ディズニー映画『ヘラクレス』あらすじ~悪役ハデスが魅力的すぎる隠れた名作!
ディズニー映画『ヘラクレス』はもっと評価されてもよい作品なのではないだろうか

今回ご紹介するのは1997年に公開されたディズニー映画『ヘラクレス』です。
早速この映画のあらすじを見ていきましょう。
ギリシャ神話の昔。オリンポスの偉大な支配者ゼウスに息子が生まれました。名前はヘラクレス。稲妻をおもちゃにするほどの力を持った赤ちゃんに、ゼウスの地位を狙う死者の国の神ハデスは将来を案じ、ヘラクレスを人間の世界へ追いやってしまいます。成長し自分が神の子であることを知ったヘラクレスは、父との再会をはたしますが、神となる条件はただ一つ“本当のヒーロー”になることでした。修行の旅に出たヘラクレスに次々に襲いかかるハデスの罠。果たしてヘラクレスは“本当のヒーロー”になれるのでしょうか。 あの「アラジン」の制作スタッフが贈る、天地を駆けめぐる壮大な冒険ファンタジー!
さて、今回ご紹介する『ヘラクレス』は私の大好きな作品になります。
これまで当noteではディズニー映画の原作やおすすめ参考書をご紹介してきましたが、映画そのものを紹介するのは今回が初めてになります。
基本的に当noteの方針としては「旅と読書」がテーマになりますので、本来映画そのものをご紹介するということはしない予定でした。
ですが、この『ヘラクレス』に関してはすみません。これまで我慢に我慢を続けていたのですが、もう書きたくて書きたくて仕方がなくなってしまいました。この映画は魅力的すぎる!ぜひこの思いを伝えたい!そんな思いで今この記事を書いています。
ところで、私が一番好きなディズニー映画は『美女と野獣』です。これはもう殿堂入りという形で、自分の中でも他と比較不可能な位置にいます。それはこれまで当noteでも「『美女と野獣』原作のあらすじとその違い~ディズニーの改変が最高過ぎた件について」や「美女と野獣のアトラクションは本当に気まずい?泣くほど好きな私が思うこと」などの記事でお話しして来た通りです。
ですが、その次に好きな作品に何が来るかと言いますと、それが何を隠そう、この『ヘラクレス』なのです。
もちろん、『白雪姫』や『ピノキオ』『メリーポピンズ』『不思議の国のアリス』『塔の上のラプンツェル』も特に好きで、もはや甲乙つけられない私なのでありますが、やはりその中でも『ヘラクレス』は特別な光を放つ作品となっています。
では、『ヘラクレス』の何がそんなに魅力的なのでしょうか。『ライオンキング』や『アラジン』『リトルマーメイド』『アナと雪の女王』などと比べてもどうも影の薄い『ヘラクレス』です。
みなさんも「ディズニーといえば」と聞かれて『ヘラクレス』を思い浮かべる方はかなり少ないのではないでしょうか。
ですが、私個人としては『ヘラクレス』はもっともっと評価されてもよい作品なのではないかと考えています。
今回の記事ではそんな『ヘラクレス』の魅力について考えていきたいと思います。
⑴ギリシャ神話にゴスペルとアメコミ要素を取り込んだぶっとび手法
まず挙げたいのはこれですね。
『ヘラクレス』の元ネタはギリシャ神話です。そのギリシャ神話をゴスペルとアメコミの空気で再解釈するという、ある種ぶっ飛んだ発想で作られたのが本作になります。
この映画のオープニングからして、ギリシャ神話を「暗いな~」「もう聞いてらんない」とぶった切るゴスペルのミューズたち。
ギリシャ神話愛好家の方からすると「なんと冒涜的な!」と思うかもしれませんが、これもひとつの発想の転換です。
彼女たちの歌にかかれば、ギリシャ神話もどこかコミカルでアメコミな雰囲気に変貌します。
これはもう、ギリシャ神話とゴスペル、アメコミが融合した新たな神話と言ってもよいでしょう。私も僧侶として「宗教とは何か」を学び続けてきた人間です。こうした異文化同士の接触・融合が新たな文化を生み出す場面を何度も見てきました。
