず何と言ってもイラストや写真、資料がとにかく豊富!見ているだけで楽しい一冊です。

そしてこの本を読んでいると「えっ!そうだったの!?」と驚くことがどんどん出てきます。今まで観てきたディズニー作品がいかにとてつもない「芸術作品」だったのかがよくわかります。

そもそもウォルト・ディズニーその人のことすら私たちはほとんど知らないですよね。私もそうでした。彼が1901年生まれということも全く知りませんでしたし、関心すらありませんでした。


ウォルト・ディズニー(1901-1966)Wikipediaより

ですがディズニー作品にはやはり彼の生涯や哲学がふんだんに反映されています。この本を読めばディズニー作品の見え方がまるで変わってきます。

ミッキーのデビュー作『蒸気船ウィリー』は1928年に公開されました。ここに至るまでのウォルト・ディズニーの奮闘と裏話も本書では詳しく書かれていて非常に興味深いです。「まさかこんな状況から生まれていたとは!」と私も驚きました。

そしてこの作品がいかに画期的か、そしてどれほど高度な技術や労力をつぎ込んだのかがよくわかります。本書の解説を読んでからこの作品を見ると、もはや芸術界の金字塔のように見えてきます。それほどこの作品はすさまじい作品だったのです。

この後にも紹介する新井克弥著『ディズニーランドの社会学 脱ディズニー化するTDR』でも本書は、

この本では主としてアニメが制作される過程をビジュアル満載で展開している。初版は一九七〇年だが、三十年間で五十万部を売り上げ、また新しい内容を盛り込んだ改訂版が出るなど、この分野の定本的な存在だ。

青弓社、新井克弥『ディズニーランドの社会学 脱ディズニー化するTDR』P200

と推薦されています。

この本はディズニーをもっと知りたい方にぜひぜひおすすめしたい名著です。


2 能登路雅子『ディズニーランドという聖地』

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本書は1955年にアメリカ・カリフォルニア・アナハイムで開業したディズニーランドを中心に「ディズニーとは何なのか」を考察していく作品です。

そして本書タイトルにもありますように、本作は「聖地」「信仰」「文化」という側面からディズニーを見ていく点にその特色があります。僧侶である私にとってこれは非常に興味深いテーマであります。

「私にとって興味がつきないのは、遊戯やレジャー空間とのディズニーランドの姿であるよりは、アメリカ国民の多くがこの場所に寄せる特殊な、信仰にも似た想いであり、また、そのような民族色の強い文化遺産が、一方で世界に広がっているという現象である。」

本書はまさにこのことについて文化人類学的、社会学的に深く掘り下げていきます。はっきり申しましょう。

「この本はものすごく面白いです・・・!」


3 新井克弥『ディズニーランドの社会学 脱ディズニー化するTDR』

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この本は「ここがすごいよディズニーランド」的なことを述べていく本とは違います。あくまで社会学的に、ディズニーランドという現象を見ていきます。

なぜ東京ディズニーランドは本家本元とは違う独自の路線を取るようになったのか。そしてなぜ別路線を取ったにも関わらず営業利益が伸び続けているのかということを様々な視点から考察していきます。これは面白い!

「なぜ私たちはディズニーランドに魅了されるのか」

「日本独自のディズニー受容とは何なのか。何が海外と違うのか。そしてそこから見えてくる日本人のメンタリティーとは」

こうしたことを考えさせられる非常に刺激的な一冊です。

また、本書巻末ではディズニーについて学ぶためのおすすめ参考書が多数掲載されています。この本のおかげで勉強の道筋を立てやすくなりました。ディズニーをもっと知りたいという方にぜひおすすめしたい一冊です。


4 ニール・ゲイブラー『創造の狂気 ウォルト・ディズニー』

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本書はミッキーマウスの生みの親ウォルト・ディズニーのおすすめ伝記です。

本書の特徴は何と言ってもその中立性にあります。この本は過度にウォルトを賛美するのでも批判するのでもありません。あくまで中立という姿勢で叙述されます。

この中立という立場は言われるまでもなく当たり前のことと思われるかもしれませんがウォルトほどの巨人ともなるとなかなかそうはいきません。ディズニー側からはもはや神格化され大本営発表的な情報が出され、そうかと思えば政治的、思想的なスタンスからウォルトを悪魔のような人物としてこき下ろすということが多々あったのでありました。

上で紹介した新井克弥著『ディズニーランドの社会学 脱ディズニー化するTDR』でも本書はその中立さゆえに推薦されています。


5 ボブ・トマス『ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯』

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本書はディズニー社公認のウォルト・ディズニー伝で、ディズニーにおけるバイブル的な書物となっています。

この本はたしかにある程度大本営発表的な面もありますが、ディズニーが好きで、もっとディズニーを知りたいという方にはぜひおすすめしたい伝記です。ウォルトの生涯や彼の理念がわかりやすく説かれています。

歴史研究が進んだ現代において、イエス・キリストにせよブッダにせよ、歴史的存在としてのキリスト、ブッダ像が言われることが多くなりました。「神話的、宗教的な伝承は正確ではなく、史実ではこうだった(であろう)」という論説です。

ですが、たとえ史実はそうであろうと、それを信仰してきた側においては神話的、宗教的な伝承を受けとり大切にしたきた歴史があります。それは動かしがたい事実です。宗教とは何かを考える上でこのことは非常に重要な視点です。

ディズニーの人気の秘密、そしてディズニー神話について学ぶならやはりバイブルとして大切にされている本を忘れてはならない、そのことを再確認した読書となりました。

伝記そのものとしてはニール・ゲイブラーの方が内容も充実していて面白いのですが、いかんせんかなり分厚く、読むのにも少し骨が折れます。それに対し、ボブ・トマスの伝記は割とすっきり書かれ、さらにウォルトのよい面や功績がわかりやすく説かれるので入門としてはこちらの方が読みやすいかもしれません。私個人としてはどちらを読んでも問題はないと思います。(できれば両方を読んでその違いを比べてみるのがベストではありますが)

ディズニーファンにぜひおすすめしたい一冊です。よりディズニーのことが好きになること間違いなしです。


6 リチャード・スノー『ディズニーランド 世界最強のエンターテインメントが生まれるまで』

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本書『ディズニーランド 世界最強のエンターテインメントが生まれるまで』は1955年に開業したアメリカ、カリフォルニア・アナハイムのディズニーランドの歴史を知れるおすすめの参考書です。

ディズニーランドと言えば誰もが知る夢の国でありますが、その起源となると意外とわからない!私もその一人でした。

1983年に開業した東京ディズニーランドから遡ること28年。(1990年生まれの私にとって、東京ディズニーランドの開業年ですらよくわかっていませんでした)

カリフォルニアのオレンジ畑や荒野の中に突如出現したディズニーランド。本書はこの前代未聞の巨大テーマパークはいかにして誕生したのか、そしてなぜ私たちはこんなにもディズニーランドに惹かれてしまうのかがよくわかる一冊です。

この本は単にディズニーを礼賛するのでもなく、その逆に暴露や誹謗中傷するものでもありません。帯に「今こそ読みたい壮大ノンフィクション」と謳われるように、ディズニーランド誕生と開業後の展開をドキュメンタリー風に見ていくことになります。

ウォルト・ディズニーの超人的な想像力、働きぶりはもちろん、彼の無謀な挑戦を現実化させた数多くの人々の奮闘がこの本では描かれます。正直申しまして、ウォルトをはじめこの本で語られるディズニーランド建設の現場は常軌を逸しています。信じられないほどの仕事量です。現代から見るととんでもない超過労働ですが、この猛烈な働きっぷりがなければとてもではありませんがディズニーランドは成立しなかったことが明らかにされます。しかも笑ってしまうほどのドタバタ、無茶な計画でこのテーマパークは作られていました。

いや~面白い!ぜひぜひこのディズニーの恐るべき底力を読んで頂きたいです。


7 山口有次『新 ディズニーランドの空間科学―夢と魔法の王国のつくり方』

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本書は他のディズニーランド本とは異なり、建築や空間の仕掛けに特化した一冊となっています。