「何をおおげさな」と思うかもしれませんが、私はまずこのギリシャ神話にゴスペルとアメコミをぶつけるという大胆な手法に「おぉ~!これは・・・!」と思わずにはいられませんでした。
ディズニーの攻めの姿勢を冒頭からして感じられます。ウォルト・ディズニーがいた頃のあの攻めの姿勢がここに宿っているのではないかと私はぐっと来たのでありました。
⑵原点回帰のユーモア
そして『ヘラクレス』全体を通してのもう一つの特徴として、ユーモア要素の多さを挙げたいと思います。
『ヘラクレス』はとにかく笑えるシーンが多いです。しかも大きな笑いもあればくすっと笑える小さなユーモアもありと、実に多様な笑いが施されています。
特に、ハデスやその部下のペインとパニックのやり取りは最高です。こんな魅力的な悪役はいないでしょう。彼らについてはこの後で改めてお話ししますが、この作品が笑いに大きな力点を置いているのは間違いないことでしょう。
思えば、ディズニー映画そのものも初期は笑いに満ちたものでありました。
最初のアニメーション映画『蒸気船ウィリー』もアニメならではのコミカルな動きと自由な発想でユーモア全開の作品でしたし、『白雪姫』のおとぼけはあのチャップリンが絶賛したほどです。それほどウォルト率いるディズニーはユーモアを大事にしていたのです。
そのアニメならではのコミカルな動きと自由な発想を再び体現しているのが『ヘラクレス』なのではないかと私は思うのです。
何やら真面目くさって書いてしまいましたが、観ればわかります。シンプルに笑えて楽しいのです。この絶妙な抜け感が私はたまらなく好きなのです。見ていて元気が出ると言いますか、肩ひじ張らずに何度でも観たくなるのはこのユーモアのおかげだと思っています。
⑶魅力的すぎる悪役、ハデスの存在
そして何と言ってもこれです!ハデスが魅力的すぎます!

今作の悪役としてこのハデスは暗躍するのですが、もうユーモア爆発です。ひとつひとつのセリフが実に味わい深い!単なる悪役のレベルを超えた唯一無二の存在です。
いやあ、好きです、ハデス。
声優の嶋田久作さんの声や口調も最高です。悪役なのに憎めない!
しかもストーリーの展開上どうしてもシリアスになってしまう場面でも、それを一瞬で吹っ飛ばすユーモアをぶっこんできます。これはなかなかできることではありません。制作側もこれはものすごく勇気がいることだったのではないでしょうか。ですが、それを成立させてしまう魅力とパワーを持っているのがこのハデスというヴィランなのでしょう。

また、ハデスの部下であるペインとパニックもいい味を出しています。
彼らの無邪気なボケがハデスをいつも怒らすのですが、これがもう絶品です。絶妙なラインで攻めてくる二人のボケは必見です。
彼ら3人の悪役トリオがこの作品をぐぐっと押し上げているのは間違いありません。もはや主人公のヘラクレスを完全に食ってしまっています(笑)
やはり魅力的な悪役がいる物語はよいですね。『美女と野獣』にも愛すべきマッチョマン、ガストンという名悪役がいますが、私はこうした憎めない悪役がいるストーリーが好きなようです。
ぜひ彼らの活躍ぶりをしかと目に焼き付けて頂けたらと思います。
⑷異質なヒロイン、メグ

彼女の存在も『ヘラクレス』を独特な地位に押し上げていると言ってもよいでしょう。
何と言っても、メグはディズニープリンセスらしくありません(笑)
まあ、そもそもプリンセスではないのでプリンセスらしくなくても全く問題ないのですが、それにしてもディズニーにしてはかなり攻めたヒロインです。
まず登場シーンからしてセクシーすぎます。大丈夫かディズニー!と少し不安になるほどですが、そこはアメコミ仕様のこの映画に救われました。アメコミは生々しさやリアルっぽさを中和化するという不思議な効果があるようです。