ディズニーランドは単にアトラクションが敷地内に並べられているのではなく、そのひとつひとつに客を楽しませる仕掛けがなされています。

有名なのはパーク内から外の世界が見えないようになっていることや、シンデレラ城など高さのある建物は上にいくほど縮尺が小さく作られ、その結果建物が大きく見えるという仕組みです。

たしかにこれはランドに行くと実感しますよね。パーク内にいると外の世界を忘れて、まさに夢の世界を体感します。そして私自身もディズニーランドに行きずっと不思議だったのですが、シンデレラ城やビックサンダーマウンテンの山が遠くに見えるのに歩いてみると意外とすぐに着いてしまうのでした。その時は楽しいから歩いた時間すらあっという間だったのかなと思っていたのですが、この仕組みもまさにディズニーの仕掛けた空間科学なのでした。

本書ではかなり細かくそうした仕組みを見ていきます。「空間科学」と言いますと何か専門的で難しく感じてしまうかもしれませんが、この本はイラストや図も多数掲載され、解説もとてもわかりやすいです。専門知識がなくとも気軽に読むことができますのでご安心ください。


8 有馬哲夫『ディズニーランド物語 LA-フロリダ-東京-パリ』

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本書は1955年にカリフォルニア、アナハイムで開業したディズニーランドからフロリダ、東京、パリ、香港とディズニーランドの歴史を概観できるおすすめの解説書です。

本書の特徴は単にそれぞれのディズニーランドの歴史を見ていくのではなく、そこに人間ドラマがふんだんに盛り込まれている点にあります。ディズニーランドという巨大なプロジェクトを進めるにあたり、そこには様々な人間ドラマがありました。

「テーマパーク・プロジェクトほど人間ドラマが浮き彫りになるものはない」

これぞ本書の面白さの真髄です。ディズニーランドの歴史そのものもものすごく面白いのですが、これがあるからこそ本書は一挙に刺激的な作品となっています。私も一気に読み込んでしまいました。


9 野口恒『「夢の王国」の光と影 東京ディズニーランドを創った男たち』

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この本は実に刺激的です。ものすごく面白い!まるで映画を観ているかのような臨場感です。これはもうぜひ実写化して頂きたいです。最近はディズニー映画も興行的に苦戦しているようですが、東京ディズニーランド誘致の舞台裏を描いたこのドラマを完璧に再現すればかなり多くの人が関心を持つのではないでしょうか。それほど面白いです。『半沢直樹』的な作風にすればさらに完璧だと思います。その世界観でも全く違和感なく語れてしまうほどこのノンフィクションは波乱万丈でスリリングです。

この本はディズニーに興味のある方だけではなく、何かを始めようとするビジネスマンの方にも刺さると思います。熱い思いと行動力、粘り強さと機転、一発逆転の舞台裏など、読んでいて思わず胸が熱くなる作品です。私も一気に読み切ってしまいました。非常に優れた作品です。これは間違いありません。


10 有馬哲夫『ディズニーとライバルたち アメリカのカートゥーン・メディア史』

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本書はウォルト・ディズニーが生み出したミッキーマウスとそれを取り巻くアメリカのアニメ業界との関係性について学べる作品です。

ディズニーランドの始まりはたしかにミッキー・マウスの誕生からかもしれませんが、ミッキーというキャラクター自身も無から生まれたわけではありません。ミッキーが生まれるまでにウォルト自身も数々のキャラクターを手掛けていました。

さらに言えばこれらのキャラクターもウォルトが無から創造したのではなく、当時の映画やアニメ業界からインスピレーションを受けて(露骨に言えば模倣して)制作したものでした。

そうです。ミッキーマウスも世界の相互作用の結果生まれてきた存在なのです。ある日突然天才ウォルトの脳内に浮かんできた唯一無二の存在ではないのです。本書ではミッキーマウスが生まれる背景となったアニメ業界の内幕や先行キャラクターを詳しく見ていきます。

本書はとにかく盛りだくさんです。普通のディズニー解説書とは一味違った魅力が満載のおすすめ本です。やはり時代背景を知れるのは面白い!ぜひぜひおすすめしたい一冊です。


11 大野裕之『ディズニーとチャップリン』

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本書は喜劇王チャップリンとミッキーマウスの生みの親ウォルト・ディズニーの師弟関係を知れるおすすめ作品です。

これまで当ブログではウォルト・ディズニーについてニール・ゲイブラー著『創造の狂気 ウォルト・ディズニー』やクリストファー・フィンチ著『ディズニーの芸術』など、様々な本を紹介してきましたが、やはりそれらの本でもウォルトとチャップリンの関係が書かれていました。ですがそれらの本ではそこまで深くは掘り下げて書かれていませんでした。それに対して本書はチャップリンとウォルトの生涯を概観し、さらに彼らの制作理念や二人の結びつきを詳しく見ていきます。これは刺激的です。


12 ボブ・トーマス『ディズニー伝説』

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本書の特徴は何と言ってもミッキーマウスの生みの親ウォルト・ディズニーの兄ロイ・ディズニーに焦点を当てている点にあります。

ロイ・ディズニー(1893-1971)Wikipediaより

上でも紹介したニール・ゲイブラー著『創造の狂気 ウォルト・ディズニー』など、あの天才ウォルト・ディズニーについて書かれた本は数多くあれど、その兄ロイにスポットを当てた本というのはかなり貴重です。

「ウォルトは表舞台で活躍し、ロイは裏方だった。形は違っても、ロイはウォルトと変わらないほどの天才だった。ニ人は何度か社運を賭けた勝負に出たが、その度に窮地を救ったのはロイだ」

そうなのです!いくらウォルトの天才的な創造力があったとしても、それを実現する資金と環境を用意できなければ破滅しかないのです!ウォルトの伝記でもそのことは強調されていました。天才ウォルトは実務的なことが全く見えていません。彼が見ているのはその作品の究極のクオリティーだけなのです。無謀としか言いようのない計画をウォルトはいつもぶち上げます。予算は前代未聞の金額で人員の確保も必要となってきます。普通なら絶対に不可能なはずのその企画を実際に完成に導いた陰の功労者こそロイ・ディズニーというもう一人の偉人なのでした。

天才という存在についてこの本では非常に興味深い視点を味わうことができます。

天才も天才だけでは世に出てはいけない。支えてくれる実務家の存在も重要なのだということを感じさせられます。

実に刺激的な一冊でした。

おわりに

日本は世界でも類がないほどディズニーが浸透している国のひとつだと思います。

ですが、その人気は単に娯楽的な側面だけでは片づけられません。その歴史や奥深さを知ればもっとディズニーを楽しめることは間違いありません。あの三島由紀夫ですらメロメロになったのです。その凄まじさを私は強調したいです。ディズニーランドには三島をも魅了する何事かがあったのでした。

また、この記事では紹介できませんでしたがディズニー好きにはぜひディズニープラスのドキュメンタリーもおすすめしたいです。

ディズニープラスでは様々な作品を視聴することができるのですが、その中でも特におすすめがこちらになります。

ディズニーの歴史を映像で辿れるドキュメンタリーやディズニーランドのアトラクションがいかに優れた総合芸術であるかを知れる『イマジニアリング』、そして私が一番好きなディズニー映画『美女と野獣』に決定的な影響を与えたハワード・アシュマンのドキュメンタリーには私も泣きました。

ディズニープラスのドキュメンタリーは信じられないほどクオリティが高いです。これほど高品質な番組を観れるのは非常に貴重です。ぜひぜひおすすめしたいです。

ではでは、長々とお話ししてきましたが、この記事が皆様のお役に立てますことを祈っております。

以上、「ウォルト・ディズニーの伝記などおすすめディズニー解説本12選~思想・文化としてのディズニーはこんなにも奥深い」でした。


今回の記事は以前当ブログで公開した以下の記事を再構成したものになります。

この記事では今回おすすめした本の他にも白雪姫やピノキオ、美女と野獣などの原作についてもお話ししています。きっと意外な発見があると思いますのでぜひこちらもご参照ください。

次の記事はこちら

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