もちろん、登場後すぐにメグがハデスの仲間であることが明かされるため、私達視聴者は単なるセクシー枠ではなく敵方の女性としてのメグを印象づけられることになります。この辺りのバランス感覚はさすがディズニーです。家族で安心して見ていられるというのはディズニーの最大の魅力でもあります。
そして例によって彼女もユーモア満載の語りを披露してくれます。私が小さかった頃には声優さんが誰かということを考えずに見ていたのでありますが、メグの声が工藤静香さんだと最近知り驚きました。上手すぎですよね。ヘラクレスへの恋心が芽生える歌のシーンも最高です。この映画においても屈指の名シーンだと思います。私も大好きな場面です。
謎のセクシー美女がこんなにも魅力的に見えるというのもディズニーの魔法ですね。普通ではありえないですよね(笑)これも『ヘラクレス』の見事な点だなと思います。
⑸「僕の場所」を見つける旅
そして最後に、私が一番ぐっときたものをお伝えしたいと思います。
それが若きヘラクレスが歌った『ゴー・ザ・ディスタンス』の中で語られる「僕の場所」という言葉です。
『ヘラクレス』の物語はここに集約されるのではないかと私は感じています。
ヘラクレスは赤ん坊の時にハデスの策略で誘拐され、両親と引き離されてしまいました。
ですが奇跡的なタイミングで親切な老夫婦に拾われ、大切に育てられます。
そんな優しい老夫婦の下すくすく育っていった彼でありますが、元々は神であったヘラクレスです。そのあり余るパワーをコントロールする術を知らずいつも失敗ばかりでした。そして村の皆からも嫌われ、「ここは自分のいるべき場所ではないのかもしれない・・・」と悩みます。
誰にも理解されず、受け入れてもらえない苦しみ・・・
そんなヘラクレスの苦しみは私にもきっと共感できるものがあるのではないでしょうか。
そしてそんなヘラクレスの苦しみを知った老夫婦は彼に真実を伝えます。彼を拾った時のこと。そして彼が身につけていたゼウスのメダルのこと・・・。
この老夫婦の愛はこの記事を書いている今もジーンと来てしまいます。真実を伝えれば愛するヘラクレスはここを去ってしまうことを彼らは痛いほどわかっています。ですが、その愛するヘラクレスのために彼らは息子を送り出すのです。
その出発シーンで歌われる曲こそこの『ゴー・ザ・ディスタンス』であります。
私は今でもこのシーンを見ると涙が出そうになります。自分の葛藤や願いを繊細に歌い上げる前半と、そこから壮大な音楽と共に新たな道を進み始める後半部。この曲は名曲揃いのディズニー音楽の中でも特に好きな楽曲です。
ヘラクレスを見送る老夫婦と新たな世界が目の前に広がる映像にも私はぐっと来てしまいます。ミュージカル的手法を最大限に駆使したディズニー映画の真骨頂がここにあります。私はこのシーンに喝采を惜しみません。
そして自分が拾われた子であること、ゼウスのメダルを身につけていたことを知ったヘラクレスが「自分は何者なのか」を探す旅に出るというのはまさに古今東西の神話の王道と言えましょう。
ゴスペルとアメコミによってギリシャ神話を解体したかのように見えて、実は王道中の王道を進んでいるのがこの『ヘラクレス』なのです。これはお見事としか言いようがありません。私は最高にぐっと来ています。
また、ゼウスと対面したことで「自分は何者なのか」を知ったヘラクレスでありますが、ここから「なるべき自分、なりたい自分へ」と成長していく様が描かれるのも素晴らしいです。
やはり「自分は何者なのか」を知るだけでは不十分なのです。それだけではヘラクレスが夢見る「みんなが僕を迎えてくれて、温かく微笑んでくれる場所」はやってこないのです。
こうしてヘラクレスの旅は続き、フィルの指導を受けて成長していきます。それはあり余るパワーのコントロールだけでなく、心の成長も必要とされるものでした。
映画ではその訓練もコミカルに描かれていますが、私達はその裏にあるたゆまぬ努力を感じ取ることでしょう。
そして最後の最後に、彼は「僕の場所」を見つけます。
それが愛するメグの隣でした。
若き頃夢見ていた「どこか遠い場所」ではなく、それは自分のすぐそばにあったのです。
しかも神としてでもなく、ヒーローとしてでもない。メグと共にただひとりの人間として生きていきたいとヘラクレスは悟るのです。
あぁ、なんと美しいフィナーレでしょう。こうした強制ハッピーエンドはアメコミっぽさも感じてしまいますが、それにしても美しすぎます。
ヘラクレスの苦しみを見てきた私達にとって、これほど祝福できる終わり方はないでしょう。
そして大事なことは、ヘラクレスがずっと「僕の場所」を探し続けてきたということです。
旅を経て、多くの経験を積んだヘラクレス。
街に出て人々からバカにされる経験、怪物と闘い人気者になった経験、そして初めての恋とその裏切り・・・
そしてその中でも最大のものが愛する人の死でした。メグの死は彼に巨大な影響を与えたことでしょう。彼女が身を挺してヘラクレスを守った、このことを通してヘラクレスは決定的に強くなったのです。
やはり死は人を育てるのです。
その死に様が残された人の力になるということがあるのです。
何やら話は大きくなってしまいましたが、僧侶である私からするとメグの死と復活を巡るこの物語は見逃せないものがあります。
さて、こうしてずっと夢見てきた「僕の場所」を見つけたヘラクレス。
ただ単に何もせずに「誰からも温かく迎えてくれる」ことなんてありえません。社会に受け入れられるためにはまず、自分とは何者かを知り、自分をコントロールする術を身につけ、そして人々の役に立つ何かを行動で示す必要があります。ここを疎かにしていないのもこの物語の魅力であると思います。
ただ単に「ありのままでいい」、「そのままのあなたでいい」、そんな夢のようなことをこの映画は言わないのです。
この映画が公開されたのは1997年です。あぁ、もう30年近くが経つのですね・・・。この30年でずいぶんと世の中は変わりました。今や「ありのまま」全盛時代です。『ヘラクレス』のような人生の旅はもはや受け入れられない世界かもしれません。
ですが、私はそれでもこの『ヘラクレス』の「僕の場所」を探す旅を信じていたい。こういう生き方をしたいものだと心の底から思うのです。
そうです。これはまさに神話です。私は何者なのか、いかに生きるべきなのか、こうしたものを問うてくるのが神話の王道です。やはりこの映画は神話の王道ど真ん中を行く作品なのです。
私がこの作品に強い愛着を感じるのもこうした神話性に惹かれてのことかもしれません。
もちろん、ストーリーやキャラの魅力、ユーモアの素晴らしさは言うまでもありません。また、音楽もあのアラン・メンケン大先生が楽曲を担当しているということでこれも言わずもがなです。
いずれにせよ、この作品は私の中で特に強い思い入れのある映画です。
車の中のBGMもいつも『ヘラクレス』と『美女と野獣』のサントラの私です(笑)それくらいこの作品が好きなのです。
ぜひ皆さんもこの映画を楽しんで頂けましたら幸いです。
以上、「ディズニー映画『ヘラクレス』あらすじ~悪役ハデスが魅力的すぎる隠れた名作!」でした。
※追記
現在東京ディズニーランドで行わている夜のキャッスルショー「Reach for the Stars」に『ヘラクレス』が登場しています。
しかも曲目はまさに『ゴー・ザ・ディスタンス』です。下の映像では2分頃からスタートします。
『ヘラクレス』が大好きな私にとっては何としてもこれを生で観てみたいなと思うのですがなかなかディズニーランドに行くことすら難しい状況ですので、何とかこのショーが長いこと続いてくれるのを願うのみです。
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